
トラック班は課題残すも ロード班は史上初の総合優勝/全日本大学対抗選手権
残暑残る鹿児島で歴史に名を刻んだ。自転車部は9月1日から4日間にわたって行われた全日本大学対抗選手権(以下、インカレ)に出場。3日間行われたトラック競技では、男子勢の表彰台は一つのみとやり切れない結果に。しかし、それを取り返すように最終日行われたロードレースで明大勢が大奮闘する。白尾雄大(理工4=城北)が2位に輝くなど、存分に力を発揮し、創部史上初のロード総合優勝を達成。総合順位こそ6位に終わったものの、明大自転車部の新たな時代の到来を予感させる結果に終わった。
◆9・1~3全日本大学対抗選手権トラック(根占自転車競技場)
▼4kmインディヴィデュアルパーシュート
片岡――8位
▼オムニアム
小泉――11位
▼4kmチームパーシュート
小池・吉房・片岡・齋藤――13位
▼チームスプリント
上野・吉岡・野中――6位
▼ケイリン
野中――4位
▼スプリント
吉岡――ベスト8
上野――予選敗退
▼1kmタイムトライアル
齋藤――13位
吉田――21位
▼タンデムスプリント
福地・吉田――3位
▼マディソン
小池・吉房――途中棄権
▼トラック総合
明大――7位
◆9・4全日本大学対抗選手権ロード(鹿児島県錦江町および南大隅町特設周回コース)
▼ロードレース
白尾――2位
村上――6位
林原――9位
※宇佐美、小泉、永野、小久保は途中棄権
▼ロード総合
明大――1位
▼総合
明大――6位
【男子・トラック】
トラック班が苦戦を続ける中で最後の最後に表彰台をつかみ取った。明大は2日目終了時点で表彰台は0。その状況で3日目、福地猛(法4=学校法人石川高)と吉田唯人(政経1=学校法人石川高)がタンデムスプリントに出場。順調に勝ち進み、準決勝まで進出したが日大に敗れ、3位決定戦・中大戦へ。2本先取の戦いで1回戦を先取すると「2回戦は(負けて、1勝1敗の)ドローにして3回戦に持ち込もう」(福地)と2回戦で敗れ、狙い通りの3戦目まで突入した。
運命の一戦は視界が遮られるほどの大雨の中、戦いの火ぶたが切られた。お互いが様子を見合っている中で「後ろからまくれる脚質ではない」(福地)と明大が先にスピードを上げる。差は広がったかのように見えたが、最終コーナーを回った辺りで中大が接近。最後のスプリント勝負となり、両者共踏み続け、最後に残ったのは明大。勝利の瞬間雄たけびを上げ、仲間に拳を突き上げた。結果として福地と吉田が3位に輝き「明日のロードに弾みがついた」(本間滋監督)と、翌日行われるロードレースに向けいい流れをつくり出した。
【男子・ロードレース】
全員の力で快挙を成し遂げた。自転車競技の華・ロードレースはインカレ最終日に開催された。1周24.2周を6周回、非常にアップダウンが激しいことに加え、連日の雨で道路は湿った状態。難しいコースで完走者が少ないことが戦前から予想された。
明大は序盤から果敢に動きを見せる。前半の3周目までは小泉響貴(政経1=埼玉県立浦和北)らが積極的に逃げに乗る。いずれも元の集団に戻るもののレースを支配している雰囲気が感じられた。大きく動きがあったのは5周目。明大の林原聖真(法1=倉吉東)が日大の選手と2人で逃げの体制に。なかなか動きがなかった中で集団から飛び出すと、そのまま追い付かれることなく最終周回に突入。6周目開始時点で後ろの集団との差を1分以上つけた。そのままゴールと行きたいところだが集団が2分されたうちの一つの集団が活性化。着々と林原との差を詰めてきた。その集団の中には白尾と村上裕二郎(営2=松山工)がおり、追い付かれても明大有利の状況で最終局面を迎える。残り12キロとゴールが迫ったところで林原が先頭からドロップ。追い抜いたのは白尾とU―23チャンピオンジャージを着用する仮屋(日大)だ。そのまま2人がゴール付近まで並走。後ろに追い付かれることなく、最終スプリント体制に。先に上体を上げ、ダンシングを始めたのは白尾。グングンとスピードを上げるが、U―23日本王者もハンドルを下に持ち替え、一気にスピードを上げる。白尾も何とか踏ん張るも両手を広げたのは仮屋。1秒差で惜しくも2位で終えた。続いて村上が6位、林原も9位と粘りの走りを見せ、1桁順位に名を連ねた。
3選手が10位以内に入り、明大史上初の男子ロード総合優勝を達成。表彰台のてっぺんではためく校旗は、チーム明大の目に熱く焼き付いた。今回のロードレースは155人が出場していたが、完走できたのは36人のみ。それだけ過酷なレース環境で行われた今大会。明大は個人ロード2位、チームとしては初優勝、これ以上ないほど喜ばしい結果に終わった。
[中村謙吾]
試合後のコメント
本間監督
――ロード総合優勝を果たしました。男子ロードレース振り返っていかがでしたか。
「150kmの全体の動きの中で必ず明治の選手がポイントポイントで絡んでいて、各選手のレベルが非常に上がっていると感じました。個人での優勝はありましたが、総合という形での優勝は初めてです。非常に感激しています」
上野矢竜主将(営4=祐誠)
――4年生としてどのようにチームに関わってきましたか。
「主将として1年間やらせてもらい、自分がやってきたことは、できるだけ自分が一番声を出して、みんなの意識を高めることです。チームの雰囲気が良くなるようにやってきたと思います」
福地
一一3位という結果、振り返っていかがですか。
「正直自分たちは7、8位くらいで、周囲の期待も強くなかったです。ですが、合宿入ってから段々と走っていくうちに自分たちの状態を上げることができ、最終日一番いいパフォーマンスが出せました」
白尾
――ロード総合優勝。ロード班の主将としてこれ以上ない結果が出ました。
「ロード総合優勝はとても素直にうれしいです。ここまで僕がロード班長として『過去3年間よりいいロード班にしたい』という思いで考えてやってきました。いろいろ工夫してきた結果としてロード総合優勝につながったと自信を持って捉えられています」
野中龍之介(営3=法政二)
――インカレ終了後、チームの中ではどのような役割を担っていきますか。
「短距離の中で3年生が僕ともう1人いるのですが、短距離班のリーダーではないですが、上に立つと思うので、しっかりみんなを引っ張っていけるような強い選手になりたいです」
村上
――チームとしては総合優勝を果たしました。
「白尾さんが目標にしていた点数が15点でそれをクリアすることができました。そして優勝という形で白尾さんの競技生活最後を締められたのは良かったと思います」
吉田
――初めてのインカレでした。
「今までのレースは緊張、不安とかばかりで、思うような走りはできなかったのですが、今回はもう楽しむというのもあって、最初から最後まで気持ちを切らさずに走れたことが一番良かったと思います」
小泉
――ロードレースを振り返ると点数としては100点に近いでしょうか。
「今回明治のレースが100点だと思っていて、全ての逃げに明治が乗って、追走も明治が乗って、集団も明治がいるという状態で監督も言っていたのですが、明治のレースができて、総合優勝につながったと思います」
林原
――総合優勝を成し遂げた要因を教えてください。
「僕が思う一番の理由は白尾さんの存在です。やはり長距離班が強くなるためにどうしたらいいかを、みんなとコミュニケーションを取りながらずっと考えてくださいました。さらに姿勢でもずっと引っ張ってくださって、僕は付いていくだけで、これだけ強くなることができました。白尾さんがいなかったらこれだけの結果はなかったと思います」
今大会では多くのケガ人が出る大落車が発生し、1名の選手が亡くなりました。ご本人のご冥福を心よりお祈りし、ご遺族・関係者の方々に追悼の意を表します。また、ケガをされてしまった選手の早い回復を願います。
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