またもPK戦で涙 まさかの3回戦敗退/総理大臣杯全日本大学トーナメント
3回戦は大院大と対戦。開始早々に福田のボレーシュートで先制するも、57分にPKを決められ同点に。そのまま延長戦でも決着はつかずPK戦へと突入する。サドンデスに突入し迎えた8人目の井上のキックがゴールから外れ試合終了。全国制覇の夢は冬の全日本大学選手権(以下、インカレ)にお預けとなった。
「どの選手もコンディションが良かった」(栗田大輔監督)と2回戦から先発を5人入れ替えて臨んだ今試合。序盤からスコアが動く。6分、右サイドからのクロスを田中禅が競り、こぼれ球を福田が豪快にボレーシュート。相手GKの両手を弾きゴールへと吸い込まれ先制点を挙げた。その後も相手に決定機を作らせず、明大は攻撃の手を緩めない。36分、パスを受けた田中禅がPA(ペナルティエリア)外での絶妙な反転からシュートを放つも相手GKに阻まれ得点ならず。前半アディショナルタイムにはCK(コーナーキック)をファーサイドで村上が合わせるもゴールのわずか左に外れてしまう。「やはり1点では試合は全く決まらないので、良いように見えても2点、3点と取らなくてはいけなかった」(佐藤恵)。追加点を決め切れず、1-0で前半を折り返した。
(写真:ボレーシュートで先制点を挙げた福田)
追加点が欲しい明大は流れを変えるべく熊取谷と佐藤恵を投入。しかし「相手に一瞬の隙を与えてしまった」(上林)。56分、スローインからボールを持ち運ばれるとPA内で相手を倒しPKを献上。これを決められ同点に。62分には木村がPKを獲得し自らキッカーを務めるも相手GKに止められ追加点ならず。相手のチャージにも苦しみ1点が遠く、10分ハーフの延長戦でも試合を決める得点は生まれず。勝負の行方はPK戦へと委ねられた。
後攻となった明大は、1人目の福田が決めるも、その後は中村、熊取谷、林晴と立て続けに失敗。「遠藤さん(雅己・法4=桐蔭学園)に代わって出た試合で、その思いも背負ってPKに入った」(上林)。上林のセーブなどで難局を乗り越え、サドンデスへと突入したが、8人目を務めた井上のキックがゴール上に逸れ万事休す。110分に渡る激闘を勝利で締めくくることはできなかった。
(写真:PKを止めてチームを後押しする上林)
「日々の甘さがあったから同じようなことを繰り返していると感じた」(佐藤恵)。「アミノバイタル®︎」カップ関東大学トーナメント決勝のPK戦での敗戦と重ねて今日の試合を振り返った。「全員が甘さというところに厳しい目を持って切磋琢磨(せっさたくま)しながら、何が足りないかを考えて励んでいくしかない」(上林)。それぞれが課題に挙げた精神面。栗田監督も「サッカーがどうこうよりも一人一人が人間として成長しなければならない」とそれを強く押し出した。今年度も残す大会は関東大学リーグ戦(以下、リーグ戦)とインカレのみ。リーグ戦の王座奪還に3年ぶりの全国制覇を実現するべく、紫紺の戦士に足を止める時間はない。
[長﨑昇太]
関連記事 RELATED ENTRIES
-
久保がJ3・ツエーゲン金沢に今季加入決定!
サッカー 2024.03.042月9日、G K久保賢也(商4=大宮アルディージャU―18)のツエーゲン金沢への今季加入内定が発表された。今季のJリーグ内定選手は7人目となる。明大で鍛え上げたビッグセーブを武器にプロの舞台へ羽ばたく。 サッカー人生に終止符を打とうしていた久保にチャンスが舞い込んだ。加入を決める後押しとなったのは「チャレンジしてみないと成功するかしないかが分からない」(栗田大輔監督)の言葉にあった。 高校時代は大宮アルディージャのユースチームでプレーし、DF村上陽介(法4=大宮アルディージャU-18)と共に明大へ進学。「取り組む姿勢からプレーのところまで全て圧倒されて、自分が高校からやってきたサッカー観がいい意味で覆された」。1年次はトップチームに絡み続けたものの、2年次の天皇杯予選敗戦後から出場機会が減少。最高学年となった4年次はリーグ戦出場が2試合にとどまった。「10月以降は全然試合に出られなかったし、(オファーの)話も聞こえてこない状況だったので、ほぼ(プロへの)確率がない状態でインカレを迎えた」。全日本大学選手権ではサポートメンバーとしてチームを支え、明大サッカー部を退部。内定先の一般企業に就職するかたちでサッカー人生を終える決意をした久保に、白羽の矢が立った。年明けに練習参加の声がかかり、ビルドアップやシュートストップの武器を遺憾(いかん)なく発揮。さらには久保の人間性が日の目を見た。「挨拶も含めたオフザピッチの振る舞いをすごく褒めていただいて、生活面でも評価してもらった」。〝明治大学体育会サッカー部は、プロの養成所ではなく人間形成の場所〟。その教えを見事に体現し、プロへの切符を手にした。 久保の加入により、ツエーゲン金沢のG Kは4名となり激しい競争が予想される。それでも、同期である村上とDF阿部稜汰(政経4=日章学園)の存在を意識し「カテゴリーも同じJ3で対戦する機会があるので、対戦する時は自分も彼らもスタメンとしてピッチに立ってやり合いたい」と高い志を持つ。目標はJ3優勝、J2昇格。明大で培った実力と人間力を持ち合わせる背番号〝60〟は、Jリーグの舞台でも躍動するだろう。 [田上愛子] 選手のコメントはこちらREAD MORE -
今季は6人がJリーグへ! プロの舞台で活躍誓う/Jリーグ加入内定選手合同記者会見
サッカー 2024.01.131月12日、明大八幡山第三合宿所サッカー部寮にてJリーグ加入内定選手合同記者会見が行われた。来季Jリーグのチームへと入団することが決まっている6人と栗田大輔監督、井上優部長が出席。プロサッカー選手になることへの意気込みを語った。 現時点で選手13人の内、佐藤恵允(文4=実践学園)を含めた7人がプロの舞台へと進む。コロナ禍で大学生活をスタートさせたこの世代。関東大学1部リーグ戦第1節・駒沢大戦で初出場を果たした太田をはじめ、1年次からトップチームで活躍してリーグ戦連覇に貢献。その一方で2年次にはリーグ戦優勝を逃して3位、カップ戦でも臨んだ結果が得られず悔しい思いを経験した。3年次はリーグ戦王者に返り咲くと、4年次には全日本大学選手権(以下、インカレ)にて19年以来となる全国舞台で悲願の優勝。大学サッカー最後の大会で有終の美を飾った。 14年連続でプロを輩出し続けている明大。「卒業しても明治の(出身である)サイドバックとして結果を残すことで後輩たちに刺激を与え続け、これまでお世話になった明治や支えてくださった人に恩返ししたい」(阿部)。厳しい明大での4年間で躍進を遂げた選手たちは2月からのJリーグ開幕に向けて新天地でキャリアをスタートさせる。 [石田聖]READ MORE -
阿部がJ3・FC今治へ来季加入内定!
サッカー 2024.01.131月9日、DF阿部稜汰(政経4=日章学園)のFC今治への来季加入内定が発表された。今季のJリーグ内定選手は6人目となる。明大で鍛え上げた走力と球際の強さでサイドを制圧するSBがプロの舞台へ飛び込む。 日本代表経験を持つ長友佑都(平21政経卒・現FC東京)や室屋成(平29政経卒・現ハノーファー96)など名だたるSBを輩出してきた明大。その〝明治のSB〟の系譜を継ぐのが阿部だ。武器は「90分間ハードワークできる運動量と粘り強い守備」。明大が掲げる球際、切り替え、運動量の三原則を高いレベルで体現しサイドで存在感を放つ。気の利いたポジショニングとチームを活気づける明るい性格も魅力だ。 宮崎県の名門・日章学園で活躍し、3年次には主将として全国高校選手権の選手宣誓も務めた阿部。同大会で優秀選手にも選ばれ明大へ入学したが、待ち受けていたのは大きな壁だった。下級生の頃は名門の厚い選手層に苦しみ出場機会は限られていた。それでも4年生になった今季はトップチームに定着。スタメン出場も多く中心選手として活躍していたが、シーズン後半は出場機会を減らし、サポートメンバーに回ることも。その経験も「チームを俯瞰(ふかん)することができたし、いい部分もあった」と冷静に振り返った。そして最後の大会となる全日本大学選手権(以下、インカレ)を迎えた。進路について悩むこともあったが「明治への恩返しの大会にしたと考えて臨んだので、それがいい形で自分のプレーに現れた」。愛する明大への思いがインカレで実りを見せる。全試合にスタメン出場し、3回戦の仙台大戦では大学初ゴールを記録。4年ぶりの優勝に貢献した。インカレでの活躍がFC今治からのオファーを呼び込み、プロへの切符を手にした。 目指す選手像に「インカレでウイングバックを経験したこともあり、すごく意識している」と、森下龍矢選手(令2文卒・現レギア・ワルシャワ)の名前を挙げた。90分間スプリントを続けサイドを制圧する森下選手とはプレースタイルも近く、明るいキャラクターも通ずる部分がある。「今まで明治で培ってきたものを発揮して、J3優勝、J2昇格に大きく貢献できるような選手になれるように頑張りたい」。明大での学びを胸に、Jリーグの舞台でも紫紺魂を見せつける。 [井澤怜音]コメントはこちらREAD MORE