主将対談 硬式野球部・村松開人×ラグビー部・石田吉平【後編】

明大スポーツ新聞
2022.08.10

 3年ぶりのリーグ優勝に輝いた硬式野球部を率いた村松開人主将(情コミ4=静岡)。一方、東京五輪に出場し絶対的エースとしてチームを引っ張る石田吉平主将(文4=常翔学園)。

 明大を代表する体育会部活、硬式野球部とラグビー部。それぞれの主将として、意識していること、苦労することなどの共通点はあるのか。石田主将のクラスメートで硬式野球部の副将・蓑尾海斗捕手(文4=日南学園)、同じくクラスメートでラグビー部の副将・齊藤誉哉選手(文4=桐生一)にも参加していただき実現した、硬式野球部×ラグビー部の特別対談をお届けします。(この取材は7月7日に行われました)

 

前編はこちら

 

――主将と副将になった経緯をそれぞれ教えてください。

蓑尾 「自分はもともと役職に就くようなタイプじゃなかったんですけど、去年の秋の試合に出たくらいから『あるんじゃないか』という感じになっていました(笑)。秋のリーグ戦が終わった後のフレッシュトーナメントの時、監督に『副キャプテンやれ』と言われて決まりました」

村松 「同じ感じです。監督に呼ばれて『頼むわ』って言われて『はい』って言って」

蓑尾 「幹部は蓑尾と陸人と村松の3人だろみたいな感じになっていたんですよ。でも主将は陸人か村松だろみたいに言われていて、自分はそこから外れていました(笑)」

石田 「ラグビー部は、監督に去年の12月くらいに何人か主力が呼ばれて『リーダー陣はこのメンバーから決める』って言われて。あとは部員投票ですね。それで主将に決まって、僕が副将を選びました。誉哉(を選んだ理由)はみんなから慕われていて」

齊藤 「恥ずかしいな(笑)」

 

――副将の2人から主将の面白いエピソードなどはありますか。

村松 「俺の天然エピソードとかないでしょ」

蓑尾 「(石田は)ある?」

齊藤 「しょっちゅう何してんねんみたいなことしてるんだよな」

蓑尾 「(村松は)コロナの影響で、外出する時に外出ボード書かないといけなかったんですよ。『何時、村松、行く駅、目的』みたいなのを書く時、調布が書けなくて『調府』って書いてた(笑)」

村松 「これは外出できなくて、久々の外ってなって、調布ってずっと書いていたのに書いてなかったから字を忘れて。どうやって書くんやっけって適当に書いた(笑)」

齊藤 「吉平の? なんやろうな。細かいことすぎてパッと思いつかないです(笑)」

 

――副将から見てすごいと思ったことはありますか。

蓑尾 「村松がリーグ戦の時にずっとベンチにいたんですけど、初打席で出てきた時の観客の拍手がすごくて、自分もケガしたいなって思いました(笑)。すごかったですよね?かっこよかったです」

村松 「それ俺がすごいわけじゃないで(笑)」

蓑尾 「でもあれ他の人がやっても、みんな立って拍手しないですもん。村松だったから『待ってました!』みたいな感じだったんですよ」

齊藤 「吉平は、ばれてないと思っているんですけど、影の努力がすごいです。自分がケガしたときに朝から休みの日にグラウンドで練習があって、その時にウエイトルームから音がして、誰かいるなと思ったらこいつ(石田)がいて。影の努力が一番すごいです」

蓑尾 「それ村松もです。村松がケガしてバットスイングOKになった時、自分が20時半くらいにバッティングしに行こうと思って行ったら、もうこいつ(村松)が振っていて汗だくで。自分が上がろうと思ったら『ミノ打とうや』って21時半くらいまで」

 

――試合前のルーティンはありますか。

村松 「ありすぎて言えない!」

(石田選手は昨年度国立競技場に入る前にやっていたパフォーマンスが印象的です)

蓑尾 「俺見たことある! テレビに映ってた」

石田 「精神統一する意味でクロスして地面にグータッチしてお願いしますって入るルーティンはずっとやっていました」

齊藤 「俺何かやってる? 特にやってないと思います。あまりそういうのやっちゃうと」

石田 「俺といつも2人で一緒の部屋なんですけど」

齊藤 「ホテル泊まるんですよ。試合前、遠征の時とか」

蓑尾 「え、遠征多かったらルーティンとか無理やろ」

石田 「そのためのルーティンやろ」

蓑尾 「あ、そういうことか(笑)」

村松 「格の違い見せつけられてるやん(笑)」

蓑尾 「僕ルーティンで金曜日に靴箱を掃除するんですよ。だから遠征あったら無理やなと思って(笑)」

石田 「でも特に何もしてないよな」

齊藤 「普通に動画見て、寝て(笑)」

(村松選手の、ありすぎて言えないというのは)

村松 「試合前日もあるし当日もある。試合前やったら、室内のマシーンの掃除を絶対する。それが終わったらベランダで5スイングだけする。(試合の日は)この服着ていくって決めているんですよ。だからリーグ戦の時はその服しか着ないです。アップも試合の前も全部それでやって、フィールド内では守備に行く時白線越える時は絶対右足から入る。打席内のルーティンとかもあって」

蓑尾 「かっこいいですよね、村松の」

村松 「(打席での腕を上げる動作は)途中で投手が投げてくるときがあるんですよ。その時は絶対打たないです。もう1回(ルーティンを)やってから(打席に)入るっていうくらい」

 


――将来の夢はなんですか。

石田 「僕は五輪でメダルを取ることです。東京五輪では全然出られなくてメダルも取れなかったので、次は、コーチや監督からもリーダーとしてやるように言われたので、しっかり引っ張ってメダルを取ることが夢です」

村松 「この後言えないよ(笑)。夢は……幸せに生きることです」

蓑尾 「うわ、めっちゃ路線変えてきた!」

村松 「直近の夢が、プロに行って活躍することだけど、それも含めて充実していれば幸せになると思っているので、やれるところまでやって幸せになりたいなと思います」

 

――お互いに質問はありますか。

村松 「オフの日は何をしているんですか」

石田 「何しているんだろう……ウエイト?」

蓑尾 「なんでウエイトするの?」

石田 「怖いから」

蓑尾 「衰えるのが?」

村松 「分かるそれ。やらないと怖い。練習しないのが怖い。(大学に入って)レベル高すぎて、やらないと無理だと思ってやるようになりました」

石田 「ユースオリンピックでアルゼンチンに負けて、そこから世界のレベルの高さを知って頑張りました」

 

――寮のご飯事情を教えてください。

蓑尾 「木曜日が魚のメニューなんですよ。月曜日はカレーって決まっています。ホッケがおいしいです」

石田 「この前鍋やったよ。明太クリームパスタとか」

蓑尾 「そんなおしゃれなの出るの?」

(寮で食べる時は各自ですか)

村松 「野球部の場合は学年で順番に来て食べます」

齊藤 「時間指定があって、いつ誰でもみたいな感じで、基本的に仲のいいメンバーで食べています」

 

――寮での部屋割りはいかがですか。

石田 「ラグビー部は1、2、3、4年で1人ずつです」

蓑尾 「入寮したら4年生と? きつくない?」

石田 「入った当初はきついと思ったんですけど、学年ばらばらなので逆に仲良くなるというか、学年問わず仲良くなれます。部屋替えは半年ごとに3、4年生が固定で、1、2年生が替わります」

村松 「基本的にポジションで分けて、寮長が決めるんだけど、誰がいいか聞かれて1年生を選びます。吉田(匠吾内野手・文1=浦和学院)くんっていう子が同部屋でかわいがってる(笑)」

 

――ここまで話してきてお互いの印象はいかがですか。

村松 「意識高いなと思いました(笑)」

石田 「こちらこそ思いました(笑)」

村松 「なんとなくミノが似ているって言っているのが分かる気がします」

石田 「意見を交わしてきて似ている部分も多いなと思いましたね」

 

――村松さんは自分で人見知りと言っていて緊張している様子でしたが、ここまでいかがですか。

村松 「優しい笑顔で迎えてくれて(笑)。本当に人見知りだから」

蓑尾 「自分もですよ! 入寮してきた時3日くらい友達いなかったです。(クラスで友達を作った時は)誉哉が来たよな。大教室か!」

齊藤 「そうそう(笑)」

蓑尾 「1年生の時友達つくらなきゃと思っていたら、ごりごりの2人がいたので絶対スポーツしているなと思って近づいたらラグビー部でした」

 

――ラグビー部のお二人はいつから知り合いでしたか。

石田 「ラグビー界で明治にくる人みたいな感じで知っていましたが、全国大会で対戦した時に喋りました。試合中に『めっちゃ強くね』とか言っていて(笑)」

齊藤 「手も足も出なかった(笑)」

(試合中に喋るのはよくあることなのですか)

齊藤 「ラグビーはあるよな」

石田 「よくというか(全国大会の時は)誉哉のチームは初出場で」

齊藤 「全然全国分からんっていう感じでした」

(野球は試合中話しますか)

蓑尾 「塁上が多いですね。自分は捕手なので打者と」

村松 「こいつ(蓑尾)すごい喋る。ささやき戦術!」

 

――今年度の目標を教えてください。

村松 「チームは春秋連覇して次こそ日本一取ることです。個人では春の試合に出ていないので、次のリーグ戦で宗山(塁・商2=広陵)くんに負けないように、首位打者取れるように頑張ります」

石田 「秋もリーグ戦?」

村松 「土日だけ」

蓑尾 「でも月曜日もある(笑)。2勝したら終わり!」

齊藤 「行きたいな」

石田 「チーム目標は日本一です。昨年度は準優勝、一昨年度はベスト4、その前も準優勝とあと一歩届いていないというのと、来年100周年なのでいいつなぎができるように、今年度優勝することです。個人としてはまだ主将らしいことができていないので、しっかり最後のシーズンはゲームが任せられるような主将になることが目標です」


 

――ありがとうございました。

 

[西村美夕、西田舞衣子、安室帆海]

 

◆村松 開人(むらまつ・かいと)情コミ4、静岡高、171センチ・80キロ、右投げ左打ち、内野手

50メートル5秒8の俊足を持つ、走攻守そろった今秋のドラフト候補。最近は涙もろく試合中に泣くことも。「もう歳、おじいちゃんだな俺」

 

◆蓑尾 海斗(みのお・かいと)文4、日南学園高、174センチ・83キロ、右投げ右打ち、捕手

高いコミュニケーション能力を生かして投手陣をリードする。プレッシャーに打ち勝つ方法を石田選手に相談したところ「楽しむだけ」と言われ「めっちゃかっこいい」と感嘆した

 

◆石田 吉平(いしだ・きっぺい)文4、常翔学園高、167センチ・75キロ、左ウイング

異次元のステップとスピードで相手をかわしトライを決める。好きな食べ物はカニクリームコロッケ。「めちゃくちゃ大好きで、サクサクの中にトロトロ最高です!!」

 

◆齊藤 誉哉(さいとう・たかや)文4、桐生一高、180センチ・90キロ、右センター

相手のディフェンスラインを力強いプレーで突破する。寮ではチームメートと『フォートナイト』をしているそう。「めちゃくちゃ下手くそですけど、はまってます(笑)」