明早戦で春開幕 札幌で接戦を制す/第11回関東大学春季大会Aグループ

ラグビー 2022.05.02

 北の大地で紫紺と燕脂(えんじ)の宿敵同士が火花を散らした。第11回関東大学春季大会Aグループ(以下、春季大会)の初戦の相手は早大。15人制では新チーム初めての公式戦となった春の明早戦は、接戦となったものの明大に見事軍配が上がった。

 

5・1 第11回関東大学春季大会Aグループ

対早大戦

  ○明大26{14―5、12―14}19早大

 

 「ラグビーを楽しもうと話していた」(左ウイング石田吉平主将・文4=常翔学園)。注目の一戦は、選手も観客も最高潮の盛り上がりを見せた。


 試合を最初に動かしたのは早大だった。早大の素早い攻撃にスキを突かれトライを許してしまう。その後はパスをつなぎ、何度も敵陣に攻め込むも早大の力強いダブルタックルを前にトライを奪うことができない。しかし、その流れを変えたのは明大の重戦車たちだった。前半26分、敵陣ゴール前でのマイボールラインアウト。明大に大きなチャンスが訪れる。モールを組み、相手の守りが薄くなったところにフッカー松下潤一郎(法3=筑紫)が飛び込みトライ。「前の人たちがモールを押してくれたおかげ」(松下)。今年度もセットプレーの強さは健在だった。一方でBKも負けていない。前半終了間際には、敵陣でのマイボールラインアウトから左右に展開し、パスを受けた左センター廣瀬雄也(商3=東福岡)がハンドオフで相手をかわしながら走り切ってトライ。「耕太郎(伊藤・商3=国学院栃木)がスペースに仕掛けてくれてギャップを突けた」(廣瀬)。廣瀬は難しい角度のコンバージョンキックも決め、14―5で前半を終えた。


(写真:トライを決めた松下) 

 

 後半2分、早速会場を沸かせたのはやはりこの人だった。相手のゴールラインドロップアウトから、右センター齊藤誉哉(文4=桐生一)のパスを受けた石田が自慢のスピードを生かし、走り切りグラウンディング。「取った瞬間に誉哉(齊藤)とあのように攻めるというのは決めていた。長い付き合いなのでアイコンタクトを取った」(石田)。リーダー陣同士の見事な連携プレーを見ることができた。そのまま明大ペースで進むかと思われたが、宿敵・早大の攻略は容易ではない。早大BK陣の素早い攻撃を前にトライを献上すると、なかなか攻め込むことができない時間が続く。互いに攻めては守る、まさに互角の戦いぶり。後半33分には相手に同点トライを許してしまう。しかし、「守備は問題なく、アタックも継続しすぎただけなので切り替えてやろうと話した」(ナンバーエイト木戸大士郎・文2=常翔学園)。明大は最後まで勝利を追い掛けていた。試合はロスタイムに突入。相手のペナルティーでマイボールとなり、タップでプレーを開始した。そしてFW陣でゴールラインまで突っ込み、富田陸(政経1=大阪桐蔭)がグラウンディング。「先輩が前につなげてくれて、ボールが自分に来たのでここなら取り切れると思った」(富田)。デビュー戦となったルーキーの活躍もあり、勝利を掴んだ明大。大学日本一奪還に向けて、順調な船出を切ることができた。


 接戦を制したのは明大であったが、最後まで予想ができなかった今試合。約8000人の観客を前に、〝北海道ラグビーの日〟にふさわしい戦いぶりを見せてくれた。「コロナ禍でも、ファンの皆さんの拍手などがありとても楽しんでラグビーすることができた」(齊藤)。素晴らしい試合を届けてくれた両チームの選手たちに、大きな拍手を送りたい。

 

[豊澤風香]

 

試合後のコメント

石田

――新チームの初陣は白星発進となりました。

 「初めの試合でうまくいかないこともあるという話はしていたのですが、自分たちが普通に勝てた試合を難しくしてしまった試合なのかなと思いました。勝って反省できるという意味では良かったです」

 

――主将として初めての試合でしたが、今までと試合の振る舞い方は違いましたか。

 「レフリーとコミュニケーションを取ったり、主将の立場でチームとしてどういう判断をしていくのかということを考えました。(主将は)初めての体験だったので、そういう部分では少し苦戦しましたが、いい経験になったと思います」

 

松下

――セットプレーはいかがでしたか。

 「ラインアウトはいつも通り自分のスローができて良かったと思います。スクラムは相手に合わせてしまったところがあるので、明治のスクラムをしたかったです」

 

――久しぶりの紫紺でした。

 「試合前や前日はものすごく緊張したのですが、試合になったら楽しんでプレーできました」

 

木戸

――昨年度はフランカーでの出場でしたが、ナンバーエイトの難しさはありましたか。

 「ナンバーエイトは初めてなのですが、FWのリーダーという感じがあって、みんなをまとめることや試合のマネジメントもやらなければならないので少し難しいと思います」

 

――意気込みをお願いします。

 「春季大会は帝京大とも当たるので全勝で終えたいと思います」

 

廣瀬

――今日のテーマを教えてください。

 「毎試合テーマを決めていましたが、今日はチームの中では決めずにいました。春シーズンのチームテーマは競争というのを掲げていて、チーム内でもライバルに勝つし、相手にも勝つという話をしています。早稲田には勝たなければいけないということはメンバーと話していたので、それは今日達成できたので良かったと思います」

 

――トライシーンの振り返りをお願いします。

 「個人的にトライをすることはめったになく、紫紺を着てトライをしたのは1年生の帝京大戦以来だったので、久しぶりにトライをできてとてもうれしいです」

 

齊藤

――今試合はどのような戦略を持って臨みましたか。

 「昨シーズンが終わってから積み上げてきたことをやっていこうということで、一人一人ワンブイワンで勝つことであったり、コミュニケーションを取ってディフェンスをしていくことを掲げてやっていました」

 

――チームの戦いぶりを振り返っていかがですか。

 「勝ち切ったことはいい収穫だと思うのですが、まだまだ細かい部分で反則が多かったり、一発で抜かれてしまったりというところがあったので、そこを修正していきたいです」

 

富田

――トライを決めた時の心境を教えてください。

 「紫紺のメンバーになって初めてボールを持ったときにトライを取ることができ、FWでトライを取り切ることができたので、先輩たちもたくさん駆け寄ってくれました。トライを取ることができて良かったです」

 

――今後の目標を教えてください。

 「自分の持ち味を生かして、大学でも通用するフィジカルをつくり上げてこのままメンバーに入り続けられるように頑張りたいと思います」


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