「できる限りの準備をして五輪でも自分の射撃をしたい」 平田しおり 五輪代表内定インタビュー(2)

射撃 2021.07.13

 東京五輪開幕まで残りわずか。開会式の翌日に行われる女子エアライフルには平田しおり(政経4=金沢伏見)が出場する。東京大会の日本勢メダル第1号となるか。射撃界としては29年ぶりのメダルに期待がかかる。ここでは紙面に載り切らなかったインタビューの2回目をお届けする。(この取材は6月5日、7月2日に行われたものです)

 

ーー最近のNT(ナショナルトレーニングセンター)での練習はどんな感じですか。

 「ナショナルチームのコーチがセルビアの人なので、しばらくコロナで来日できていませんでした。練習では、銃の反動が体のちょっとした角度などで変わるので、やはり真後ろで直接見てもらわないと、指導してもらっている感じがなかったです。けれども、5月末ぐらいからは外国人のコーチも来られるようになったので、今は直接見てもらいながら、練習しています。コーチから五輪に向けてスケジュールを組んで練習していこうという話をここ最近受けたので、いよいよ大詰め感が出てきました」

 

ーー小さい頃からメンタルは強い方ですか。

 「緊張することにはするのですが、試合の緊張よりも学校の集会などでみんなの前に立って話す方が断然緊張します。試合は今まで練習してきたことをただ繰り返すだけですし、自分でコントロールして少しずつ緊張を打ち消しながらやれているので、他の選手よりは強いのではないかと思います」

 

ーー何かメンタルをコントロールするうえで工夫していることはありますか。

 「高校時代の恩師に『これだけ練習してきたし、自分は1番だと思って撃ってこい。勝つことだけを考えてやりなさい』と言われてきました。なので『私はこれだけ練習してきたのだから』と練習量を自信に変えて、〝自分なら勝つ〟というイメージを持って試合に挑んでいます」

 

ーー4月に行われた、内定の維持か取り消しが決まる東京五輪内定者指定記録会はどのような感じでしたか。

 「4月25日と29日に試合があり、基準点が定められていてそれが一定の点に届かないと内定が白紙に戻される大会でした。私は1日目で基準点を越えられなかったので、私が見てもらっているコーチの方の家は大分県にあるのですが、1日目の試合が終わった時にコーチから連絡があって『本当に1人で立て直せる自信があるか』と聞かれて『今はないです』と答えました。そうしたら、来てほしいと望むのだったら大分からそっち(東京)に行くよって言ってくださったので、急遽(きゅうきょ)来ていただいて、練習を見てもらいました。不安でいっぱいいっぱいだったのですが『お前はできるからそんな不安がるな』と声をかけてもらったり、明治の監督など周りの人からも多くの連絡頂きました。とにかく私の実力を自分以上に信じてくれている方ばかりだったので、不安と緊張で大変ではあったのですが、1日目よりは自信を取り戻してなんとか基準点ぎりぎりで乗り越えられたのですごく壮絶な試合でした」

 

ーー平田選手の出場する3姿勢は2時間45分もの試合時間があり、とても長い時間だと思うのですがどのように長い間集中しているのでしょうか。

 「さすがに2時間45分もずっと集中し続けるのは難しいのでうまく切り替えています。3姿勢は三つの姿勢があって、各40発ずつ撃っていくのですが、その姿勢が変わるタイミングはトイレに行ったり、水分補給やお菓子などの食べ物を食べたりなどが自由なのでそういうタイミングでいったん集中を解いて、また集中し直すという感じで集中をし続けています」

 

ーー3姿勢の中でどの姿勢が得意というのはありますか。

 「最初にやる膝射が比較的得意かなと思います」

 

ーー何か自身にかけられて印象に残っている言葉はありますか。

 「もし点数が良くないスタートになったとしても『自分だけが悪いとは思わずに、最後の0.1点まで分からないので最後まで1発も諦めるな』ということは昔から言われていたので今でも頭の中にあります」

 

ーー平田選手が五輪出場することで伝えたいメッセージは何かありますか。

 「自分が射撃を始めてこんなにも成長できるとは思わなかったので、他の人もそうだとは思うのですけれど、自分にとってこんなにしっくりくる、得意にできるものと思えるものと出会うのは難しいとは思います。けれども、自分自身、両親から色んな経験を積めるように育ててもらって、さまざまなことに挑戦してきたので、私もこれからも色んなことに挑戦していきたいなと思いますし、みなさんにもとにかく色んなことをやってみてほしいです。その中で、もし射撃に興味が持てたら是非一度体験してみてもらいたいですね。自分で狙って撃って当たった時のうれしさはやっぱりやってみないと分からないので」

 

ーー五輪本番まで1カ月を切っている今の率直な気持ちをお願いします。

 「もう延期になることはないでしょうし、どんなにあがいても1カ月もないので、1分1秒無駄にせず、自分ができる限りのことをしてしっかり準備をして、自分の射撃をオリンピックでもできたらと、全力で戦っていきたいと思っています」

 

ーーありがとうございました。

 

[伊東彩乃、小井土大裕]

 

平田 しおり(ひらた・しおり)政経4、金沢伏見、160センチ

高校1年次に射撃を始める。競技わずか2カ月で国体のブロック予選にて初優勝を飾ると、高校3年次に国際大会デビュー。明大では1年次からレギュラーとして活躍し、インカレ3連覇の立役者となっている。


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