春季大会2戦目 暑さの八幡山グラウンドを制する/関東大学春季大会

ラグビー
2021.05.10

 強い日差しが、彼らの未来を照らし出す。先制トライを許し苦しい序盤だったが、追い求めたのは新たな自分たちのスタイル。日大戦では目にすることができなかった、新チームの断片を目の当たりにした試合だった。次戦の東海大戦の足掛かりとなる白星を挙げた

 

◆5・9 関東大学春季大会Aグループ(八幡山グラウンド) 

▼対流経大戦

 ○明大68{35―17、33―22}29流経大

 

    先制点を挙げたのは流経大だった。「自分たちのミスで失点した」(フルバック雲山弘貴・政経4=報徳学園)。試合開始直後、パスミスにより敵陣10メートルラインからの独走トライを許す。その後は左ウイング金昂平(政経1=大阪朝鮮)が自らのキックを起点に一気に敵陣へ攻め込む光るプレーもあったが、得点につながることはなかった。動きがあったのは前半16分。敵陣ゴール前のラインアウトからのボールを受けたナンバーエイト福田陸人(法4=国学院栃木)が突破を図る。「(福田)陸人がいいゲインをしてくれて、相手がいなかった」(右センター児玉樹・政経4=秋田工)。最後は児玉が空いたスペースを突きグラウンディング。このプレーでチームは勢い付く。続く21分にも、敵陣22メートルラインから児玉が飛び出し、2トライ目を挙げる。以降、左フランカー森山雄太(政経2=東福岡)の大学公式戦初トライもあり、35―17で前半を終えた。

    後半に入り、最初のトライはリザーブで入った大賀宗志(営3=報徳学園)。12分ゴール前で、自ら持ち出してグラウンディング。19分、敵陣10メートルラインを起点にパスをつなぎ、最後は齊藤誉哉(文3=桐生一)からボールを受けた森山がトライ。「周りのサポートがありトライできた」(森山)。直後の22分には後半開始から3連続目となるトライを決め、流経大を引き離す。その後、両チームともに2トライずつを挙げ、ノーサイド。68-29のダブルスコアで開幕連勝となった。

 

    炎天の下、さんさんと輝いたのは始動間もない飯沼組の新たな一片。一見するとただ苦しいだけの序盤、チームが見ていたものは未来の自分たちだった。今試合で掲げていた目標は「明治としてクイックテンポで、流経大にフィットネスで勝つ」(雲山)。そのため、キックではなくパス中心の戦術を終始展開。新チームとしてのチャレンジだった。そして、何よりこのチャレンジを支えた言葉は〝MEIJI TIME〟。きついときこそもう一段階ギアを上げて、自分たちの時間へ。「日頃の練習のときからMEIJI TIMEという声を掛けて、春は積み重ねてきた」(飯沼)。〝MEIJI PRIDE〟と同様に既にチームを支える言葉となっている。次戦の相手はセットプレーを強みにする東海大だ。「絶対に来る苦しい時間にどれだけ我慢できるかということが大事」(児玉)。〝MEIJI TIME〟から織りなされる、まだまだ未知数の〝MEIJI PRIDE〟の姿。今回垣間見えた新たなチームの一面に注目だ。

 

[堀之内萌乃]

 

試合後のコメント

飯沼

――チームディフェンスについて教えてください。

  「一回もチームとしてはやっていないです。春は個人のスキルアップ、基礎であるタックルをしてすぐ立つこと、そしてフィットネスの部分をやってきました。しかし、それが本当に自信になっています。なので、今年はクイックテンポで分かっていても止められないアタックがカラーのチームになると思います」

 

左プロップ中村公星(情コミ3=国学院栃木)

――流経大はフィジカルを武器に戦ってきましたが、いかがでしたか。

  「4年生が中心となってFWはまとめてくれていたと思います。今年のFWの目標としてコリジョンというものがあります。コンタクトのスピードなどを意識しているので、こちらとしてもフィジカル面で負ける気、譲る気はありませんでした」

 

森山

――次戦への意気込みをお願いします。

  「昨年度はケガをしていたので、公式戦などに出られず悔しい思いをしていました。なので、今年度からこうして使っていただけて嬉しいです。次戦は、いいタックル、いいトライを意識してやっていきたいです」

 

福田陸

――今年度はナンバーエイトになりましたがいかがですか。

  「フランカーに1年生と2年生ということで、若い選手が入ってきました。自分が引っ張っていかないといけないので、僕がどう引っ張るかは大事だと思っています。あとは、スクラムからの球出しとかが難しいのでそこをどう改善していくかです」

 

金昂

――積極的に仕掛けていた攻撃面について教えてください。

  「キックパスなどのちょっとしたキックも得意ではあるので、きっちり周りを見て蹴っています。今回の試合でも成功といえば成功ですが、自分の思ったキックではなかったです。精度を高め、いろんな攻撃パターンをこなせるようになりたいです。パス、キック、ラン何でもできるようなプレーヤーになりたいです」

 

雲山

――東海大戦に向けて、いかがですか。

  「10、12番が脅威となると思います。いろいろなオプションを持ってアタックしてくるので、そこにいかにプレッシャーを与えられるかです。今日の早稲田との試合でも勝っていましたし、しっかりと準備していきたいです」