
スクラムで圧倒し、春明早を制す/招待試合
春シーズンを勝利で締めくくった。来年のW杯開催地・豊田スタジアムで行われた早稲田との招待試合。序盤から明治ペースに持ち込み、前半を17―5で折り返す。後半は一時早稲田のタフなアタックに苦しむもののFW戦で優位に立ち29―5。伝統の一戦は明治に軍配が上がった。
◆6・17 招待試合(豊田スタジアム)
▼対早稲田戦
○明治29{17―5、12-0}5早稲田
スタンダードの差が顕著に表れた。17―5で迎えた後半開始直後にキックオフボールを獲得ミスすると、一気に早稲田ペースに。テンポの速い連続アタックに苦戦し、自陣でのディフェンスが続いた。アタックが強みの明治にとって前に出られない我慢の時間だったが「ディフェンスでずっと前に出続けて、相手のアタックラインを下げることができた」(スクラムハーフ福田健太主将・法4=茗溪学園)。そして後半11分、自陣で相手ボールをターンオーバーすると、スタンドオフ二浦瑞樹(営3=明大中野)がキックパス。すかさず右ウイング山村知也(営3=報徳学園)がキャッチし、約40メートルの独走トライを演出。「全員が80分間集中力を切らなかった」(左プロップ齊藤剣・政経4=能代工)からこそ、攻撃と守備がかみ合い1トライに抑えることができた。
スクラムで勝負は決まった。天理大戦からスクラムで後手に回ってしまい、チームの強みにすることができなかった。「組んだときのヒットがチームには足りない」(齊藤剣)。そこで早稲田戦前の練習からかなりの本数を組んで、8人でまとまって低く組んで押すことを再確認した。また13日にはトヨタ自動車ヴェルブリッツとFW合同練習を行い、安定感のあるセットプレーを追求。その成果が表れたのは前半12分だった。「組んだ時点で勝てると思った」(ナンバーエイト坂和樹・政経3=明大中野八王子)。相手ペナルティーで敵陣深くのマイボールスクラムを獲得すると坂が自らボールを持ち出し、先制となるスクラムトライを決めた。また22―5で迎えた後半29分にも敵陣ゴール前のスクラムで2度コラプシングを誘発し、認定トライを獲得。「相手にプレッシャーをかけてマイボールをしっかりキープできた」(齊藤剣)と重戦車のプライドを見せた。
個人のレベルアップに特化した春シーズン。そのためチームの戦術には手をかけていないが「選手たちが主体的にコミュニケーションを取っている」(田中澄憲監督)。8月からの夏合宿から戦術面に取り組んでいくが「FWからでもBKからでもトライを取れるチームを目指す」(坂)。向上心の尽きないチームに死角はない。8月の菅平合宿でさらなる成長を遂げ、大学日本一への挑戦に挑む。
[木村優美]
試合後のコメント
齊藤剣
――今週はどの部分を重点的に練習しましたか。
「アタックを積極的にやることです。FWはセットプレーとスクラムを重要視しました。結果的に良いスクラムが組めて相手にもプレッシャーをかけることができたし、マイボールもしっかりキープできたので良かったです」
坂
――春に成長した部分はどこですか。
「途中ケガもありましたが、自分の持ち味のボールキャリーを磨くことができました。今日もその部分をアピールできました。FWからでもBKからでもトライが取れるチームを目指します。そのために自分の強みを生かしてチームに貢献できるように練習していきます」
二浦
――どのようなゲームメイクを考えて臨みましたか。
「ディフェンスがかなりいいチームだと聞いていたので、しっかりとダイレクトにゲインライン切ってアタックすることと、接点で負けないようにブレークダウンを取ることを意識して、明治らしい動かすラグビーをしようと考えていました」
関連記事 RELATED ENTRIES
-
関西王者・天理大に完敗 国立決勝を前に潰える/全国大学選手権
ラグビー 2021.01.03無情にもノーサイドを告げるホーンが聖地に鳴り響く。歓喜に湧く漆黒のジャージーを尻目に紫紺の戦士たちは肩を落とした。4年連続の決勝進出を懸けた全国大学選手権・準決勝。相手は一昨年同じ舞台で優勝争いを繰り広げた天理大。開始2分で先制を許すと、その後一度もリードを奪うことはできなかった。東西リーグ戦王者の直接対決は、15―41で西の横綱に軍配。11日に控える国立を前に、箸本組は姿を消した。 ◆1・2 全国大学選手権(秩父宮ラグビー場)▼準決勝 対天理大戦 明大15{5―19、10―22}41天理大〇 観衆9000人に見守られる中、試合は早々と動く。前半2分、ディフェンスの空いた大外にボールを振られ、先制点を献上。再三、課題として挙がっていた「試合の入り」で後手を踏んだ。以降、試合は均衡状態にもつれ込む。得点が動かぬまま迎えた23分、風穴をこじ開けたのは明大だった。ピッチ中央でのラインアウトからボールを展開。フェーズを重ねながらじわりじわりと敵陣に進出していくと、ディフェンスの間隙を突いた右ロック髙橋広大(情コミ4=桐蔭学園)から右ウイング石川貴大(政経4=報徳学園)にボールがつながり、右隅にグラウンディング。同点に追いついた。 勢いに乗じたかったが「ディフェンスで差し込まれてしまった」(スタンドオフ森勇登・政経4=東福岡)。その後は天理大の息もつかせぬ猛攻に翻弄(ほんろう)された。自陣での苦しい時間が続く中、トライを連取され5―19。2トライ差を追いかける展開で前半を折り返した。 後半に入っても形勢は崩せなかった。開始10分で2トライを先んじられてしまう。それでも執念を見せ、12分、15分と立て続けにトライを奪取。光明を生み出したが、反撃の狼煙(のろし)もここまで。終盤さらに追い打ちをかけられ、最終スコア15―41。漆黒の壁は想像よりもはるかに高かった。 「相手に立ち向かっていく。何度でも立ち上がる」(スクラムハーフ飯沼蓮・営3=日川)。今試合、掲げたチームテーマは〝Stand Up〟。試合終了間際、逆転が困難な状況に立たされても、紫紺の戦士たちは闘志を燃やし続けた。ペナルティーを獲得した後半39分、選択したのは今年1年間、ずっと強みにしてきたFWのスクラム。「このままでは終われない」(左ロック片倉康瑛・法4=明大中野)。ノーサイドの瞬間まで死力を尽くした。 「敗者になるな」。試合後、田中澄憲監督は選手たちに声を掛けた。巣立つ4年生も、残るメンバーも次なるステージに向け、前を向く。「今までやってきたことを否定するつもりはない。切り換えて次に進みたい」(飯沼)。王座奪還、国立決勝、今年成しえなかったこれら〝4文字〟は次の世代へと託された。 [髙智琉大朗]試合後のコメント→➀、②READ MORE -
早大に大差で勝利 セットプレー光る/練習試合
ラグビー 2020.12.272020年、最後の最後まで駆け抜ける。早大との30分×3本の勝負、1本目から4トライと幸先の良い滑り出しを見せると、メンバーが入れ替わった2、3本目も、地力の差を見せつけ快勝。99―21で白星を飾った。 ◆12・26 練習試合(八幡山グラウンド)※非公開、無観客試合で実施 ▼対早大B戦 ○明大99{28―7、38―14、33―0}21早大 晴れやかな師走の空の下、光ったのはセットプレーだった。開始早々、早大の素早い攻撃により激しい攻防戦に。両者点動かずの状況が続くかと思われたが、前半6分、敵陣ゴール前スクラムを起点にナンバーエイト篠田昌寿(法4=日立一)がトライ。「一人一人細かい打ち合わせをし、低さにこだわってスクラムを組めた」(篠田)。先取点を挙げる。直後同点に追いつかれるが、同11分、敵陣22メートルでのラインアウトからモールで前進。最後はゲームキャプテン・スクラムハーフ梅川太我(営4=石見智翠館)がグラウンディングを決めた。「勝ちたいという気持ちが強かった」(梅川)。1本目に奪った4本のトライは、4年生の篠田、梅川が2本ずつ。年内最後の試合で最上級生が意地を見せた。 計13トライ、最終スコア99―21と明大の圧勝劇で幕を下ろした今試合。「チームにとっても価値のあるゲーム」(梅川)。年越しを前に景気を付ける一戦となった。現在、チームは1月2日に控える大学選手権準決勝・天理大戦に向け、着々と準備を進める。「自分たちの課題を一つ一つ修正して、チーム全体で取り組んでいきたい」(フルバック猿田湧・営4=秋田工)。新春万福。下のチームから上にチームへ勝利のパスをつなぎ、日本一というトライへ。彼らのシーズンはまだ続く。 [堀之内萌乃] 試合後のコメント梅川――試合全体を振り返っていかがですか。 「年内最後の試合ということで、全員が持てる力を全力で出そうと話をして、試合に臨みました。途中自分たちのミスで自滅したところはあったのですが、勝ちたいという気持ちがチーム全体に出ていました。それはディフェンスやタックルにも表れていたと思います」 篠田――トライシーンを振り返っていかがですか。 「ゴール前FWで何度もアタックをして、空いたところに走り込みました。梅川は4年間ずっと一緒にやってきたチームメートなので、息もぴったりでした」 ――残りの期間をどのように過ごしていきたいですか。 「今日の試合に出た4年生は、次の天理大戦に出場することは難しいかもしれませんが、仮想敵となってAチームのサポートを全力でしていきたいです」 猿田――年内最後の試合でした。 「最後ということで出し切ろうという思いと、この時期に試合ができる感謝を持ってプレーをしようと初めに話し合いました」 ――次戦に向けて意気込みをお願いします。 「天理大学さんは強いと思いますが、そのためにも自分たちの課題を一つ一つ修正して、チーム全体で取り組んでいきたいです。もちろん、来週のメンバーはまだ発表されていないので、最後まで諦めずにチャレンジして、チームのためにやっていきたいです」READ MORE -
後半突き放し日大に勝利 4年連続で年越しを決める/全国大学選手権
ラグビー 2020.12.19王座奪還に向けての戦いが始まった。寒空の中で行われた初戦の相手は、関東大学リーグ戦3位の日大。相手に攻められる苦しい展開を乗り越えスクラムで圧倒。フィジカルが武器の日大に34-7で勝利し年越しを決めた。 ◆12・19 全国大学選手権(秩父宮ラグビー場)▼準々決勝 対日大戦 ○明大34{12ー0、22ー7}7日大 スクラムで優位に立った。前半5分、スクラムハーフ飯沼蓮(営3=日川)を起点に右に展開し最後は左センター廣瀬雄也(商1=東福岡)のオフロードパスを受けた右センター児玉樹(政経3=秋田工)がフィニッシュ。「廣瀬が狙い通りに動いてくれた」(児玉)。幸先よく先制する。その後は苦しい時間が続くも「ディフェンスは我慢できた」(ナンバーエイト箸本龍雅主将・商4=東福岡)。前半を無失点に抑え12ー0で折り返す。後半に入っても自陣でのプレーが続き日大に一時、5点差まで縮められる。「敵陣でラグビーをしよう」(箸本)。後半20分、敵陣ゴール前での相手ボールのスクラムで明大が優位に立つと、こぼれたボールをそのまま左フランカー福田陸人(法3=国学院栃木)がグラウンディング。「FWが頑張ってくれた」(フルバック雲山弘貴・政経3=報徳学園)。最後は攻撃の手を緩めず、敵陣でプレーを続け、最終スコアは34ー7。点差以上に拮抗したゲーム内容ではあったが、見事勝利を収め、年越しを決めた。 日大の強いアタックをしのぎ切った。「苦しい中でも大きくディフェンスが崩れなかった」(児玉)。外国人選手を筆頭にフィジカルが武器の日大を封じ込める。一方、攻撃ではラインアウトに少しミスが見られたもののスクラムでは圧倒。「後半入ったメンバーがいいスクラムを組んでくれた」(箸本)。明大の層の厚さを示した。 準決勝の相手は関西王者・天理大。準々決勝の流経大戦で78得点を挙げるなど日大と同様、攻撃力の高いチームだ。「相手の強みであるフィジカルの部分で負けないようにしていきたい」(左ロック片倉康瑛・法4=明大中野)。大学王者へあと2勝。箸本組の挑戦はまだ続いていく。 ※大阪・花園ラグビー場では、対抗戦4位の帝京大が関東リーグ戦1位の東海大を14ー8、関西Aリーグ1位の天理大が関東リーグ戦2位の流経大を78ー17と大差で下し、それぞれ準決勝に駒を進めた。[牛嶋淳太郎] 試合後のコメントはこちらREAD MORE