
悲願達成ならず 男女とも総合2位に終わる/全日本大学選手権
「男子舵手なしクォドルプルが連覇達成! 男子2艇が優勝/全日本大学選手権」
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「悔しい」「優勝したかった」と選手は口をそろえた。男子は2種目を制した一方で、舵手なしフォア、舵手付きフォアがともに2位。あと一歩で涙をのんだ。
今年は縦のつながりを強くし、先輩後輩の間で風通しの良い関係を築いた。1年生が行っていた寮の掃除を全員で分担し、チームの意思決定の場に下級生も出席。これまで主に最上級生が務めていたクルーリーダーに下級生を抜てきし、船の上では学年関係なく対等に意見を言い合った。結果は確実に表れ、昨年の総合得点を3点上回って10連覇を達成した日大に肉薄。舵手なしフォアは3連覇を逃したものの、タイムは昨年の優勝時より7秒速かった。しかし「(大学ボート界)全体としての成長の方が勝っている」(中村裕喜副将・法4=宮津)。レースのレベルが上がる中で、他大学の強さを認めざるを得なかった。
小林剛大副将(商4=岡谷南)は「もっと勝ちにこだわって、もっと熱くなれたら」と精神面での課題を挙げた。年々差は縮まっているものの、今年も成し遂げられなかった男女総合優勝。思いは来年に託される。
主将の思いを胸に
主将の手紙がチームを奮い立たせた。日本代表の冨田千愛主将(政経4=米子東)は9月に世界選手権を控え、代表チームの合宿のため今大会を欠場。大会を前に部員全員に向けて手紙を書いた。「今でも本音を言うとインカレに出たい」。そんな主将の思いに選手は応えた。1週間前のタイムトライアルではタイムを出せなかったクルーが、大会に入るとレースごとに成長。エースを欠いた女子部も、7年ぶりに出場全4艇が決勝に進出した。「最後にみんなの気持ちを加速させてくれる手紙だった」(中村)と、離れた主将とともに最後まで戦い抜いた。
[坂本寛人]
試合後のコメント
小林剛大副将(商4=岡谷南)
「悔しいね。優勝したかった。それが一番悔しい。例年金メダルが一つ、二つというのが続いてて、今回は二つ取れた。銀メダルの人もあとちょっとだった。あと少しで金メダルで、競り負けてしまったけど、決勝に残ったクルーの数も多いのでレベルは上がったと感じています。ただ優勝するためには、あと何か一つ足りなかった。そのポイントを潰しきれなかったと感じています。足りないものはクルーごとに違うんだけど、俺らだったら前半の伸びを後半も続けられればいけたんだけど、やっぱり1000mでリズムが崩れた。各クルーごとに敗因があると思う。インカレは一つ一つのレースごとで成長できないと勝てない。今年は日大というより、他の大学が力を伸ばしてきたから、油断していたら俺たちも食われてしまう。下からくるものを切り離すためにも、自分たちは上を目指していかないといけない。優勝と2位だと全然違うから、差は大きい。でも年々差は縮まっていると思う。今年は9種目決勝に出られた。昨年に比べると多いのでレベルは上がっている。差は大きいものだと思うけど、絶対に超えられないものではない。自分たちの限界を決めずに、目標の上を見ないといけない。1年前からインカレに向けてやってきて、後輩たちが強いから戦力としては申し分なかった。それでも勝てないということは、俺たちが、トップの人間が優勝させてあげられなかった。メニューの組み立て方とか、責任を感じている。最上級生の俺たちが示せなかったのが一番いけないのかな。他の大学と比べれば選手層が厚いから、勝たないといけない。勝ちへの気持ちを4年生から出していければ後輩たちにも伝わったのかな。もっと勝ちにこだわって、もっと熱くなれたら」
中村裕喜副将(法4=宮津)
「自分たちは昨年より成長できたんですけど、他の大学はそれ以上の成長をしていた。その意味では、やはり努力が足りなかった。練習量で相手の方が上だったと思います。大学ボート界全体としてかなり混戦になっている。点数は昨年より上がって少し成長しているのかなと思うけど、タイムを見ていてもレベルアップが進んでいるので、そこに置いていかれないように。2位から1位を狙って頑張るだけでは他のレベルも上がっているので、上限をつけずに頑張っていかないといけないと思います。女子に関しては4クルーが決勝に出て、それでも早稲田が全部取っている。4クルー出場と4クルー優勝ではかなり差があると思うので、そこを見せ付けられた。男子はあと少しかなというところで、全種目決勝に進むぐらいの力がないと総合優勝は絶対に無理だと思う。あと一歩だと思う。明治のレベルは徐々に上がって来ているが、(大学ボート界)全体としての成長の方が勝っていると思うので、もっと明治のレベルを上げていかないといけない。小艇種目では日大にも勝てていて、徐々に食い込んでいる。僕が入学した当時より、日大という絶対的な壁はエイト以外に関しては無くなってきている。ボートは基本的に練習量だけなので、練習量が足りなかった。その練習量をつくり出すだけの気持ちが必要なのかな。気持ちがあれば練習量を増やしてもケガのリスクは無くなると思うので、勝つためには練習するしかない。差と言えば、ボートに関してはそこしかない。負けるということは練習量が少ないということだと思う。今年は組織面をいじって、それが上手くいったかどうかは分からないが、チームとしての結果は上がったのでほっとしている。練習するだけの精神力、どれだけボートに本気になれるか。そこを成長できればレベルアップできると思います。ここまでの過程に悔いはないです。もっと練習しなければいけなかったというのはありますが、タイムやポイントは上がって、チームとしての力は出せた。やってきたことは間違っていなかった。でもそれ以上に頑張って、進化のスピードを上げていかないといけない。冨田がみんなへという手紙を送ってくれて、冨田自身が思ってくれていることを文章で言ってくれたので、みんなの心に直にくる言葉だった。冨田のためにという思いを胸にみんな頑張れた。冨田がいない中でも頑張れたかなと思う。1週間前のタイムトライアルではもう少し頑張らないとというクルーもあったが、レースを通じて伸びた。勝てなかったので実力を発揮できたと僕が言うのは駄目かもしれないですけど、みんないいレースをしてくれた。最後にみんなの気持ちを加速させてくれる手紙だった。冨田はすごい選手なので、世界選手権に出てほしかった。(全日本選手権に向けて)どうしてもインカレが終わってから惰性で終えてしまうということになりがちなので、そういった面でチーム全体、クルーに対して刺激を与える存在になりたい。昨年9月の就任当初と同じ気持ちでやっていく。来年のインカレのスタートを早めるためにも」
舵手なしフォアクルーリーダー・河井京介(法2=関西)
決勝を振り返って、一番最高のレースができました。結果が優勝じゃなかったけど。ずっとクルーリーダーをしてきて、どうクルーをうまく仕上げるかってことが大変だったけど、最後の最後でいいレースができて本当によかった。4年生に対しては敬意を払いながら、1年生に対しては励ましながらやってきた。クルーの雰囲気も悪くならないように、自分がクルーを変えていくという意識でやっていた。インカレが最後になる4年生と一緒のクルーに乗って、やっぱり勝たせたい、その一心しかなかった。それ以外は考えてなかった。最後は笑顔で終わらせたいという気持ちだけしかなかった。(来月の全日本に向けては)全日本では、インカレよりはレベルが高いから、決勝に行けることを目標にして、明日からも頑張っていきたいですね。でも、全日本じゃなくてまた来年、なしフォアでインカレで優勝を狙っていきたいです。
男子舵手なしフォアクルー・野原啓(法4=美方)
「やっぱり勝ちたかった。3連覇も懸かっていたので、連覇を次につなげたかった。(優勝した)立教の方がレベルが上だった。それだけなので、努力が足りなかったと思います。一回一回の練習でレースを想定でするべきだった。ただきついことをこなすだけではなくて、最後競り合っている展開を想定した練習をするべきだった。その意識を持ってやりたかった。今日のレースも最後追いつかなかったのは、そこだと思う。昨年より日大との差は縮まっているが、日大の上位層と明治の上位層の差がある。そこを埋めていかないと駄目だと思う。中間層の差はないと思うので、上位層にどれだけ食らい付いていけるか。今年は縦のつながりが強くなった。今まで一年生に固定だった掃除をみんなでやることによって、みんなが仲良くなった気がします。それでお互いに意見が言いやすくなった。上から言う分には簡単ですけど、下から言う壁が無くなった。僕はこれで良かったと思います。(後輩に伝えたいのは)勝つ難しさ。自分がこれだけやったと思っても、負けたらそれは負けなので。負けたんですけど、勝つ喜びを伝えていければいいなと思います。一生懸命やるだけじゃなくて、一生懸命さにプラスして何かがいるんじゃないかなと。それを4年かけて探したんですけど、分からないです」
男子舵手付きフォアクルーリーダー・川野陽平(政経2=熊本学園大付)
予選は本当に悪くて、自分がクルーリーダーで一番落ち込んでいた。準決は今までと打って変わってすごく良くて、本当に良くなって、これはいけるかもしれないと思った。でも勢いはあって、勢いに任せて最後までやりきろうって思った。クルーリーダーだったけど、一緒に乗ってる4年生も「お前のやりたいようにやればいい」と言ってくれたので、やりやすくやらせてくれた。(4年生最後のインカレだったが)長谷尾さんと佐々木さんで、自分がすごくお世話になった先輩だったから勝手に恩返ししたいと思っていた。結果は準優勝だったけど、悔いはないと言ってくれたのは救いだと思った。でも本当は勝ちたかったです。(東日本は決勝の最下位だったがそこからの成長は)東日本は全然練習の予知がなくて、決勝もいけるかどうか分からないくらいだった。コーチにが「クルーを変えるか」と言われたけど、「そのままでいきたいです」と言った。それから僕らは明治で一番練習した。これは自信がある。そのおかげかなと思う。普段はコースに出て練習するけど、週末になると荒川のほうに出て、長い距離のタイムトライアルとかをやってきた。主にやってたのは4500メートル×3本などのメニューをやっていた。6000メートルも。普通からしたら嫌なメニューだけど、自分たちから率先してやった。(全日本では)とりあえず決勝に出てみたい。優勝できるほどの力はまだない気がするけど、まずは決勝に進みたい。
女子シングルスカルクルー・成瀬歩美(政経1=恵那)
予選、準決、決勝の中では決勝が一番よかった。この4日間の集大成としては本当に良いレースになったと思う。(高校のときは米川さんにけっこう差をつけられて負けてたが、今日は詰められていたが)最終的には粘りが弱かった。気持ちの問題もあるから、体力面でもあるがメンタルをもっと鍛えていかないといけないと思った。メンタルで弱いところが出ているから、第3クォーターなどきついところでメンタルの強さを求められるので、なんでこの合宿所生活をしているのかを考えながら、精神面で強くなっていきたい。課題としてはメンタルの面だけでなく、体力も。エルゴの2000メートルでは早稲田の米川さんに遠く及ばないので、今のベストタイムより10秒縮めて、さらにそこから早くなった分だけ自分のスピードに合わせてテクニックをつけていかないといけない。まずは体力をつけていきたい。(全カレに向けては)インカレ前にもやった、チームメイト同士で並べて常に緊張感持った練習ができるといいです。
女子ダブルスカルクルーリーダー・中尾真淋(農3=熊本学園大付)
「程よい緊張感の中で、苦しいところも2人でなんとか乗り越えられたレースでした。第1クォーター、第2クォーターでは力を温存しながら、上げすぎないでじりじりついていって、第3第4で攻めていくというレースプランだったんですけど、後半で自分たちの力が及ばなかったです。それでも予選、準決勝よりは自分たちらしいこぎができたと思います。今の自分たちとしてはベストでしたが、勝つにはまだまだ足りないなという感じですね。後半の粘りとかそういう部分です。監督からは第2クォーターでもっと伸ばせたということを言われました。もっと競った練習が必要だと思いました。あとはよりレース中に仕掛けるポイントを作っていくべきだと思いました。今日はラスト1700過ぎくらいからスパートを入れようという予定だったのですが、もう少し早いタイミングで私からスパートを入れようという声を掛けました。このタイミングで入れてもばてないと思いましたし、今上げれば追いつけるのではないかと思ったからです。終わってから振り返ってみるとためすぎた感じがありますね。もっと攻めていけたらと思います。全日本は、クルーがどうなるかはわからないのでなんとも言えませんが…。今まで前半型で、後半やられるというパターンだったところを、今回から後半型に変えてやってみて、後半型の方が通用するかもしれないという手応えをつかめました。よく監督が、試合は「試し合う」場なんだ、ということをおっしゃっているのですが、今回の試合で試せたことを生かして、次はグイグイ攻められるようなレースをしていけたらと思います」
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