
5年ぶりのインカレ入賞 寺田、堂々の銅メダル獲得/全日本学生選手権
格上相手に速攻で試合を決めた。入賞を懸けて臨んだ準々決勝の相手は大学選手権大会3位の実力者、中村(日体大)。開始1分足らずで4点技を決めると「ここで決めなきゃ勝てない」(寺田)と持ち前のフットワークでギアを上げた。再び4点技で8―0とすると、続けてバックに回り10―0で勝負あり。ノーシードの寺田が第1ピリオド終了を待たずしてまさかのテクニカルフォールで勝利を決めた。勝利の瞬間にはマット上に崩れ落ちる相手と対照に大きく何度もガッツポーズ。大方の予想を覆し見事に3位入賞を決めた。
この大躍進に開口一番「めちゃめちゃ嬉しい」(寺田)と率直に一言。自身が今年最大のターゲットにしていたインカレ入賞に終始笑顔を見せた。
明大からは5年ぶりのメダル獲得者となった。その中でも「一番悪い色なのでまだまだやらなければいけないことはある」と高みへ貪欲な様子。今大会の結果を受けて12月の全日本選手権を獲得し、ようやくトップ選手へと続くスタートラインに立った。「まずは1勝できるように気合い入れてやっていく」と寺田。ノーシードから勝ち上がった今回のように、一歩一歩目標に向けて歩んでいくことを誓った。
[小田切健太郎]
多賀垣雄副部長
「(寺田が5年ぶりの入賞)5年ぶりか。寺田は動きは早くていいんだけど、狙う位置が低すぎる。足首を狙ってる。もう少し踏み込めば懐に入れたと思うんだけど。ちょっと遠かった。それまでの相手は圧倒的なスピードがあったから勝てたけど。でも力の差が縮まってきているというのが実感できる試合だった。(準々決勝では実力者相手に圧勝)圧勝だったな。あれはスピードで圧倒したから勝てた。あとあそこまではがぶってバックに回れたけど、多胡島戦はがぶって回れなかったから、もう少し踏み込んでいれば取れたかもしれない。(多胡島との差は)それは(懐への)入り方、入る場所。多胡島は近くから攻めてるけど、寺田の場合は遠いんだよ。何でそうなるかというと、組み手で負けてるから。組み手で負けてるとどうしても下がらざるを得ない。でもこういう大会での初めての準決勝でも落ち着いて戦えてた。やることなすことうまくいってたと思う。あとは筋力だな。70㎏級では戦えるようにはなってきたけど、優勝するためにはまだ筋力が必要。(昨年からの取り組みは)筋力をつけることと、あとはあいつはむだな動きが多くて、大技で決めようとするところがあるからそれはやめろと。決まらなかったときのリスクが大きいから、とにかく正攻法でやれと。そうしないと力もつかないから。今回は2点ずつ重ねていくという戦いができていたと思う。中村戦で最後は大技でいってたけど、本当はバックでいってほしかったね。あとはがぶりをしっかり覚える。それとディフェンス。(天皇杯への出場も決まった)全日本の選手とは力の差があるから、そこで圧倒されないように。やっぱり細かいところの動きが多胡島はうまいんだよ。(大山は4回戦敗退)足が動いてなかったから、もっと動けていたらね。上半身で勝負しようとしたら、向こうも上半身強かったからね。だから、大山に言ったのはフットワークをよくすること。それで対応できなかったら力で圧倒するしかないんだから、力をつけなさいと。そういう方向での練習法をしていく。(タックルが思うように入らなかった)あれは下がって腰が引けてから入ってるから。無理やり入らされてる感じ。そこが組み手争い、崩しの部分。レスリングは技掛ける前の動きが大事だから。(アジアジュニアからの変化は)動きというか、取り組み方が良くなったよ。積極的に練習に取り組んでると思う。(今後必要なものは)技のやり方を一つ一つ覚えること。それと技につなげるための動き。あとは足を取ってからの動き、構えとか。そういった基本的な要素を覚えていくことだな。でもそれは1年生のときと比べてだいぶうまくなってきてる。まだまだ覚えることは多いけど。(今後は)これまでの練習をもっと質の高いものにしていく。それしかないよね。9月はまだ休みだから、いろんな大学に行きたいと思ってる」
安西信昌コーチ
「寺田はいつも通り、練習通りの動きをしていた。実力を出したからこそ3位を掴み取ったと思う。(準々決勝の勝因は)しっかり攻めと守りの切り替えができていたこと。あの試合は気持ち的にも勝つという気持ちが見えていたし、本人もそういう気持ちで戦っていたと思う。それが動きとハマったからテクニカルで勝てた。寺田のすごさは試合でも練習と同じ動きができること。自分の形でしっかり点を取ることができていることが強み。逆に準決勝の相手は今できることを出してもポイントがとりずらい相手だということ。構えがなかなか崩れなかったり、こっちのやることがわかっていてそこを警戒さらてしまったり。ディフェンスの面でいえばしっかり相手がやることを守り切らなければいけないということ。スキをみせたらなかなか逃げさせてくれない相手。攻防の中でディフェンスと攻めを自分のペースでできればいい試合、勝てる試合ができてくると思う。そのためには今できることはしっかり強化していって、なおかつ今の敗因になってるディフェンスをできれば、強みの攻めがさらに生きてくる。大山は負けた試合で全然体が動いてなかった。そこが勝敗に左右してしまった。レスリングは相手がいるスポーツだから、そこにいかに対応できるかが大事。思うように動かしてくれなかったりした時の対応。相手に合わせて色んな自分の戦いの幅を広げていかないといけない。特にトーナメントは色々と人がやるから。(部内の底上げには)こればっかりは気持ちが大事。練習はみんな同じことをやっているから、その練習を個人がいかに結果に結びつけられるかという問題。こっからまだまだがんばって欲しい」
寺田
「正直めちゃめちゃ嬉しい。3位になると全日本に出られて、そこは大学入った時からの目標だった。高校までも最高はベスト16で、初めて全国で表彰台にいけた。冬の足首のケガでリーグ戦に出られなかったりしたので、今回のインカレは今年一番かけていた大会だった。(準々決勝は)相手が格上で強いのは知っていたので、もつれた展開になると思っていたが、最初の4点取った後にここで決めなきゃ勝てないなと。そこから攻め手を緩めない、圧倒すると決めてやった。そこが思い通りにハマって10―0でボコボコにできた。今回そこまでは格下であたるのは分かっていたので、そこの対策を試合で出せてよかった。(準決勝は)向こうが攻めてこないのは分かっていたので、まず後半一つ決めようと思っていたが、その攻めようとしていた時に冬やった足首を自爆のような感じでやってしまった。敗因はその1点、無理な動き。多賀先生にも言われました。強引に焦らず、堅実にポイントを取っていくべきだったと今振り返って思う。明治から5年ぶりの入賞ではあるが一番悪い色なので、そこはまだまだやらなければいけないことがある。来年はもっといい色を取りたい。そのためにも天皇杯出場という大学の目標を達成したので、まずは1勝できるように気合い入れてやっていく」
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