これぞ明治! 理想の展開で東洋大に2-0完勝/総理大臣杯全日本大学トーナメント

2015.08.13
これぞ明治! 理想の展開で東洋大に2-0完勝/総理大臣杯全日本大学トーナメント
 これが明大のサッカーだ! 三原則を徹底し続けた理想的な試合運びで、東洋大相手に2―0の完封勝利を収めた。ポゼッションサッカーをしてくる相手に対し、ボールは持たせても最後は決めさせない安定した守備で前半をスコアレスで折り返す。すると後半開始早々の4分、右サイドを突破した藤本佳希(文4=済美)のクロスに小谷光毅(政経4=ガンバ大阪ユース)が合わせ先制点を挙げる。後半18分にも藤本が自らゴールに沈め追加点。今季最高の試合を見せベスト4に進出した。

 副将の左足がチームの堅守に応えた。後半4分、藤本がドリブルで右サイドを崩すと中央にクロス。相手DFが足を出してきたのを確認した小谷が一度ボールを落とし反転してシュートを放つと、GKの横をすり抜けゴールネットを揺らした。「勝ちたいという気持ちがゴールにつながった」とゲームキャプテンも務めた小谷が得点を決め、チームに勢いをもたらした。前半終盤の相手に押し込まれる時間帯を耐え切り、HTに守備から入り、チャンスを決めると話した通りの鮮やかな試合展開を見せた。
 追加点の時間帯も絶妙だった。先制点をお膳立てした藤本は、少し相手にボールを持たれていた後半18分に自身でも得点。「キーパーとDFの間に走ればと前を向いた瞬間に感じた」(藤本)と中盤から抜け出し、ドリブルで持ち込むとGKとの一対一も落ち着いてゴールに流し込んだ。「半端ないくらいゴールに飢えていた」モンスターの追加点で勝負の行方を決定的にした。

 「今シーズンで最高のゲーム」(栗田大輔監督)。指揮官から絶賛を受ける理想の試合運びを見せた。「明治の総合力が出た」(小谷)と「球際・運動量・切り替え」の三原則を最後までピッチ上で体現。堅守からのサイドからのクロス、中央突破など多彩な攻撃で相手を圧倒した。被シュート数は11本だったが、組織的な守備で枠を捉えさせず。「全員が守備の意識を統一できているし、割り切れている」(服部一輝・法3=札幌大谷)と最後尾から守備を統率するGKも納得の表情だった。
 選手全員の意識統一でなされた完勝だ。短期決戦ということもあり、2日前の2回戦からスタメンを5人入れ替えて臨んだ。伊池翼(商3=横浜F・マリノスユース)は公式戦では昨年度天皇杯2回戦以来と久々の出場。途中交代で入った牛ノ濱容(法2=アビスパ福岡U18)も公式戦初出場と新鮮なメンバーでの試合となった。その中でもベストゲームと言わしめる試合展開を見せたのは選手全員の共通認識によるもの。伊池、柴戸海(政経2=市立船橋)の守備的なWボランチの起用もあり、中盤で多くのピンチの芽を摘み攻撃につなげた。良い守備から良い攻撃へ、明大サッカーの真骨頂が見られた好ゲームとなった。

 次戦は14日の準決勝、流経大戦となる。流経大は準々決勝で阪南大との互いに決め切れない苦しい戦いに後半39分のゴールで終止符を打ち、勢いに乗って勝ち上がってきた相手。守備的なチーム同士堅い試合展開となることが予想されるが、今試合のように堅守からの素早い攻撃を見せることができれば勝利に大きく近付ける。明大はターンオーバー策で主力メンバーを温存できているのも好材料だ。決勝で流経大に敗れ準優勝に終わった2年前。その借りを返し、流経大の3連覇を止める時がやってきた。「関東勢には負けられない」(服部)と関東王者の意地を見せ、決勝進出を決めて見せる。

[谷澤優佳]

試合後のコメント
神川明彦総監督

「今シーズンのベストゲームじゃないですか。本当に明治らしい堅い守備。一瞬のスキも見せない堅い守備。相手を封殺して。その中から小気味よいパスワークで相手のゴールに迫る。ロングフィードもあれば、短いパスもある。カウンターもあれば、中央からの攻撃もあったり。完勝ですね。全員が献身的に走って、ポジションバランスも本当に上から見ていてもよかった。素晴らしかった。間接FKの部分も体を張って守っていたので、今日は本当にそこがもう、これぞ明治というゲームだった。次の流経大も守備重視のチームなので得点を取るのは難しいと思うけど、こっちもこれだけ守備できてれば、そうやられることはないと思う。0―0でどこまで進むかなと。ただメンバーを温存できたのでコンディション的には上回ってるかもしれない。楽しみですね」

栗田監督
「今シーズンで最高のゲーム。素晴らしいゲームだった。守備のところの意識が共通で、矢印が全く同じ方向を向いていた。いい守備からいい攻撃と、運動量も落ちなかった。今季、最高のゲームだった。単純に今日のゲームが一番よかった。守備のバランスが完璧だった。東洋大学さんもきちっとパスをつないでくるサッカーをしてくるので、柴戸、伊池という守備のバランスのところから攻撃に入ろうと。連戦にもなるし、こっちに連れてきている25人のメンバーに関しては、どの選手が出ても調子がいい。今日出た選手はよくやってくれた。ターンオーバーというか、初戦から5人もメンバーを変えているので、コンディションもまた上がってくると思う。また相手に合わして作戦を練って、選手の起用を考えたいと思う。藤本は守備の部分の頭が整理されている。前より縦の推進力もあるし大きい。土居も非常にいい時間をつくってくれて、ためをつくって攻撃の起点になってくれた」

小谷
「今日は明治の総合力が出たと思う。誰が出ても同じサッカーができるように練習しているし、ミーティングでも意思統一しているのでそういう部分を個人個人がしっかりピッチで表現できたというのが一番の要因かなと思う。その中でも明治の三原則というのは今までの試合の中でも一番出た試合なのかなと思った。三原則はもちろん、守備の部分でも前から行くところとリトリートしてそこから押し出すところと共通認識がしっかりできていたし、押し込まれた場面でもみんなで声を掛け合って全員で0でしっかり抑えられたので、それが勝ちにつながったのかなと思う。(得点シーンを振り返って)クロスが入ってきて初めはワンタッチで打とうと思ったけれどシュートコースに相手が足を出してきていたので、反転してシュートを打とうと思って、ファーストタッチがしっかり決まったのであとはもう感覚というか、あまり見ていなくて最後は気持ち。そこで勝ちたいという気持ちがゴールにつながったのかなと思う。前半初め押し込んでいる中でなかなか決定的な場面がつくれなかった。それから相手に押し込まれる時間が続いて、そこをみんなで0で抑えて、ハーフタイムもしっかり守備から入ればチャンスは絶対来ると言っていたので、その少ないチャンスの中でもしっかり決め切れたというのがよかった。(今日の試合のどのあたりで明治らしさを感じたか)全員がハードワークできていたし前半の立て続けにセットプレーで押し込まれた場面も、気持ちをしっかり持ってはね返せていたし何より全員がしっかり球際とかセカンドボールのところで戦っていたので、そういうことができていれば明治は勝てると思うのでこれからも続けていきたい。(次は流経大との準決勝となるが)やっぱり流経となるとハードな戦いになるというのは予想されるのでしっかりコンディションの部分をまず回復させて、いいコンディションで流経戦に臨めるように、チーム全員でまた勝てるように今日と明日しっかり調整してやっていきたい」

鈴木達也(政経4=柏レイソルU18)
「立ち上がりの一番最初にFKで危ない場面をつくられたけれど、それからはみんなで守備に関しては共通理解があったのでうまくはめられて特に崩されることもなく、危なげなく守れたのかなと思う。何本かチャンスはつくられたけれどその中で全員がしっかり体張って守れて後半取るべき時間帯に点が入ったというのが一つ試合を有利に進められたと思う。(ターンオーバーでの戦いとなっているが)全員選手を使っていくというのは大会前から言われていたので、それで全員が全員しっかりとした準備をした中で試合に出た時に表現できているというのはチームにとってもいいことだと思う。(明治らしい試合だったと思うが)明治は守備のチームでしっかりと守備から入って戦うというのはしっかりできていて、やっぱり押し込まれる時間帯もあったけれど全員が点を取らせないという意識の中でボールを奪えて、そこからカウンターで速い攻撃というのも初戦に比べたらすごく変わってよかったのかなと思う。(次戦は流経大との準決勝になるが)流経も球際とかそういう一つ一つのところで結構がつがつくるチームなので、そういったところでまず負けない、しっかりと自分たちのサッカーができれば流経だったりどこが相手でも勝っていけると思うので頑張りたい」

藤本
「すごいいいゲームだった。明治が耐えて耐えて守備から入って、取るべき点を取った。今日の試合に関しては、東洋大学はポゼッションをしてくるチームなので前半はあまりチャンスがないことを想像していた。試合前から90分の中で、チャンスをつくればいいと自分は思っていた。後半チャンスかなと思っていた。半端ないくらいゴールに飢えていたので、絶対チャンスがきたら点を決めようと思っていた。いい仕掛けができて、キーパーとDFの間に走ればと前を向いた瞬間に感じていた。キーパーのポジションもよくなかったので、流し込むだけだった。今日は守備からリズムつけられたし、それをやって得点を取ってこそ明治のFWなので。守備と守備と得点というところで貢献できればいいのかなと。チーム全体としての守備、失点しないことということは前からの守備ということになってくるので、それなあまり良くないと、チーム全体としてきていい攻撃もできないとわかっている。自分が最前線でスイッチを入れて、勢いづけられるのがすごい大事かなと。ただ全力で走ってもしかたないので、相手のボールホルダーに対して味方の選手がどれくらいプレスにいけているのか、相手が持ち出した瞬間に限定して守備しやすいように誘導するのが役割。頭使って、走るべきところに走るスイッチを意識している。服部は後ろからすごく言ってくれるので、そういうのをやりながらチームとしてうまく粘り強くいけたかなと。服部が後ろから声を出してくれて、無失点につながっているのは間違いないし、すごく助かっている。(一昨年について)準優勝したけど、決勝で負けることほど、悔しいことはない。あの大会から自分はスタメンに定着して使い始めてもらったので、悔しくて。去年は出れなくて、今年は出られているので。目の前の試合に集中するけど、全員が優勝を本気で狙っている。あと二つ、頑張りたい」

伊池
「勝ててよかった。守備のゲームになることは想定していたのでまずは失点しないことを考えてゲームに入った。前半しっかり耐えて後半に入ってからああいったいい時間にいい形で得点できてからはそれぞれがやるべき事をはっきりさせて、あとは守備をやりきることが出来た。今季のベストっていうか、明治らしいゲームができたと思う。まだ課題はあるので、そこは修正していければ。自分の課題としては奪ったボールを攻撃につなげられなかった。奪った後にそのままロストしたりっていうのもあったので、そこをしっかりつなげていればチームとしての攻撃も変わっていったと思う。(柴戸とのWボランチは)攻撃の時にはどちらかが後ろに残るとか守備の時は相手の7番9番にあまりボールを触らせないようにというのを意識していた。無失点でいけば絶対に前が点を取ってくれると信じていたので、まずは無失点というのをひたすらに考えていた。今日は守備的な自分が入ったっていうのもあるかもしれないけれども、もともと守備的な試合になるっていうのは前から考えていて、全員がまずは守備っていう意識を持ってやれていた。(昨年の天皇杯・ヴァンフォーレ甲府戦以来のトップ出場だが)スタメンでの出場ってなると1年の時のリーグ戦以来なので、2年ぶりくらい。出れない間はずっと悔しい思いをしていたし、結果を残してやりたいと思っていた。前は割り切れていなかったっていうか、ミスをしたらいちいちそれについて考えすぎたりしてたんですけれど、最近はミスしても自分のやるべき事を考えるというか、前向きになった。それでまた使ってもらえたんだと思う。今年になってから3年生が試合に出ることが増えて、同学年のプレーにすごい刺激を受けたし、自分もやってやりたいって気持ちがすごい強くなった。(一昨年は大臣杯にも出場しているが)1年の時は準決勝で5分くらい途中出場しただけ。今日はスタメンなので自分の出た試合で負けたくないって気持ちがすごく強かった。次の流経はトーナメント強いしすごい厳しい戦いにはなると思うけれど、一昨年の借りを返せるようにしっかり準備したい」

服部
「前半はDFラインがばたばたしてしまって、失点しそうな場面もあったけど、みんな体張って、今までやってきたことができていた。前半0で抑えることができたので、後半のああいう形で流れをつくれたかなと。トーナメントになると急に失点しなくなる。とりあえずほっとしている。0で抑えることによって、次の試合の流れが決まる。僕らも含めて、90分間集中できているのかなと。後半は2―0になって相手が攻めてくるのがわかっていたので、守備の練習はこの夏ずっとやってきたので、しっかりいき方だったり、戻るところ、原点をしっかり見つめ直してできた。立ち戻るところをしっかり見つめていた。決め事がしっかりできた。全員が同じ方向に向いて、スイッチ入れることができた。上手くはまったのかなと。DFラインからしっかり声を出して行かせる部分をやっていて、今日に関してはしっかり連動して、よく走ってくれたというのが印象。前期よりも全員が守備の意識を統一できているし、割り切ることをできている。トーナメントというのプラスに働いている。リーグ戦勝てていなくて、徹底的に話し合った。大阪入る前も。僕らの中で、やることを決めていた。話し合うということが大きかった。(流経大について)同じ関東だし、前期も1―1で引き分けている。何としても関東勢には負けられないので。日本一になれるメンバーだと思うし、日本一になるために0で抑えて勝ちたい」

柴戸
「うまくいかないこともある中で割り切ってプレーして結果2-0で終われて良かった。自分たちでも手応えがあって、目指している良い守備から良い攻撃ができていた。特に2点目の藤本くんのゴールは明治らしさが出たプレーだと思う。(東洋大はアミノバイタルカップでも対戦した相手だが)特に戦い方は変えなかった。ただ1度勝った相手だからこそおごらずに立ち上がりからしっかりやろうという意識はしていた。(Wボランチについて)お互い守備的なプレーヤーなので前への意識を持つことを意識していた。栗田監督からはボランチのところで守備からって言われていたので、ルーズボールやセカンドボールを拾ってつなぐことを意識していた。翼くん(伊池)は公式戦では初めてなので新鮮だったけれども練習ではいつも一緒にやっているのでお互いの良さを出せたと思う。トーナメントは負けたら終わりなのでリーグよりも失点しないのが大事。全員がそこについての意識を共有できているから無失点で来れているんだと思う。次の流経大に三連覇をさせるわけにはいかないし、市船時代から流経にはまけたくない。チームとしてもうまく戦っていきたい」