(6)市立船橋出身選手対談

2015.08.07
(6)市立船橋出身選手対談

 欲するのはタイトルだけだ。昨季は5年ぶりに天皇杯本戦への出場を果たすも、奪冠を掲げた関東大学リーグ戦は2位。後期11戦無敗ながら得失点差で専大の4連覇を許した。優勝候補として臨んだインカレもまさかの初戦敗退。あと一歩で勝利は手をすり抜け、栄冠を手にすることなくシーズンを終えた。狙うは5年ぶりリーグ戦優勝、創部初の総理大臣杯優勝、6年ぶりのインカレ優勝の3冠だ。そのためにこだわるは原点。3原則(球際・運動量・切り替え)を徹底し勝利を目指す、明大サッカーの本質だ。今季はタイトルを譲らない。本特集はそんなサッカー部の1年を追い続ける。

 8月7日の開幕が迫った総理大臣杯。明大は関東第1シードとして10日の2回戦から出場する。今回は8月6日から全3回で、3組の対談をお届けします。明大の初戦である10日の前日には瓦版を掲載します。
 第2回は名門市立船橋高校サッカー部出身の和泉竜司主将(政経4=市立船橋)、小出悠太(政経3=市立船橋)、柴戸海(政経2=市立船橋)の対談をお送りします。

――前期の振り返りをお願いします
小出
「前期戦は、DFの面で失点が多くてそこは改善しなきゃいけない中、焦りもあったけど、アミノバイタルを通して悪い流れを断ち切れて終われたので良かった」
和泉「無失点がないというのは課題ではあるが、後ろを助けてあげられるような得点も少なかった。先に点を取れれば強いと思うので、前の選手としても決定力や質など課題は多い」
柴戸「後の方の試合で勝てないことが多かったが、アミノバイタルを通して少しずつチームが良くなっていって、最後いい形で終われたので後期につなげたい」

――市船サッカー部はサッカーをする上でどのような環境ですか
小出
「明治で言われている球際、切り替え、運動量というのは高校時代からずっと言われてきたことなので、そこはここに来ても本当に身になっていると思う」
和泉「同じっすね(笑)。明治と似ている部分も多い。守備を重視しているし、練習からみんな真面目にやっている」
柴戸「まあ一緒ですね(笑)。球際、運動量、切り替えは求められてきた。あとはまあ、高校だからというのもあると思うが、明治に比べて監督からの指示が多かった。明治は自分たちで考えてやれっていう感じかなと」

――高校時代も和泉さんは主将をやっていましたが、後輩2人から見た和泉主将はどのようなキャプテンですか
小出
「高校時代からプレーでチームを引っ張るタイプのキャプテンで、私生活は結構ふざけている場面もあるけど、サッカーに関しては真面目で頼れる」
柴戸「試合中はとても頼りになるし、練習からも厳しい声を掛けてもらっているから、自分も成長できる。私生活含め色んな面でお世話になっている」

――高校と大学で和泉主将の変わった点はありますか
小出
「大まかな面では一緒だと思うが、高校時代の時よりもチームのことを考えてくれている発言が増えたと思う」
柴戸「高校の時からそうだったが、明治に入って学生が主体となってやっているので、より責任感を感じられるようになった」

――和泉さんご本人としては変わりましたか
和泉
「意識的に変えてはなかったが、プロを目指している人もいれば、就活をしている人もいて、高校より大学の方がいろんな人がいる。様々な方向に向いた人がいるので、高校の時より難しいというか考えることが多い」

――先輩2人から見た柴戸選手はどのような選手でしょうか
小出
「高校からそうだが、真面目というか献身的な守備や運動量、ダッシュ力もあるから、試合中自分もディフェンダーをやっていて、海がボランチにいたら楽になる。私生活ではたまにふざけるけど、基本はおとなしいかなと」
和泉「悠太も言ったが、運動量や球際や守備が主にっていう感じだが、技術もあって前にもいける。まあそこの精度とか回数をもっと増やしていかなきゃならない。まだ2年生なのでプロ目指して頑張ってほしい。私生活では、ほんと真面目でカーテン閉めて基本部屋にこもっている点はちょっとダメ(笑)。まあ最近は開いている方ではあるけど」

――カーテンを閉めていた理由とは
柴戸
「仕事やっていた時があったから、4年生が怖かった(笑)。最近はだいぶ開け始めています(笑)」

――柴戸選手自身はここまでのプレーぶりはどうですか
柴戸
「守備の面での球際だったり、ボール奪取はこれからも自分の特徴だと思うから続けていって、あとは攻撃の面で自分がボランチとして作っていったり、得点することがこれからの目標」

――総理大臣杯がいよいよ始まりますが、短期決戦の中でどのような戦い方をしたいですか
小出
「勢いが大事になってくるトーナメントでは、初戦が大切になってくるので、そこでしっかり勝ち切りたい」
和泉「トーナメントは一発勝負なのでまず失点しないことと先制点が重要だから、大阪の夏ということで暑いですし、先制点がとれるまで焦れずに、しっかりマイボールでボールを動かしていきたい。失点を与えずに先制点を取ることが一番重要だと思う」
柴戸「短期決戦ということで、毎回同じメンバーは体力的に厳しいので交代の選手による活躍がカギとなるし、相手を見て戦い方を変えていくことが大事になる」

――順調にいけば準決勝で、一昨年決勝で敗れた流経大と当たりますが、意識していますか
小出
「流経とは高校からも何度も試合しているし、他の大学より自分は意識している。負けたくない」
柴戸「高校からよく試合していた選手が多いので意識はするが、どんな相手が来ても自分たちのサッカーをやるだけ」

――流経大柏出身の選手も流経大には多いが、意識していますか
和泉
「向こうも結構俺がいるだけで市船みたいな感じでくる。そういう話もよく聞く。僕個人としても流経は高校からのライバルだし、2年前も負けて目の前で優勝を逃しているから、今回当たるとしても準決勝だが、しっかりその時の借りを返せるように、まずはそこにたどり着くまで一戦一戦しっかり戦うだけだと思う」

――大臣杯に向けて取り組んでいることはありますか
小出
「いつも通り変わらないが、守備から前へというのは常日頃から言われているし、そういったことを試合で出していきたい」

――非常に暑い環境での連戦となりますが、不安要素はありますか
和泉
「きついです(笑)。この間復帰したばかりなので、コンディション的にスタートはないかなって思っていて、自分の力とコンディションを考えて、出してもらったら自分のやるべきことをやるだけ。みんなを信用しているし、自分がいなくても勝てるチーム力はあると思うから、チームのために自分の力を出したい」
柴戸「先週末も大阪に行って暑さを経験しているから、今週しっかり練習してコンディション整えていけば大丈夫だと思う」

――市船の練習でもフィジカルの練習が多いとお聞きしましたが、どうでしたか
小出
「気合いだった(笑)。気合いで乗り越えた」
和泉「きつかったけど、フィジカルコーチもいて考えられたトレーニングだった。時々理不尽はあったけど、自分たちのためだと思ってみんなやっていたし、それが今でも生きているのかなと思う」
柴戸「結果がついてきたので、あの時にきつい思いして良かったと思っている」

――明大のサッカー部の中で、市船に特別な関係性はありますか
小出
「自分が1年のときもそうだったが、市船の人が全員試合に出ていたこともあり、そういう時はうれしかった。まあ(市船の選手なら)出なきゃいけないというのもあるが」
和泉「市船から明治へ来る人は出て活躍しなきゃいけない選手だし、そういった選手しか来られないと思うし、市船の監督も明治に来させない。そういった意味でも来た選手がしっかり試合に絡んでいるということは良いことだと思う」

――最後に総理大臣杯への意気込みをお願いします
小出
「2年前の決勝という舞台で優勝を逃しているので、3冠という目標のまず1冠目なので、絶対優勝したい」
和泉「僕は4年生だから今年しかチャンスがないし、自分のためじゃなくチームのために、特にメンバーに入っていない4年生にためになんとか優勝できるようにしっかり一戦一戦戦っていきたい」
柴戸「2年生で出られるという意味で責任はあると思うから、初めての大臣杯でも自分のプレーをし、チームを勝たせられるように頑張っていきたい」

――ありがとうございました

[鈴木拓也・渡邊弘基]

◆和泉竜司(いずみ・りゅうじ)政経4 市立船橋高校出 173cm・68kg
ポジションは主にトップ下。今季の主将を務め、背番号10を背負う明大の絶対的エース。今年7月にはユニバーシアード日本代表として銅メダル獲得に貢献。J1・名古屋グランパスへの来季加入が内定している。
◆小出悠太(こいで・ゆうた)政経3 市立船橋高校出 178cm・73kg
ポジションはDF。1年次から出場を重ね、CBだけでなくSBでも高い質のプレーを見せる。大学屈指の競り合いの強さを誇る。
◆柴戸海(しばと・かい)政経2 市立船橋高出 178cm・70kg
ポジションはボランチ。今季はリーグ開幕からスタメンに定着。豊富な運動量と高い危機察知能力で中盤を支える必殺仕事人。