(5)3年生対談

2015.08.06
(5)3年生対談

 欲するのはタイトルだけだ。昨季は5年ぶりに天皇杯本戦への出場を果たすも、奪冠を掲げた関東大学リーグ戦は2位。後期11戦無敗ながら得失点差で専大の4連覇を許した。優勝候補として臨んだインカレもまさかの初戦敗退。あと一歩で勝利は手をすり抜け、栄冠を手にすることなくシーズンを終えた。狙うは5年ぶりリーグ戦優勝、創部初の総理大臣杯優勝、6年ぶりのインカレ優勝の3冠だ。そのためにこだわるは原点。3原則(球際・運動量・切り替え)を徹底し勝利を目指す、明大サッカーの本質だ。今季はタイトルを譲らない。本特集はそんなサッカー部の1年を追い続ける。

 8月7日の開幕が迫った総理大臣杯。明大は関東第一シードとして10日の2回戦から出場する。今回は8月6日から全3回で、3組の対談をお届けします。明大の初戦である10日の前日には瓦版を掲載します。
 第1回は、現在チーム内で存在感を発揮しつつある3年生の服部一輝(法3=札幌大谷)、室屋成(政経3=青森山田)、道渕諒平(農3=ベガルタ仙台ユース)の対談をお送りします。

――チームとして前期の振り返りをお願いします
服部「うまくゲームの中で良い流れに持っていけないのが今後は改善しないといけない。スタッフにもずっと言われているけれど、試合中にもっとしゃべって自分たちで解決するということをできるようにしないと、今後の大臣杯や後期リーグで前期と同じ様な結果になってしまうのかなとは感じている」
室屋「前期の開幕した時は良かったし、連敗が続いてもアミノ(アミノバイタルカップ)では良いサッカーができたり、波があった。勝っている時は良いサッカーができて、負ける時はぽろっと負けちゃう。そういう意味ではまだまだ強いチームではないと感じるし、試合をやってみないとわからないみたいな感じがあったのは前期通して良くなかった。アミノみたいに普通に自信を持って、普通に戦えば強い。メンバーを見ても大学生相手には負けちゃいけないくらいのメンバーがそろっている。だからどんなに勝ってもこのチームでは満足しちゃいけないと思う」
道渕「成が言っていたように、前期は内容も結果も波があった。負けるべくして負ける試合が多くて、勝っている試合は何で勝っているかを常に考えて、トレーニングしないとリーグ戦の連敗している時のような状況になってしまうと思う。アミノの時は全員がやることが統一できていて、それが結果に結び付いたので、絶対変わらない芯をつくらないといけないと感じる」

――3年生と上級生になり感じるものはありますか
服部「来年は4年生になるということもあって、4年生だけに1、2年生を引っ張らせないで、僕たち3年生がしっかり引っ張らないといけないと感じる。それはいつもみんなで話している。2年生の時に比べて、3年生の中から、練習中に下級生に厳しく言ったり、雰囲気を良くしようという選手も増えた。僕らが4年生になった時に歴代のチームより良いチームを築けるようにしないといけない」
室屋「かんちん(服部)と道渕もそうだけれど、どんどん試合に絡める選手が増えてきて、そこは良い部分だと思う。今の4年生は実力のある選手が多くて、チャンスがあまり巡ってこない状況。その中でどんどん試合に出て、かんちんなんかは声もどんどん出してくれる。来年のことを考えないといけない学年でもあるので、そういう意味ではすごく試合に絡んでいるのは良いことだし、嬉しい」
道渕「あれだけの実力のある選手がそろっている中で、リーグ戦も決して良い成績とは言えないし、天皇杯も一発勝負で勝てなかった。アミノは優勝したから、そこまで他の大学に差を付けられているわけではないけれど、僕たちが練習中から発信する力をつけないといけない。4年生になってからでは遅いし、今からチームを動かせる人間が増えていかないといけないと感じている」

――3年生の雰囲気はどうですか
室屋「多分、仲良いです」
服部「かなり良いっすね。とりあえず仲が良い。どの学年よりも1番良い。私生活でも仲が良いし」
道渕「良くも悪くもね」
室屋「とにかくアホっす(笑)。坊主になったことも多いし。本当にあの時期は死ぬかと思った。地獄っす」
道渕「地獄でした。坊主もきついけれど、僕らに対する圧がすごかった」
室屋「生き地獄でした」
服部「体育会の厳しさを見せ付けられたよね(笑)」
室屋「もう坊主はないっす。今のところ未定です」

――3年生で学業の両立も大変ですか
道渕「ちょっときついですね。一人でバイクで行っています。(道渕は農学部なので生田キャンパス)雨の日も風の日も。理系で実験もあるので白衣着てます(笑)」
室屋「一番似合わないやろ(笑)」
道渕「テスト期間はみんな勉強をしているふりをしてました」
服部「めっちゃしてるって俺。絶対1番しています僕が」
室屋「みんなスタバとかカフェに行ってる」
服部「形だけのやつな」
室屋「みんな形から入るもんな(笑)。喫茶店で勉強するのかっこいいみたいなスタンス」
道渕「僕は授業でしっかりやるタイプなので。カフェとかはないです」
室屋「こいつ頭いいっすよ。普段は頭いいけれど、人としてまだ違うね」
服部「がちな話、一番できないのは成」

――サッカーの話に戻りますが、服部選手はアミノバイタルカップでポジションに定着しましたね
服部「うまくケガ明けて、流れでポンポンとこれて、関東選抜にも呼ばれているけれど、他のキーパーとの差がどれだけ広いかと言われたらそんなにない。例えば、ハチ(八谷淳希・商3=清水エスパルスユース)と比べた時に、ハチの方が良い部分もすごいあります。自分が抜けている存在とは思っていなくて、良い意味で余裕をもってなくて、今までしっかり続けてきたことをしっかり続けて、スタッフや選手に信頼されるようなキーパーにならないといけないと感じる。今こうして試合に出れて今のプレーができているのも、ハチとずっと練習してきたおかげだし良いライバル関係でいたい」

――、道渕選手、室屋選手から服部選手はどう見えますか
室屋「かっこ良いです」
服部「ちょっとふざけてるやろ(笑)」
室屋「やっぱり自信持ってプレーしてくれているので、キーパーはそういうのが1番大事だと思うし、後ろでどかっと構えているのは頼もしいですね(笑)。1年の時から努力していたので。努力してケガしたぐらいで。ちょっとアホなんですけれど(笑)。努力してここまできているので、そういうの見ながら一緒にやってきたので頼もしいです」
服部「良いこと言うじゃん」
道渕「服部さんはかっこ良いっす。声とかいつも大丈夫、大丈夫とか声を掛けてくれてすごい頼もしいです(笑)」
室屋「お前、しょうもないこと言うなよ」
道渕「他のキーパーに比べて、優しい声掛けが多くて、ミスして自分が1番やばいと分かっている時でも、怒られたりするけれどかんちんの場合は前向きな声を掛けてくれる。試合中もモチベーションをあげやすいです」

――服部選手、室屋選手から道渕選手はどう見えますか
室屋「ごりごりっす。身体能力が高い」
服部「高いね。頭はちょっと弱いけれど」
室屋「頭はちょっと弱いんですよ。あと1年の時はドリブラーじゃなかった」
道渕「元々はボランチの選手で、大学に入ってからサイドハーフというポジションで出場して、その時がよくてサイドハーフとして出られるようになった。最近になってから守備の部分の奪い方だったり成長したし、プレースタイルもドリブルも得意じゃなくパスとかでさばくタイプだったけれど、今はドリブラーになりました。前はそんなにできると思ってなかったけれど」
服部「フィジカルが強いのが特徴だけれど、良い面でも悪い面でも突っ込んでいくので、後ろから見ていて頼もしい感はあるけれど、たまに守備で迷子になっている(笑)。本当に3年間ずっとやってきて、頼もしく見えるようになったのは確かですね」
道渕「嬉しいです(笑)。守備ではまだ迷う時があって、そこが一番の課題なので取り組まないといけないです」

――服部選手、道渕選手から室屋選手はどう見えますか
服部「成は1年生から出続けていて、僕らの学年では抜けている存在では最初からあった。U22日本代表だったり、FC東京の特別指定だったり、普段一緒にやっている近くにいる選手が、そういう世界にいることで僕らもつかめるんじゃないかというのを感じるようになった。ポジションも成とは違うし、どれくらい差があるのかわからないけれど、成がいるから僕もそういう世界に行きたいと感じさせてくれる。有難い存在かなと。まぁバカなんですけれど(笑)本当にありがたい存在。後ろから見ていても、身体能力高いし、頭も使えるほうだと思う。僕が声を出す場面でも先に動いてくれているので、信頼できる選手。普段は本当に頭が悪いけれど。サッカーに関してはトップかなと」
室屋「あざっす(笑)」
道渕「サイドで成と組むことが多いんですけれど、守備の時は成頼むって感じで頼もしい。1対1とか絶対抜かれないので。すごい楽です」

――総理大臣杯のトーナメントの組み合わせを見て気になる大学はありますか
服部「どの試合も簡単な試合はない。トーナメントなので、勢いが大事。初戦は1回戦を勝ち抜いてきたチームで流れに乗っている。形はどうでもいいので、しっかり勝って流れにうまく乗れないといけない」
室屋「自分は大体大。実家めっちゃ近所なので、負けたくないっすね(笑)」
道渕「自分は仙台大。インカレのリベンジを果たしたい」

――トーナメントで勝ち上がるために明大に必要なことを教えてください
服部「失点をしない。そのことに尽きるといます。早い時間帯に失点してしまうと、相手のレベルがどうであっても、リトリートされて崩すのがかなり難しくなる。最初に点を取る。僕はそこがカギになるんじゃないかと考えている。僕は後ろの選手なので、守備からしっかり入って、0に抑えることだけに集中している」
室屋「やっぱりトーナメントは勢いなので、最初から難しい試合にはなると思うけれどその中で何かをつかんで、どっかで勢いに乗って、アミノのように大会を通じて、成長してどんどんよくなればと思う。試合をするたびにチームがよくなっていくのが優勝するために必要」
道渕「チームのやるべきことを全員でやって、その方向を一つに合わせたい。アミノの明治でやっていけば優勝できると思います」

――3人ともどの年代でも未経験の日本一ですが、総理大臣杯に懸ける気持ちは強いですか
服部「中高は日本一を目標にしていたけれど、現実的に届くチームではなかったので、こうやって明治に入ってメンバー的には日本一に1番近いチームなわけで、日本一を取らないといけないという責任感が今はあります」
室屋「高校3年間ベスト16止まりで」
服部「それださいな」
室屋「お前出てへんやろ(笑)。その時も岳さん(柴崎選手=現鹿島アントラーズ)とかいた中で日本一取れなかったので、トーナメントというのは簡単じゃないなと実感している。そんなに実力があるからって簡単に取れるものでもないです。日本一というのを経験してみたい」
道渕「今までベスト8が最高で、周りにはよくやったと褒められた。納得のいく結果だったんですけれど、悔しかった。明治に入って優勝狙える実力のあるチームで、ベスト8ではよくやったとは言われない。優勝して当たり前みたいな感じに思われている部分もある。今まで感覚とは全然違くて、プレッシャーもあるけれど、この感覚は新鮮な感覚で、日本一を取りたいと思えます」

――最後に総理大臣杯への意気込みをお願いします
服部「内容はどうであれ、このメンバーだと結果を残さないといけないチームなので、とりあえず日本一。取らないと何でこのチームで取れないのと思われるので。日本一というのが目標であり、達成しなきゃいけないものなのかなと感じます。ずっとチームとして半年以上やってきたことを出して、一試合一試合しっかり勝って日本一になって、アミノバイタル優勝した時みたいにみんなで喜びを分かちあいたいです」
室屋「かんちんの言っていることと同じで、メンバー的にも大学生相手には勝って当たり前のチームだと思っている。それなのに今まで成績を残せていないこと自体が問題のあることだと思います。明治に来てまだ大きいタイトル獲ってなくて、今のチームなら優勝できると思うので、まず大きなタイトルの最初のチャンスということで総理大臣杯、優勝したいです。個人としても初めて出る大会ですけれど、地元の大阪でしっかり結果を残したい」
道渕「メンバー的にも優勝しなきゃいけないので、後期のリーグにつなげるためにも絶対優勝して、リーグ、インカレと3冠の目標もあるので、1冠目を取りたい。サッカー始めてから日本一になったことが一度もなくて今年はすごいチャンスだと思うので、まずは初戦しっかり勝って、一試合一試合勝っていって優勝したいです」

――ありがとうございました

【髙山舞・西田理人】

◆室屋成(むろや・せい)政経3 青森山田高校出 174cm・65kg
ポジションはSB。各年代の世代別代表を歴任。1年次から明大の主力として活躍する大学屈指のSB。今年4月にはFC東京の特別指定選手として承認され、7月のユニバーシアードでも日本代表として銅メダルに貢献した。
◆服部一輝(はっとり・かずき)法3 札幌大谷高出 180cm・67kg 
ポジションはGK。前期リーグ終盤で出場機会をつかむと、アミノバイタルカップでは全試合にフル出場を果たしポジションに定着。特に決勝では相手のPKを止める活躍を見せ、明大の無失点優勝の立役者になった。
◆道渕諒平(みちぶち・りょうへい)農3 ベガルタ仙台ユース出 177cm・75kg
ポジションは主にサイドハーフ。今季はリーグ開幕戦からスタメン出場を果たす。高い身体能力を生かし、サイドからの積極的なドリブル突破でチャンスを演出する。