武政が無差別級3位入賞 3人が全日本へ/東日本学生個人体重別選手権

2015.07.27
 エース武政が世界王者を破って3位入賞を果たした。準々決勝は昨年の世界選手権優勝者であるトゥルボルド(日大)との一戦。体格差のあるトゥルボルドに迷いなく正面からぶつかっていき、押し出しを決めた。「あれが僕の本来の当たり」と会心の一撃を振り返る表情は明るい。昨年同様に無差別級に出場し、好成績を収めた。武政は身長166cm、体重116kgと、他の無差別級出場者に比べ体格が圧倒的に劣る。今大会対戦した4人も、武政より一回り大きい選手だ。体格の勝る選手にも真っ向から勝負を挑み、勝利を挙げた。監督に言われた「逃げに走らず勝負してみろ」という言葉通り、攻めの相撲を見せたことが結果につながった。3位入賞を決めた武政だが「もっと上にいく」と、満足はしていない。最終学年として迎えるインカレが着々と迫っている中、明大のエースの成長は止まらない。

 小川の調子も上向きだ。先週行われた全日本選抜の個人戦で部内最高成績を収めた小川は、今大会では115kg未満級でベスト8入りを果たした。勝てばベスト4進出が決まる準々決勝の相手は近平(中大)。立ち合いから激しい突っ張り合いとなったが、相手の力に押され、土俵際でこらえることが出来ず、そのまま押し出し。力負けの内容に「完全に相手のペース」と一言。強い気持ちで格上の相手に勝つ、という意気込みで試合に臨む小川にとってこの取組は悔やまれる内容だった。一方で、ベスト8という結果に満足はしていないものの「良くはなってきている」と自身の成長を感じている。先週の金沢大会では総監督に「相撲の所作にもっと気を遣うように」と厳しく言われ、はっと気付き改心した小川は今大会、悲願の全国大会への出場権を手に入れた。取組以外の部分が雑な人間に勝利の女神は振り向かない。そう信じて取り組む小川に、次なる飛躍を期待したい。

 結果を残せず苦しんできた明大。大会で本領が発揮できていない選手たちに守重佳昭監督は「稽古のための稽古ではいけない。大会を見据えた稽古をしなくては」と話した。実践への意識の高さがカギとなる。今大会は1人が3位入賞、2人がベスト8に入り昨年以上と言える成績。まだまだ課題が多いとはいえ、インカレに向けて良い材料が見つかってきた。8月には十和田合宿、大会を控える。「夏に稽古を積んで、リーグ戦は総力戦で弾みをつけてインカレを迎えたい」(小川清彦総監督)とこの夏の成長を誓った。

[星川裕也]

試合後のコメント
小川総監督

「3人が全国に駒を進めた。例年1人であるところを3人というのは、ここ最近ではなくて良かった。森田と小川は、最低でも入賞してほしかった。森田は稽古もしているし、全国では入賞してほしい。最後は突っ張って圧倒しながらまともに引いて、墓穴を掘ってしまった。何をしたらいけないか、相撲の中で自分からどうやって流れを変えたのか、というところ。小川も一緒だよ。力を付けていて、今日は体重別で自分と同じぐらいの人しか出ないから、当たっても負けないものはあったが、最後は消極的な相撲だった。相手の突っ張りを受けてかわそうという相撲で、自分で必死に攻めるという姿勢がなかった。必死にやって五分五分になる。必死にやらないと勝負は見えてしまう。全体的にもっと必死に戦ってなりふり構わずやらないといけない。必死に戦って勝つか負けるかが相撲だから、力があっても油断すれば負けるし、力が上のやつでもチャンスは出てくる。武政はここのところ怒ることが多かった。この前の金沢も引いて負けたりして、力はあるけども消極的な相撲だった。今日も勝ったけど引いた相撲が一つあった。ああいう相撲があるなら決勝までいけない。トゥルボルドに勝った相撲は、逆に相手が消極的な相撲を取った。武政の低さに引いて墓穴を掘ってくれた。必ずどこかにスキはあるから、自分のスキを見せずに相手のスキを突く相撲を取らないといけない。守る相撲ではなく攻める相撲。トゥルボルドの相撲はまあまあ。久しぶりに武政らしい、低く引かれても落ちないで前を攻める相撲だった。
今日はあの相撲で決勝までいけるかなと思ったけど、次は土俵際で攻めを間違えた。積極的な相撲を取り続けるように、稽古場でも心掛けないといけない。夏に稽古を積んで、リーグ戦は総力戦で弾みをつけてインカレを迎えたい。金沢のあまり良くない流れが少し良くなってきたかなと思う。上昇気流に乗って夏は稽古をする」

守重監督
「金沢大会から1週間しか経っていないので特に大きな変化はないと思います。(団体戦の成績が振るわないが)選手たちには、稽古から大会を意識するように言っています。稽古場で完結させてはいけないんです。それでは稽古のための稽古。じゃなくて、大会で勝つための稽古にしなきゃならない。視線を大会に向けてほしいです。一年生はケガがあったり、実践経験も少ないし、これからです。夏合宿もあるので地力の底上げですね。昨年の成績より今大会の成績のほうがいいですし、徐々に上がってきてはいるのかなという印象です。また鍛えなおしてインカレ優勝を目指してやっていきます」

武政
「欲を言えばあと2つ勝ちたかった。今日も運が良かったと思う。内容も珍しく良かった。いつも逃げに走る相撲なんですけど、今日は珍しく攻めたので、それが結果につながったんじゃないかと思います。あれが僕の本来の当たりです。稽古はいつも通りですね。手を抜いたりはしないので、いつも全力でやっています。何にでも全力で行うことが、この結果につながったんじゃないかと思います。(監督からは)力はあるんだから、逃げに走らず勝負してみろと言われました。誉められたのはちょろっと。やっぱり僕はもっと上にいく選手なので、こんなところじゃないんだぞ、と一喝入れられました」

小川
「(金沢大会では)団体全敗だったので気持ちを切り替えて個人戦に臨みました。総監督に相撲の所作について叱られて、そこでしっかり気持ちが切り替われました。相撲の所作などができない人に勝利の女神は来ないと総監督には言われました。そういった細かいところに気持ちを配ることができたから結果につながったのではないかと思います。小さな目標としてベスト8を掲げていたので、それが達成できたことはうれしいのですが、そこで止まってしまっているので、まだまだですね。気持ちで相手に負けていたので、もっと強い気持ちを持ちたいです。今日の準々決勝は完全に相手のペースでした。全日本ではしっかり結果を残したいです。立ち合いからもっと突っ張りきれるような強気の相撲を取りたいです。今後の大会、団体で使ってもらえるようならチームに貢献できるよう頑張ります」

森田
「入賞したいと思っていたので、あまりうれしいとは言えないです。全日本に行けてうれしいと言えばうれしいですし、全日本に向けて頑張ろうとは思いますが、今日のことは喜べません。負けた時は真っすぐ引いてしまって、気持ちの弱さが出てしまったと思います。押し切ろうという気持ちが弱かったところを反省しています」