
新旧関東王者対決で敗北 春の全国制覇への挑戦は初戦で散る/全日本大学王座決定戦
まさかの幕切れだった。後半32分、右サイドを切り込まれると山梨学大のシュートは味方スティックに当たりゴールへ。GKの國友督仁(政経3=丹生)が懸命に手を伸ばしボールをはじき出そうとしたが届かず、ゴールの中へと吸い込まれた。残り3分での勝ち越しゴールも「まだ終わってないから諦めるなという気持ちだった」と國友はすぐに立ち直りチームを一番後ろから鼓舞し続けた。しかし、チームに反撃の力は残っておらず、試合終了のブザーが鳴り響いた瞬間、選手たちはグラウンドに呆然(ぼうぜん)と立ち尽くした。
いつも通りの動きではなかった。「春の優勝時よりはちょっとフィジカルが落ちているのかな」と宮田知監督。昨日まで雨が続き涼しい環境で練習してきた中、最高気温31度というグラウンドコンディションが選手たちの体力を奪い、いつもよりホッケーのプレースピードが落ちていた。さらに、春季リーグ2-1で敗れたリベンジに燃える昨年の関東王者に何度も攻められ、粘りの時間が多く続く。前線にドリブラーを並べた山梨学大のFW陣が、暑さで体力を奪われる選手たちに追い打ちをかけるように1対1を仕掛け、明大の体力を削いでいった。「技術とかは差がないが、最終的には運動量に差があった」(岩井宏将・営4=岐阜総合学園)と昨年まで武器としていたスタミナ勝負で相手を上回れかったことが敗因の一つとなった。
副将がチームをプレーで引っ張った。岩井は1-2の後半3分に右サイドからサークル内への鋭いパスで大嶋主将の同点ゴールをアシストし、チームを勢いづける。ドリブルでの中央突破やパスを巧みに操り明大の攻撃を中盤からコントロール。守備でも中盤で相手のパスを読み切りインターセプトでカウンターチャンスを何度も演出していた。「今日は本当にすごく宏将が良かった」と大嶋主将は岩井のプレーたたえた。だが、試合途中でバテてしまったことを岩井は反省。春季リーグ直後にケガをし、2週間の離脱。王座までは体力を戻すことに専念していた。しかし、グラウンドコンディションと相手の激しい守備に岩井の体力は徐々に削られ、最後までいつも通りのプレーができなかった。「フィジカルや体幹など筋力トレーニングで体を一からつくり直す」と岩井。今回の反省を生かし、秋に生まれ変わった新たな岩井の姿を見せる
「前期関東優勝はしたが結局のところ王座は初戦敗退という形になってしまって期待してくれた人、サポートしてくれる人が多かったので申し訳ない気持ちでいっぱい」(大嶋主将)。春は22季ぶりに関東制覇を成し遂げるも王座でライバルの山梨学大に敗北し、悔しい結果でシーズンの前半を終えた。だが、後ろは向かない。夏に一からチームをつくり直し、再び秋関東王者へ、そしてインカレで28年ぶりの日本一へ。明大ホッケー部はどこまでも成長し、秋に『明治旋風』を巻き起こす。
[常光純弘]
試合後のコメント
宮田監督
「勝負ってこんなもんだからね。あのチャンス入れていたらって、たられば言ってもね。仕方がないというのが正直なところ。この暑い中でベンチ入り18人だから体力勝負。今日は気温が高すぎたのもあるけど春の優勝時よりはちょっとフィジカルが落ちているのかな。やっぱり天候不順だったし授業もあるからそんなに多く練習時間を取れるわけじゃない。でも相手に変な形で点取られた後にきっちり点返していたから、そこは今までと違って意地というか跳ね返す力が付いてきたなと思った。SOになったらこっちのもんかなと思っていたけど最後にコロコロって入ってしまった。大嶋はあそこでよくタッチしてくれたよね。あれもホッケーの一つの醍醐味でライトからきれいなクロスをピシッと当てて。ただ後半谷光のPCがバーに嫌われちゃったから。最後だからね、4年生にとっては。春優勝したし、日本一なりたかったと思う。秋に持ち越しですよ。ここで一回オフに入って試験しっかり受けて単位を取って自主トレという形で体も動かしてオンとオフ切り替えて、4年生は就活もここにきて最終局面なので就職先決めて8月から残りの4年生の最後のシーズン、思いっきりホッケーに打ち込んでもらいたいなと。それを応援してやるのが僕ら指導者の仕事かな。インカレは3位だったからシード枠だけど、シードって怖いよね。今日うちは初戦だけど、昨日山梨学院は一回汗かいているから。どうしても接戦になってくると前に前に急いでしまう。バックアップして敵にいくつも守らせるコースを見させた上で崩していくっていうホッケーをやらないと。前に前にっていうのはしんどいよね。そういうところはまだまだ。学生時代にそういうのを全部習得するっていうのは難しいけど練習の時にどれだけ試合のモードでやれるか。結果的には負けたけど勝ってもおかしくはなかった。どことやったって天理とやったって立命館とやったって今年は、春に一回やっておきたかったけどね。あとはインカレで28年ぶりの日本一になるしかない」
小池文彦コーチ
「やっぱりきつい試合だったよね。先手先手を打たれて追い付くっていう形だったけど相手も嫌だったはず。でも、春のリーグ戦で勝っているからやっぱり負けられないという気持ちが強かったのではないかと。最後はオウンゴールみたいな形で決められてしまったけどトーナメントってこういうものなので一回負けてしまうと後がない。次はインカレでリベンジするしかない。なかなか、最初立ち上がり固くなっていたせいか、緊張したのかな。自分たちは初戦だけど相手は2戦目で体の動きが良かったかな。うちは初戦で硬さが見られて本来の外側からの攻撃ができなかったパスホッケーができなかった。対応は比較的できていたけど安易なファールでPCなりPSを取られたっていうことが痛かった。1個抑えに行ってしまった。ここ数日雨とかがあってフィジカルトレーニングができてなかったのかな、リーグ戦のピークに比べるとちょっと落ちていたのかなというのが感じた。(良かった選手は)谷光なんかは堂々としたプレーができていたので、PCなんかもいいシュートを打っていたので。キャプテンもいいタッチシュートを決めてくれたのでその辺は良かったかな、FWとして点を決めてくれた。あとは、サークル内での冷静なプレーが守備でも攻撃でもできていなかったかな。もう少し外側から本来のパスホッケーができていればもうちょっと点も取れただろうし、違う展開ができたのかなと。大嶋のゴールはすごく良かったかな。チームも勢いづいたというか。ただこう暑くなると体力的な問題も出てくるので、かなり大変な試合になってしまったけど、そこをなんとか勝ち切れないと、意味がなくなってしまうので、その辺も学生には話してまた秋、リーグ戦とインカレ取りにいこっていう話はした。この結果をちゃんとここで向き合ってピッチに入っている選手も出ている選手も向き合って、反省して先に進もうということを言ったので、逃げないで、もうベンチ入りできなかった者も一からスタートになるのでちゃんとレギュラーになれるように競争し合って、自分の課題を見つけながら、見つめ直しながらやっていけよと言いました。選手も分かっていると思う。出たいと言っている選手ばかりなのでやってくれると思う。(今後の指導は)ランニングトレーニングやフィジカルトレーニングを中心に夏合宿はして、あとはやっぱり強豪チームと練習ゲームを重ねて、モチベーションをあげながらやらせていきます」
大嶋主将
「負けたことがすべてなので、本当に悔しいですし、たくさんの方々が応援してくださったのにその期待に応えられなかったのが申し訳ない気持ちでいっぱい。(2点目は)形はきれいなゴールではないが、点取ることは重要だと思って打って、その点に関しては良かったけど負けてしまったので意味の無かったことになってしまったのが残念です。うちも全力で準備をしてきたつもりだったが、山梨学院は良いプレーしていたし、走れていた。負けたので何言っても言い訳になるけど、いくつか試合の中にターニングポイントがあって、そこでしっかり決めていたのが山学だし、僕らはそこで決めきれなくて守り切れなくて、勝負所で勝ちきれなかった。先制されたときは流れが良くないことがうちは多いが、2回追い付けたというのは収穫。だけど結局のところは負けたので。後期は追い付いて追い越せるようなチームにしないといけない。アンラッキーといえばアンラッキーという部分もあるが、そこは気持ちの強い方が点取れる。うちのチームはみんな一生懸命頑張ってくれたが、相手の方が勝ちたい気持ちが強かったのかな、と。だから勝負の女神がうちじゃなくて山学の方に微笑んだのかなとは思いう。今日は宏将(岩井)がすごく良くて、真ん中が狙われてたんですけどうちのチャンスにしてくれてたので感謝したい。これからはあそこから単発にならないで展開してつなげていけるようなチームにしたい。今日はほんとにすごい宏将(岩井)は良かった。負けちゃったので良くはないが、ある程度の自身はみんなあると思うし、実力も山梨学院よりは下でしたけど、それなりにチームとして成熟してきた部分があるので追い付いたのかなというのはある。それの質にしてもメンタルにしても徐々に向上していきたいと思う。良いゲームだったとは思うが、今年のチームの目標としては勝つっていう、結果にこだわってやっているので結局のところは良くない。最後のところで勝ちきれなかったらまた良いチームで終わってしまう。そこはもう厳しく反省して。もう良いチームはいらないので、強いチームにならなきゃいけない。そうじゃないと繰り返しになっちゃうので。惜しかったね、次頑張ろうではなく絶対に勝たなきゃいけないチームだし、サポートしてくれる人たちのために結果っていうのが一番大切なので。今回は関東のチームに負けたが、天理だったり立命だったり全国トップのチームを相手に戦っていかないといけない。うちはそういう力があると思う。もう一回後期絶対インカレ優勝できるようなチームをつくっていきたいし、つくらなきゃいけない。チームのみんなはきついこともやってきたんですけどよくついてきてくれたし今日も一生懸命頑張ってくれてありがたいという思いと申し訳なかったという思い。それだけだともう終わってしまうのでうちはまだ終わりじゃないので後期もう一回チームを作り直そうというところですね。前期関東優勝はしたんですけど結局のところ王座は初戦敗退という形になってしまって期待してくれてた人、サポートしてくれる人が多かったので申し訳ない気持ちでいっぱいなんですけどやっぱりもう一回そういう期待に応えられるチームになれるように、自分にも厳しくしますしチームにも厳しく、絶対にこの借りを返して、みなさんと一緒に喜びたい。個人としてもチームとしてももう一段階も二段階も何段階でも勝てるまで努力します」
岩井
「技術とかは差がないが、最終的には運動量に差があった。もう終わってしまったことは仕方ないのでテストのオフがあるので、それが終わってからまた一からフィジカルから鍛え直して走れるチームとして戦っていけたらいいと思う。中盤を任せれていたが途中でバテてしまったところがあって攻撃が間延びになってしまったので、そこは今後の課題として。あとは前への意識が強すぎたので中盤同士で連携を組んでサイドから崩してボールを散らしていけるようになりたい。フィジカルと運動量、スタミナがチームの課題。あとはディフェンスのマークミスが今回あったので連携の声掛けや細かい指示のかけ直しをしていかないといけないと思う。僕は関東リーグが終わってからすぐにケガをしてしまって2週間近く練習から離れていいた。だから今日までは個人としては体力を戻すことだけに必死でそれで終わってしまった。ケガが全体的に多かった部分があったのでうまいこと調整して今後はやっていく必要があると思う。今回は関東リーグから王座まで長いスパンがあったのでその差をどうモチベーション高くやっていけるか。今度は雄飛(大嶋主将)と副キャプテンもサポートしてチームをまとめていきたい。関東リーグ優勝という第一の目標があってその次の目標として全国制覇があった。最初に決めていた一番初めの目標を初戦敗退という結果に終わってしまい気合はあったと思うが、負けてしまった事実は変わらないので悔しい。今週はずっと雨で涼しい環境で練習してきたのと今日急激に蒸し暑くなったのは選手としても体力を一気に奪われた。これから夏休みがあるので暑さ対策もしていきたい。夏休み期間はフィジカルや体幹など筋力トレーニングで体を一からつくり直して調整していきたい。秋のリーグの途中からインカレが入ってくると思う。まずインカレで優勝。今回は初戦で負けてしまったのでそれだけはないように頑張っていきたい」
中道俊介(法4=飯能南)
「悔しいの一言。運動量で完全に負けていたのでそこが1番の敗因ですね。(武器のはずの運動量で上回られたことについて)完全に単純な話で、相手の方が走れてたってだけかな。僕らが極端に落ちていたわけではない。かと言って僕らが走れていたかっていうと疑問。本当に相手が走って上だったっていうそこだけかなって感じ。技術的なところでは差はないと思っていたので、実際なかったし、最後走れるかは走れないかで勝負が決まったかなって感じですね。足止まっちゃって全部後手後手で相手の攻めてくるのを全部受けていた。足止まっちゃったところで相手が速いスピードを使ってきたので、そこで押し込まれちゃったってところです。(ドリブルで攻め込まれましたが)みんな動けてなかったから、全部ずれてカバーカバーカバーっていう形になっちゃって、どっかで間に合わなくなってくる。それが最後ゴール前でちゃったかなという感じです。(自身のプレーは)納得はいってないですね。収めるところで全然収められなかったしもっとできることはあったかなっていう後悔している感じです。学生最後の王座なので悔しいです。やっぱりそうですね。せっかく春関東優勝して全国でこういう結果になったので、次は秋しっかり取って、今までは全国で勝って関東で勝てないという感じだったが、今季は逆になっちゃったので、後期はやっぱり関東も全国も勝つチームにしていきたいなと思います。戦力的には十分すぎるくらいあると思っているので、あとはチームとしてどれだけかみ合うかってことだと思うので、そこをしっかり空き時間あるのでリーグ戦に向けてしっかりと修正して切り替えて、次はしっかり関東も全国も優勝したい。もう関東も全国も取るっていうだけなので。2つともテッペンで行きたいなと思います」
國友
「きれいに攻めて、取られたら取り返すというホッケーはできていた。常に朝練で涼しい時間しか練習ができていなかったので暑さでバテる場面が多かった。マークに付けなかったり、1点目もそうだけど止めても自分を含めてクリアできなかったということがいけない。足が動いていなかった。後半になるにつれて動けなかった。最後勝ち越されてもまだ時間はあると思ったのですぐ取り返す。1分後に取り返すというプレーができていたので落ち込んでいる暇はない。決められたボールを拾ってすぐリスタートしようという気持ちで。まだ終わってないから諦めるなという気持ちだった。終了のブザーが鳴った瞬間は絶望的な気分でした。一切山梨学院を下に見ていたわけではないが、自分たちも春リーグ優勝してやるべきこともやってきたので力発揮すれば十分勝てると思っていた。最後の失点もPSもそうだが、本当に悔しい。自分自身U21結果落ちてそれが月曜日くらいに分かって、落ちたことがすごくショックで。それで調子を崩して自分の本来のプレーを崩してしまった。周りの人が王座の準決勝や決勝でやろうなと声を掛けてくれたので、それで持ち直せたが気持ちの弱さが出てしまった。選考会が終わって切り替えられず調整不足。自分の。チームの課題が多く見つかった。まず走れない。そしてリバウンドに対する反応の遅さ。各々のカバーリングも1対1になっていたので2枚で当たりにいく、ペアディフェンスをしていきたい。オフェンスに関しては喰らい付けたのでディフェンスの強化がもっと必要だと思う。前期は2敗なので後期は負けずに自分たちの目指すものを全て取りたい」
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