2年連続の団体2位 日大敗れず頂点はまだ先へ/関東学生三大大会

2015.06.29
 王者奪還には及ばなかった。4日間にわたって開催された関東学生三大大会。初日から2日目午前にかけては障害飛越競技、2日目午後は馬場馬術競技、3日目と最終日には総合馬術競技が行われた。障害飛越競技で団体1位と好調な出だしだった明大だったが、馬場馬術競技は団体2位、総合馬術競技は団体3位と思うような結果が得られず、4連覇を達成している強豪校日大に敗れ3種目総合で2位となった。

 レベルの高さを見せつけ団体1位を獲得した。コースに設けられた10の障害のバーを落とさないように飛越し、タイムを競う障害飛越。予選を勝ち抜き決勝に進んだのはエース・中村幸喜(農2=福岡第一)と期待のルーキー・山下大貴(政経1=東海大三)、冨永弥玖(商1=科学技術学園)の3人。予選を2位で通過した中村は愛馬ルーナと出場した。落ち着いた様子でスタートするも、まさかの第1障害でバーを落としてしまう。それでも第2障害以降は見事な飛越で成功。緊張感の続く中、息の合ったプレーをした中村とルーナは減点4で個人3位となった。山下、冨永も1年生ながら決勝進出をし、団体の勝利に貢献。好調な出だしで2日目以降の種目へとつないだ。

 惜しくも団体2位となった馬場馬術。馬場と言われる広い砂地を人と馬が一体となって規定の演技をし、その滑らかさや美しさ、正確さなどを審査する。明大からは小林奈央(農3=日大二)、早稲田和歌子主将(政経3=あずさ一)、中村、萩原健太朗(政経2=都立農芸)の4人が出場した。小雨の降る中演技を見せた早稲田主将と明千。「主将としての肩を軽くしたい」(早稲田)。自身のため、そして仲間のためにも負けられない闘いであった。しかし、早稲田の抱える大きな責任感は、言わなくても「通じるものがある」(早稲田)という明千にもプレッシャーとなって通じてしまう。思うような演技ができないまま個人8位とふがいない結果に終わってしまい「監督や明千に申し訳ない」(早稲田)と肩を落とした。障害飛越に続けて出場した中村は3位、小林は6位と粘りを見せた。馬場馬術競技は団体2位に終わり、2種目を終えた時点で3種目総合は2位。総合馬術競技に明大の勝利が託された。

 エース不在で団体3位に沈んだ。総合馬術では2日間かけて調教審査である馬場、耐久審査であるクロスカントリー、余力審査である障害飛越を同一人馬で行う。一つの種目で失権すると次の種目へと進むことはできない。落馬や馬の不従行により失権の可能性が高いクロスカントリーを突破することが総合馬術を攻略するカギだ。
 最初の種目である馬場で個人2位につけた中村だったが、クロスカントリーでは騎乗馬である明鳳が鼻血を出すアクシデントを起こす。落馬もなく完走できたものの、明鳳が走行を終えた後に馬が競技の参加続行できる状態かを審査するホースインスペクションに引っかかってしまった。そのため中村は失権となり最後の余力審査まで駒に進めることはできなかった。牧野はな(営2=園芸)も第2障害を通過時点で3回の反抗を取られ早くも失権。1人が失権すると減点1000点となるため2人の失権は団体順位に大きな痛手となった。
 ミスが許されない状況の中、1年生が魅せた。障害まで進んだのは1年生の山下、冨永、武道芙裕(農1=蕨)の3人。中でも冨永は馬場で「自己最高点を出せた」と調子の良さを感じさせると、続くクロスカントリーでもタイムオーバーによる減点1.2だけと安定感のある走りを見せた。障害飛越ではエースを失い不安な雰囲気での競技になったが、減点0で競技を終え5位入賞を果たし団体3位にも貢献。3月にコンビを組み始めたプライムローズMとは「相性は良い」と冨永。これからの活躍に期待が膨らむ。

 今年も日大に連覇を許してしまった。明大は昨年と同様の2位。敗因は馬不足にあるようだ。種目ごとの馬がそろっておらず同じ馬を何度も出場させることとなった。中でもプライムローズMは4日間すべての種目に出場しフル稼働。「馬のケアを大切にしたい」と早稲田。馬のコンディションをどれだけ高められるかが勝敗を分ける。万全の体制ではないまま行われる秋の全学(全日本インカレ)も「できることを尽くすしかない」と佐藤五志監督。念願の王者奪還へいささか暗雲が立ち込める。

[江原璃那子・田中愛]

試合後のコメント
佐藤監督

「4年生の2人が抜けてたけど3人の1年生が頑張ってくれて使える人が1人増えたのでチーム全体の実力としては上がっている。総合で出す2頭の馬が4月の登録の時点で間に合っていなかった。この2頭がいれば成績は違ってきた。全学もこれで使った馬で臨むしかないので今回ミスした部分に気を付ける。今回出た選手はそこそこの結果を出してくれた。1年生のレベルはすでに学生馬術の中でもトップレベルなので心強い。(障害は)障害専門の馬がいないので他の種目に出ている馬を使ったけど障害を得意とする中村と1年生3人がそろったので良い成績が出た。(馬場は)ずっと課題。春先に登録の手違いで主力の馬ではなく馬場専門じゃない馬を使った。頑張ってほしかったけど結局33位になってしまいそれが響いた。(総合では)総合に出す予定の馬が間に合わなかったので急遽もともと総合では使えない馬を出すことになった。そんな中でもそれなりに頑張ってくれた。(中村の失権は)馬自体は調子良かったけど、走り過ぎたのかな。鼻血出しちゃってアクシデントだから仕方なかった。出ていれば個人で1位取れていたのでもったいなかった。(障害は)馬も疲れていただろうけどみんな上手く誘導していた。(全学では)できることを尽くすしかない。万全の体制でない形で臨むことに既になっているので、もちろん1番は目指すけど次につながるような全学にしたい」

早稲田
「優勝を狙っていたので2位で悔しい。1年生が活躍をしてくれたのに、自分は活躍できなかった。本当に申し訳ないと思っている。1年生はみんなとても上手い。私より障害飛越などもできるので今回も抜てきされた。とても期待している。馬場の結果は悔しい。監督や明千に申し訳ない。明千は24歳のおじいさんなので身体をほぐすように運動をしていた。最近とても調子も良かったが、私が緊張してしまって良い結果が出せなかった。練習していたことも発揮できなかった。馬場に入ってから私が焦って明千にプレッシャーを与えてしまった。主将という立場なので、良い結果を残して皆の肩を軽くしたいという思いがあった。雨の影響は全くなく、経路もいつもと同じなので、完全に自分自身のせいだった。明千とはとても仲良しでいつもお世話をしている。お互いが通じるものがあると思う。今後は11月のインカレに向けて調整をしていきたい。明千の体調管理も重要。他の馬も若い馬ばかりではないのでしっかり管理したい。部員たちも体調管理を気を付ければ大丈夫だと思う。馬のスポーツなので馬のケアを大切にしたい。主将として、今年はインカレ優勝を目標としている。去年も2位で悔しい思いをしたので、優勝をして監督を胴上げしたい。私は3年生で主将をやっているがまだ未熟なのでもっとしっかりとした主将になろうと、自分から変わりたいと思う。部員とは毎朝会い、雰囲気、顔色、馬の状態も見ているので全体を見れているとは思う。チームの雰囲気もかなり良く、上下関係もオンとオフを切り替えてギスギスせず楽しくやっている。正直馬の頭数も部員数も足りていない。今回もプライムローズMが3種目出ているが、それはあり得ないこと。それくらい馬がいないので、明千のようなおじいさんの馬を使うしかないという状態。馬は簡単に買える値段ではないので部員たちは自ら休みもなくOBの方々のところで働かせてもらって部費としている。練習と授業とアルバイトで部員は休めず、リフレッシュも睡眠程度であまりできていないと思う。過酷とはいえ自分たちが選んでやっていることなので4年間やり遂げることが大切。まだまだ馬も部員も練習が必要。もっと意識を高めてインカレに向かっていきたい」

冨永
「今回乗った馬が4日間全部の種目に出ていて疲れていたので不安だったけどOBの方々や先輩も手伝ってくれて5位入賞できたので感謝している。自己ベスト尽くせるようにと思って挑んだ。馬場はいつもより調子が良くて自己最高点を出せた。すごく嬉しかったけど他大の先輩が良い成績を収めていたのでまだまだ。(クロスカントリーは)馬に助けられっぱなしだった。タイムが3秒こぼれちゃったのが悔しい。障害でミスできないと思って最後まで気が抜けない状態だったけど減点0で帰ってこれた。(プライムローズは)気が強くてとっつきずらい感じだけどすごく真面目でやるときはやってくれるスーパーホース。今年の3月からコンビを組み始めた。馬のことをすべて理解できてるわけではないけど相性は良いと思う。(中村の失権は)びっくりした。1年生3人だけで頑張ろうって言い合って挑んだ。ちゃんと帰ってこれたので本当に良かった。(次の全日本学生は)馬場を頑張る。馬はスーパーホースでクロスカントリーも頼もしいので人間のミスを減らせるように練習していきたい」