日大との接戦に敗れベスト8/全日本学生優勝大会

2015.06.29
 全国の強豪校の中から団体戦日本一を決める今大会で、目標としていた優勝を飾ることはできなかった。1回戦、2回戦と順調に駒を進めていった明大だが、3回戦の国学院大戦で3―2と予想外の苦戦。体力が完全に回復する前に迎えた準々決勝の日大戦。スコア2―2で惜しくも内容差による敗戦を喫し、昨年と同様ベスト8の壁を越えることができなかった。

 一本で勝ち切ることができなかった。準々決勝強豪日大戦は大接戦の上での敗戦だった。先鋒川田修平(政経1=愛知県私立大成)が技ありを取られ、1―0と先制されるも、次鋒小川雄勢(政経1=修徳)が払巻込で一本を取り、明大の流れをつくり出す。続く上田轄麻主将(政経4=愛知県私立大成)は、フィジカルで勝る相手に内股を繰り出し有効で決めた。しかし「一本を取らないといけない場面で取れなかった」(猿渡巧海監督)と、ポイントゲッターとしての最大の役割は果たせなかった。
 副将金山天地(政経2=柳ヶ浦)が向(日大)に対して有効を得るも、一瞬のスキを突かれ小外掛で一本取られてしまった。スコア2-2、日大の優勢勝ちの状況で大将対決となった。大将名垣浦佑太郎(政経2=愛知県私立大成)は序盤から積極的な攻めを見せ、攻撃を仕掛けていく。しかし、ほぼ互角の相手に技を掛け切ることができず、引き分けで試合を終えた。内容負けにより、明大は準決勝の舞台に立つことを許されなかった。

 一本勝ちの重要さを実感した。日大戦、ポイントゲッター上田は有効勝ちで一本を取り切ることができなかった。「日大戦では自分が一本を取っていたら勝っていた」とわずかの差での敗戦に悔しさをにじませた。今シーズン団体戦では負けなしの上田は、日本代表として臨む次戦のユニバーシアードに向けて「自分のスタイルで自分の柔道をやって優勝したい」とまた新たな挑戦へ目標を立てた。個人での活躍も十分に期待できる。

 5月の東京学生優勝大会同様、3人の1年生を団体メンバーに加えて挑んだ今大会。中でも田中源大(政経1=高川学園)は世界ジュニア優勝経験のあるレイズ(日大)に恐れず積極的に技を掛けていき、実力差を感じさせなかった。その戦いぶりに猿渡監督も「次戦った時には田中は勝てる」と太鼓判を押した。優秀選手として選ばれた小川、先鋒で大事な役割を果たした川田もこれからの成長が期待できる。狙うは日本一。選手一人一人が頂点を目指して切磋琢磨していく。

[長谷川千華]

試合後のコメント
猿渡監督

「(オーダーは)ある程度思った通りにはできていた。試合前にオーダー見て、小川と上田に必ず一本取ってこいという話をして。その内の一人の上田が有効止まりに終わってしまったということで飲まれたのもある。やっぱりチームの柱、ポイントゲッターが一本を取らないといけない場面で取れなかったっていうのがチームが負けた状況だと思う。(相手のエースに1年生二人が当たった)先鋒の川田に関しては、勝っても負けてもチームに勢いをつける柔道をさせたいと思っていた。佐藤(日大)は同じ階級で、川田も100kg級の個人戦で優勝を目指してかなきゃいけないので、その壁をぶち壊すためにも先鋒でということ。まあ先鋒で佐藤が来るかどうかは半信半疑なところもあったんだけど、結局佐藤が来たので思いっきりやってこいという話はした。田中に関しては相手が学生チャンピオンであり世界でも活躍している選手なので、自分の力がどのくらいあるのか試してこいっていう話もした。田中も全日本選手権に出場して、あれだけの戦いをしているってことは、1年生だけど僕の中では田中はシニアレベルに達していると思っていたので。やってみて五分の内容だったし勝てるかなとも思っていたので、そこは学年抜きにして一柔道選手として戦わせてみたいなと。(小川が全て一本勝ち)先月と比べて大きく変わったところはないけれども、入学した当初と比べるとかなりレベルアップしていると思う。レベルアップの中でも力がパワーアップしたってところで、少しだけど技術が向上してると思う。今後やっていかなきゃいけないところは投げるための技を身につけることだと思うので、その部分をしっかり強化していきたいと思う。(川田は)まだまだ力不足、腕力不足というのもあるし、対右組み、ケンカ四つの相手の組み手が勉強中というのもある。結局、今回(佐藤に)負けた要因っていうのは体力差じゃなくて技術の部分なので。佐藤に負けた場面っていうのをしっかり頭に残してやっていけば同じ負け方はしないと思うし。(1年生以外は)今日に限っては情けないね。1年生があれだけ一生懸命戦っている状況を見て、俺はもっと頑張らなきゃいけないだとか、1年生に任せていちゃだめだとか。またはキャプテンの上田に頼って、上田先輩が勝つから俺は引き分けでいいやとかいうような考え方を持ってたやつも中にはいたと思うし。僕もその部分を、自分がポイントゲッターにならなきゃいけないんだと、柱にならなきゃいけないんだという自覚を持たせながら今の2年生、3年生は鍛えていきたいなと思う。高校の時は安田にしても名垣浦にしてもポイントゲッターだっていう気持ちを持って戦えていたのが、大学になってからその気持ちがなくなってしまうという状況になってしまっているので、その状況をもう一度起こさせながらやってかなきゃいけないかなと感じている。(日大戦に出場していない選手については)7人だけが選手じゃないんだと。12人に選ばれたからには試合に出してくださいよというアピールも含めて、試合に勝ちたい、出たいという気持ちを持ってやってもらいたい。最後の日大戦に出した7人が今の状況でベストだったので、そこで監督を悩ませるような選手になってもらいたいなと。(今後は)春の無差別の団体に関しては、大黒柱の上田がいなくなるということでポイントゲッターが一枚欠けるということで重要になってくるし。今回小川が全部勝ったけど、もっとしっかりした柱になれるようにしないといけないし。田中に関してはエースとしての自覚を植えつけながら、二人を軸にしていきたい。あとはその二人に負けないように周りをもっとレベルアップさせて、技術的にも体力的にもまだまだ足りていない選手がいるので。来年は7人だけじゃなくて、12人全員で戦えるようなチームにしていきたいなと」

上田
「(今大会を振り返って)。日大戦では自分が一本を取っていたら勝っていた。敗因はそこに尽きると思う。チーム力では東海、筑波に勝てる力はあったと思う。(準々決勝の日大戦は)1年の小川が勝って、いい流れが来ていて、自分も勝ちはしたがあそこで一本を取れていたら完全に勢いに乗れたと思う。ポイントを取るには取れたけど、ポイントだけではなく勝ち方にもこだわっていかないといけないとあらためて思った。(ユニバーシアードに向けては)海外選手だからといって、戦い方は変えずに自分のスタイルで自分の柔道をやって優勝したいと思う。(団体日本一を取るためにこれから必要となるものは)1年生にばかり頼るのはダメというか、自分も含めてもっと上級生が頑張らないといけない。(今シーズンの調子は)一応これまで全部勝ててはいるが、もっと内容を良くしていきたい。そうすれば結果も付いてくると思う」

小川
「調子は良かった。大会までは技を掛けて投げ切ることをテーマに練習してきた。個人的にはチームが優勝するために、自分が全部取るという目標を持っていた。目標通り全て一本を取れたが、3試合しかやっていないので満足はしていない。準々決勝の日大戦がこの大会の一つのヤマ場と臨んでいて、個人としてはそこで払い腰で一本を取ることができて良かった。ガッツポーズは自然に出た。国学院戦では高校の先輩が相手で、やりづらさはあったが、そこも一本を取れたのは良かった。チームとしては全体的に紙一重の試合が多かったです。そこで決め切ることができなかったので、この結果になった。国学院戦でも接戦になり、どこか勝てるだろうという油断があったと思う。監督からは試合後、全体に向けて油断と紙一重の部分を言われた。東京学生で良かった分自信はあった。勝てるだろうと思ってしまった。(今後について)この大会は全て一本を取れたが、いつでもどんな試合でも取れるように練習していく」

川田
「試合は、先鋒で出て流れがつくれなくて先鋒の役割をもっと意識していきたい。組手は自分より一段上の選手だった。これからもっと意識して練習していきたい。全日本は、初めてで緊張したけど思いっきりやれと言われた。1番最初の試合は、今日は体動くなと思った。国学院戦は出なくて、日大は出ろと言われたので、ちゃんとアップして気持ち整えて出ました。(日大の佐藤との対戦は)相手がポイントゲッターだったので、最低引き分けで。思いっきり行けと言われたので。そこで取れたら取るという感じで。(東海や日大とは)僅差になってくるので、失点出さないことを1番の目標にみんなで取っていく」

田中
「結果はベスト8で悔しかった。(日大のレイズとの対戦で)思ったほど強くはなかった。もうちょっと練習したら勝てる相手。力は僕のほうが勝っていたと思う。あとは技と組手を磨けばポイント取れると思う。相手はポイント取ろうとしてきた。上田先輩に、釣り手を落とされるから気を付けろと。奥襟を叩いて落とされないようにしていた。釣り手が低いと落とされやすいので。監督に、負ける相手ではないと言われた。(自分の立ち位置は)ポイントゲッター。もうちょっと押し込んでいけたらよかった。(3人の一年生の中では)競い合っている。(初めての全日本の舞台で)日本一になったことないので、今年は優勝狙えると思って本気で練習した。ダメだったのでまたリベンジしたい。自分から攻めにいく柔道を心掛けて練習していきたい」