
単複ともに優勝者現れず 松下ら初のランク入り/関東学生選手権
ダブルス
ベスト4にも笑みは少なかった。昨年のベスト8から一つ成績を伸ばした滝澤・坪金組だったが決勝進出も可能だっただけに悔しさを募らせた。準決勝の相手は松下・船本将志(商2=野田学園)組を破った専大の田添・郡山組。第1ゲームは滝澤、坪金ともにいいところを出せず5本で落とすも、第2ゲームではチキータレシーブやフリックなどの巧みな台上プレーが決まり始めゲームを取り返した。勝負を分けたのは第3ゲーム。ジュースにもつれる展開で4度のゲームポイントをつかむもこれを生かすことができず14―16で力尽きた。今大会はジャパンオープンと重なったことにより昨大会覇者が出場していなかったため「優勝を狙っていたがベスト4になってしまって残念」と滝澤。優勝の難しさをあらためて実感した。
新人戦の勢いを再現できなかった。5月の関東学生新人戦を制していた酒井・渡辺組。さらに渡辺は大学に入ってから公式戦全勝と今大会も期待されていたが、準々決勝でついに連勝が止まった。ゲームオールジュースの末先にマッチポイントを握ったが「勝ちを意識し過ぎてしまった」(渡辺)と守りに入ったところを相手にうまく突かれた。「仕方がない」と渡辺は気持ちを切り替えるしかなかった。
シングルス
有延は決勝でフルゲームの末惜しくも破れ準優勝だった。準決勝までは「勝っているときに勢いに乗れていた」と有延。鋭いバックやフォアで相手をねじ伏せ、決勝まで一度もフルゲームにはさせなかった。準決勝では松下との同士討ちを制した。「最近松下さんと対戦していなかった」と話した有延だったが、勢いそのままに先輩相手にストレート勝ちを収めた。決勝では途中まで1―3と苦戦するが調子を取り戻し、フルセットまで持ち込み粘り強さを見せる。しかし「試合数が多くてばててしまった」(有延)と最終ゲームは疲れからか相手に押されてしまい優勝を逃した。今後への目標を「粘り負けせずに勝つこと」とした有延。粘り切れず負けてしまった今大会を糧に成長する。

準優勝を果たした有延
今大会でベスト4入りを果たした松下。数々の実績があるこの男だが、意外にもこれまでの関東学生選手権の中で初のランク入りとなった。これまでの3年間は全て5回戦敗退だったが、それを乗り越えてのランク入りだ。昨年インターハイ3冠を達成した坪井(筑波大)相手に4―2で勝利。ゲームを連取されることなく「戦術がはまって自分の流れでできた」(松下)と優位な試合運びで準決勝へ駒を進めた。準決勝の有延との同士討ちはストレートでの敗北。「ちょっと悔しいのはあるけど仕方ない」と松下。ランク入りへの満足は少なく、優勝を狙っていたが果たせなかった悔しさを口にした。
滝澤は前日のダブルスに続きシングルスでもランク入りを果たした。1年次、2年次ともにランク決定戦で敗れていた。さらに昨年の全日学ランク決定戦ではセットオール、11―10と先にマッチポイントを握るも逆転負け。ここぞという場面での勝負弱さが課題だった。「やっと壁を超えられたかな」。今年のランク決定戦は前日のダブルスで敗れた田添(専大)との対戦。「組み合わせが決まった時からそこしか見ていなかった」と、試合前から動画で相手の卓球を確認するなど入念な準備を怠らなかった。出だしから積極的な攻めを見せ2―0とリード。その後は積極さによるミスも響き2―2まで追い付かれたが、第5ゲームは最後まで攻めの姿勢を貫き、念願のランクを勝ち取った。しかし準々決勝では一転「守りに入ってしまった」。相手サーブにも苦しめられ1―4で敗れた。「どんな相手とやっても対応できるようにしないといけない」と次なる課題が明確になった。強豪ぞろいの明大で着実に力をつけ、毎年徐々に成績を上げている滝澤。「この成績に甘んじることなく全日学でもランクを」。昨年逃した大物を今年こそ捕らえてみせる。
初めてランク入りをした選手や、一つでも多く勝ち進んでいる選手が増えたという点で底上げされていることが分かった。それでも単複どちらも優勝者が出ず物足りない結果となった。「負けて学ぶこともある」と髙山監督。常勝明治が原点に戻り、次の試合となる7月の団体インカレで躍動する。
[板橋洋子・吉田周平・木村亮]
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