
早大との大一番で今季初勝利 2部残留決める/関東大学2部リーグ戦
今季のベストファイトで2部残留をつかみ取った。ここまで開幕3連敗。後がない明大だったが、ライトフライ級・工藤洸弥(文1=弘前工業)が好戦で流れをつくると、続くフライ級・東島健(商4=千葉経大附)、バンタム級・内野滉史(商2=東福岡高)が連勝。ライト級は落としたが、小山内幹主将(文4=青森北)、米澤直人(文2=奈良朱雀)がまたも連勝を果たし試合を決めた。最後はウェルター級・玉山勝也(商3=盛岡南)が復帰戦を勝利で飾り、5―2で早大を下した。
安堵(あんど)の表情を浮かべながらも、高々と右拳を突き上げた。「ほっとしました」。米沢がライトウェルター級を制し4―2。この時点で今季初勝利が決まった。「率直にうれしいですね。やっと花が咲いたかな」(小山内主将)。2部残留を手中に収め、主将もまた安堵(あんど)の表情を見せた。
負け続けていても、見失わなかった。「負けている時期もあったけど、その負けがより絆を強くした」(東島)。ここまで3連敗、早大戦を落とすと3部入れ替え戦に回る厳しい状況下で、2週間お互いができることを再確認し練習に励んだ。「本当は自分も勝ち切りたかったけど、気持ちは見せられたと思う」。そう話したのは、熱戦を繰り広げたトップバッター・工藤。昨年リーグ全勝の岩田(早大)相手に2Rまでリードを奪う善戦を見せた。そんなルーキーの姿勢に、続く4年生東島も応えた。「工藤がああいう試合をしてくれて力になった。勢いになったので、絶対につなげないといけないと思った」と気迫のファイトで圧勝。勝利を呼ぶ、理想的な流れをつくり出した。
明治スタイルで大金星を挙げた。内野のリーグ戦初勝利は、同点の場面で強敵から奪った貴重な白星だった。「うれしいし、後楽園ホールという舞台で勝てたのは自信にもなる」。相手の江口(早大)は典型的なインファイター。打ち合いを避け、長いリーチを生かして外から攻めるボクシングで、要所で着実にポイントを稼いでいった。「ジャッジもいい形のボクシングをしていると見てくれたのかなと思う」(星野隆監督)。対照的なスタイルで挑んできた早大を伝統のアウトボクシングで打ち破った。
「正直もう負けてられなかった」。同期の米澤はすでに4勝している一方で、自分はいまだ0勝。チームに貢献できていない焦りもあった。「意地でも勝ってやる」。そんな中で家族にかけられた言葉は『負けてもあんまり気にするな』。「その言葉で落ち着けた。今までで一番落ち着いてやれた」。さまざまな思いを大舞台で感情をコントロールする力に変え、3部降格の重圧をはね返した。
玉山が悲願の今季初勝利を収めた。開始早々大ぶりの左フックを相手にかまし見事復活を印象づけると、2Rはガードを固める相手に対し、細かくパンチを当てていく冷静ぶり。その後も左ストレートと右フックを中心に重いパンチで攻め続け、ブランクを感じさせない圧巻の試合運びを見せた。
10キロ以上の減量の陰には仲間がいた。1ヶ月減量で苦しんだ玉山は、今季出場0。春合宿での膝のケガもあり、開幕まで減量できずにいた。「減量の途中心が折れかけていたが努力し続けていた」と東島。12キロ減量するため、小山内には毎日食べたものを報告し食事制限、鎌田マネジャーに付き添ってもらい皇居の周りをサウナスーツで走ったりと、チームのみんなで成し遂げた減量だった。「感謝しかない」。苦しみながらもチームの支えのおかげで無事減量に成功し、入替戦を懸けた今季初試合初勝利を収めた。
今節で残留を決めた明大に残る1節は慶大との一戦。4年生の有終の美を飾るべく、チーム一丸で勝利をつかむ。
[萬屋直・石塚真維]
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