
金山、水野、野々内の3人が全日本ジュニア出場権獲得/東京都ジュニア体重別選手権
2年連続の準優勝も、表情は曇った。優勝を目標に掲げ臨んだ81kg級の金山は決勝の舞台に進み、対するは藤原(日体荏原)。互いに小さいころから試合をしたことのある間柄で「やりにくかった」。3月の全国高校選手権81kg級王者の攻めの柔道に苦しみ、金山のペースに持ち込めない。すると、試合中盤に投げ技を受けて一本負け。畳にしゃがみ込む金山の表情に悔しさがにじみ出ていた。「相手が高校生ということで少し油断した」と反省。もう一つ進歩するために、精神面の強化が求められる。課題がはっきりと表れた準優勝だった。

頭角を現した水野は3位入賞を果たした
66kg級では新星が現れた。水野は準々決勝で、高校の先輩にあたる渡邊(東海大)との対戦。「意地でも負けたくなかった」と、勝てば全日本ジュニアの出場権を得られる試合に、一層気合を入れて臨んだ。開始2分半頃に払い腰で有効を奪い「自分のペースに持って行けた」。その後反撃されたが、そのまま逃げ切り勝利。初の全日本ジュニア出場を決めた。
強い先輩との練習が力となっている。練習では2013年世界ジュニア王者の橋口祐葵(政経3=延岡学園)ら、同じ66kg級の実力者とトレーニングを重ねており「強い先輩と練習している自信をもとに、力を発揮できた」と猿渡琢海監督は評価。準決勝では一本負けし、3位となった水野は「相手に勝るものを増やしていきたい」と成長を誓った。

攻めの柔道を展開した野々内
積み重ねてきた努力を結果で示した。準決勝では苦手とする相四つの大型選手との対戦で敗れたものの、昨年の3回戦敗退から躍進を遂げた90kg級の野々内。初戦から「勝ちたい気持ちが前に出たから勝てたと思う」とフィジカルとメンタルが絶妙なバランスを保ち、勝ちを重ねていく。自分から仕掛けていく柔道が展開できていただけに準決勝では悔しい敗戦となった。「相四つの時に後ろに下がってしまう」という悪い癖が出てしまい、技を掛け切ることができなかった。
猿渡琢海監督は「コツコツと積み上げているものが、試合に発揮されて自信になったと思う」と野々内の戦いぶりを称賛。練習での成果を存分に試合で表現した野々内だが目指すのはまだまだ先だ。明確になった課題の修正に努め、今後の団体戦での活躍、全日本ジュニアでの優勝にも期待が懸かる。
「全体的に満足のいく結果ではなかった」。猿渡監督は物足りなさを口にした。上位入賞選手も含め全体に「メンタル面」の強化が求められる。リードした場面での油断、格上相手への弱気な柔道。スキをなくすことでさらに上のレベルの柔道を追い求める。来週に迫った全日本学生優勝大会では金山、野々内に加え重量級の名垣浦佑太郎(政経2=愛知県私立大成)、川田修平(政経1=愛知県私立大成)ら今大会で振るわなかった選手たちにも大きな期待が懸かる。王者東海大へのリベンジ、そして2001年ぶりの日本一奪還を果たしてみせる。
[森光史・鈴木拓也]
試合後のコメント
猿渡監督
「(今大会を総括して)良かった奴も成長した奴もいたが、全体的に満足のいく結果ではなかった。野々内はいい戦い方をしていた。コツコツと積み上げているものが、試合で発揮されて本人も自信になったと思う。今回は3位という結果だったけど次の全日本ジュニアでは優勝目指して頑張ってもらいたい。組み手も進歩しているし、相手を投げることもしっかりと身に付いてきている。本人が今日もポイントをリードして少し弱気になる部分があったので、メンタルを強化しながら体ももう少し強化して、全日本ジュニア頑張ってもらいたい。水野もようやく全日本ジュニアの切符を手に入れて、あいつも練習の環境では一つ上の橋口だったり66の強い選手と練習しているわけだから、強くなっていないはずがない。そういう強い先輩たちと練習しているという自信を元に、力をちゃんと発揮できればここまでできるわけだから水野も野々内と一緒で自信を持ってもらいたい。全日本ジュニアは夏明けでかなり時間が開くので、それまでにはもう二回りくらい鍛えていきたいなと思う。(金山は)結果は昨年と同じで東京2位だけど、負けた相手が高校生だから。東京大会だけれども俺が一番強いんだとアピールすることで、試合運びだとか審判の目線も変わってくる。だから結果をちゃんと出してほしかったが、高校生相手に油断して足元をすくわれてしまった。その辺のツメの甘さだったり、金山も課題はメンタル強化かな。(来週の全日本学生に向けてチームの状態は)今日は12人中5人が試合に出ていて、良かったのが金山と野々内、悪かったのが川田と三村と名垣浦。この5人は必ずどこかで活躍してもらわなければならない場面が出てくるので、試合後のミーティングでは気持ちを切り替えてしっかりと次の試合に向けてという話はした。今日出た選手がしっかりと戦ってくれたら、チーム状態も上向きになる。あとは出なかった上田(轄麻主将・政経4=愛知県私立大成)、安田(圭吾・営3=愛知県私立大成)、小川(雄勢・政経1=修徳)、田中(源大・政経1=高川学園)の4人に関しては順調に調整できている。4人が勝てれば負けることはないので、チームの勝利に貢献してもらいたいと思っている。東京で2位になったことが学生たちの自信になっているし、やればできるんだな、もうひと踏ん張りだなと思っていると思うので、次は日本一を懸けた舞台になるので新しい気持ちで、挑戦者としてやりたいなと思う」
金山
「(昨年も準優勝だったが今年の今大会に懸ける思いは)優勝したかった。(決勝戦は)相手が高校生だったから少し油断して、最後は投げられてしまった。調子に乗って勝てるだろうと思ってしまった。気の緩みが自分の欠点だと思う。監督からも気の緩みについて指摘された。九州の選手で小さい頃から試合をしていたので、お互いに技を知り合っていたからやりにくかった。強かったけど高校生には負けちゃいけない。また一からやり直さなきゃ全国では勝てないと思う。(接戦となった準決勝は)たまたま勝ったみたいな感じ。(来週の全日本学生ではどんな働きをしたいか)自分はやるべきことをやって全勝するだけ。(9月の全日本ジュニアでは)今年は獲って世界ジュニアも獲る。(シーズン初めは国際大会にも出場したが)そこでも課題は気を抜かないということを思い知った。そこが弱いところなので、直していかないと世界の前に日本も獲れないと思う。(技術的な部分で取り組んでいることは)技のパターンを増やそうと思っている。研究はしているが、試合ではビビって掛け切ることができなかった。試合で使える技のパターンを増やしていきたい」
水野
「結果は3位だったが、優勝したかった。(2回戦)諦めずに前に出て攻めた結果、ゴールデンスコアで勝てた。(準々決勝の渡邊との対戦)高校の先輩で、意地でも負けたくない試合だった。これまでやったことはある。先制でポイントを取れて、自分のペースに持っていけました。後半は危なかったが、先制できていたので耐えられた。先に持って自分の組み手ができていたので、自信を持って投げられた。(準決勝)前半は自分の柔道ができていたが、寝技で決められてしまった。全日本ジュニアでは同じような負け方をしないように、優勝を狙う。今後は自分から攻める柔道を徹底し、相手に勝るもの、投げる部分などを増やしていきたい」
野々内
「(3位で全日本へ)決まったのは決まったが、準決勝であっけなく終わってしまったので、自分の課題が見つかったということでそれを直していきたい。(準決勝の相手は)対戦経験はなくて。一応インターハイ優勝していて、去年の都学も優勝していて強い相手だというのは分かっていた。分かっていて思い切りいってやられた。(戦い方としては)自分の悪い癖で相四つの時に後ろに下がってしまう癖があるので、組み手、足技をしっかり出していって指導を取りながら一本を取れる柔道をしようかなと思っていた。(相四つに苦手意識は)相四つのでっかいのが苦手で。それを対策していこうかなと思う。(監督からは)準決勝では自分の悪い癖が出ていたと言われたのでそこを直していきたい。(収穫は)試合中の集中力と勝ちたいという気持ちが前に出たから勝てたと思う。来週(全日本学生優勝大会)は絶対勝たないといけないので、みんなで力合わせて、一戦一戦勝っていきたい。もし出してもらえたら、勢い付けてチームに元気を与えられるような戦いをしていきたい」
関連記事
RELATED ENTRIES