激闘の末慶大に敗戦 リーグ5位で終える/関東大学2部リーグ戦
あと一歩だった。「くそ負けらんねぇ」。2Rを終え、ややリードを許し迎えたインターバル。勝利の予感に雄たけびを上げる梅津(慶大)に負けじと玉山はほえ返した。3-3、自身の敗北がチームの敗北に直結する正念場。1年次から同じ展開を何度か経験していたが、これまで負けたことはなかった。「ついに来たか」。出番がくるまではそう感じる余裕があった。しかし、右ジャブと左フックのコンビ―ネーションで攻め立てるも、相手の細かいステップに対応しきれず、パンチが当たらない。焦りからか気持ちが先走り、パンチが大振りになる悪循環。2R1分13、22秒と立て続けにクリーンヒットされリードを奪われる。リーグ最終戦。尊敬する先輩たちのために勝ちたい。そんな気持ちが玉山の冷静さを奪った。一進一退の攻防の末、最後はわずか1ポイント差で悔しい敗北。4年生の最終戦を勝利で飾ることはかなわなかった。「申し訳ない気持ちでいっぱいです」。試合後、玉山の目には涙がにじんでいた。
3人の4年生にとっては最後のリーグ戦。小山内主将は「勝ちに導けなかったのが心残り」と話したが、チーム最多の4勝を挙げチームをけん引した。東島健(商4=千葉経大附)は自己最多の2勝。フライ・ライトフライ級の選手としての気持ちのこもったファイトで何度も流れを呼び込んだ。松島徹(政経4=太田東)は今回の最終戦に出場することはなかったが、チームのために階級を変えて臨んだ中大戦で自分のスタイルを変えることなく貫いた。結果は敗北と悲願の勝利はかなわなかったが、前に出て戦う姿は頼もしかった。「感謝してもしきれない。2人がいたからここまで続けてこられた」。4年間共に戦ってきた2人に対し、東島は思い出をかみしめながら話した。
先輩の思いを確かに受け取った。2―3でリングに上がった米澤は逆境を跳ね返し勝利。2年連続の3勝を挙げ、次期エースとしてますます信頼感を増した。「来季は全勝すると先輩に約束しました」と力強い言葉を残した。また、ルーキーの工藤も期待の星としてさらなる活躍が期待される。ここまで4戦2勝の有望株は今節も魅せてくれた。1R開始2分10秒。ロープ際にラッシュをかけスタンディングダウンを奪いリーグ戦初のTKO勝利。慎重に相手の様子を見ながら徐々に攻めていき、一気に勝負をかける戦い方から光るセンスが見えた。「4年生の先輩には助けてもらってばかりだった。だから来年は結果で恩返しができたらなと思う」(工藤)。
[石塚真維]
試合後のコメント
星野監督
「今日の試合は、慶応の前に出るファイトに負けた。慶応の3部から2部に上がってからの勢いがあった。技術的には上だった。そういった意味では、一生懸命やれば勝てるといういい手本になった。これが負けたけど、次のステップになると思っている。4年生は小山内がよくやってくれた。今回のキャプテンとしての働きはいい働きだった。チームをよくまとめた。陰では松島が階級を変えて試合に3回出てくれた。あの階級には誰もいなくて、欠場していたらマイナス点。3試合マイナスだったらうちがビリだった。勝てない試合というのは分かっていても戦ってくれた。本当はライトウェルターなのに。東島も今日は実力が出ていなかったけど、よくやった。今年の4年生はよく立ち向かって部のためにやってくれた。褒めてやらないといけない。来年を考えたら慶応に負けたのもよかったのかもしれない。負けたということは、これからあいつらを鍛えるためにいいたたき台。良い経験になった。明治がこれから盛り上がるためのいい経験」
小山内主将
「今回はコンディションが悪くて、最後なので絶対に勝たないといけない試合で、気持ちでいった。技術的にも今まで1番良くなかった。満足はいっていない。その中でも流れは常にこっちで、勝っているからこのまま行こうと思えてできた。ストレートはもらわないようにした。本当に勝っただけ。チームとしては、勝ちを引き寄せるパワーが相手の方があった。全体のまとまり、チームワーク、練習の質がつながったのかなと。来年もリーグ戦をもう一回やりたい。僕はそう考えている。本当にいい試合もあったし、次につながる試合もあったし、無駄な試合がなかった。5位という結果だけど来年もやりたいなという気持ちはある。やっぱり、優勝する気持ちでやってきたので、ふがいない。それでも、このチームでできて良かったかなと。最後の最後に、3部から上がってきた慶応に負けてしまったというのが、来年の4年生とかロッカールームで泣いていましたし、刺激があったかなと。負けて得るものもあるので。自分はこんな感じで引退だけども、それを身をもって知った。あいつらがかえていくか。僕はアドバイスしかできない。チームとしての後楽園は最後なので、昨日とかはこれで最後なんだなとか思っていた。でも、最後は勝たないといけないと思っていたので、どんなに調子が悪くても勝とうと思っていた。僕としてはこれでよかったのかもしれない。ただ、チームを勝ちに導けなかったのが。3部の経験を後輩にさせることにならなくてよかった。もうそれだけですね。1年生の時はこういう輝かしい場所で戦えなかったので、なんでこの大学入ったんだろう、もっと強い大学にいけばと思ったこともあった。何とか大丈夫なのでよかった。うまく言葉に表せない思いがあった。松島とかも階級を変えても、最後の試合は自分のスタイルを崩さなかった。負けてはしまったけど、前に出て戦っている姿は、あいつが帰ってきたと思った(2~3年次に部活を離れた期間があったため)。後輩に伝えたいことは、自分ですべて見せてきたつもりだし、ダメなところも見せてきたので、サポートであいつのらの形をつくってほしい。毎年毎年違うので」
東島
「自分の試合としては、相手がぐちゃぐちゃきてしまっていたので付き合ってしまった。そこで、こっちもぐしゃぐしゃになった印象しかない。2R目の減点で判定もあっちに流れてしまった。どっちつかずの試合をしてしまったので、負けはもう仕方ないと思っている。完敗です。打ち合っても打ち勝てると思ってしまった。でも、あっちもやっぱり最終戦で絶対勝つという気持ちが伝わってきていた。そこでこっちも負けているつもりはなかったけど、冷静になってきれいなボクシングができていれば、対処できたかなと。今日の試合は7-0で勝って終わりたかったけど、勝てただろう試合が残念な負けになってしまった。個人の敗戦よりも、チームの敗戦が悔しい。それが正直なところです。やっぱり微妙な判定だと、あっちについてしまう場面が多かった。(今年のリーグを振り返って)個人としては最後の最後まで迷惑をかけてしまったなというイメージだった。やっぱりチームみんながおのおの気持ちを見せてくれる試合があったので、負けても頑張ろうと思えた。チームに支えられた部分が大きい。やっぱり4年生ということで引っ張っていきたかったけど、なかなかうまくいかなかった。申し訳ない気持ちと自分の悔しい気持ちの両方がある。でも来年は、後輩が今年のリーグ戦で頼もしいところを見せてくれたので、来年に期待したい。(同期の二人に言いたいこと)感謝してもしきれない。自分一人だったら絶対ここまで続けられてこなかった。小山内と松島の4年生の二人がいたから。印象に残っているのは、1番最初に会った光景。それから4年間って早いなと。3部から始まって、上がってからもずっと一緒にいて、本当にいろんな思い出がある。感極まるものがある。3部だと後楽園、ボクシングの聖地と呼ばれるところではできない。環境も悪いし、3部では絶対にやらせたくないという気持ちがあった。とりあえず、ほっとしている。最後は良い流れで終わらせたかったけど、悔しい。ゴングなった瞬間は、気持ちで負けているとは思っていなかった。もう少し冷静になれていれば。ちょっと力んでしまったのかなと。良いところを見せたいと。(ボクシング部で得たもの)他の学校でやっていたら自分は4年間続いていなかった。やっぱり仲間との絆が強いチームだと思うので、このチームでやってこれたのが充実していた。監督、コーチ、スタッフ、選手。本当にみんないい人だった。昨年の減量の時も先輩がきてくれたり、今年勝ちがない中で、見捨てず一緒にやってきてくれた。そういう意味では1番辛い時に支えてくれたというのが大きい。他のチームだったら人数がいるし、代わりがいるやという感じだけど、やっぱりみんながレギュラーなので、マネジャーも選手もよくやってくれた。本当にみんながレギュラーという気持ちが伝わってきた。明治大学ボクシング部でやってこれたというのが1番の財産。人数が少なくて辛いこともあったし、人数が少なくてよかったこともあった。それで先輩や監督、コーチ陣の姿、同期の頑張りや後輩の姿を見て、自分も頑張らないとな思えた。それが財産。辛いことは数えきれないほどあった。ほとんど勝てなかったり、減量がきつかったり、負けたり、辛かった。それでもやってこれたのは自分一人ではなかったから。みんながいるから。負けてもみんながいるし次がある、応援してくれる人もいる。そういうのがあって、辛いからこそ感じるものが多かった。どうしていいかとかずっと考えていた。少人数の中で出してもらっていて、勝てない責任は感じていた。恩返しはできていないけど。後輩には少ない状態でこれだけやっているので、絶対後輩の代では優勝できると思う。自信をもってやってほしい」
玉山
「(3ー3で回ってきたが)今年も来たかという感じでした、いままで1年生の時からずっとこういった場面で回ってきていたので、今回も勝ちたかったんですけど結果がこうなってしまって。(4年生の先輩は)自分が1年生の頃からずっと面倒を見てもらってきたので本当に尊敬してます。特に小山内先輩はバイト先も一緒で同じ東北で一緒にいた時間が長い先輩なので、尊敬と申し訳なかったなって気持ちでいっぱいです。(今日の試合について)ジャブをいっぱい突いて、入ってきたところをカウンターで常にアウトボクシングでいこうとは思ったんですけど、ちょっと上手くいかなかったかなっていうのはあります。(3R前の雄たけびは)あっちもぱっと見たときほえていたので、くそ負けらんねぇと思ってほえてみたんですけどほえて疲れちゃいましたね。(試合後の抱擁は)よくスパーリングをしていて知っている相手だったので、結果は良くなかったですけど、全力尽くしてありがとうという感謝の気持ちでした。(来年は最上級生ですが)4年生の意志を継いで自分が引っ張っていこうとは思っています。(減量は)しんどかったですね。岩盤浴とかに行って、絞ってました。食事制限もきつかったです。今回は自分でやった感じです。前回よりは仕上がりはあんまり良くなくてやっぱり先輩は偉大だなって。(新階級について)同期も同じ階級なので、できれば一緒に出て勝ち星を挙げたいと思っているので、フルではないですけど、何戦かは頑張って落として出たいなとは思っています。(来年に向けて技術的な部分は)伸ばすというよりまずは改善をしたいです。焦って全部大振りになっちゃって、観客席からはボディーボディーとやじが飛ぶぐらいだったので、今度こそボディーを打てるようにしたいと思います。技術はどうか分からないですけど、気持ちはへなちょこだった自分と比べるとだいぶ強くなったんじゃないかと思います。引っ張っていくというよりは、みんなに背中を押してもらうって感じですかね。協力してもらって頑張っていこうかなと思います。(4年生との思い出は)多すぎます。去年みんなで富士Qに行ったことですかね。水圧レストランに行ったりして、遊んだこととか。合宿で練習の休み時間に遊んだことも印象に残っています。プライベートも一緒にいることが多かったので、いなくなっちゃって大丈夫かなと思いますし、寂しい気持ちです。来年は全勝して2部優勝1部昇格を目指したいと思います」
米澤
「周りも勝つとは思っていたので、最終戦いい勝ち方をして終わりたいと思っていました。2―3で回ってきたのは予想外でした。シーズン中も何度かそういう場面があったので、いつも通りの試合をして後ろの玉山先輩につなげよう、自分のボクシングをしようという気持ちでした。3ー2か4―1で回ってくるかなと、バンタムの選手が相手強いのは分かっていたので、それぐらいで回ってくるかなとは思ってたんですけど、2―3というので固くなってしまいました。予想していた相手とは違う選手が来たんですけど、オーソドックスな相手だったのでしっかり自分から攻めて、足を動かすのが自分のボクシングだと思っているので、出入りのボクシングをしようと思っていたんですけど、1R目は2―3ということもあって、緊張して体が思うように動かなかったんですもっと夏場走り込んで、しっかり基礎からたたき込んで来年につなげたいです。つながっています。1年のときもそういう形が結構あった。そういうところで勝つか負けるかで成長の度合いも違うと思うので、チームは負けてしまったんですけど、個人としては少しずつ成長できているのかなと実感しています。(今季を振り返って)悔しいシーズンでしたね。去年が3勝だったのでそれを1つでも超えたかったんですけど、負けた2試合が工夫すれば勝てた試合だったので今季はチーム的にも個人的にも悔しいシーズンでした。来季は取り返します。負けは負けなんですけど僅差の負けということで、チーム力は上がっていると思う。あとはもう勝負事なので勝てるチームを、自分は3年生になるんですけど、4年生をしっかり支えて、勝てるチームづくりをしていきたいと思います。自分はライトウェルターという終盤の大事なポジションにいるので、今季と変わらず5勝を目指すのは当たり前なんですけど、1つでも自分の記録を超えるという意味で最低でも4勝、5勝を目指してしっかりポイントゲッターになってチームを引っ張っていきたいと思います。最後、ミーティング終わってから、あいさつして、2年間っていう短い期間でしたけど、ずっと先輩後輩でいるような感じで思っていて、泣かないつもりでいたんですけど、最後は泣いちゃって、先輩からは『来年頑張ってくれ』と言われたので自分も『5勝します』と約束しました。(4年生との一番の思い出は)練習です。合宿とか明治は1番部員数が少なくて、寮とかでもないので、練習で長い時間過ごしていることが1番思い出深いです。辛いときもありましたけど、一緒に乗り越えてこれました。来年からは階級も変わってくるので、その中で優勝を目指します。小山内先輩も言ってたんですけど、スローガンとして『最小で最強』。少数精鋭で乗りきって、今年5位の悔しい気持ちを来年にぶつけて優勝したいです」
工藤
「前回チームとして勝って、今回最終戦なのでここも一番手として勢いをつけられるようにしっかり勝とうという気持ちで臨んだ。今日は落ち着いていつも通りの自分の動きができるように、まずリードからついて距離を図ってやっていこうと思ってやった。早稲田戦の後に腰の痛みが悪化したので、マスという実践的な練習はあまりできていなかったのだがその分体の治療に専念して、今回の試合でベストなコンディションでいけるように調整を意識してやってきた。今日は腰もしっかり治して迎えることができて調整はうまくいった。TKOを取った場面は、パンチが当たった後にしっかりといけたのはよかったのだが、少し力み過ぎてパンチの回転が遅くなってしまったのでもっと落ち着いていければなというのが反省点だと思う。でも一番手で勢いをつけることができたというのはよかったと思うし、勝つことがやっぱり大事だから勝てたのはよかったと思う。今年のリーグ戦は結果としては3勝2敗で勝ち越しで追われたというのはあるけど、まだ自分でも反省する点はあってまだ強くならなければいけないなと思うので、来年に向けて練習を始めて来年は全勝を狙っていきたいと思う。今年は負けた時に動きが止まってしまって足が止まってしまったというのがあったので、ステップを止めないことと自分で攻める連打の練習とかをしていきたいと思う。入部した時は分からないことだらけだったのだが4年生の先輩は一から教えて下さって、小山内先輩は同じ青森県出身として青森の大会にも一緒に行ったし、すごくお世話になった。東島先輩も階級が一番近いので練習の実践の時に一番一緒にやったりミットを持ってもらったりした。松島先輩も自分が困っている時に助けてくれるというか、気が付いて声をかけて下さったりしたので、4年生の先輩には助けてもらってばかりだった。だから来年は結果で恩返しができたらなと思う。4年生との思い出としては、合宿の時に部屋も広いところでみんなで布団を敷いて泊まったりしたので、その時に距離を縮められたというのもあるしきついのをみんなで乗り切ったというのが思い出深い。来年からもLFは一番最初の流れを作る番なので、来年は全勝しますと言って4年生の先輩と話していた。来年の目標はやっぱり全勝で、あとはチームワークが明治の一番良いところだと思うので、そこをもっと高めて自分も流れを作っていけるようにやっていきたい。そして、ギリギリの勝ち方ではなくて誰が見ても勝ったと思えるような試合をしたいと思う」
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