
PK戦の末筑波大破る 大会無失点で2年ぶり2度目の戴冠!/関東大学トーナメント
執念で獲得したタイトルだった。決勝はお互いに決め切ることができない厳しい試合になった。相手に流れがいきかけていた前半28分には左サイドの髙橋諒(文4=国見)から中央にいた藤本にドンピシャのクロス。GKの目の前で放ったシュートは惜しくもGKにはじかれ、最大のチャンスを逃した。後半に入ると1本で裏へ抜け出しゴールに迫る相手の攻撃を小出悠太(政経3=市立船橋)、柴戸海(政経2=市立船橋)らが体を張った守備を見せて何とかしのぎ切る場面が多く、なかなかシュートまで持ち込めない。それでも相手に点を許さず「勝ちたいならやるだけ」(和泉)。連戦の疲れも見え攻守共にきつくなる中、全員が強い気持ちを最後の運動量につなげた。そのままスコアは動かず、PK戦にまで試合はもつれた。会場全体が息をのみ勝負の行方を見守る中、1人目の和泉が落ち着いてゴール右上に突き刺し勝負強さを見せる。相手の1人目を服部がセーブ。2人目の髙橋が決めると応援席に拳を振り上げ明大ムードに。続いた差波優人(商4=青森山田)、早坂龍之介(法3=浜松開誠館)、藤本もしっかりと沈め、キッカー5人全員が決めて勝利を挙げた。
新・守護神
ケガを乗り越えてつかんだポジションだ。3月に膝をケガすると1カ月半もの間サッカーから離れることを余儀なくされた。チームに戻ったのもリーグデビューとなった早大戦の2週間前。サッカーができない期間にも「食ってやろうという気持ちだった」とリハビリ中には6㎏体重を増やし、フィジカルの強化に取り組んだ。文字通り一回り大きくなった服部が今大会、新・守護神としてゴール前を守り切った。
「原点」へ
勝ちが遠のいていたことに対する答えは一番近くにあった。立ち返ったのは今年のチームスローガンである「原点」。大会前に「球際・運動量・切り替え」の3原則と、いい守備からいい攻撃へ、という明大サッカーの本質を見直した。「泥臭く粘り強く戦ってくれた」(栗田監督)と選手全員が気持ちのこもった守備を体現。明大らしい堅守が戻ってきた。リーグ戦での不振に今大会を「もう一回チームが前向きに変われるチャンスだと思う」(和泉)と考えていた通り、1回戦・城西大戦を和泉の劇的決勝ゴールで勝利を挙げるとチームに勢いが戻った。2回戦では朝鮮大相手に6発快勝。3回戦でも守備に回る時間が多い苦しい展開の中でも東洋大に2―0で勝利。準決勝・法大戦でも前半に奪った1点を守り切り、決勝に勝ち上がってきた。「良い守備から良い攻撃へと3原則という原点を見つめ直してこのアミノバイタルに臨んだ」(服部)。今大会前に選手で行ったミーティングで出たのは当たり前のことを徹底すること。チーム全体の意識統一でなされた原点回帰が勝利につながった。
見据えるのは初の総理大臣杯優勝だ。2年前、アミノバイタルカップを優勝し臨んだ大臣杯では決勝で流経大に逆転負けの準優勝。当時の悔しさをピッチ上で知る選手も多い。髙橋は2年前の決勝でイエローカードを2枚もらい退場。「責任は今でも感じている。でもあの試合があったからこそ今の自分があると思う。忘れ物を取りに、優勝を取りにいきたい」(髙橋)とこの大会に懸ける思いは強い。悲願の総理大臣杯初優勝へ。まずは14日に控える前期リーグ戦最終節・専大戦を勝利で締めくくり、この優勝の勢いをつなげたい。
[谷澤優佳]
試合後のコメント
栗田監督
「(非常に厳しいゲームだったが)明治らしい優勝だったと思う。今日もテーマは黒板に『泥臭さ』と書いてきたので、泥臭く粘り強く戦ってくれた。優勝と準優勝じゃ全然違うのでそれはすごく大きかったと思う。(今大会は無失点で終えたが)選手たちが一皮むけてくれたというか、試合を重ねるごとに自信を深めていって、結果5試合0という形になった。ここはまだまだゴールではなくスタートなので、こういう一つ一つの積み重ねでチームが成長して強くなっていけばと思う。(チームが変わることができた一番の要因は)選手自身が考えて、選手自身がやろうとしていることを言われているままにやっているんじゃなくて、それを作り出していることが大きい。(今大会の優勝はどういった意味を持つか)僕が常に言い続けていたのは自信を持って、前を向いてやり通せと。ただ悪いところをいいやいいやにしていると、ズルズルといってしまうのでそこにはしっかりと目を向けた。今チームがやろうとしているサッカーがあるので、とにかくそこに矢印を全員がブレずに統一してやっていこうと。そういうことをリーグ戦で勝ちがない中でもやってきた結果、早稲田、国士と内容的には良くなっていたので、その内容の良さがアミノバイタルカップで花開いたように感じている。(栗田監督自身にとっては)うれしい。僕自身今年は選手と共に一つ一つ勝っていこう、優勝していこうという目標を立てているので、僕自身も勝てたことは大きい。(総理大臣杯で全国優勝が懸かるがそこに向けての修正点は)まず来週の専修大学戦、リーグ戦前期最後ここで勝つと負けるのとでは全然違うのでそこできちっと結果を出してそこから夏に向けてやっていきたいなと。東京都サッカートーナメントもあるし、総理大臣杯については非常に暑い中でタフなゲームになることは2年前で身にしみているのでもう一度体力も含めて精神的にもタフなチームを作りたいと思う」
和泉
「まず目の前の相手に勝たないと次はないので、疲労とかもあるがそれは勝った後に考えればいいので常にベストメンバーで臨んだ。この10日間くらいで5試合という厳しい日程ではあるがその中で何ができるかというのが求められると思うので、正直今日はそういった意味では決定的な仕事もできなかったしまだまだ力の無さを感じた。(今大会は運動量、得点といったところを主将として見せられたと思うが)正直体はキツかったし、つりそうな場面もあったが、そこは応援してくれている部員もそうだし4年生、主将として自分が代わるなんて考えていなかったし、つってでもやってやるぐらいの気持ちはあった。前の選手なのでDF前から行ったりハードワークして、後ろを引っ張るではないが、時には戻って守備する場面もあったしそこはチーム一丸だった。勝ちたいならやるだけなので、そういう気持ちが最後の運動量という部分で出たのかなと思う。個人としては今日は間で受けるだったり、つなぎの意識が強くてゴールにっていう部分で少し弱かったなと思う。うまくつながりながらももっと前に出て行くというところはリーグ戦でも、個人的に感じる部分があった。そういう苦しい中でもやりたいことをやれる選手がいい選手だと思うので、そういう意味では優勝はできたがまだまだチームとしても個人としても足りない部分はあると思うのでしっかりと次という部分を意識してさらに向上心を持って上を目指していきたい」
差波
「(優勝した感想は)みんなで一つ目のタイトル優勝しようと話していたので、延長までいってPKまでいったが結果的に優勝できて良かった。(アミノバイタルカップを振り返って)楽な試合は1試合もなくて、すごい苦しい試合も続いたが何よりも無失点でここまで来られて優勝できたことが、チームとして成長した部分だと思う。苦しい状況でもチームのためにみんながやれたことがこの優勝につながったと思う。(印象に残っている試合は)初戦の城西大との試合はあれだけシュート打って入らなくて、竜司(和泉)が1点決めてくれたところからチームは大きく変わって、決勝まで来ることができたと思うのであの試合は優勝した上でチームにとって自信になる1試合目だったと思う。(リーグ戦からの守備の変化は)服部含めてみんなが90分間通して声を出していたし、今大会後ろの頑張りっていうのが評価される戦いぶりだったと思う。後ろが苦しい時間帯でも耐え切って0で抑えたっていうのが僕ら攻撃陣は感謝しなくてはいけない。その後ろの選手のためにも僕らは点を取るっていうところがかみ合えば、もっと良いチームになるのかなと思う。(総理大臣杯への意気込みは)一昨年準優勝して、昨年は出ていなくて。今年は(アミノで)優勝して準優勝した時と同じ感じで大阪に乗り込むので、優勝しか考えていないし、昨年出ることができなかった4年生の気持ちとかも考えながらやることができれば僕たちには優勝する力はあると思う。残り2か月チームが同じ方向に向かってやっていければ、必ずいい結果が出ると思う」
髙橋
「(今大会は無失点で終えたが守備の手応えは)リーグ戦は無失点の試合が無くて結構不安な部分があったが、トーナメントは失点したら厳しいのでまずは守備から入ろうということを意識してやった。無失点で優勝することができたのは守備の部分で自信が付いた。(リーグ戦と何か変えた部分は)大きなことはないがゴール前で相手のシュートを体を張ってブロックするであったり、GKが出た時のゴールカバーっていうのは勝ちたい気持ちが強かったので自然と出てきていたと思う。(監督からも泥臭さがテーマとして挙げられていたが)結構今日も攻められて決められそうな場面もあったが、みんな体を張って守ってというシーンがあったので、泥臭い部分っていうのは出たかなと思う。(大会を通して何度かシステム変更もあったが)システムが変わった時に自分のポジションも変わるが、前からプレスを掛けていって取るっていうのは4-4-2でも3-4-3でも一緒なので、意識は変えずにできたと思う。(総理大臣杯への思いは)一昨年は1回戦から決勝まで点も取れて失点もせず決勝まで行くことができた。決勝は2-0から3点返されて、個人的にも退場してしまったので責任は今でも感じている。でもあの試合があったからこそ今の自分があると思うので、忘れ物を取りに、優勝を取りにいきたい」
小出
「(今日の試合は)押し込まれて苦しい時間も長かったが、延長戦を通じて0で抑えられたことはチームとして自信が付いたと思う。(テーマの泥臭い守備が体現されていたと思うが)ゴールカバーであったり最後まで体を張るっていうのはチーム全体でDFの選手に限らず前の選手もできていたので、そういう雰囲気っていうか、気持ちの入れ方は続けていかないといけないと思う。延長に入ったあたりでPKになってもいいから後ろはしっかりと0で抑えようという話はしていた。(リーグ戦からの切り替えは)アミノバイタルカップは無失点で悪い流れを断ち切れたので、このいい流れをリーグ戦につなげることが大事だと思う。(ターニングポイントとなった試合は)全部。城西大戦が初めて無失点で終われたのでそこで変わったのかなと思う。(リーグ戦から変わったところは)本当に前向きになったというか、オフェンスの選手も前に前に出ていくし、守備の面でも体も張るし、泥臭さというのは出てきたと思う。(準決勝、決勝と押し込まれる場面もあったが無失点で抑えられた要因は)ボールを回されるときは必ずあるのでそこでイライラせずに、まずは守備に徹するというメンタルでやると決めているので割り切った守備ができたと思う。(課題の修正は)昨日の今日なので大きく変えることは難しかったが、無失点で終えるといういいところを続けられた。(4-4-2と3-4-3の違いは)3-4-3の場合は4-4-2と違って攻撃への関わりは意識できると思うので攻撃的なのかなと思う。割り切った守備が大切になると思う。(総理大臣杯に向けて)今の現状に満足せずに、大臣杯で優勝して帰ってきたい」
服部
「(PKを振り返って)5本中1本は止めないと勝てないので、最低でも1本は止めないといけないという気持ちはあった。もともとPKは得意な方ではあった。最初の1、2本目で1本止めるのが肝心で、フィールドの選手も気を楽に蹴れるので、特に1、2本目は集中した。まぁ、僕は高校の時から助走だったり、角度でPKをどっちに飛ぶか決めるタイプだったので、そういうのが今回も上手くはまって止めれた。1本目も入るコースと助走を見て決めた。(リーグ戦から変わったこと)コミュニケーションを取って組織的にアミノバイタル入る前に確認した。あと、甘さがなくなった。ラインが低くなった時にDFとボランチが低い位置になることがあったけど、そこをDF陣がしっかりコミュニケーションを取って、ボランチを押し出すことを意識的にできるようになった。バイタルに入れさせないのもできるし、ミドルシュートを打たせなくさせることをできたのが、0につながっていると思う。アミノバイタルで負けないために、とりあえず徹底的に話し合った。得られたのは、今年の明治のスローガンである原点というのがあって、球際だったり走り負けないだったり、そういう当たり前のことを徹底してやるというのが欠けていた。何で勝てないんだろうと考えた時に、すごいシュートが入らないとか、応用的なことを考えていたけど、実際勝ててない原因はしっかり守備から入って点を取るサッカーが出来ていない部分があった。そういう原点というのを見つめ直してこのアミノバイタルに臨んだ。良い守備から良い攻撃へと3原則という明治の鉄板。先制点がトーナメントは大事なので、DFが0で抑えるのは鉄則だとは思っていた。そういうのを5試合続けてできたのは収穫になった。(今大会無失点で終えたことについて)意識してなかったと言ったらウソになるけど、0で抑えれたというのは自分としても守備陣としても大きな自信になると思うけど、まだまだ甘さもあるのでそういうのをしっかり突き詰めて専修戦に向けてやっていきたい。(PKは得意)あまり負けたことはなくて、自分の中で自信はあったので、1本2本は止められるなというのはあった。結局1本止めたやつ以外は全部逆に跳んでいたので、それは得意と言っていいのか分からないが、1本止めることがGKとっては大事。(止めた瞬間は)ガッツポーズも自分の中から出てきたし、ほっとしたのもある。明治のキッカーはうまい人が多いので、監督からも1本止めてくれというのがあった」
室屋
「(大会を無失点で終えたが)リーグ戦と比べたら失点をせず、5試合を無失点で終えられたのですごく成長できた大会だと思うが、その中で結構運に助けられた部分もあった。トーナメントなので運も必要になってくるし、そういう意味ではすごくついていたなと思う。(具体的に変わった部分は)とにかくみんなが自信を持ってプレーしていたので、相手に支配されていても僕たちがまずは守備をするっていうのを意識してプレーできていた。焦らずプレーすることが大会を通じてできていたと思う。リーグ戦では守備に嫌な感じをチームとして感じていたと思うが、そういったところで今大会では感じられなかったところが成長した部分だと思う。1回戦からトーナメントを通じていく中で勝ちを重ねて自信を深めたことが、すべてプレーにつながっていったと思う。(大会を通してシステム変更を重ねたが守備の部分での違いは)4-4-2はずっと前からやっているシステムなのでチームとしてやることがはっきりとしている。3-4-3は僕のポジションは特に攻守での運動量が多く求められるが、自分の特徴を出すことができるシステムでもあるので、どっちでもできるというのは選手としての幅が広がると思う。(やりたいサッカーはできたか)今日とかはできなかったが、自分たちがやりたいサッカーをできていない時に割り切った守備をすることができたというのは評価していい部分だと思う。なかなかリーグ戦では勝てなくてチームとして自信を失っていた時期もあったので、ここで優勝できて自信を取り戻すことができた。(総理大臣杯への思いは)もちろんタイトルを獲りにいく思いはあるし、獲ることができるメンバーだと思っているので、全国の強いチーム相手に謙虚に戦っていきたい」
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