法大を1-0で撃破! 2年ぶりの決勝進出/関東大学トーナメント

2015.06.06
法大を1-0で撃破! 2年ぶりの決勝進出/関東大学トーナメント

 法大を1-0で下し、2年ぶりの関東王者に王手をかけた。今大会初の1部校との対戦となった準決勝の相手は現在1部5位の法大。開始直後から組織的なプレッシングとテンポの良いパス回しで主導権を握るも決定機を決め切れない。徐々に法大に押し込まれる時間が増えてきた前半31分、ペナルティエリアに侵入した室屋成(政経3=青森山田)の折り返しを小谷光毅(政経4=ガンバ大阪ユース)が合わせて先制。その後は追加点こそ奪えなかったが、粘る法大の猛攻を退け決勝への切符を手に入れた。

 勝負どころでの読みがさえわたった。立ち上がりでつかんだペースを物にできない時間が続いていた前半31分、ゴールの「におい」を嗅ぎつけた小谷がゴール前に飛び込んだ。中央でボールを持った木戸皓貴(文2=東福岡)が右サイドを駆け上がってきた室屋に絶妙なスルーパス。ワンタッチでDFを置き去りにしGKもかわした室屋はシュート気味の早いクロスを上げる。「中の枚数は意識していたこと」(小谷)とニアに走り込むと、難しいボールを意図も簡単に合わせてみせた。テクニシャン小谷の技術が凝縮された得点が価千金の決勝ゴールとなった。
 「あれはもう成(室屋)の得点だと思っている」と謙虚に笑った小谷だが、ゴールシーンは狙い通りだった。3トップのシャドーのポジションに入った小谷は「木戸と竜司(和泉主将・政経4=市立船橋)との3人の関係を特に意識していた」。低い位置でボールを受けて得点の起点となった木戸。その動きに連動するように前線の空いたスペースに小谷が走り込んでいった。栗田大輔監督が「全体のバランスを見ながらプレーできる選手」と評価する小谷が、チームを決勝に導く期待通りの働きを見せた。
 
 集中力を切らさなかった。相手のFKからのヘディングシュートがクロスバーに当たり、こぼれた球に詰められた後半37分。この試合最大のピンチもGK服部一輝(法3=札幌大谷)が気迫のこもったセービングでゴールを死守した。1点をリードした後半は我慢の時間帯が続く。死に物狂いで同点を狙ってくる法大の猛攻を服部、小出悠太(政経3=市立船橋)を中心としたDF陣がブロック。ペナルティエリア内まで侵入されても、最後の最後で体を投げ出し得点を許さなかった。またJ2での出場経験のあるルーキー岩武克弥(政経1=大分トリニータU18)も途中出場でデビュー。プレッシャーの懸かる場面での投入にも落ち着いたプレーを披露した。チーム一丸で1点を守り抜き、4試合連続の無失点勝利を飾った。

 再び関東の頂点に立つ。ここまでリーグ戦は8位と不振が続いている明大は、タイトル獲得で何としても再浮上のきっかけをつかみたい。明日の決勝の相手は筑波大。2部のチームではあるが早大、神大、流経大といった1部チームを連破し勢いに乗っている。前期に波に乗り切れなかった2013年シーズンもアミノバイタルカップを獲り、総理大臣杯準優勝をつかんだ。くしくも2年前を思い出すような状況に「しっかり優勝して、リーグ戦含めて調子を上げていければと思う」(室屋)と奪還へ懸ける思いは強い。強さを証明するため、目指すは関東王者の称号だけだ。

[鈴木拓也]

試合後のコメント
栗田監督

「(今日のゲームプランは)サイドの攻防になると思っていたので、まずはサイドの主導権を握ることを狙いに前半入った。うちは3-4-3でワイドに室屋と髙橋を置いて、ポジションも高く裏を狙うことができた。それで相手の両サイドバックを下げることができたのは狙い通りだった。裏ばかりではなく、どうやって室屋、髙橋を上げて、そこにどう絡んでいくのかを狙いにしてやっていた。前半非常に中でもよく話していたし顔つきも良かったのでやってくれると思っていた。(今大会無失点での勝利が続いているが)リーグ戦は全試合失点しているので良かったと思う。(服部が何度も好セーブを見せたが)服部は1年生の時からトップでやっていて、昨年で言うと三浦龍輝(平27商卒・現柏レイソル)、八谷、服部とトップ3人でやっていた。非常に気持ちも強いし、コーチングもできるので後ろから締めることができる。今ずっと無失点の4試合服部が良い働きをしている。(小谷の働きは)元々センスがあり、全体のバランスを見ながらプレーできる選手なので、その意味では前半は特に攻撃でも守備でもバランスを取ってくれて、その上で得点に絡んでくれたので非常に良かったと思う」

和泉
「先制点取れて展開的には落ち着いて試合ができた。何回か危ない場面もあったけど、みんなが体を張ってくれたり、ポストに助けられたり、ラッキーな部分もあった。ここ勝つことだけが目標じゃないし、この大会優勝することもそうだけど、もっと上というとこが目標なので、チームとして勝ったことは良かったけど、課題もあるのでここで満足している場合じゃない。切り替えて次の試合にという意識が強い。(前線からのプレスについて)リーグ戦に比べれば前からいけているのというのはある。奪われた後もいく時といかない時をはっきりできている。(服部について)コーチングも聞こえるし、ミスもたまにあるけど、前に出てくれるのですごい安心感はある。やっぱり気持ちという部分では見ていて伝わってくるので、そういう部分では頼れる。(小谷について)久しぶりに出た選手が得点を決めるのはチームとしていいこと。間で受けたり、そういうつながりを持つという意味では、つながれる選手なので今日はいいポジショニングを取ってくれたたし、良かったと思う。(この試合で勢いはついたか)1-0で苦しい試合をああいう気迫出して、最後まで守備できたので勢いと自身はつくし、次につながる試合だった」

小谷
「(今日の試合を振り返って)まずこのトーナメント、連戦が続く中で無失点で勝ち切れたことは良かったが、決めるところを決めていればもっと楽な試合にすることができたので、そこは課題として残ったと思う。木戸と竜司(和泉)と3人の関係性は特に意識していたし、一人が抜けたらそこに入っていったりとか連動した動きというのも意識していた。リーグ戦あれだけ苦戦していた中で、チームとしてもミーティングを重ねて徐々に良くなっているし、一丸となって出ている11人だけではなくて交代選手も活躍しているし、応援も素晴らしいと思う。チーム一丸で戦えているということが大きいと思う。(ゴールシーンは)あれはもう成(室屋)の得点だと思っているので成に感謝したい。中の枚数は意識していたことなので、ああいう形で成がボール持ったのでまずニアに飛び込もうとは思っていた。練習でもああいう形はやっているので良かった。いい時間帯に点が取れたと思う」

小出
「危ないシーンもあったけれど、最終的には無失点で落ち着いて守れていたなと思う。ポゼッションの部分ではミスはあったけれどそこはしっかり修正してやっていきたい。今チームとしても4-4-2でも3-4-3でもしっかりやれるようにというのをみんなでやっている。(岩武は)初めての公式戦でああいう場面で難しい試合だと思うけれど、落ち着いてやることやれていたのでとても良かったと思う。(後半最後押し込まれた場面は)相手も死に物狂いで点取りに来るということで自分たちも気持ちを入れて軽いプレーにならないようにしっかり守らなきゃいけないということで、そこでしっかり0に抑えられたというのは本当に大きいと思う。(決勝に向けて)2年前もこの舞台を経験して優勝していてもう一回したいなと強く思っているので、死に物狂いでチームのみんなのためにチーム一丸となってしっかり勝ちたい」

室屋
「(前線からの守備は)ボールを失った後の守備とか全体で意識していたし、この大会通じて攻守の切り替えを全体で意識していて、それが今大会これまでハマっている。リーグ戦なかったところとしてハードワークしているので、そこが今勝てている要因だと思う。(得点後の守備は)1-0でもっともっとうまく試合を運べなきゃダメだと思うし、そういう部分はまだまだ足りないと思う。だけどトーナメント戦だし、勝っていくには運も必要だと思う。そういうとこでは運も味方についているし、GKの服部もすごく良いセーブしてくれていたし、チーム全員で最後のところで止めているので、1-0で勝てたのはすごいいいことだと思う。(ゴールシーンの小谷は見えていた)見えていた。一昨年はアミノバイタルカップ優勝してすごく勢いがついて、その中で総理大臣杯もすごくいい順位に立てたので、そういう意味ではしっかり優勝して、リーグ戦含めて調子を上げていければと思う」

服部
「リードしている試合っていうのは大体攻め込まれるっていうのがサッカーの流れというかみたいなのはあって、けど0で守れば負けないっていうのはみんなの共通理解としてあって、守備から入ってチャンスがあれば点を取りに行くっていうのはチームのみんなで共有してやっていた。(大きなピンチが二つあって、それを抑えきれたのは大きかったと思うが)0で抑えたっていうのは、チームの中でも、しかも1部相手だったので、リーグ戦でも勝っていなかったし、しっかり1-0という結果で終えることができて、僕としてもチームのDF陣としても大きな自信につながる結果だと思う。自分の強みとしてコーチングだったり周りを鼓舞する声っていうのがあると思うので、声出すことで自分の気持ちを高められるっていうのもある。ここまで来たら無失点で大阪っていうのはもちろんあるが、それを意識しすぎちゃって仮に失点した時にチームが崩れちゃうので、0っていうのはもちろんこだわりたいが、チームが勝利するっていうのを大前提にやっていきたいと思う」

岩武
「難しい状況だったので何とか馴染んで勝てればいいかなと思って入った。こういう状況で出られたので緊張はあまりなかったけれど、勝ちにこだわってという感じだった。少し出遅れてしまったのでここから調子を上げていけたらいい。一ヶ月くらい離れていて、チーム合流して一ヶ月経たないくらい。ケガがあったのでなかなか思うようにはいかなかったけれど、こうやって出られたのでここからどんどん出場できたらいいなと思う。みんな一体感があってみんなで最後締めくくろうという風になったので、0点で抑えて勝ててよかった。どういう状況でもチームに貢献できるように、チームが優勝できるようにあとはチーム一丸となってやっていくだけ」