男子舵手なしクォドルプルが4年ぶりV/全日本軽量級選手権大会

2015.05.25
 夏のインカレに向けて重要な意味を持つ全日本軽量級選手権で、男子舵手なしクォドルブルが同大会での4年ぶりの優勝を飾った。一方で3連覇が懸かった女子舵手なしクォドルブルは惜しくも優勝を逃して2位。それでも男子エイトが4位に入るなど、計7艇が入賞。今シーズン最初の全日本のレベルとなる大会でまずまずの成績を残した。
 鮮やかな逆転劇だった。4年ぶりの優勝が決まった瞬間、男子舵手なしクォドルプルクルーの4人が拳を高く突き上げた。決勝で迎えた第3クオーター。予選の時とは逆に、明治安田生命が明大の前に出ていた。「決勝では死んでもそこで巻き返す」(菊池渉太・政経1=猿投農林 )という意気込みでクルー全員が挑み、最後は2位の明治安田生命に5秒差を付ける逆転劇。その言葉を現実にした。「昨年まで2年連続で2位だったけど、やっと1位でうれしい」(櫻井克茂・法3=加茂)とレース後は柔らかな笑みを浮かべた。
 予選では明治安田生命に1000m地点まではリードしていたものの、最後は0.6秒差で敗戦。敗者復活戦に回ったが「向こうより一本多くこげるという事実を糧にした」とクルーリーダーの大久保亮(農2=猿投農林)。緊張感を前向きに捉え、敗者復活戦、準決勝で勝利。決勝の舞台で明治安田生命へのリベンジを果たした。夏のインカレ、全日本選手権に向けて、確実に大きな一歩を踏み出した。

 3連覇に王手を懸けていたが、まさかの2位終わった。女子舵手なしクォドルブルは予選、準決勝と順調に駒を進める。決勝でも前半は2位以下に差を付け先頭をいくものの、後半ではそのスピードを維持できずに逆転負け。課題である後半に艇を伸ばし切ることができず、惜しくも優勝には届かなかった。「第3クオーターで少し力が落ちてしまうのは予選も準決勝もクリアできていなかったところだから、決勝はそこで負けたのが悔しい」(瀧本日向子・商1=館林女)と悔しさをにじませた。「圧倒的な強さというか、スタート出たらそこからどんどん離して勝つことを目標にインカレ総合優勝に向けてやっていきたい」と中尾真琳(農3=熊本学園大付)。「速さ」だけでなく勝負どころで勝ち切る「強さ」を手に入れてみせる。3連覇こそ逃したが、やるべきことは明確になり、次につながるレースとなった。 

 「インカレ、全日本に向けての一過程」(角久仁夫監督)とあくまで見据えるはこの先だ。照りつける太陽が夏の到来を感じさせる。「インカレ男女総合優勝」。チームで一つの目標に臨む、明大端艇部の挑戦が幕を開けた。

[長縄里奈]

試合後のコメント
角監督

「(今回の大会を総括して)まだシーズンインしたばかりだからね。これからだよ。これからインカレに向けてやっていくよ。軽量級は1種目、2種目は勝って当たり前だから少し寂しい結果だね。課題はたくさんあるよ。インカレ、全日本に向けての一過程だから、ここで一喜一憂しても何の意味もないよ」

櫻井
「(今日の順位について)軽量級は今年が最後で、来年後輩たちに2連覇取ってほしい。自分は減量がきついので今年までにしようと。昨年まで2年連続で2位だったので、やっと1位でうれしい。思い残すことない。反省するところもない。(減量について)一ヶ月くらいで8kg落とした。食フェスが開催されていたが、行きたくてしょうがなかった。減量中は我慢したが、こらから調べて行きまくるつもり。仲良く落とそうということで銭湯行ったりした。一人で落とすのとはまた違う。(レースプランは)予選で明治安田生命さんと当たって最初は出たが、後半に差されちゃって。でも、お互いに出し合えたレースでプランが組みやすかった。最初出るところまでは予選と同じで後半を伸ばしていこうと意識した。この結果に満足することなく、次回の大会も、クルー変わっちゃうと思うけど。頑張りたい。(大久保がクルーリーダーをしたことについて)経験することは大事。皆をまとめる力は持っていると思うので少し熱くなるところを冷静にしてくれれば主将にもなれる器だと思う。これから、また経験積んで頑張ってもらいたい。(次の目標は)インカレは昨年先輩と乗ってクォド勝たせていただいたので、今回その先輩はスイープ種目にいくということで、まだクルーは全く分からないが、勝ちを続けていきたい」

中尾
「(今回の大会を振り返って)一言で言うと悔しい。決勝は前半出ていたのに負けてしまった。楽しかったが、苦しくもあるレースだった。相手がぐいぐい来て1500mくらいで、自分たちの艇がそこから伸びなかったので苦しかった。(予選から調子も良かったが)決勝のレースは楽しんで、今までのきつい練習を思い出して一本一本楽しんでやろうという話をしていた。(決勝のレースは)500mまでで最低でも3分の1は出ようという話はしていて、それはできていたと思うが後半はあまり伸びなかった。こっちに負の原因は無かったと思うので、むしろ向こうが1枚上手だったと思う。クルーの雰囲気も試合に向けていい感じで、試合中も良くなっていった。まだ完成という訳ではないがこの軽量級では、いいクルーだったと思う。(今後取り組んでいくべきことは)コーチにも言われたが、昨年まではスタート出られなくて後半じりじり攻めて抜かして勝つという感じだったが、最近はスタートでばんと出て最後に競って勝つか負けるかという風になっているから、最後までスピードを保って勝つということ。あとはスピードは速くなっても強くはなっていないと言われたので、そこを圧倒的な強さというか、スタート出たらそこからどんどん離して勝つことを目標にインカレ総合優勝に向けてやっていきたい。(強さを手にいれるためには)クルーの雰囲気はこれからどんどん良くなっていくと思うので、練習の中で足りないところ、今日で言えば後半粘れなかったので、距離をこぐのもそうだし、高いところでずっと耐えるという練習を強化してやっていきたい」

植松香穂(文2=岐阜県立加茂)
「(良い流れで決勝まで進んでいたが)気持ちの面で負けていたと思わないし、やってきた練習も自分たちにプラスになったと思ったが、全日本という規模で考えたとき、まだまだ後半でどれだけ力出せるかが甘かったと感じる。結構練習では、1500mのメニューを多くやってきたが、いざ500m増えると耐える力がなかったと決勝で感じた。勝つためには一番苦しいところで耐えたチームが勝てるから、そこが課題。プランはスタート前半逃げ切りでと思っていた。前半は突き放し、いけたと思ったが、後半で維持できなかった。課題。気持ちの面で足りない部分がまだあると思う。(3連覇というプレッシャーはあったか)個人では2連覇が懸かっていたが、緊張とかは全くなくて、先輩たちから受け継いできたものを自分たちで途切れさせたくないという思いがあった。まだまだ先輩方たちに追い付いていない部分があると痛感した。体がもう動かなかった。でも、大丈夫。次は絶対負けないぞという気持ちがもうある。自分は昨年から結構クォドに乗ってきて、負けるときは後半逃げ切れずに差されて終わるパターンが多くて、足を引っ張ってしまっている感じがある。自の弱いところ。前半出られても、後半で維持できていないから。基礎体力が足りないと痛感している。満足のいくトレーニングを積めていない。(減量について)6㎏落とした。通常メニューと減量メニューの並行がきつかった。パソコンの履歴が食べ物で埋まっていた。病気になり始めたから分からないけど、検索履歴のとこが食べ物だけになっていて食べ放題のサイトを見まくったり、クックパッド見て減量終わったらこれ作るぞと思っていた。今減量が終わって幸せ。目の前にある食べ物全て食べていいから。(次の目標は)やっぱりインカレ。リベンジ。」

大久保
「(今日の順位について)1位ということは、来年の軽量級の表紙に載れるので、誇らしい。うれしい。(昨年も同種目での出場だったが)東経大に負けて2位だったので、リベンジもできてうれしい。(レースの出来は)今大会のレースはばっちり。準決勝は波なくフラットにこげたが、決勝は逆風で。僕らは敗者復活もひいているので、どこで風がくるか分かっていたので、風対策をできた。予選で明治安田生命に0.06秒差で負けていたので、向こうより一本多くひけるという事実を糧にした。(今大会までのエピソード)伸びが悪いなと思っていた時があって、その時見たおじさんの文字Tの言葉が自分の中に響いて「現状維持は退化の始まり」という言葉で、クルーの皆にも皆で進化し続けないといけないなと思った。また、4人で減量しないといけないとなり、日曜日の午後から銭湯に行ったが、9時から行って1時ちょい前までサウナで汗かきまくって、カラカラの状態になりながら減量した。本当みんな仲が良くて嫌なことも良いことも言いあえる仲で、そういうチームを作りたくて、クルーリーダーやらせてもらったので、先輩、後輩関係なしに駄目なところは駄目、良い所は良かったと言えるのが本番にも強い、本当に強いクルーだと思うので、そういうチーム作りを心掛けた。(クルーリーダーになったきっかけ)石川さんとなしクォドについて話す機会があって、こうしたら強くなるのではという自分の考えを話して、その方針の時はクルーリーダーもやってみたいと軽く話したことがあって、メンバー発表のとき自分がクルーリーダーに選ばれていた。(目指した方針は)試合前はやはり感覚とかもシビアになってしまってレース前に言うと空気が悪くなってしまうので、そういうのを作りたくなくて練習時にどう揉めようが言うということを最初に徹底した。(レースプランは)第三クオーターが僕らは少し苦手としていて、夜にイメージレースをしていて皆が悔いないようにするためトレーニングした。第三クオーターも盛り上がってできた。(プレッシャーなどあったか)今日のレースは準決勝で死ぬほど緊張した。決勝はやるしかないと割り切れるが、準決勝は勝たないと決勝行けないし、どういうプランでいくかとか考えてしまう。 (次の目標について)インカレ。このメンバーでできるなら、僕はこのメンバーのままやりたい。変わるかもしれないけど。クルーリーダーしている時は櫻井さんから支えてもらっていた。次はインカレに向けて頑張るだけ」

菊池
「男子のクォドは花形で、1年生で乗ることに抵抗はあったが、乗ったからにはみんなの気持ちを背負って、絶対優勝するという気持ちで毎日の練習を真剣に取り組んできた。高3のときは試合で負けっぱなしだったが、高2のときのインターハイで大久保さんと乗って優勝して、また今回も一緒に乗らせてもらえることができたので、今回のレースには大久保先輩をもう1回優勝させたいという特別な思いがあった。予選では明治安田生命に0.06秒差で負けて第3クオーターの1000から1500mで差が開いて、そこが負けの原因だとクルーで話し合った。4人で決勝では死んでもそこで巻き返すって決めていて、勝負をかけていた。作戦勝ちだった。この大会に向けては、有酸素系の長い距離を漕ぐトレーニングをずっと行ってきて、中盤で持ちこたえる粘り強さを鍛えてきた。それが活きてよかった。今後の目標は夏のインカレと全日本選手権で頂点」

瀧本
「明治の中でも花形の女子のクォドに先輩と乗りたいと明治に入る前から思っていたので、今回それが叶ったのはうれしかったが、3連覇が懸かっていたので、できなかったのが悔しい。予選から決勝までは思い通りに進められたが、第三クオーターで少し力が落ちちゃうのは予選も準決勝もクリアできていなくて、決勝もそこで負けたので、そこだけはとっても悔しい。これからの課題は、長い距離を一定の力で落とさないでこぐ練習をして、スタートも早くし、持続していく力をつけたい。総合優勝が目標なので、それに向けて組み合わせなども変わるが、1つでも多くのクルーが勝てるようにしたい。クォドやエイトに乗りたいが、自分だけではなくチームの全体的な力を上げていきたい」

古田直輝(政経1=米子工)
「(決勝のレースを振り返って)明治安田生命と予選で当たって、第3クォーターで差を付けられてしまって最後に追い上げたが、届かず負けてしまった。なので今回は逆風とか関係なく、1000から1500を覚悟して飛ばそうと思っていて、それが効いてそこで差を付けることができた。第3クォーターが弱いところという意識があったので、決勝では攻められた。今回はシングルじゃなくて後ろの3人が頼りがいのある人たちだったので信じてこいだ。(優勝が決まった瞬間は)素直にうれしかった。やっぱり4人で勝ったというのが大きい。(予選で負けた後は)結果は負けたが、気持ちとしては負けたというよりいい経験をしたというか、決勝につなげられる予選になったと思う。明治安田生命と予選で当たって良かったという気持ちを持ってミーティングして決勝につなげようとしていた。それがこの結果につながったと思う。今まで練習してきたことを忠実に繰り返すというか、自信を持って敗復も準決勝もやった。特に変えたところはない。(クルーの雰囲気は)にぎやかで全員で盛り上げていける雰囲気だったので、1年生とか後輩とか関係なしにどんどん意見を言って、艇を良くできたと思う。クルーリーダーの大久保さんが引っ張ってくれた。本当に真面目で意識が高い人なので、崩れそうな時も声を掛けてくれた。(今大会はどんな意味を持ったか)クォドにはあまり乗らないので、そういうところで経験もできたし、明治安田生命には元オリンピック選手もいてその人に勝てたということも大きい。(今後インカレに向けてやっていくべきことは)3か月もあるので、もう1回自分を見直して基礎からやっていきたい」