決勝の粘闘制し、2連覇成し遂げる/東日本大学リーグ戦

2015.05.19
 東日本大学リーグ戦が行われ、マットの中で熱戦が繰り広げられた。予選リーグを順調に突破した明治は決勝リーグで強豪校の中大と早大との対決を見事勝利し優勝。昨季に引き続く優勝で、大会2連覇となった。

 有言実行の頂点だ。決勝リーグで王者明治の前に立ちはだかったのは強豪の中大と早大。中大には序盤は苦戦を強いられるも、副将・百合草春男(文2=桜丘)、大将・石田圭吾主将(文4=大商大堺)が開始1分以内で2本先取する安定感を見せつけ、中大から白星を掴み取った。優勝が懸かった最終カードの早大戦では小山監督が相手の一番手が先鋒にくると予想し、明治も先鋒にエースの石田を起用。先鋒はチームに勢いをもたらせるかで重要な役割だが「プレッシャーは感じない」と、またも開始1分以内で2本先取し、実力の差を見せつけた。勢いそのままといきたいところだったが、簡単にはいかなかった。粘り合いの試合が続き、チームカウントは2勝1敗2分へともつれ込む。勝敗を決める大事な場面で、立ち上がったのは副将・百合草。昨季の大会では決勝リーグで2回とも黒星を喫しており「悔しかったので、そのようにはなりたくないと思って練習してきた」とリベンジに燃えていた百合草は、相手に流れを引き渡さない圧巻のテンポの良さで面突きを決め、2本先取で勝利し、チームの優勝を決定付けた。「努力した成果も出せた」と振り返る百合草の言葉には、充実感がにじんでいた。最後は大将・原田優介(法3=朝倉)が面突きで2本目を決め、有終の美を飾った。大会直前に「優勝します」と公言した石田。チーム一丸となって、言葉通りの栄冠を手に入れた。

 「今まで強さだけでチームを引っ張っていたが、主将になってチーム全体をどうやってレベルアップさせるかとか、視野を広げなければならない」。主将としてラストイヤーを迎えた石田は大会の1週間前に不安を口にした。今大会は7人制で行われており、昨年はその中で主力メンバーの3人が4年生であった。その3人の穴が抜けてからの初めての公式戦。「現状維持は後退」と繰り返す石田は今までの練習内容も大幅に変更した。今季から新たにミーティングを取り入れ、チーム全員で意見を出し合う時間を設けた。防具を着用する時間も増やし、練習内容は去年と比べて一段と厳しいものになったが「みんなも納得してくれてるんでやってます」(石田)。一人一人が拳法と正面から立ち向かうことができたからこその優勝であった。

 試合後、選手達の表情に慢心の文字はどこにも見当たらなかった。「優勝はできたけど課題は残る試合となった」と石田は振り返る。主力メンバーとしてチームに貢献した3年生の玉置裕也(文3=大商大堺)、原田も「メンタル面を強化していかないといけない」とそろえて課題を口にした。明治の強さはそこに証明されていた。「それぞれ自分に問題意識を持って今後取り組んでいきたい。課題としては一人一人技のバリエーションを増やすこと。相手に次に何がくるかわからないように戦う必要がある」(石田)。勝ってなおかつ、勝ちに貪欲な選手達。府立4連覇の偉業が懸かった今季、目指すのは誰もが踏み入れたことのない境地だ。王者の冠はどこにも渡さない。

[土屋あいり]

試合後のコメント
小山監督

「昨年の全日本出場したメンバーはそれなりにすわっているんですけど、残り3名がまだだなと思いました。このままでは今後勝てないので、秋までには絶対にメンバーをそろえて勝ちたいと思います。4人が飛びぬけてるからあまり不安はなかったです。チームの雰囲気はいいです。1年生もいいので。今年は4年生の層が薄いなと思いました。上と下で溝がないようにしたいですね。(早大戦で石田が先鋒)早稲田の一番強い黒田が先鋒にくると思っていたので、それでぶつけただけですね。今度選抜があるのですが5人制なので心配はしていません」

石田主将
 「初の公式試合ということで、どうなるかなと思いましたけど優勝してホッとしています。優勝はできたんですけど課題は残る試合となったと思います。それぞれ自分に問題意識を持って今後取り組んでいきたいと思っています。ポイントが取れないですね。時間切れなどが目立ったなと思います。課題としては一人一人技のバリエーションを増やすことですね。相手に次に何がくるかわからないように戦う必要があると思います。技が単調になってしまうと今後勝てないと思います。(その課題に向けて今後練習方法を変えるつもりはあるか)変えるつもりはないです。この問題は部員一人一人が自分で意識して直さなくてはいけないことなので。でもその意識を高めさせるために主将としてなにかしたいなと思いますね。(主将になってプレッシャーはないか)4連覇期待されて主将任されて責任感とかは感じましたけどあんまりプレッシャーは感じませんね。自分はむしろやってやろうって思います。それって今自分にしかできないことじゃないですか。それをプラスに考えてやっていますね。昨年は4年生が主力だったことがあってレギュラーメンバーが3人抜けた中で、大会前の調整期間は勝てるか不安はありましたけどね。7人制だと一般生とか1、2年生のスポーツ推薦などもっと育成しなくてはいけないと感じました。今までずっと同じ練習メニューをしてきたんですけど、新しいことを取り入れなければいけないと思いました。主力の4年生がいなくなった以上、同じ練習じゃ後退するだけと感じたので、今まで以上に練習の質を上げなくてはいけないと感じました。実践に弱かったり、体力が無いとかそのような人が多かったので心拍数を上げた中で試合をする練習を取り入れたりしました。あとはミーティングをすることにより後輩の意見も聞くようにしてます。(4連覇に向けて)今のままでは勝てませんね。お互いが切磋琢磨してやる環境を感じられてないので俺がレギュラーになるという気持ちになってほしいです。なにがなんでも優勝します」

玉置
「チ―ム一丸となって今回大会に臨めたと思います。自分も原田も4人の柱として勝たなくてはいけないのにてこずる場面が多かったなと思いました。各ポジションに役目があるのでそれが自分はできない時があったなと感じられました。動きが悪かったのと、得意技のパンチが相手に全然当たりませんでした。(プレッシャー)負けてはいけないと前日から思っていました。多少動きがかたくなってしまいましたね。メンタルを強くしなくてはいけないですね。自分にもっと自信が持てくらいに練習して臨みたいですね。(昨年との違い)上級生として絶対勝ちに行こうという気持ちになりました。(石田主将)は絶対に勝ってくれる安心感があったので絶対に引き分け以上にはもっていかなくてはいけないと思いました。(4連覇に向けて)自分自身の力、チーム力を上げて頑張っていきたいと思います」

原田
「コンディション的にはそんなに悪くなかったんですけど、先鋒を任されてちゃんと勝たなきゃいけないのに仕事ができなかったのがすごく悔しくて、勝てるところで勝てなかったです。雰囲気を自分で悪くしてしまいました。(予選から決勝への切り替えは)決勝はレベルが変わってくるので、しっかり勝ち稼いで、チームを盛り上げていこうと思ったけど、予選でも決勝でも引き分けを1回ずつしてしまって、自分がまだ甘いなと思いました。普段のプレーが緊張で出てこなかったので、もっとメンタル面を強化していかなきゃいけないし、自分にプレッシャーをかけていかないといけないと思いました。今日は安全策に走っちゃってカウンターしか出せなくて、カウンターに頼りすぎたというのが大きくて、それで相手に対応されてしまって入れなかったです。(改善点)もっと勝負練習というか自分に緊張感を加える練習のときに、普段自分がこういう技をやろうと決めてその技をやるメンタルの強さとかを強化していって、もっと技を多彩にしていって戦えたらなと思います。(全国選抜に向けて)負けはないようにして、チームの活気を自分のプレーで上げていけるように練習していきたいです」

百合草
 「去年は決勝リーグで2回負けてめっちゃ悔しかったので、そのようにはなりたくないと思って練習してきました。努力した成果も出せたが、これで満足してはいけないので、全国大会で勝てるようにしていきたいです。(雰囲気)新しい選手が出ていて、勝ってる人も負けてる人もいたが、チーム全体で上げていかないと勝てないので、同じ気持ちでは負けてしまうし、またこれから頑張りたいです。(ルーキーの存在)去年の自分より強い。これからちゃんと点が取れるようなポイントゲッターになってほしいです。もっと努力して頑張ってほしいです。(決勝リーグ)1、2試合目は自分でも絶対落とせないし、相手のレベルも上がったので、決勝は高校の時から経験しているし、ここで負けると自分も勝ってきた意味が無くなるので、絶対勝とうという気持ちでいきました。(全試合2本先取で負けなし)新しく自分は蹴りがどんどん決まったので、蹴りがとても調子が良くて、決めることができたので、それも磨いて違う技も頑張っていきたいです。(追い込み期間)自分はもともとパンチ技の選手なので、蹴りもそうだけど、もっとパンチで取れるようにして、全国は優勝したいです。(全国選抜に向けて)そんなに調子は悪くはないので、調子を維持していけるように、ビデオとかを研究してやっていきたいです。今みたいに簡単な試合にはならないと思うので、もっと厳しい試合はたくさんあると思うので、もっと気を引き締めて、優勝目指して頑張ります」