法大をSO戦の末撃破 11年ぶりの優勝へ王手/関東学生春季1部リーグ戦

2015.05.18
 11年ぶりのリーグ制覇へ王手をかけた。春季リーグ順位決定戦予選で法大にSO(シュートアウト)戦の末3-1で勝利し2008年春以来の決勝進出を決めた。 前半法大に先制を許し試合の主導権を握られるも後半の土壇場で谷光未有(法2=天理)がPC(ペナルティーコーナー)を沈め同点。SO戦では國友督仁(政経3=丹生)が相手の攻撃を4本中1本しか決めさせずチームを決勝進出へ導いた。次戦は春季リーグ制覇をかけ早大と対戦する。

 勝負強さは健在だった。試合終盤に1-1の同点に追い付き、昨年5戦全勝と得意にしているSO戦に突入。昨年のインカレ、SO戦3試合で12本中2本しか決めさせなかった國友がGKとして控えており「國友なら止めてくれる」(小池文彦コーチ)とチーム全員が信頼していた。だが「かなり緊張した」(國友)と昨年SO戦でチームを何度も救ったからこそ感じるプレッシャーがSO戦前に國友を襲った。その中で1本目をスティックでシュートの軌道を変え止めると2本目もセーブ。3本目はうまくかわされたものの4本目で相手のループシュートを読み切りチームの勝利につなげた。「本当に良く止めてくれた」と宮田知監督も絶賛。ここぞの場面での集中力がチームの勝利を手繰り寄せた。
 シューターも見せ場をつくった。SO戦1番手の谷光がまさかの失敗。さらに3番手の川村敬亮(政経2=今市)も失敗し昨年チームを支えた二人が決められず雰囲気が悪くなった。だが「SOを初めて任されたのでとても緊張していた」と2番手の宮野嵩大(理工2=鹿沼)が相手GKをかわし先制。4番手の岩井宏将(営4=岐阜総合学園)も昨年卒業した柏木圭介氏(平27法卒)のお株を奪うループシュートで勝ち越し。最後は大嶋雄飛主将(文4=今市)が相手GKにひっかけるも最後はリバウンドを押し込んで試合を決めた。

 決勝へのプレッシャーがチームを危機的状況に追い込んだ。「ここまで苦戦するのは想定外」と宮田監督。試合開始直後から決勝進出への強い思いが選手たちを固くしチームの力を存分に発揮することができなかった。さらに「自分と松波(大介・営3=岐阜各務野)の連携ミス」(國友)と前半30分に左サイドから走り込んでくる相手選手に気付けずタッチで合わせられ先制点を献上。普段なら防げたはずの形で先制を許し選手たちにさらなるプレッシャーを与えた。

 エースナンバーを背負う男がチームを救った。先制を許し迎えた後半。攻撃的なフォーメーションに変更し、本来最終ラインの要になっている谷光をMFで起用し点を取りに行った。高校以来のMF起用に「自分のプレーにより集中することができた」と谷光。随所でチャンスをつくり出すパスを前線に供給し法大を脅かした。さらに得意のPCでも少しずれたボールをドリブルで立て直し同点打を押し込んだ。「彼の実力はやはりすごい」と小池コーチ。チームの顔である背番号10がチームをプレーで引っ張り優勝に導く。

 リーグ優勝は目前だ。決勝の相手は日本代表FW宮崎を擁する早大。部員数は少ないが個々の能力が高く昨年の関東王者・山梨学大から4得点を奪った攻撃力は侮れない。「今年のチーム発足当時から優勝への気持ちは強かった」(大嶋主将)。11年ぶりのリーグ優勝へ、チーム一丸となりアウェーで優勝の雄叫びを挙げる

[常光純弘]

試合後のコメント
宮田監督

「結果オーライ。明治らしいホッケーができればもっと楽だったんだけど、選手たちが決勝進出というプレッシャーに負けていた。トーナメントの形なのでSOでも何でもいいから勝てばいいとは言っていたがここまで苦戦するのは想定外。だが時間が少なくなる中よく追い付いた。選手たちは慶応に負けてから這い上がってまた今日もこういったゲームをものにして決勝というチャンスをもらって、しかも相手はホームグラウンドの早稲田だからやりがいはものすごくあると思うので敵地で勝って11年ぶりの優勝をしたい。来週土曜日が試合だから選手たちのチェックができないので4年がしっかり核になるように。4年生は春のリーグは最後なので一日一日を大切にもっとしっかりやれと言った。土壇場のPCになると谷光に頼るしかないので。ボールが少しずれたけど自分でドリブルして狙いすまして振り抜いてくれた。しかも70分間フルタイム交代させなかったので結構ハードだったが良く頑張ってくれたと思う。1点ビハインドだったので小池コーチと相談して攻撃的にするために谷光を真ん中でゲームを組み立てさせた。後半の方が明治のホッケーができていたと思う。DFが浮き足立っていたので後ろがしっかりしないと良い球が前につながらないのでそこが決勝へ向けての課題。先制されて当然追い付かないといけないので前に急ぎすぎる場面が見られたのでハーフタイムで前へ急がず両サイドを使いながらつないでいけばチャンスはあるし勝てると思っていた。SOは谷光、川村の2人が外したから。途中で國友には全部止めろと言ったぐらいだけど本当に良く止めてくれた。先週SO戦の可能性も考えて練習しとけよと指示して昨日確認したとき宮野はハートも強いのでいけると思った。谷光と川村は絶対に指名しようと思っていて次に宮野、最後は大嶋と決めていた。岩井も去年の柏木(平27法卒)の真似みたいだけどよく決めてくれた。決勝では良いゲームをして良いホッケーを見せて最後は明治が11年ぶりの優勝を決めるという考えでやっていこうと思う」

小池コーチ
「勝って良かった。普段通りやれと、冷静にやれば勝利は勝ち取れると話したが何よりも硬くなりすぎ。自分たちから招いていしまったゲーム展開。本当ならば70分で試合を決めることができるチームなのでその力が出しきれなかった。おそらく決勝進出という気持ちが選手を硬くならせたと思う。気持ちの面もあるが冷静にやらないと全くうちの形ができなかった。國友は全国でSOを経験しているので必ず止めてくれると思っていた。ただし流れが悪く、谷光がまず決めて流れをつくる予定が谷光外し、川村も外してしまったので流れが悪くなったかなと思ったが宮野がしっかり決めてくれたので4年の岩井と大嶋が決めてくれたので良かった。SOはどちらが勝つか分からないがその中で國友がしっかり止めてくれたのは大きい。決勝に行く試合はハードルが高かったが何とか物にできたので来週はしっかり勝って優勝して王座に臨みたい。谷光には前半は後ろでやってもらったが後半は点が取れないので中盤で攻撃的なホッケーをしろと指示した。疲れた中でもしっかりやってくれて点も取ってくれて彼の実力はすごい。失点の場面は不運。交通事故みたいなもの。ただ奮起して1点取り返したことは選手たちが底力をみせてくれた。今学生が優勝へ向かってしっかりやってくれるので久しぶりに優勝して王座へ行きたい」

大嶋主将
「上のリーグで勝つか負けるかなので勝って良かったです。決勝に行きたいという気持ちはありましたが、法政に苦手意識を持つ選手が多くプレースタイルが合わないところがある。心の底には決勝に行きたい気持ちもあったと思うが法政に苦手意識を払拭(ふっしょく)できないまま入ったところがある。SO戦では國友が頼りになる。去年から國友はすごいのでSO戦では國友は一つの武器としてありがたい。國友みたいなGKがいると楽。早大は鵜飼や宮崎みたいにスキルの高い選手が多いし人数は少ないが質は高いので本当に強い相手だと思う。うちのディフェンスがしつこく、一人ではなく何枚も枚数かけていけば抑えられると思う。組織的に行きたい。システム引き目に変えて入ってそこで失点したので流れがよくなかった。後半攻撃的にして攻められるようになってきた。SO戦は5番目と言われていたので自分の前で決まってくれればよかったのですが、本当に決めたら勝ちの場面だったので気持ち的には楽だった。一度GKに引っかかったが一昨年の天理大戦でリバウンドで決めていたのでそれをイメージして打てたので良かった。明治はずっと決勝に行けていなかったので自分たちの代で優勝したいと今年のチーム発足当時から優勝への気持ちは強かったので絶対に優勝して監督、コーチ、チームを支援してくださる方々に恩返ししたい。個人的には早稲田の主将が高校時代の同期で負けたくないという気持ちは強いし今チームの状態は良いので全力でぶつかって優勝したい」

華麗なループシュートで会場を沸かせた岩井
華麗なループシュートで会場を沸かせた岩井

岩井
「法政は苦手意識の強いチームだったので、自分たちのプレーがうまくできず苦しい試合展開だった。ただそれでも勝利できたのは収穫だと思う。2年生のころ王座で外して以来、SOのメンバーから離れていたので緊張した。柏木さんは意識していたと思う。先輩が引退したとき、役職から番号、ポジションまで全て受け継いだつもりだったので、ループしかないと思っていた。決勝へのプレッシャーはなかった。ただ個人的に法政が苦手だったのでプレッシャーは感じていた。その結果なのか、パスをうまく捌けなかった部分が多くあった。早稲田は少数精鋭なので、個々のスキルが高いイメージ。波に乗ったときの攻撃力は注意が必要だと思う。苦しい時期もあったが、なんとかここまで来れたので、全力を出し切り後悔のないようにしたいと思う。あとはとにかく優勝あるのみ」

國友
「内容が全然ダメ。声も出ていなかったし最終ラインが声を出しても連携して出せていなかった。マイナスの声ばかりで雰囲気が良くなかった。70分で勝ちきれる試合だったと思う。失点場面は自分と松波の連携ミス。松波の声があったら自分も蹴れたが声がなくて逆サイドの敵に油断して前出て触られてしまったので連携の問題。個人的には法政には絶対に負けたくない気持ちがあった。味方が1点でも取ってくれればSO戦まで持ち込めるのでここからは絶対に失点してはダメだという気持ちで守りました。SO戦はかなり緊張した。去年結構当たってて周りからもお前なら大丈夫、絶対に止められると言われるのが逆にプレッシャーになって緊張しました。早稲田は前半で勝負を仕掛けてくるので人数少ない分体力がないから最初からガンガン走ってくると思う。高校が同じ3番の宮崎がセットプレーもうまいしドリブルもうまいのでそれに対してディフェンスをかけさせて相手の体力を削って後半ガツンといきたい」

谷光
「普段から相性の悪い法政とで変に緊張感があり、自分たちのプレーが安定していなかったゲームだった。王座のシードもかかっていたので勝てて良かったです。中盤を公式戦でプレーするのは高校以来だったので、とりあえず雰囲気でやるしかないと思い自分のプレーにより集中することができた。アップ前に、優勝まで残り2つ勝てば明治の古豪復活と自分で言ったので、その責任も取るために打った。宮崎さん(早大)はスピードとシュート力もあり、日本代表の経験も多いので脅威になると思います。頑張って抑えます。勝負がとても楽しみです。決勝は明治がゴリゴリに押して優勝します」

宮野
「法政とは相性が良くないのでみんな余計に力が入って明治らしい攻撃ができず先制点を許したが、後半からはペースを取り戻しPCから得点をすることができ良かった。今週はSOの練習もしてて自信があった反面、公式戦でSOを初めて任されたのでとても緊張していた。SOを決められてチームに貢献できてうれしいと思った。決勝は今日より良い試合運びで明治らしい試合で勝利し監督、コーチ、主将を胴上げしたい」