東海大との大一番 攻守で圧倒し快勝/関東学生春季1部リーグ戦

2015.05.12
 価値ある1勝を挙げた。ここまで負けなしで圧倒的な強さを見せ付けている東海大との対戦。引き分け以上で優勝が決まる東海大と、入替戦回避のためになんとしても勝利が欲しい明大、お互いに絶対に負けられない試合だった。そんな中、勝利への波に乗り切ったのは明大だった。前半からこの日18得点を挙げた吉野樹(政経3=市川)を中心に得点を量産し、後半も気迫にあふれたプレーを見せ35―33で快勝。大金星を手にした。

 目覚ましい快進撃だった。序盤はやや東海大ペースとなるも、2点ビハインドの前半9分に吉野のスピードに乗ったリスタートから与えた東海大選手の2分間退場をきっかけに、一気に明大ペースに。1人多い状況を生かして2点返し、退場が明けてもその勢いを落とさずさらに2点を追加。11―8とすると、その後も吉野のロングシュートを中心に点差を離していった。また「ディフェンスがよく機能していた」(池田稔主将・農4=藤代紫水)と、相手に楽な形でシュートを打たせない。これまで得点を量産していた選手のマークを厚くし、1人目が抜かれても「寄ってフォローというのが徹底してできていた」(池田)とスキをつくらなかった。ペースは落ちぬまま圧倒し続け、5点のリードで折り返した。
 後半も明大の猛攻は止まらない。これまでの試合では後半にペースダウンし、前半のリードを生かせないことが多かった。しかしこの日は「ミスをしても修正できた」(池田)と、すぐに自分たちのリズムを取り戻した。後半から出場した門間優次郎(政経1=法政二)のサイドシュートなども決まり、後半17分にはこの試合最大となる7点差まで持ち込んだ。後半20分頃から「勝ちパターンに持ち込めなかった」(原田コーチ)とミスが続き追い上げられるも、意地で逃げ切る。最後は東海大のサイドシュートをキーパー藤本寛史(営4=法政二)がセーブし、35―33で試合終了。会場中が驚きと歓喜に湧いた。

 吉野が大爆発した。前半1分に際どいコースのロングシュートを沈めると、その後も次々とシュートを決めていく。高い打点から放つ絶妙なタイミングのロングシュートは、面白いようにゴールへと吸い込まれていった。前半だけで12得点、マークがより厚くなった後半も得点を重ね合計18得点をマーク。脅威のシュート力を見せ付けた。また外したシュートは惜しくも枠外にそれたロングシュートとフリースローから打った2本のみ。決定力の高さも際立った。試合終了後、吉野は「うれしくて泣きそう」と笑顔で語った。それでも「これで満足してはいけないので今日の出来は95点」と、さらなる成長を誓った。

 「4年生の力を見せろ」。試合前に原田コーチが呼びかけた。就職活動でチームを離れていた4年生だが、今季初めて全員がベンチ入り。「経験があるので心強かった」(吉野)と、コートの内外からチームを支えた。ここまで4年生で唯一全試合出場を果たしている池田主将も「安心だった」とうれしそうに振り返った。

 残すは1戦、伝統の早明戦だ。「勝ち続けなければ意味がない」(原田コーチ)。東海大戦での快勝に、乗りに乗っている明大。勢いは絶対に負けていない。「気持ちで勝ってほしい」と加藤コーチ。最終戦も勝利を収め、有終の美を飾りたい。

[保屋松彩佳]

試合後のコメント
原田コーチ

「今日の勝因は4年生が全員ベンチに入ったこと。そうすると安心感が出る。池田キャプテンにも安心感が出る。試合前のミーティングで、4年生の力を見せる、そうしないと下がついてこないよと言った。やっぱり4年生には求心力があるから。試合に出る出ないではない。ベンチからでも、後輩に伝えろと言った。そうすると後輩たちはほっとする。そこだったんじゃないかなと思う。今日のチームは今までと少し違っていた。あとは吉野が良かったね。変わったよね。やらなきゃいけないという自覚が出てきた。今日のチームの課題点は後半の残り5分から。負け癖がついてしまっていて、勝ちパターンに持ち込めなかった。それで絶対に決めなければいけない場面で2回も外してしまった。パスミスもあった。それがあったから最後追い込まれてしまった。普通残り5分で4点差あればほぼ勝ちが決まるが、うちの今ではシュートまで持っていけないし持っていけても外す。そこが厳しさがあるチームとないチームの違い。でも勝ったということで満点をあげたいが、勝ち続けなければ意味がない。レベルの低い勝ちでは駄目。勝って勝って勝ち続けることが僕のポリシー。僕は白鵬になることが全てだと思っている。目指すは白鵬。次は伝統ある明早戦。伝統ある試合を見ていただきたい。W対Mというのは全てのスポーツにおいてライバル。頑張ります」

加藤コーチ
「今日は監督がいなかったので絶対に勝たなければいけなかった。入れ替え戦も懸かっている試合だったので1点差でも勝ちにこだわってやった。勝てて良かった。(東海大戦に向けて)とりあえず相手のビデオを見てしっかりディフェンスして速攻で点を取れるようにと、シンプルに話していた。速攻で前半は点が取れていたので良かった。吉野は、マークが厚かったがボールもらう前に動けていたので良かった。課題点はディフェンスで同じ選手に真ん中でシュートを打たれていたというのはあったので、それは試合の中で選手たちが修正していかなければいけない。普段の練習からそういうことを意識してやらなければいけない。来週の試合に向けてのこれからの課題。(来週の早大戦は)今日は勝ちたいという気持ちが試合に出ていたので、今日みたいに気持ちで勝ってほしい。急にこれから1週間で上手くなるとかはないと思うので。気持ちを入れて、ディフェンスから速攻で点を取ってほしい。ディフェンスはまだ修正しなければいけないところはあるので、そこのところをもう1回修正して、早大と力は同じくらいだと思うので、あとはパスミスやシュートミスを普段の練習から厳しくやって、来週に臨みたい」

池田主将
「入れ替え戦はとりあえずなくなったので一安心。満足はしていない。今日は前半でリードできて、試合を通してディフェンスがよく機能していて、練習でやっていた寄ってフォローというのが徹底してできていたので良かった。あと前半の点差を守り切れたのは良かった。いつもはリズムが悪くなるとそのまま落ちていってしまうが、今日は声を掛け合って、僕たちがミスをしても修正できたところが良かった。(4年生が全員ベンチ入りしたことは)安心だった。4年生いるのは大きいなと思った。(吉野の活躍は)今日はすごかった。彼もエースの自覚が出てきたのでは。でもディフェンスの真ん中が吉野と瀧澤の3年生2人なので、そこでもっと引っ張ってほしい。今日の出来は80点くらい。でも個人的にはシュートも外したのでまだまだ。(次の早大戦に)今日の勝ちをつなげたい。あとは積極的にプレーして秋につながる試合にしたい。頑張ります」

吉野
「うれしくて泣きそう。ずっと勝てなくて、前半いいゲームできても後半自分たちの流れに持ち込めなくて負けてしまっていたが、今日は4年生もいてチームも盛り上がっていて最後まで集中してできた。4年生は経験もあるので、練習があまりできていなくて体力面とかで衰えはあるかもしれないが、要所要所大事なところを分かっていて心強かった。4年生の必死さがすごく伝わってきた。(今日の自身の活躍について)高校にやったことのあるキーパーで苦手意識はなかった。今日は負けられないので、外してもいいからどんどん打っていこうという気持ちでやった。すごいいいプレーはできたが、これで満足はしちゃいけないので今日の出来は95点ですね。次は早明戦ということで、この勢いに乗って勝ちたい。(今日のチームとしての課題は)シュートミスや簡単なミスをして、大事なところを決め切れずに相手のペースになってしまったところはすごく悪いところ。あとは同じことをやらせない。(最後追い上げられた場面は)僕たちは1人退場してしまって相手のペースでやばいなと思ったが、時間と点差でまだ余裕はあったので、落ち着いてできたのではないかなと思う。(来週の早明戦は)早大はオフェンスがうまいので、ディフェンスを固めて速攻して点数を取りたい。(三郷市での開催について)地元なので、自分が小学生のときにお世話になったクラブチームの後輩だったり監督だったり、色んな人が応援に来てくださる。その方たちの期待に応えられるように勝ちにいきたい」