拓大に粘り勝ち 17年ぶりに4強入り果たす/関東大学選手権

 17年ぶりのベスト4だ! 格上拓大を相手にチャレンジャーとして挑んだ関東トーナメント準々決勝。試合は序盤から終盤まで、一進一退の攻防が続いた。最後は伊澤実孝(政経4=愛知産大工)と吉川治耀(情コミ2=京北)の連続3Pシュートで5点のリード得ると、その後1点差まで詰め寄られるも77―76で逃げ切り勝ち。チームが目標としてきた拓大の壁を越えてのベスト4入りを決めた。準決勝は昨季インカレ王者の筑波大と対戦する。

 スターターは會田圭佑(法3=市立柏)、齋藤拓実(営2=桐光学園)、秋葉真司(政経4=能代工)、吉本健人(法4=藤枝明誠)、伊澤。

 大きな1勝をつかみ取った。77―76の1点リードで迎えた残り8.8秒、エンドラインから拓大ボールのスローイン。試合が決まる1プレーを、会場中が固唾(かたず)をのんで見守った。拓大はユニバーシアード代表候補のシューター・成田に打たせるプレーを選択。しかし、ここ一番の集中力を発揮した明大は、齋藤が素早く寄せ簡単にはシュートを打たせない。残り4秒となり、成田が強引に放ったシュートはリングをかすめ、残り1秒で明大ボールに。一度タイムアウトを取り、落ち着いて最後の1秒を終わらせると、選手全員がガッツポーズで喜びを爆発させた。1998年・第47回大会の準優勝以来17年ぶりとなるベスト4。税所啓主将(情コミ4=興南)が試合後第一声で言い放った「最高です」の言葉が、この勝利のもたらす意味の大きさを物語っていた。

 粘って、粘って、粘り切った。1点差でものにしたこのゲーム。ターンオーバーが続いた第2クオーター中盤や、9点ビハインドまで開いた第3クオーターの入りなど、ズルズルといってもおかしくないシーンは何度もあった。だがこの日は集中力が違った。「焦らずディフェンスを1本1本やるということを、全員が感じていたので我慢できた」(伊澤)。オフェンスがうまくいかない時こそ、ディフェンスに注力。タフショットを打たせ、両チーム通じてトップの15リバウンドを取った伊澤を中心にマイボールにし、守備からリズムをつくった。初戦、2戦目とどことなく締まりのない試合が続いたが「1試合通してディフェンス意識を高く持ってやれた」(秋葉)としぶとく戦い抜いた。

 果敢さが勝利をもたらした。この試合のチームの3Pシュート成功率は5割越え。どの選手も積極的に得点を狙い「チャンスがあったら打つ」という長谷川聖児HC(ヘッドコーチ)の方針を体現した。圧巻だったのが齋藤、吉川の2年生ガード二人。それぞれ、チームトップとなる17点ずつをマークした。特に吉川は1点を争う緊迫した第4クオーターの中で3本の3Pシュートを沈めるなど勝負強さが光った。決勝点も吉川。右45度3Pラインよりかなり後方からだった。「遠かったけど狙っていたので、自信を持って打った」(吉川)と放ったシュートがリングに触れることなくネットを揺らすと、高々と左拳を突き上げた。
 
 まだ挑戦は終わらない。拓大から金星を挙げ、次戦で戦うのは昨年度インカレ覇者の筑波大。ユニバーシアード代表候補4人が名を連ね、さらに平均身長188cmと圧倒的な高さを誇る。拓大戦同様に、厳しい試合となることは間違いない。「平面で勝負できれば勝機はあると思う」(齋藤)と、高さで劣る分スピードで勝負していきたいところ。次はファイナルの舞台を懸けて、チーム一丸で勝利を目指す。

[尾藤泰平]

試合後のコメント
長谷川HC

「選手自身が勝ち取ったものだ、というだけ。ディフェンスにしてもオフェンスにしても、やりたいプレーを前面に出してくれたのが大きい。選手自身が頑張った。ここ何試合かあったけれど、自分たちがやるという思いがあったら、チームは変わる。就任して最初に言ったのは、誰でも全員チャンスがあったらシュートを打ちなさい、落ちるか入るかは二の次ということ。いろんな意味で僕は準備期間がなかったが、どんな形であれとにかくトーナメントは戦わなければいけず、勝敗は気にしないと言っても形にはしなければいけなかった。もちろん選手は勝つ自信は持っていただろうが、レベル上今のままでは楽に勝たせてもらえないとは分かり切っていたこと。この後もそう簡単にはいかないだろうが、気持ちの上ではみんな非常にいい気持ちになっていると思う」

税所
「素直にうれしい、最高です。ベスト4は意識していなかったが、去年までこの大会で勝ってるイメージがなかったので、久しぶりだなという感じ。京王電鉄杯までと比べて、チームが一つになってきたと思う。トーナメント初戦の玉川大戦はぐだぐだの入りで苦戦して。そのあとは自分たちのバスケはできたものの。それから試合ごとに成長している感じがする。みんなが自分の力を発揮できてきていた。自分も出たいといえば出たいが、チームへの貢献を考えたら、励ましとか声掛け、帰ってきたときに落ち着かせたりしかできない。でもそういうところでみんなで戦っている姿勢を見せたかった。ここからは挑戦。たぶん筑波とあたって、その次は東海。格上にひたすら向かっていくだけ」

秋葉
「チャレンジャーだったので、怖いものは何もなかった。新チームらしいミスはまだまだあったけど、それを補いつつ戦えたというのはいい経験になったと思うし、それに加えて勝ち星がついてきたというのは本当にうれしい。相手にバンバという存在がいてそれに集中していた分、1試合通してディフェンス意識を高く持ってやれたことが大きかった。(4Qのシュートについて)ショットクロックがないと思って打った。リバウンドが自分の仕事だと思っているので、良かった。次の相手は大きいかもしれませんがそれに勝る何かをできると思うので、チャレンジャーとして戦っていい経験ができるようにしたいです」

伊澤
「拓大戦を目標にしてきた部分があった。1試合を通して自分たちがやりたいディフェンスができて、ちょっと失点が多かった気もするけど、それを上回る点を取れて勝ち切れたというのは自信になった。これまでの2戦と比べて、チームとしてバスケがまとまってきて、1試合通して落ち着いた、ちゃんとしたバスケができた。本来の自分たちの力を出せるようになってきたので、その中でどう自分のスキルを高めていくかを試せた試合だった。相手の方が力があるっていうことは分かっていたので、焦らずディフェンスを1本1本やるということを、全員が感じていたので我慢できたんじゃないかと思う。(バンバには)前半で19点取られてやられすぎた感はあったが、楽しくやれた。今後は今日やれたディフェンスを継続することと、チーム全員で1つのリバウンドを取るという意識を強固にしていくことが大事。次からはサイズが大きいのでリバウンドがキーになると思う」

黒崎海斗(営4=新潟商)
「まずうれしい。今大会は、優勝を狙うというよりも内容を重視しているつもりで、1部校の相手にどれだけ試合数をこなせるかを目標にと思っていた。バンバ(拓大)を相手にしたときにダブルチームでいったり、要所でもっと頑張れれば良かったが。自分が控えで見ていた時はボールが回っていなくて、相手のガードプレーが強いと思っていた。だから前半に出た時はパスを回すことと、積極的にシュートを意識していた。後半はあまり覚えていないが、ディフェンスを頑張ろうとしていた。チームはオフェンスができないときにディフェンスを頑張る、という習性がついていないので。あとは声を出して、奮起させられるかとか、自分の課題はクリアできた。次の相手はどこでもでかい。ボックスアウトとリバウンドを頑張って、インサイドに任せないで全員で飛び込んむように。オフェンスがだめなときにディフェンスを頑張って、そこで踏ん張れるかが勝敗につながると思う」

齋藤
「個人として、関東だがファイナル4には入れたのは始めてなのでうれしい。拓大を1つの壁としてやってきたが、勝てない相手ではないということはみんなが感じていた。後ろ向きな形で試合に臨んでいたら、点差を離されて負けていたと思う。そうではなくて、前向きにどうしたら勝てるかをみんなで話し合ったから今日の結果が出せた。1試合目はディフェンスがひどくて、2戦目は立て直せたと言ったら甘いけどある程度は改善した。ただ粘りがなかったせいで1点差を開かせることができなかった。今日は逆に相手にリードを許しても粘り強くディフェンスをできたので良かった。クラッチタイムとかではない限りあいたら打っていいとは言われていて、今日は岡本飛竜ついてくるからか分からないけど2番だったので、いつも以上に打つことは意識していた。1番をずっとやっていたから違和感はあったけど、1番をやっているときの大変さは分かっているので2番をやっている時にすぐつないであげるということはやれたし、やりづらかったというのはなかった。筑波戦では、ディフェンスでもしっかりつめて、平面で勝負できれば勝機はあると思う」

吉川
「素直にうれしい。関東トーナメントが始まって、あまり試合に出るチャンスがなくて、今日の拓大は強いですけど、とにかく結果を残して勝ちに貢献することだけを考えていた。(最後の3Pは)遠かったけど狙っていたので、自信を持って打った。今年の目標というか課題は3Pだと思っているので、徐々にリーグ戦に向けて挑戦したいと思っている。みんなでディフェンスを頑張って、バンバをしっかりスクリーンアウトしてリバウンドも取れた。それを攻撃につなげられたので、点差をひっくり返すことができたと思う。筑波はみんな大きいが、拓実(齋藤)や自分がスピードをいかしていけば、フリーをつくって相手をかき乱せると思うので、そうやって切り崩していきたい」