
上田が昨年の王者相手に惜敗もベスト8入り/全日本選手権
一歩及ばなかった。2年連続の出場となった上田は、準々決勝まで勝ち上がる。対するは昨年の全日本選手権優勝の王子谷。実績では劣る相手に「どれだけ通用するか試してこい」と、試合前に猿渡琢海監督からげきを受けた上田は攻めの姿勢を見せた。2、3回戦での試合に比べ相手に技を掛けにいった。指導の差で負けてはいたものの、勝負は中盤まで接戦を繰り広げる。しかし地力で勝る王者に比べて「うまさの差、経験差、体力差があった」(猿渡監督)と、残り時間が1分に差し掛かるあたりで上田は有効を奪われ万事休す。そのままポイントを奪うことができず敗れた。
強者相手に善戦した。ルーキーの田中は2回戦でウルフと対戦。「中身はどっちもどっちだった」と猿渡監督が評価するように、全日本ジュニア100kg級優勝など力のある相手に臆することなく戦った。試合は互いにポイントを奪うことができなかったが、指導差により敗戦。それでもレベルの高い試合を経験したことは、今後の成長につながるだろう。
団体戦での活躍が必至だ。この大会の上位8選手の中で上田は唯一の大学生以下の選手。昨年の講道館杯も5位など、学生大会以外でも実力を出し始めている。田中も入部早々に大きな大会を経験。団体戦では重量級の活躍が必要である。「2人ともポイントゲッターとして活躍してほしいし、日本一へ導いてほしい」と猿渡監督も期待。今回の反省を糧に、さらなる飛躍を遂げる。
[森光史]
猿渡監督
「2人も調子は悪くなかった。自分の柔道をできていたと思う。調整もうまくいっていたし。(上田はベスト8だったが)上田は講道館杯でも5位だし、4月の体重別も選手に選ばれて、今回もベスト8になるだけの力がある。学生レベルでなく、シニアレベルの大会でベスト8になっているので、力は付いてきているのでさらに上を目指してほしい。何が足りなかったかは本人が気づいている。ただ、上位8人に限っても、上田だけは形を作れず、得意技ができていない。そこがほかの選手に劣っている。そこを強化して、今年の講道館杯ではベスト4以上になってほしい。慎重になりすぎて相手を投げられなかったり、接戦で相手を投げられていない。接戦で自分の技を掛けてくれないと上へ行くのは厳しい。王子谷との試合では、相手は格上と分かっている中で、勝ったら成長できるということにつながる試合だった。試合前に自分の力がチャンピオンにどれだけ通用するか試してこいと言った。気持ちは出ていたと思う。負けたのはうまさの差、経験差、体力差だと思う。ただ、チャンピオンに接戦をできた。今日までは負けるかもしれないと思っていたが、次は勝ち負けを考えられるなと思う。(田中に関して)思い切り戦ってこいというのが大前提。相手はウルフという学生界では強い選手で、その中でも中身はどっちもどっちの戦いだった。でも、気持ちの焦りや試合をうまくつくれなかった部分はあった。田中も『力の差を感じた』と言っていた。パワー不足かなと思う。田中は最初にしてはいい試合だったと思う。2人とも団体戦ではポイントゲッターとして活躍してほしいし、日本一へ導いてほしい」
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