(4)DL・OL編

 第4回は地味ながらゲームの流れを左右する重要なポジション、DL(ディフェンシブライン)・OL(オフェンシブライン)を特集する。

DL
役割
 スクリメージライン上にセットする選手の総称で、フォーメーションにより異なるものの4人前後で構成される。ディフェンスの中でも特に大柄な選手の担当するポジションである。ランプレーに対してはブロックに来る相手を打ち負かして自分が責任を持つゾーンを守ってボールを保持するランナーにタックルを仕掛ける事と、パスに対してはOLのブロックを破ってQBにプレッシャーを与え続ける事が主な仕事である。DLのうちでもさらにポジションによってカバーする場面が異なり、内訳は下記のようになる。
ディフェンシブタックル:DLのうちでも内側に位置するポジション。主にランに対する守備の役割を担っている。
ディフェンシブエンド:DLのうちでも外側に位置するポジション。ラインの外側にきたRBに対応するだけでなく、パスプレーではQBに向かっていってプレッシャーをかけることが主な役割である。ゾーンブリッツの時(LBがブリッツを仕掛ける場合)に、開いたスペースにパスカバーをすることもある。

見所・魅力
 DLの見どころといえば何と言ってもやはりQBサック。これはパスプレーのときにパスを投げる前の相手QBにタックルすることで、観衆を沸かせるスーパープレーである。また、DLはOLにヒットで勝つことができればランナーやQBにプレッシャーをかけることができ、試合を有利に進めることができる。相手の攻撃の芽を摘み取ることができるかどうかはDLの活躍に懸かっているといっても過言ではないのである。そのためDLはある程度の体格も当然必要となってくるが、特にOLと違って手の使用可能範囲が広いためにハンドテクニックも要求される。魅力としては「プレーに一番最初に絡めるところ」(DT石渡・政経3)、「力と力の勝負ができる」(DT長谷川・商3)、そして「地道な練習がものをいうところ。センスだけではやれないところ」(高橋(輝)主将・法4)。豊富な練習量に裏打ちされた相手OLとの力強いぶつかり合いに注目だ。また、「コアな話をすれば1対1のライン勝負で圧倒して、いかに相手のオフェンスのランニングレーンを潰してロスタックルにつなげるか」(高橋(輝)主将)と、ライン勝負の先にある相手バックス陣に対するプレッシャーからも目が離せない。
 最後に、DLは守備の選手の中でも後方のLB、DBの陰に隠れて地味になりがちなポジションであるが、自分の力量次第では試合で目立ちまくる非常に魅力的なポジションである

OL
役割
 センター(C)、ガード(G)、タックル(T)およびエンド(E)から構成され、オフェンスラインの最前線に位置する。ランプレイのときには体を張ってディフェンスをブロックしてRBの走路を開き、パスプレーのときにはDBからQBを守る働きをする。しかしエンドを除くと、スナップ時にセンターがボールを持つ以外ではほとんどボールに触れることが認められないため、OLといえばエンドを除く中央の5人(インテリア・ラインメンと呼ぶ)を指すことが多い。ここで、インテリア・ラインメンの各ポジションについて説明しておこう。

センター:ラインの中央に位置し、クォーターバックにボールをスナップする役割を持つ。プレー開始後は他のラインメン同様、ブロックを行う。

ガード:センターの両側に位置し、左ガード(LG)と右ガード(RG)がいる。ランプレー時に相手をブロックして走路をつくることもある。

タックル:ガードの外側に位置し、左タックル(LT)と右タックル(RT)がいる。ブロックをする役割は同様に負っているが、ラインの両サイドに位置しているためパス・プロテクション(パスをするQBの保護)に関してはより大きな責任を持つ。とくに、QBの利き手の逆側(ブラインドサイド)は死角になるため、ブラインドサイドのタックルにはさらに高い能力が必要である。

 上記のインテリア・ラインメンはパスプレーにおいてボールをキャッチできず、またスクリメージラインを超えてもいけない。ボールを扱わないため目立ちにくいが、OLの仕事によって攻撃の成否が左右されると言っても過言ではない。

見どころ・魅力
 目立たないとはいえ、ラン・パスともに非常に重要な働きをして堅実なプレーでチームの勝利に貢献するポジション。「OLがボールを出さないとゲームが始まらない」(堀龍正氏・平23政経卒)というように、ランプレー・パスプレーに関わらず全ての攻撃の起点となっていることから「地味なポジションだけど、俺たちがゲームメイクしている」(堀氏)という実感を味わえるポジションだ。「ランプレーが通った時に、少しでもОLの存在を思い出してくれればうれしい」(堀氏)。

今季のグリフィンズ
DL
 今季のグリフィンズDL陣で注目すべきは石渡・長谷川の3年生T(タックル)コンビだろう。「共に豆タンクながら運動量が落ちない」(岩崎監督)と、指揮官の信頼も厚い。“豆タンク”と形容されるように石渡が170cm・長谷川が168cmと、高さにおいては他チームに劣るものの、グリフィンズならではの「泥臭さ」を持ったプレーヤーだ。
両サイドのDEには高橋(輝)主将、金田(政経2)と高さがある2人が控え、相手バックスにプレッシャーをかける。

ОL
 ОL陣は、DL陣と打って変わって若いメンバーが目立つが、中でもけん引役として期待されるのがG細野(政経3)だ。下級生時よりスターター出場していた経験を生かし、経験の乏しいQB杉浦(文3)・廣瀬(商1)らを盛り立てていきたい。また、先述のように「ランの明治」の看板に恥じないラッシュを実現するためには、ОL陣のリードブロックが欠かせない。華やかなランプレーを支えるОL陣の活躍に注目したいところだ。

~注目選手~
・高橋輝(DE)
 今季主将を務めるDL陣の大黒柱。下級生時より出場、当時よりチーム内で積極的に発言するなど、リーダーシップに定評あり。「やはりDLのプレーとしてはQBサックに注目してほしい。コアな話をすれば相手バックスの走るレーンをつぶすところを見てもらえれば」

・石渡怜雄(DT)
 1年次より注目選手としてたびたび名前が挙がってきた実力派。高さはないものの、パワー・スピードのあるタックルで相手のゲインを許さない。「敵の攻撃を崩すところ、一人一人のテクニックを見てほしい」(石渡)。

・長谷川周平(DT)
 フットボール未経験ながら、名門・桐蔭学園高でのラグビー経験を生かしたタックル力で頭角を現した小兵。石渡と同様高さはないものの、その弱点をものともしない“しつこい”タックルで相手オフェンスの戦意を奪う。「(注目されることへの)プレッシャーはない。低さを生かしてダブルチーム(2人がかりのブロック)に割り込みたい」(長谷川)

・金田充功(DE)
 高橋(輝)主将をもってして「気持ちのプレーヤー」と言わしめる若きラインマン。「最後まで諦めないし、パックスに抜かれてもプレーが止まるまで追いかけ続けるグリフィンズらしい泥臭さを持った選手」(高橋(輝)主将)。恵まれた体格と気持ちの強さでこれからのグリフィンズを支えるプレーヤー。「個人じゃなくて、チームで見てほしい」(金田)

・細野燿平(G)
 上級生が多く抜けた今、OL陣は下級生時よりスターターに名を連ねた彼の活躍に懸かっているといっても過言ではない。「ランの明治」をライバルに見せつけるために、「とにかくがむしゃらに」(細野)ヤードを重ねたい。

・横田将信(G)
 スピードが売りのグリフィンズОLの伝統を継ぐ期待の星。「サイズが劣る分、初速にこだわっていきたい」(横田)とスピードに対する意識は高い。「プレー中、ボールキャリアの前が空いたときにブロックの活躍を感じてほしい」(横田)

◆高橋輝   たかはしひかる   法4 法政二高出  187cm・90kg
◆石渡怜雄  いしわたりれお   商3 法政二高出  170cm・100kg
◆長谷川周平 はせがわしゅうへい 商3 桐蔭学園高出 168cm・98kg
◆金田充功  かねだみついさ  政経2 日大三高出  182cm・91kg
◆細野燿平  ほそのようへい  政経3 日大三高出  179cm・100kg