平井彬 笑顔なき優勝/日本選手権

2015.04.13
 平井彬嗣(政経4=市立船橋)が男子1500m自由形で2年ぶりの優勝を果たした。しかし、世界選手権の派遣標準記録には届かずレース後は悔しい表情を浮かべた。男子100m自由形の丸山徹(営2=春日部共栄)、女子400m個人メドレーの樋口恵夢(情コミ1=市川学園)がともに3位に入り表彰台へ。女子200m背泳ぎで連覇を狙った神村万里恵(情コミ3=八王子)は5位に終わった。

平井彬 笑顔なき優勝
 「悔しいの一言に尽きる」。世界選手権代表を逃し、2年ぶりの優勝にも笑顔はない。400mまで100mを59秒台のラップで泳ぎ、隣のレーンを泳ぐ日本記録保持者の山本(ミズノ)から体二つ分のリードを奪う。しかし「後ろを気にしすぎた。前だけを見ていれば良かった」。その後のラップは1分00秒~01秒に落とし、最後は山本に0秒74差まで追い詰められた。タイムは派遣標準記録に約3秒及ばない15分01秒78。ゴール後電光掲示板を確認すると、天を仰いだ。
 敗戦からの出発だった。連覇を狙った昨年は4位と惨敗。ジャパンオープンでは山本に日本新記録を樹立された。所属していたスイミングクラブをやめ、現在はJISS(国立スポーツ科学センター)を拠点に練習している。この一年で大きく環境が変わり、意を決して臨んだ今大会。メンタル面の強化や、山本と萩野(東洋大)を参考にした泳ぎには手応えをつかんでいた。調子の良さも感じていた。だが「世界を口にするだけの準備ができていなかった」と想像以上に厳しいものだった。レースには勝っても「世界」という相手に負けた。
 「自分に足りないものをもう一度見詰め直したい」。この敗戦から再び進化を遂げてみせる。

樋口ベストに迫る個メ3位
 成長を見せた3位入賞だ。400m個人メドレー決勝で樋口は、100mを終えた時点で最下位の8位。個人メドレーは背泳ぎからペースを上げるのがいつものレースプランではあるが「バタフライで遅れるときの結果はだいたい悪い」という実感があった。それでも「ここでくじけないように」と、出遅れを感じながらも心で踏ん張った。持ち味の追い上げを見せ、背泳ぎで4位に浮上する。予選のタイムから、隣のコースの高橋(ミキハウス)が自分と同じような泳ぎぶりであること確認しており「付いていこう」と狙いを定めた。高橋に食らい付き、得意の自由形で3位に順位を上げてゴール。4分40秒42と、高校2年次に出したベストタイム4分40秒14に間近で、久々の好タイムだった。
 予選では体の動きも重く感じていた。今まではこういった予選が芳しくないときには不安に駆られた。しかし「今回は冷静だった」とこの決勝は落ち着いて試合に臨むことができ、好成績が残せた。レースを終え、樋口は「去年のことは吹っ切れて、頑張っていけそうです」と晴れやかな表情を見せた。昨年はインターハイ3連覇を遂げながらも、思うようなタイムが出ず、その原因も分からなかった。4日目の200m個人メドレーも8位に終わり、不調続きであるという思いもあったが、この3位入賞でそれを払拭(ふっしょく)できた。これで最低限の目標に置いていた7月のユニバーシアード出場も射程圏内に。「気を抜かず夏に向けてやっていきたい」と気持ちを新たにした。