シングルスカルで健闘 種目ごとに明暗分かれる/お花見レガッタ

2015.03.31
 高校生から実業団まで出場する今大会。全日本級のハイレベルな争いの中、男子シングルスカル、女子シングルスカル、男子ダブルスカル、女子ダブルスカル、女子舵手付きクォドルプルと5艇が決勝に駒を進め、健闘。一方で、好成績を期待された男子エイトは思うような結果が出せず、苦いスタートとなった。これから始まるシーズンに向けて課題が見つかる大会となった。

 冨田千愛(法4=米子東)が女子シングルスカルで2位に入った。スタートで出遅れ、差をつけられるも残り100m付近で一気に追い上げるとトップの上野(明治安田生命)とほぼ同時にゴール。判定の結果、1秒及ばず2位となった。
 今冬は日本代表選考合宿に励んだ。選考中は短距離をこぐ練習を重ねた。今大会は1,000mと通常より短い距離のレース。選考合宿中に上野と勝負した際は2秒差で負けていた。しかし今回は合宿の成果を発揮し、その差を1秒ほどに縮めた。また、「以前は気持ち的に1000mや2000mがつらかったが、今はつらくなくなった」。1日に30kmこぐ日もあるほどハードな練習環境の中で精神的な成長も実感。スタートに苦手意識を持つ冨田は「苦手克服に努めて自分に有利なレース展開にしたい」。自身の中で明確な目標を持ち、気を引き締める。

 大学での初戦をいい形で切った。古田直輝(政経1=米子工)が男子シングルスカルで4位に食い込んだ。決勝は古田以外全員実業団選手でハイレベルな争いであったが「緊張しなかった。いつも通りのこぎができた」と、一切物怖じはない。1位から3位の選手は、シニア日本代表を務める程の実力者ばかりで、その中で4位に入れたことに「達成感もあるが、悔しい」。自身のスキルアップを感じながらも満足はしない。4月にある日立明レガッタでも同種目に出場する。「そこでは優勝する」と勝ちにこだわる。ゆくゆくは端艇部の中心となっていく古田はさらなる高みを見据えた。

 個人では好成績を残すも、種目によって明暗が分かれた今大会。「シーズンはまだこれから」(角監督)と今大会を振り返った。「ひとつひとつ積み上げてきたことを、これからいざ実践というときにどれだけ発揮できるかが大事」(角監督)。まずは2週間後に控える日立明レガッタで悔しさを晴らす。本格的なボートシーズンに入る前にチームワークを高め、後に続く軽量級やインカレへの足掛かりとしたい。

[辻成美]

試合後のコメント
角久仁夫監督

「今回のレースは1000mで短いし、練習の一環として捉えている。シーズンはこれから。この冬は体づくりを重点的にやってきた。ひとつひとつ積み上げてきたことを、これからいざ実践というときにどれだけ発揮できるかが大事。新入生は実績がある選手が多くて、地力は持っているから、これからどれだけ自分でやるべきことをやっていけるか次第で変わってくる。四年生が卒業して、新入生が入学してきて、代が入れ替わりながらも活性化していく組織でなければならないし、それはリーダー次第と言う部分が大きい。今のチームは姿勢で引っ張る冨田を中心にうまくいってるんじゃないかな。高いレベルでまとまろうという意識を全員が持って、日常の生活から基礎を積み上げていけば、これから始まるシーズンも自然と結果はついてくると思う」

冨田千愛主将(法4=米子東)
「ジャパンの選考で、1500mをこぐ練習を1週間前までやっていたので、短い距離のレースの対策はできていたと思う。具体的には500mをたくさんこいだり、スタート練習を繰り返しやったり。それでも今日は最初の500mで出られてしまって、最後は差を詰めれたけど足りず、2位に終わってしまった。今日負けた相手は、選考の時にも負けていた相手だったが、選考の時は2秒差くらいあったところを、今日は1秒差ないくらいまで詰められたので、そこは良かったと思う。スプリントの難しさは前半で全て決まると言っても過言ではないというところ。自分はスタート100mで前に出られてしまって、後半の巻き返しが追いつかないというパターンになってしまうことが多くて、今日もそのパターンになってしまった。この冬は1ヶ月の選考合宿で、とにかく長い距離をこいだ。多い日で1日28km〜30kmこぐ日もあった。つらかったが、代表になるにはこれくらいやらないとなれないんだという気持ちで頑張った。精神的に強くなったと思う。前までは1000mとか2000mとかでもつらかったが、レースがつらくなくなった。選考合宿などで部にいないことが多くて、チーム全体を見るとかができず、自分の目標として選考に向けてやることと、チーム全体を強くすることの両立が難しかった。今のチームの雰囲気としては、自主性を持ってひとりひとりが練習に励んでいると思う。言われなくても補強をやったり、自分で考えて練習を組んだりが自然とできている。今シーズンに向けての目標は、スタートがずっと自分の課題なので、スタートで前に出るスプリント力を付けて、自分の有利なレース展開に持ち込めるようにしていきたい。チームとしてはインカレ総合優勝という目標に向けて、それまでのレースは力を試す機会としてしっかり結果も残していけるように経験を積んでいきたい」

古田直輝(政経1=米子工)
「4位という結果は、表彰台に届かなかったことは、悔しいが上位3人は今年のシニア日本代表で、本当にオリンピックに近い人ばかりの中に食い込めた。だから、差が縮まったと達成感が残るレースだった。意識していた選手は、シングルスカルの上位3人。大学での初めての大会だったがいつも通りに臨めた。雰囲気に呑まれずでき、緊張もそこまでなく、程よい感じだった。楽しめた。レースプランは特にはなかったが、いつも通りラストスパートは上げてこいだ。また、今回は1000mと短いから出だしを丁寧に速くこぐことを意識した。レースは上位3人が飛び出して差を開かれないよう粘ってこいだ。次は日立明レガッタがあるので、またシングルスカルに出場すると思うので、優勝は狙いたい」