
日本最高峰の大会で前田が準優勝/全日本室内選手権
最後まで王者に食らいついた。決勝の相手はロンドン五輪で銀メダルを獲得した古川。今大会でも2回の優勝を果たしている強敵だ。大会の大トリの試合ということもあり会場の注目を集める中「すごい震えで狙いが定まらなかった」と2セット目までに0―4と大差をつけられる。しかし「何とか一泡吹かせてやろう」と意地を見せ3セット目で3射とも最高得点である10点を出し30―30の同点で1―5にすると、続く4セット目では「楽しんで決められた」とこちらも3射連続で10点を決めた。これでカウントは3―5。後がない状況から勝利も見えてきたが、五輪メダリストの壁は高かった。5セット目で前田が9点を2回記録してしまうも古川は淡々と10点を重ね、最終的には3―7で前田の敗北が決定した。古川は15射中12射で10点に乗せる安定の射を披露。2年連続3回目の優勝を手にした。それでも決勝で戦った古川や山本博(日体大)など五輪メダリストも出場する日本最高峰の大会で前田は準優勝。表彰式では格上相手に善戦した前田に会場から大きな拍手が送られた。
恵まれているとはいえない練習環境で手にした準優勝だ。チームは春のリーグ戦に向け50mや30mでの練習を特化。時間を見つけてはインドアの練習をして今大会に照準を合わせた。その中でも準決勝、河田悠希(佐伯高)との互角の戦いをシュートオフで制し全日本タイトル三冠を阻止するなど、全日本の大舞台で躍動した前田。春に行われるリーグ戦は「自分が悪くてもチームが勝てればいい」と言い切る。王座出場という絶対的な目標に向け、エースがチームを勝利へ導いてみせる。
[原大輔]
試合後のコメント
前田
「準決勝あたりから何でこんな高いところにいるんだと思っていました。今の自分にはもったいないなという感じです。一番上は目指していましたが、まさか決勝まで来られるとはという感じです。トーナメントの形式では3本で全てが決まってしまうし、相手との勝負なので相手を気にしてしまうので苦手だったのですが、そこは2年間の成長です。(準決勝で対戦した)河田選手は全日本フィールド、ターゲットでタイトルを取っているすごい選手で、最後はシュートオフで決まったのですが、そこはいつもみたいに力を抜いて柔らかくリリースをするということを意識しました。(決勝の第1、2セットで大きくリードされたが)極度の緊張で、完全に自分のせいです。どうしようもないほどの緊張ですごい震えで狙いが定まらなかったです。3セット目で1―5に持っていって、4セット目では30―29で勝って何とか命をつなげました。ストレート負けは嫌だと、何とか一泡吹かせてやろうと思いました。(後半は)1、2ゲーム目に比べて楽しくなって、楽しんだまま4ゲーム目の最後10点を決められました。今まで緊張する試合は多くあったので、やることは一つだなと、気持ちを落ち着かせて高望みせずに射ちました。(これからは)能力があってこそ試合で発揮されるので、能力を上げていきたいです。リーグ戦の目標は王座出場、それだけに絞って、自分が悪くてもチームが勝てればいいくらいの気持ちでいきたいです。今大会で自信がつきました」
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