古俣が女子エペ個人で堂々の優勝! /JOCジュニア・オリンピック・カップ

2015.01.11
 古俣が実力を発揮し優勝を挙げた。今年度ジュニアの大会を三つ制しジュニアでは敵なしともいえる強さを見せた。1995年から1997年生まれのジュニア枠の選手によるJOCジュニア・オリンピック・カップ。明大からは池畑亮太郎(理工1=三重県私立海星)、道脇啓太(営1=熊本県立翔陽)、古俣潮里(政経1=新潟)の3人が出場した。池畑は専門のフルーレで成長を見せるも、エペでは予選敗退となった。道脇はフルーレ69位に終わった。

[女子エペ]

 古俣が圧倒的な強さを見せ、大会初優勝を飾った。東京都ジュニア女子エペ個人選手権、全国ジュニア・エペ選手権に続きジュニア大会3連続制覇となった。「一番の山だった」(古俣)と語る今大会のターニングポイントとなったのは3回戦の高木(日大)との一戦。立ち上がりに2ポイントを奪われるとその後も波に乗れず「自分の剣が届く前に、相手の剣が自分に触ってしまうという一番悪い時のパターン」(長尾康司助監督)という戦い方で、一時は4―8まで離された。準々決勝までは10ポイント先取ということもあり「負けたなって思った」(古俣)。しかし開き直って一本一本時間を使って攻めたことが功を奏し、4連続ポイントで8―8と追いついた。ここでタイムアップとなり勝負の行方は一本勝負に委ねられた。アタックに絶対的な自信を持つ古俣だが、ここまでに何度もアタックに行ったところを返されたことで「アタックにいく勇気もなくて正直一本取れるという自信は全くなかった」(古俣)。それでも動くことで相手を誘い、出てきたところを突いて一本勝負を制した。
 実力を遺憾なく発揮した。3回戦で勝利すると4回戦を10―6、5回戦で10―3と危なげない試合運びで準決勝進出。準決勝では序盤に一挙5得点でリードを奪うと連続でポイントを積み重ねた。相手を寄せ付けることなく15―11で勝利を挙げ決勝に駒を進めた。

成長の証
 新たな強さを見せた。決勝は「得手としてないタイプ」(長尾助監督)という才藤(埼玉栄高)との一戦に。普段は自ら仕掛けハイペースな試合となることが多い古俣だが、決勝はこの大会の中でも最もスローペースな試合となった。序盤は互角の戦いになったものの3―3で迎えた第2セットからは古俣のペースに。5連続単独でポイントを挙げると最後まで流れを渡さずに15―8で勝利を決めた。相手の動きを見てから動く試合運びをし「考えるフェンシングが少しずつできるようになってきた」(長尾助監督)と言われるようになった。自らも「自分もこんなフェンシングできるんだなと分かった試合になった」(古俣)と語る。今までのように攻めるスタイルだけでなく、冷静に相手を見て動くスタイルも手に入れようとしている古俣。次は女子ジュニア・スペイン・ワールドカップに参加する。今大会の結果で春に開催される世界ジュニア選手権の代表にも大きく近づいた。「自分より格上の選手相手にどういうふうに勝っていくかというのがこれから世界に行くに向けて課題になる」(古俣)とまだまだ高みを目指す。「勝てる相手に確実に勝てるのも大事だけど、勝てない相手にくらいつくことも大事」(古俣)。さらなる成長を見せる古俣から来年度も目が離せない。

[男子フルーレ]
 池畑亮太郎(理工1=三重県私立海星)が存在感を示した。予選を108位で通過し、迎えた1回戦の相手は芝(和東クラブ)。ビハインドを背負う苦しい展開も、なんとか食い下がった。インターバル明けにポイントを連取し7―7と同点に追い付くと、最後は9―9からの一本勝負を制しゲームセット。昨年度のインハイで男子エペの王者に輝いた格上とも言える相手に競り勝った。2回戦でJESS(オーストラリアフェンシング協会)に3―10で敗れたものの、長尾助監督も「成長した」と笑顔を見せた。
 確かな手応えをつかんだ。接戦をモノにした1回戦では「途中から戦い方を切り替えられた。取れない点は捨てて取れるところだけに絞った」と池畑。終盤に逆転し、見事勝利を収めた。一方2回戦では、対応に時間が掛かり敗戦。この日は試合中に修正し、素早く相手の戦い方に対応できたかどうかが勝敗に直結した。課題は残ったが「修正するまでの時間が短く済めば、格上相手でも戦える」(池畑)と自信も得たようだ。
 また道脇啓太(営1=熊本県立翔陽)は1回戦敗退に終わった。山下(和歌山県立向陽中)を相手に、終盤追い上げを見せるも7―10で敗戦。「練習通りにできないのが一番の敗因」と振り返った。

[男子エペ]
 結果は残せなかった。池畑が出場したが専門ではないエペに苦しんだ。予選で1勝3敗に終わりトーナメントに進めず。チーム事情もありエペの試合にも出場したが「本人の選択に任せる」(長尾助監督)とフルーレだけに絞る可能性もある。「当面フルーレで頑張ってもらいたい」(長尾助監督)と来年度はフルーレでの活躍に期待したい。

[谷澤優佳]

試合後のコメント
長尾康司助監督

「去年は全日本で思うところまで届かなかったり、インカレでもファイナルに残れなかったり結果が出なかった。今日の試合を見ると、正月地元に帰って修正してきたのだと思う。決勝の相手は得手としてないタイプだった。苦手意識がある中でうまく対応できた。非常に慎重な試合運びだった。前だったらガンガン行ってしまって接戦になるところ。うまく相手を見ながら、時間をフルに使っていた。がむしゃらに行くだけだったが、がむしゃらに行くとかわされてしまう。最初一本目残されたが、普段はあれを4本も5本も続けてしまう。そこを修正してポイントを取れた。そして、それを積み重ねて行くことができた。考えるフェンシングが少しずつできるようになってきた。相手に対応できるフェンシングができていて成長を感じた。3回戦はガンガン行って、相手に合わされていた。自分の剣が届く前に、相手の剣が自分に触ってしまうという一番悪い時のパターン。絶体絶命のピンチ追い込まれたが、そこで試合の戦い方を変えた。無闇に行くと相手に合わされるから慎重に間合いを詰めて行って、相手が無理な体勢で来た時に捉えて一本取る。一本、自分のランプしか点けてはいけないところまで追い込まれて、そういう結果を出した。最後、向こうの選手は古俣の圧力を感じて腰が引けていた。同点になった時点め勝てるかなと思った。道脇は課題の多い試合ぶりだった。もっともっと修正しなければいけないことがたくさんある。池畑の1回戦の相手は強い選手だった。トーナメントを見た時どうかなと思った。途中までビハインド。最後は一本勝負を制した。成長したと思う。
(2日目)今日の結果はこんなもんだね。メンバーは部員の絶対数が少なくて3種目やらなくちゃいけないから、エペは今メンバー的には坂野と佐伯と3番手がいない状況だから、いろいろトライアルさせながら適正に合う選手がいれば3番手でという気持ちはある。ただなかなか結果が出ない。普段練習していないから自分がメーンだと思う種目を中心に練習すると、彼はフルーレだから今日のような結果になってしまった。フルーレとエペはやればやるほど全く違う競技。二つこなすのは非常に難しい。今日の結果を受けて自分にはちょっと向かないんじゃないかなと弱気なことを言っていたから、まだ1年生だし強制することはせず本人の自主性というか選択に任せようかなと。チーム事情も毎年変わってくるから、もしかしたらまたエペの舞台に出てもらわなくてはいけないこともあるかもしれない。当面フルーレで頑張ってもらおうかなと。フルーレで頑張りたいという彼の意見を尊重してそういうふうにしていくべきかなとは思っている」

池畑亮太郎(理工1=三重県私立海星)
「結果だけ見ると今日の結果は妥当。納得はしていない。体は動いていた。熱くなってガツガツ行ってもやってきたことは変わらないので、冷静にやろうとは思っていた。1回戦の相手はインターハイ優勝している選手。自分が今悩んでいることもあり、きついだろうと思っていたが案外行けた。冷静にはできなかったが最後は気持ちで行けた。始めリードされていて試合はそのまま進んだが、取れない点は捨てて取れるところだけに絞った。また、ゆっくり攻めて取られることが多かったので、基本下がり目で戦うことと、切り返しだけを狙った。途中から戦い方を切り替えられたことが大きかった。試合の中で修正できた。手応えはあった。予選でもあったが、相手に取られている点と取っている点を考えて試合の中で修正できている試合は勝てた。2回戦も2―7くらいまで行ってから気づいた。遅くて取り切れなかった。修正するまでの時間が短く済めば、格上相手でも戦える。相手を見る時間が必要。時間を使ってどこが行けるとかを見られたらいい」

古俣潮里(政経1=新潟)
「1回戦からベスト4に入るまでは10本勝負ということで、やっぱり15本勝負とは違って5本勝負とも違うし、だからといって悠長に取られまくってるといつの間にか負けちゃう。得点のときに試合が組み立てづらい。頭ではずっと一本が本当に大切だから相手に取られないようにしようというか、一本一本大事に取っていこうというのはあった。ただ2回戦でちょっと雑というか攻めて勝ってしまった。その勢いで3回戦にいったら、その子は強かったし私のことをよく知ってて研究してた子だった。だから私のアタックが全部見られて残されて、10本で点差を開かれたら終わりなのに4点くらいまで開かれちゃって、そこで本当に負けたなって思ってしまったくらい。そこで後ろとかの声をちゃんと聞いて負けたつもりになって一本一本、あまりよくないけれどもう負けだからというのもちょっとあったと思う。それで開き直って一本一本時間使って取ったら最終的に8―8になって一本勝負になった。そこでも本当は自分の一本確実に取れるというのはアタック。でもそのアタックをがむしゃらにいったら突かれてきたからアタックにいく勇気もなくて、正直一本取れるという自信は全くなかった。ただもう一回負けた気になったんだからと開き直ってずっと動かして動かしてきたら、相手がきたのがすっと見えて入れて勝てた。それがこの試合一番の山だった。その試合が本当につらくって負けたとも思っちゃったので、そのあとから相手も決して楽ではなかったけれど変に冷静に落ち着いてしまって一本一本。私は結構雑で速いフェンシングが代名詞と言われるほど浸透しているけれど、それ古俣らしくないねといろんな人に言われるほどしっかり冷静に動けたかな。全体を通して自分もこんなフェンシングできるんだなと分かった試合になった。それでもやっぱり課題は多かったけれど、ちょっと大振りになってしまったりとか、見すぎてびびって突かれちゃったりとかもあった。(意識などで変えた部分は)やっぱり気持ちの問題かなと思ってしまうのは、関カレ、インカレは上の人たちもいるし本当に私が実力で勝ってるのと思うような人たちも結構いる。この人強いなとか、もしかしたら負けるかもしれないって。でも勝ちたいから私の方が強いはずだってなって、勝ちたいってなってしまって空回ってしまったのが関カレ、インカレ、全日本。でもやっぱりジュニアは私この前2回とも優勝してるし実力通りにやったら勝てるなというのがあって、だからその自信がひときわ強かったし、途中に2回1位1位と取っていたのでポイント的にも問題ないなというのがあって、ここでもう負けちゃってもまあ私のランキングは大丈夫かなというのがあったので、捨てるものがあまりない試合だったのがノープレッシャーにつながったのかなと。本当は関カレとかインカレとか背負うものの大きい大会でそれでも実力通りの結果を出せるのが強い選手なんだと思うし、だから私の課題はこういう試合をどれだけ格上というか年上の選手に出していけるか。あとは本当に自分より格上の選手相手にこの戦い方は通用しないので、どういうふうに勝っていくかというのをこれから世界に行くに向けて課題になるのかなと思う。勝てる相手に確実に勝てるのも大事だけど、勝てない相手にくらいつくことも大事だから。(練習で意識してきた部分は)ずっと年末から年明けまで家にいて父にレッスンを取って貰っていた。そのレッスン内容はポイントの精度を上げるという一点。あとは私のドゥミファント、一旦ちょっとアタックに行くと見せかけて来たのを対応する、というようなものをずっとやっていた。それをやっていたことで技術的に上がっていた面もあるし、やっていたという事実でやっていたんだからできるはずと支えられた部分もある」

道脇啓太(営1=熊本県立翔陽)
「本当に駄目。プール戦も全然悪かった。普通に負けた。練習通りにできないのが一番の敗因。みんな緊張してるけれど自分はもっと硬くなっている。練習と同じことができない。本当にそれだけ。昔から、高校生からずっとだけれど。(今年一年を振り返って)大学生の試合は悪くなかったけど、ジュニアの試合が全部悪かった。学連の試合の方がまだよかった。(来年度は)まずは自分のことだけやる」