
宿敵中大に快勝 20年ぶり三冠まであと1勝/日本学生氷上競技選手権
大黒柱が流れを引き寄せた。第1ピリオド50秒、GK佐藤永和(文4=軽井沢)の脇をパックが抜けて先制点を許す。しかし「焦りはなかった」(最上義崇・文4=八戸商)と、この1点を機にFW陣に火が付く。攻撃陣が積極的にゴールへ攻め上がると1点を返し、続く第1ピリオド終了間際、FW上野峻輔(政経1=北海)から右サイドでパスを受けた梶原聡人主将(政経4=北海道清水)が、GK正面からロングシュート。「ちょっと特別な思い、絶対に負けたくない思いでやった」(梶原)と気持ちこもった主将の得点で勝ち越しに成功した。
待望の初ゴールがチームを勢いづけた。第2ピリオドは高橋、最上の今大会初得点を中心に4得点を重ねた。2点差に詰め寄られた第3ピリオド7分には、最後はコーナーでパックを受けたFW北島幹久(文3=武修館)が相手GKの肩口に押し込み、今大会初ゴールとなる7点目を決めた。「大事なところで決める存在になれて良かった」(北島)と勝利を決定付けた。
最高の舞台は整った。決勝の相手は秋のリーグ最終戦で対戦した東洋大だ。「優勝するためにチーム一丸となって戦いたい」と高橋。1994年以来20年ぶりの三冠へ。全員で一勝をつかみ取る。
[長堀笙乃]
試合後のコメント
梶原
「本当に点数だけ見れば接戦で、危なかったところも多かったと思うのですが、試合全体の流れとかを見てみるとすごくいい勝ち方だったと思います。法大戦と比べてもそうですし、今までの中大戦と比べてもそうなんですが、一回追い付かれたりだとか、今シーズン60分の試合で中大に勝ったことは今シーズン一回もなくて、この60分間ずっとリードを保っていて、明治の攻撃をして点数差をつくるということが中大相手にできたということが良かったと思います。それはみんなの自信にもなったと思いますし、今までに比べていい勝ち方だなと思いました。こっちのFW陣が頑張って、あっちのDFにいいプレッシャーをかけてくれたおかげで、相手も焦ったりだとかしましたし、そういったところで点数を重ねることできたので、うまく機能したなと思いますね。準決勝だったのですがやはり相手が中大だったということで、他の大学とは違った気持ちになりました。少なからず自分はそういう気持ちでやったので、ちょっと特別な思い、絶対に負けたくない思いでやったので勝てて良かったです。チームの雰囲気は最高って言っていいほど良かったです。今回の試合勝てて、やっぱり自分たちは強いんだと自信を持て、より一層チーム力が上がったと思います。今回は最後で4年生は後輩たちのために優勝したいという気持ちと、3年生以下は最後4年生のために優勝してあげたい、という気持ちが見て分かるので、その仲の良さもいい勝ち方につながった理由だと思います。明治は攻撃して点数を取ってなんぼっていうチームなんですけど、やはり失点が多い部分があるのでDゾーンでの守り、周りを見て自分がどこを見るべきなのか、しっかりみんなとコミュニケーションをとらなければいけないです。明日の東洋戦もスキルの高い選手が多いので、1対1だとか、自分の見るべきマークを外さないだとか重要になってくると思うので、守りの意識を高めようと思います。自分ももしかしたら最後の試合になってしまうかもしれないので、全力で、キャプテンというよりは自分自身として本気でチームのために頑張りたいと思います」
最上
「(今日の得点は)ジャンプアップからの3―2で決めた得点でした。みんながすごく喜んでくれてうれしかったです。ここに来て、明治に入って本当に良かったとさっきまでずっと思っていました。1失点目、自分のミスで入れられた時は焦って大変だったんですけど、そこからみんなが点数決めて盛り返してくれて、みんなに助けられて自分も得点できましたし、すごく1年を通していいチームになったと思います。今日は試合前に佑輔(高橋)が『ベンチ入ってない4年生の分も頑張るべ』と声を掛けてくれたので、それで今日はうまくいったと思います。北陸大戦のいざこざがあったから、今日の佑輔の一言があったから、今日の自分のモチベーションを上げてくれたと思います。理(松本・商4=北海道清水)とか亀本(剛・営4=八戸工大一)も自分が決めた時はすごく喜んでくれて、試合に出ていく時もいつも声を掛けてくれて、アドバイスもくれて。亀本は小学校から知っている仲だから、自分の悪いプレーもいいプレーも自分に正直に話してくれます。だから自分も真摯(しんし)に受け止めて力にしています。だからそういう同期たちに感謝しているからこそ、今日は絶対勝つと思っていましたし、明日も絶対勝つと思っています。(今年1年を振り返って)今年のチームは去年までとも全く違って、1~4年生まで気を使うことなくみんなでコミュニケーションを取り合うチームだったので、それが今の三冠に大手を懸けるまでに至ったのかなと思います。4年は1、2年の時ずっと主力で出ていたのは祐輔と聡人2人で、ほとんど試合に出ていない選手ばかりで、ずっと力のない4年生と周りから思われ続けて1年をスタートしたので、本当に大丈夫かなという思いはあったんですけど、ここまで来れてチーム全体でうまくやって来れたなと思います。聡人がキャプテンなのでみんな聡人が決めたら4年生は文句は言わないし、その姿を後輩たちも見て、ちゃんとしたキャプテンを中心とした形ができているので、今のチーム作りに一番大きいことだと思います。4年生の聡人への忠誠心じゃないけど、信頼は大きいです。最後は聡人とか佑輔とか永和の意地がやはり光ってくると思うので、1年間後輩の力を借りっぱなしでしたけど4年生の力、意地を見せたいです。(決勝戦に向けて)今日2年前に卒業された本野さんから電話を頂いて、まず今日は楽しめ、思いっ切りやってこいと言われて、気持ちが楽になってプレーできたので、明日も最後の試合でプレッシャーもかかるんですけど、自分の学生最後のホッケーを楽しんでプレーしたいです。東洋大学には小学校からずっと一緒にやってきた堀内という選手がいるんですけど、そいつと戦うのは最後になると思うし、自分の親も堀内の親も見に来てくれるので、いい試合をして、最後は勝って終わりたいと思っています。過去の先輩も三冠を目標にしましたができなくて卒業された先輩がたくさんいるし、今いる後輩たち、同期のためにも優勝したいです」
高橋
「中央はフォアチェックが早いので、チェックをかわしながら前で前で受けるようにしました。(得点シーンを振り返って)あのゴールはずっと練習していたので、その成果が出ました。(そこから流れを引き寄せましたが)そういう感じはしませんでしたが、そうだったら良かったです。(決勝戦に向けて)もちろん優勝したいです。優勝するためにチーム一丸となって戦いたいです。チーム一丸となれるようにキャプテンをサポートして、優勝だけを目指してやっていきたいです」
北島
「今シーズン1年間通して、サマーカップを含めて全部で4回中央とは対戦していて、2勝1敗1引き分けでした。勝ちは全部PSだったし、このインカレでちゃんと勝てたかなと思います。(インカレ初ゴールは)まだインカレでは1点も決めていなくて。中央は個人的には相性が良くて、過去の試合を見ても得点していたから、試合前から今日もあるんじゃないかなと思っていました。7点目だけど、失点のあと結構大事な場面で決められたから、あそこで決められて良かったです。(ゴールシーンは)自分でもよく覚えていないんですが、コーナーにパックがいって、ぱっと後ろを向いたら敵も全然来ていなかったから、これはいけるなと思ってゴール前に入っていって。キーパーの態勢が整ってなかったので上の肩口か脇くらい狙えたらいいなと思ったらいいところにいって良かったですね。(昨年のインカレ中大戦でも得点しましたね)自分で言うのもあれですが、自分が得点を入れている試合って、大学入ってから練習試合も含めて一回も負けていないんですよ。だから入れられたらいいなというのと、普段決められていない分大事なところで決める存在になれて良かったなと思います。一番のライバルは中央だと思うし、言い方は悪いけど最後の最後で邪魔してくるチームだったので、今年最後の試合でああいう形で勝てて良かったと思います。ようやく今日の試合に勝って三冠できるんだという気持ちが入ってきました。三冠するのはすごく難しいし大変なこと。大学入ってきてずっとしたかった三冠が目の前なので何がなんでもつかんでやろうという気持ちと、4年生と試合できるはあと一試合で、そう考えたら結構うるうるくるんですけど、最後はうれし泣きさせて卒業させてあげたいです。4年生は試合に出てる人も出てない人も、みんながチームのためにと思っていることはすごい伝わってくるし、素晴らしい4年生です。最後の試合で自分が試合に出れていないのに、頼んだぞとか任せたぞとか言ってくれるのは、自分が4年生の立場で考えたらすごい悔しいし、その気持ちを押し殺してでもそういう言葉をかけてくれるのは実際すごいことだと思います。だからこそ期待に応えたいと思います。三冠するのも本当に大事だけど、自分は4年生に恩返しの意味も込めてうれし泣きさせてあげたいという思いが強いです。そういう思いがあれば、必然に三冠もついてくると思います。(地元での大会は)今日の試合は家族全員で見に来てくれました。あとホッケー人生は1年しかないんですけど、両親が2人とも試合を見に来てくれるのはもうないと思う。全部の人に自分が今までやってきたアイスホッケーはこういうことなんだよと、明日はそういう人たちに恩返しするつもりで、明日は地元で絶対優勝したいです。(決勝戦は)どんどん前へ前へ気持ちを出していって、勝負強い男になりたいので決勝でも点数を取りたいです。ここまで来たら気持ちだけだと思う。地元開催という最高の舞台で、三冠という最大の目標をかなえて、最高のチームで最高の終わり方としたいです」
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