GWSに持ち込まれるも法大に辛勝/日本学生氷上競技選手権

 息が詰まる一進一退の攻防を制した。2回戦を終えて約8時間後、法大を相手に迎えた準々決勝。第2ピリオドまではリードするも、第3ピリオドで3失点を喫しGWSにもつれ込んだ。10巡目までつづいた激戦。最後はFW永井遼(営3=白樺学園)がシュートを決めると、GK佐藤永和(文4=軽井沢)が決死の守りでゴールを守り抜き準決勝への切符を勝ち取った。次戦は決勝進出を懸け、今大会最大のヤマ場である中大戦に挑む。

 永井がシュートを決めた瞬間、会場内に割れんばかりの歓声が響いた。GWS戦では2対2と勝敗がつかず、サドンデスにもつれ込む。しかしキーパーも互いに決してゴールを譲らない。10巡目にシュートを任されたのは永井。2巡目はわずかにキーパーに止められたが「次は決められると思った」(永井)と股下に狙いを定めたシュートで相手から見事ゴールを奪い、佐藤永にチャンスをつないだ。

 試合に終止符を打ったのは明治の守護神・佐藤永だ。先攻となったサドンデスで、6度にわたる敗北の窮地を全て防ぎ切った。「相手の特徴や好きなコースを把握していた」(佐藤永)と相手を分析。10回にもわたるGWSで明治のゴールを守り抜いた。しかし、4点を許した試合内容に、中大戦では「2点以内に失点を抑える」(佐藤永)と強く意気込んだ。

 苦戦を強いられた一戦だったが「最後の最後まで負けると思う人はいなかった」(大津晃介・法3=日光明峰)と全員の強い気持ちが勝利をもたらした。次はどの選手もヤマ場と口をそろえる中大戦。この戦いに勝てば三冠の王座はもう目の前だ。次の試合で調子を取り戻し、明治の全力ホッケーで絶対優勝を成し遂げる。

[島村昭二]

試合後のコメント
藤井匡智監督

「守りの集中力が足りなかった。次はFWの力がしっかり出せる展開にして行きたい。一人で頑張っているところが随所に見られ、ワンマンプレーが目立った試合内容となった。このままでは明日は勝てない。みんないい状態だったはずだ。PSではキーパーも入れられたら最後という状況となったので最後は気持ちで勝ったと思います。それぞれの持ち味をどう出せるかが次の試合につながる」

梶原聡人(政経4=北海道清水)
「本当はもっと楽に勝って次の試合につなげたかったところなんですけど、やはりあそこまでいくと気持ちの戦いになってくると思うので永和には本当に感謝していますし、土壇場でPSを決めてくれた晃介、最後に決めてくれた永井にも本当に感謝しています。今の明治が強いからこそ、ぎりぎりではあったものの勝てたと思います。(3ピリは)点数を取りにいったんですけど、なかなか流れに乗ることができなくて、いい展開ではなかったですけど、勝つことが最低条件なので、勝つことができて何より良かったです。(PS戦は)何とかしてくれと。祈って応援してくれと応援することしか自分にはできなくて、正直あまり見てることができなかったですけど、大丈夫大丈夫、みんながやってくれると信じて見てました。(勝利を決めたときは)ほっとしたというより、本当にありがとうという気持ちでいっぱいでした。自分も法政戦はなかなか調子が上がらなかったので、感謝しかなかったですね。最後、永和に関しては本当にすごい信頼があるので、こっちが止められても大丈夫、永和がいる、と強い気持ちを持てました。やはり永和への信頼感は強いと振り返って思います。(中大戦を臨むにあたって)最後の試合を前にして、中央には勝ちたい、絶対に負けたくないという思いがより強くなっています。中央には勝って優勝したいという思いが間違いなくあるので、中央には絶対に勝ちます。(中大戦に向けて)準決勝ですけど、中央に全力で向かって、今の明治のホッケーを最大限にぶつけます。そうすれば絶対に勝てると思うので、強い気持ちを持って試合に挑みたいと思います」

佐藤永
「いつもは余裕で勝っていましたけど、今回はあっちが大東大に10点くらい奪ってすごく勢いに乗っていたのでちょっとみんなで気を付けていかないといけないなと思っていました。最初立ち上がりがやはりインカレということもあり、みんなプレッシャーを感じる部分があって動きが少し悪かったりとかはありましたね。昨日2試合連続だったのでみんなそれで疲れとか、ちょっと自分たちの力は出し切れていないと感じました。2ピリオドで3―1とリードしていたので気の緩みがあったと思います。1セット目とかは足が全然動けていなく、みんな危ないと言いました。いつもはそんなこと言わないのですが、昨日だけは相当疲れていたと思います。第3ピリオドは足が限界だったと思います。延長戦がなくいきなりPSになるんだと思いましたね。でも気持ちは切り替えることができました。最近は得意だったので楽しむ気持ちでGWSに臨みました。特に目立った対策とかはなく、感覚で試合に臨みました。でも一人一人の相手の特徴だとかどこのコースが好きだとか把握していました。木戸(法大)とかは小原(法大)はU20の時のチームメイトだったのである程度狙いを絞って挑みました。次は決勝みたいな感じですので勝ちたいですけど、いつも通りの明治で楽しく行きたいと思います。僕はキーパーなので2点以内に失点を抑えれば明治は3点取ってくれると思うので頑張りたいと思います」

高橋佑輔(政経4=武修館)
「初戦は相手が弱いというのがあって、自分たちのリズム、ホッケーができなかった部分がありましたが、2試合目はその試合の流れを引いてしまい、うまくいかなかったです。(GWS)ゲームウイニングショットまで持ち込むのはちょっと予想外でしたけど、永和さまさまです。全部本当に止めてくれたので、その点に関しては今日の試合はいい感じで入れると思います。(セットの課題)自分たちのセットは晃介(大津)や舞人(大椋・法3=白樺学園)たちのセットとは違って、つなげていくホッケーをしているので、つなぎが全然うまくいかなかった印象があります。自分たちのセットはつなぎがうまい選手が両ウイングにいるので、そこを生かして点を取りたいんですけど、その点攻撃の厚みが無いと思うので、シュート打って2番手を選手の寄りが遅いとか3番手の選手も寄ってないとか法政戦であったので、そういう厚い攻撃ができるようにしたいです。(懸ける思い)めっちゃ強いです。取ったら三冠なので。(中央)実力的には変わらない。五分五分だと思います。そこを何で上回るかといったら気持ちとか一つ一つの細かいプレー。パックチェックをするとか、守りの意識を高く持たないと、攻めだけでは勝てないです。(意気込み)ここで勝たないと決勝とか言っている場合じゃないので。勝つ、それだけです。それだけを意識してやります」

大津
「序盤に1点決めて、いつも通り自分たちのペースでホッケーできるかと思いきや、最終的には惜しい試合になってしまった。決めるところで決められなかったのがいい勝負になったんだと思います。(同点に追い付かれたのは)攻守の切り替えが一番だと思っています。攻めと守り、FWとDFの連動がホッケーのなかで一番大切なことで、今リンクの改正でアタッキングゾーン、Dゾーンが大きくなったことで、攻めたら攻めの時間も長くなるし、守ったら守りの時間が長くなる。そういうところで攻め急いでしまったり、チームとして連動したホッケーができなくなったところにスキが出たんだと思います。(ダブルヘッダーの試合でしたが)ここまで(疲れが)くると思わなかった。3ピリの最後のほうは脚が止まってしまう部分があったので、今さら今後の課題とは言ってはいられないですが、しっかり受け止めたいです。(同点に追い付かれて)正直自分は焦りはなかった。絶対勝てると思っていました。この3ピリは決めるしかないし、今必要とされるプレーをやるだけだと思っていました。(GWS戦を臨むにあたって)今回も3番目で託されるところで出されるだろうと思っていました。そういう場面が絶対くるだろうと。自分がやろうとしていたことも明確に決めていましたし、あとはやるだけで、気持ちで押し込みましたね。最初に決めたPS以外に2回出ましたが外してしまって。何より永和(佐藤)さんがあそこまで好セーブしてくれたことが、本当に有り得ないくらいすごいですね。4年生の最後の力を強く感じました。ベンチの中もああいう場面になってもでも行けるだろうという雰囲気があった。最後の最後まで負けちゃうかもしれないなんて思ってる選手はいなかったです。いやいや負けないと。いい意味で王者の風格が出ていたと思います。(永井選手が決めて佐藤永選手が止めたときは)遼が決めたときは、あの場面にいってどう動くというのは選手全員が分かっていて。遼の得意分野なんですよね。あの瞬間に絶対に入ったなと。入らない流れが続いたなかで、緊張感だったり、流れをがらっと変えてくれたのが遼でした。本当にすごいですし、ありがたいですし、頼もしい同期をもったなと思います。ああなったら永和さんが絶対止めてくれると思っていましたし、信じていましたね」

永井
「ケガ明けでまだ本調子ではないです。ゲームウイニングショットを除いたらあんまり良くなかったです。チームとしても失点する時間帯だとか、気の抜けた時間帯があったので正直半分以下の力しか出せていなかったです。(準々決勝で早くもGWS)徐々に良くなっていければいいので準決勝しっかり勝ちたいです。結果さえ付いてくれば、内容はどうでもいいということは無いですけど、勝てればいいです。最終的には気持ちだと思います。(2回打ったGWS)ゲームウイニングショットは自分が得意としているところなので、1回目外した時はまさか外すとは思っていなかった。すごいショックで、どうしてももう1本やりたくて監督の方を見ていたらチャンスもらえたので、決められると思っていました。(昔から得意)高校の時はあまりそういう機会は無かったが、大学入ってから。チームで一番できる自信があります。(狙いは)自分の形としては股下。1本目はそれで止められてしまったので、2本目は得意な形いくつかありますけど同じ股下に打ちました。(懸ける思い)もちろん優勝しか考えていないです。優勝して三冠して4年生を喜ばせてあげたい。今までできなかった分今大会に懸けている。まして三冠なんてどこのチームも狙えるものではないと思うので、チャレンジして取りたい。やる時はやりますし、自分たちのペースを乱さないのが明治だと思う。(中央)確実に自分たちか中央のどっちかが一番強いと思われていると思いますし、自分たちも少なからず意識はしています。しかし苦手意識はしていないですし、最近は勝ち越しています。この間(秋季リーグ戦)同点にされたのは正直運が悪かったというか向こうも必死だった。二度とああいうことは無いと思います。昨日の今日ですし。1ピリからしっかりやっていけば勝てます。(意気込み)中央に勝てれば勢いに乗って勝てると思うので、取りあえず今日だけ。みんな自分のためにと思ってやればいい動きになると思う。自分のプレーに集中して全員でやっていければ大丈夫だと思う。自分たちを信じてやりたい」

桂川涼(政経1=白樺学園)
「法大戦はトーナメントですので内容は気にせずに勝ちに行くプレーで挑みました。1,2ピリオドは攻められたと思うのですが、第3ピリオドでは守りに意識が入りすぎて攻められることが多くなり、失点につながったのじゃないかなと思います。帯広合宿は1日2回の練習でしたので、体力が来た時より大分ついたことだと思います。パワープレーの練習とかもしたのですが、なかなか生かすことができませんでした。PSは任されたら決めるしかないという気持ちでした。緊張も大分しましたね。春の大会では外してしまったので、今回は絶対決める気持ちでいました。次は自分のシュートが少なかったので、次はどこからでも決める勢いで頑張りたいと思います」