高かった全日本の壁 3選手出場も白星なし/全日本選手権

2014.12.24
 大舞台での勝利には及ばなかった。吉田沙保里(ALSOK)らトップクラスの選手が集う、国内最高峰の今大会。明大からは65㎏級の秋元優介(政経3=足利工)、86㎏級の大山博貴(営2=仙台育英)、97㎏級の藤山徳馬(営3=池田)の3選手が出場するも、全員が初戦で敗北を喫した。しかし、来年以降も期待が懸かる3人にとって実力者との戦いは今後につながるいい経験となった。

 初の全日本の舞台となった大山博全日本の壁を味わった。全日本級の大会初出場の大山博貴(営2=仙台育英)は、1回戦で全日本常連の永田(自衛隊体育学校)と対戦。「相手が強いと分かっていたので最初に攻めなきゃと思った」と積極的にタックルを仕掛けたが、ベテランの永田に逆にバックを取られてポイントを重ねられた。最終的には1分21秒でテクニカルフォール負け。「強かった。何もできなかった」と悔しさをにじませた。
 それでも前を向く。今まではスパーリングの練習は休憩をはさみながら行っていたが、連続で行うようにした。「試合で攻めていてもきつくなくなってきた」と体力面での成長を実感している。これから5月のリーグ戦まで大きな大会はないが、その間、成長した体力面も含め全てのレベルを上げていくつもりだ。全日本での経験を糧に、来年のさらなる飛躍を目指す。

 新主将として期待が懸かる秋元シーソーゲームを勝ち切ることができなかった。国体での優勝により今大会の出場権を得た秋元。1回戦で同じ大学生の金城(国士大)と対戦した。試合は開始20秒で相手が一瞬背中を見せたところに飛びつき、幸先よく4点を先制。その後も得点をかさね、第1ピリオド2分の時点で10―2と大量リードを奪った。しかし終盤にバックを取られるとローリングから逆転を許し、第1ピリオドを11―12で折り返した。第2ピリオドでの逆転を狙った秋元は開始1分過ぎに見せ場をつくる。相手の正面からのタックルを一歩引いてかわすとすかさず後ろに回り込み15―14と再びリードを奪い返した。しかし「カウンターをさらに返された」とそのままワンプレーの中で背中を取られ15―16とあっさり再逆転を許した。「力尽きてしまった感じ」(秋元)。逆転劇を制することができず15―18の惜敗となった。
 来シーズンは主将として部を率いる。「雰囲気の良いチーム作りを目指す」と語った秋元。部全体が5月にある団体戦の東日本リーグ戦での順位向上を目標としているため、チーム内での結束力は重要だと考えている。今シーズンの主力が多く残り、実力的には期待値が例年以上に高い来シーズン。秋元新主将を中心にチーム力を高め、上位進出を目指す。

 2年連続の出場となった藤山強者に手も足も出なかった。天皇杯2年連続出場の藤山は2回戦からの登場。6月に行われた同じく全日本の大会である明治杯で全日本級の大会初勝利を飾っており、期待も大きかった。しかし、迎えた初戦で今大会3位入賞の中井(東計電算)に完敗を喫した。試合は終始相手のペースだった。身長181㎝の藤山を上回る高身長に加え、手が非常に長い相手に対し「腕取りがうまくて、ほとんどずっと流れが向こうにあった」(藤山)。組み手から自分の動きをさせてもらえず苦しい試合展開に。開始から簡単にポイントを奪われ、第1ピリオド終了を待たずして0―11でテクニカルフォール負けを喫した。これには自身も「良いところがなかった」と一言。今シーズンを悔しい形で終えた。
 来シーズンは最上級生として、そして明大のエースとしても結果を残したい。今シーズンは腰のケガに悩まされ、時には満足に練習ができない日もあった。それでも持ち前の粘りのレスリングを勝負どころで発揮し、今大会の出場権をつかんだ。来年も全日本の舞台は狙うが「そのためにもまずは学生の大会で勝たないと」と藤山。ラストシーズン、インカレ3位を目標に掲げたその目は前を向いていた。

 今大会で今シーズンは全日程が終了となった。大山博の新人戦優勝を始め、2、3年生の活躍が光った年となった。それだけに来シーズンに懸かる期待は大きい。中出幹児監督は「チーム全体が基礎体力の向上を目指して欲しい」と長い期間を見据え、地に足を着けて練習することを促した。選手も「一丸となってがんばっていきたい」(秋元)と気合い十分。古豪復活へ向け、部員たちは日々精進を続ける。

[本永雅敬・小田切健太郎]

試合後のコメント
中出監督

「今回の結果は厳しいものだったが、それぞれがこの大会に来るまでに努力を重ねている。3人が出場したことは非常にいいことだと思う。ただ、それ以上上に行くためにはまだまだだということがわかった。来年以降は今の三年生を中心にがんばってほしい。(全日本級の大会で勝つためには)基礎体力の向上が必要。あとは、もっと強いチームとの練習をしたりするのが大事。緊張感ある練習をしていきたい。(来年以降の目標は)リーグ戦で少しでも上位にいって欲しい。来年は戦力的にも非常に充実してくるし。がんばって欲しいし、期待もしている」

秋元
「悔いが残らないように、思い切りやろうと臨んだ。実際相手はいけそうだったけど途中で力尽きてしまった感じ。勝てない相手ではなかった。最初にリードを取れたのは正直予想外だったが、攻めの姿勢で臨んだのが良かったのだと思う。終盤にカウンターをさらに返されてしまった。緊張はあまりなく、こういった会場の雰囲気を楽しめた。(今後の課題は)失点を少なくすること。防御をしっかりしたい。(来年は主将として)雰囲気の良いチームを作りたい。全員で盛り上がれるようなチーム。(チームとしての具体的な目標は)リーグ戦の順位で去年を越したい。そこは個人としても強く思っている」

藤山
「全然駄目でした。相手の手足が長いのと、腕取りがうまくて、ほとんどずっと流れが向こうにありました。全然自分の動きができていなかったし、できたとしても読まれていて全部切られていたので、良いところが無かったです。でも全日本で毎回3番くらいに入る選手とできたというのは経験にはなったとは思います。やっぱり力の差がまだまだありますね。今年はケガが多くて、ちゃんと試合ができないことも多かったので来年はそういうのを無くしてケガを治すのと、新しい技と力を付けて、全日本でも少しでも通用するようになりたいです。そのためにもまずは学生の大会で勝たないと。インカレは3番以内には入りたいです」

大山博
「(1回戦の相手は)強かった。何もできなかった。相手は強いと分かってたから、最初に攻めなきゃと思って無理に攻めにいったのがだめだった。(初の天皇杯は)緊張はした。でも普段の試合よりは緊張しなかった。相手が強かったので、挑戦者の気持ちでやった。(監督・コーチには)距離が遠いと言われた。自分の攻めとか相手の距離とかの感覚を自分で見つけろと。(今後は)体力面では今スパーリングも結構やってるし、そこは今後も続けていく。練習がきつくなって、前よりかは試合で攻めててもきつくなくなってきたので。技術では今はグラウンドの練習でアンクルしかできていないから、ローリングとか他の技もできるようになりたい」