
名城大を3―0で下しインカレ3位で終える/全日本大学選手権
序盤からペースを握った。原潤一(文3=習志野)のAクイックで先制すると、センター攻撃を多用し相手のブロックの的をサイドから外した。その後は政井拓歩(営2=市立尼崎)の強気のトスからサイドアタッカーが次々にスパイクを打ち込んだ。長いラリーになっても簡単にボールを落とさず、つないだボールはエース・杉本へ。「チームを支えるのが仕事」(杉本)と感情を表には出さないが、コートキャプテンとしてプレーでチームを引っ張った。中盤には原の3連続ブロックが決まるなど相手に一度も流れを渡さないまま、25―17で1セット目を奪った。
2セット目も守備が光った。試合を通してサーブカットが安定しており、Aキャッチから思うようにコンビを組み立てられていた。さらにリベロ瀧野頼太(政経3=創造学園)の好レシーブから流れをつくると、相手のリズムを崩しブロックで得点を重ねた。この日は明大のブロックが火を吹いた。身長こそ高くはないが、センター陣を中心に形とタイミングをそろえることを意識して練習してきたことが身を結んだ。同じようにコンビバレーを得意とする名城大に対し、ブロックなど守備面で勝る明大がこのセットも25―21で取り、王手をかけた。
最後まで集中を切らさず戦い抜いた。3セット目は点の取り合いとなり、終盤まで20―19と競った展開となった。ここで今大会際立つ活躍を見せてきた與崎風人(政経3=鹿児島商)の時間差で突き放すと、この試合11点目となるブロックポイントを決め試合を決定づけた。最後は相手のコンビが崩れ、明大の3位が決まった。選手たちは安堵(あんど)の表情を見せ、がっちりと握手を交わした。
念願のメダルを手に入れた。現4年生は3年前、昨年に準決勝、3位決定戦と敗れ2回の悔しい思いをしてきた。そして自分たちの代となった今季、見事その壁を打ち破った。春季リーグ戦では4位の好成績でチームも「このままいけると思った」(杉本)。しかし、連覇を目指した東日本インカレではベスト8、秋季リーグ戦では9位と順位を落としてきた。「秋であんな成績を出してしまって目が覚めた」(杉本)と、秋季リーグ終盤からインカレに向けチームを一から見つめ直した。チームに足りなかったのは「我慢」。連続失点をするとすぐにコート内にはあきらめのムードが漂った。コート内にもベンチにも声を出して盛り上げる役がいない事もあり、一度流れを失うとそのまま負けてしまうパターンが多かった。コートキャプテンの杉本は「盛り上がる役目がいないことを逆に生かそうと思った」と、自分たちの流れがくることを待つ「粘り強さ」をチームに浸透させた。明大伝統の粘りのバレーがここで今年のチームにつながった。苦しい時こそ耐えてボールをコートに落とさない。カットやブロック練習に時間を割き、徹底した守備の連係を強化した。目立つ選手こそいないが全員バレーで流れを必死につかみ、チャンスをつかんだら一気に相手を突き放す。それが身を結び、秋季リーグ終盤には強豪の早大、中大を連続して破った。チームは形になり、満を持してインカレへ。ハイライトは準々決勝の早大戦。2セットを奪われ、後がなくなったが必死でチャンスを待った。練習を重ねたブロックで流れをつかむと一気に逆転。改革が結果となって表れた瞬間だった。
準優勝した1963年以来51年ぶりのメダル獲得。来季は今季のチームからメンバーはほとんど変わらない。4年生の思いを胸に下級生たちが今大会から学んだことは大きい。伝統を受け継ぎ、悲願の日本一へ。明大バレーの挑戦は続く。
[石渡遼]
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