福井クラブに逆転勝利 安部主将の勝ち越しゴールで引退試合を飾る/全日本選手権
「偉大なキャプテン」が試合を決めた。1-1で迎えた最終Q。相手が疲れを見せ始めた一瞬のスキを突いた。相手DFのボールをカットすると裏に抜け出した安部主将がGKとの1対1に。放ったシュートがゴールに吸い込まれた瞬間、安部主将はガッツポーズを見せチームメイトと共に喜びを爆発させた。「自分1人の得点ではなくチームみんなでつないで最後は決めるだけだった」(安部主将)と勝利をたぐり寄せるゴールに笑顔を見せた。
1年生からレギュラーとして活躍し宮田知監督からも信頼されていた安部主将。30人の選手たちを引っ張り、つらいトレーニングも数多くこなしてきた。全日本大学王座決定戦、インカレの3位や4年ぶりの全日本選手権出場などチームは確実に成長したが、優勝には一歩及ばず。だが「新たな歴史の一歩をつくってくれた」と宮田監督も安部主将を中心とした今年のチーム作りに手応えを感じていた。「来年は大嶋を中心にタイトルを全て取る勢いでやってほしい」と安部主将。新チームには自分たちが届かなかったタイトル獲得を願った。
流れを変えるゴールとなった。試合序盤から福井クラブのエース・三谷に苦しめられ相手に流れを持って行かれた。しかし相手のミスを逃さなかった。明大が相手サークルまで攻め込むと一時ボールを奪われる。再びサークル内でボール奪取に成功すると大嶋がボールを思いっきり放ち同点となるゴールを決めた。
古豪復活は次の主将に任された。新主将に就任した大嶋は新しいチーム作りについて「基本は今シーズンの継続」。安部主将を中心に作り上げてきたチームを受け継いだ上で今シーズンの課題だった得点力不足解消を目標にする。「あいつ駄目だったと言われないように雄貴さんを超えられるように頑張りたい」と大嶋。明大ホッケー部の新たな歴史をつくる。
今シーズン全ての大会が終わった。タイトルは取れなかったものの全国の舞台で3位と躍進。全国に「強い明治」が戻ってきたことを印象付けたシーズンとなった。「強いだけではなく強くて勝てるチームになってタイトルを全て取れるようにしたい」と大嶋。来シーズンは優勝を勝ち取り「強い明治」完全復活を全国に轟(とどろ)かせる。
[常光純弘]
試合後のコメント
宮田監督
「2014年度安部のチーム最後の試合だったので勝って終わろうと言っていたので結果勝って良かった。前半に先制されたがこっちはスタミナがあるので後半には必ずチャンスがやってくると思っていた。最後キャプテンの安部が決めて有終の美を飾れたのは良かった。まだまだ名古屋フラーテルなどの社会人との実力差があると思う。学生は毎年選手が入れ替わり難しいところもあるがが今の4年生が良いチーム作りをやってくれた。このチームを大嶋たちが引き継いでくれると思うから来年は今年よりも良い成績を残したいし全日本選手権も決勝トーナメントまでやっていきたい。今年は春に岡崎(慶二・理工4=石動)、秋には大嶋がケガをして戦線離脱しリーグ戦はフルメンバーで戦えなかったが全国の舞台ではメンバーも揃い初戦を突破して波にのれればそれなりの結果を残せる。安部はタイトルを取らせてあげられなかったのは申し訳ない気持ちだが新たな歴史の一歩をつくってくれたので感謝している。古豪ではなく今も強い明治にしなければならない。それもこの大会に出たことで明治がここまで伸びていると他の監督にも認めてもらっている。だから後はタイトル。優勝経験をすることでもう一度と後輩たちもなってくる。3位決定戦ではなく決勝の舞台に立つ。決勝の緊張感の中でどれだけ自分のプレーができるかは日頃の鍛錬で100パーセントの力を発揮しないとできない。限られた練習時間の中でやっていくしかない。この冬は大嶋がリーダーシップを取ることでまずは体を鍛えることからチームを引っ張ってくれると思うのであとは明治のスタイルを全員が理解して本番でどうどうと実践する。あとは得点力。攻める時の度胸がまだ足りない。練習と経験しかないのでこの冬にとことんやりたい」
小池コーチ
「最初から勝ちに行こうと言っていた。勝つためには相手の10番。日本代表の三谷君をうまく抑える。あとはDFの2番から良いパスを出させないようにという指示を出した。立ち上がりは三谷君やられていたが國友(督仁・政経2=丹生)と谷光(未有・法1=天理)を中心に何とかしのいで一生懸命守ってくれた。今日は前でプレスをかけていきながら周りをよく見て落ち着いてパスを出してくれた。最後は安部が確実にシュートを決めてくれたのが良かったと思う。4年生は主将の安部、副将の柏木と岡崎の3人を中心に同学年をうまくまとめて朝からのランニングトレーニングやフィジカルトレーニングなどの辛いトレーニングをやってくれたおかげで全日本に4年ぶりの出場ができたので、彼ら特に安部がチームの改革に取り組んでくれたので良かった。これは3年生以下が引き継いでいかないといけないので来年につながるチーム作りをしてくれた。安部には4年間ありがとう、良くやってくれた。ただ優勝させてやりたかった。そこが残念だった。あれだけ一生懸命やってくれたので優勝という経験をさせてあげたかった。明日から大嶋を中心とした新たなチーム作りが始まるのでまた切り替えて一から春のリーグ戦優勝できるようなチームをつくりたい。まずは基礎トレーニング。走ったりウエイトトレーニングでフィジカルを鍛える。そして強いチームとの練習試合を組んでいきたい。名古屋フラーテルに練習試合を申し込まれるチームにもなってきた。学生だけではなくステップアップして社会人との勝負をしていきたい。そこで体の強さやスピードなどを練習に取り込んでいきたい。来年は春から優勝。優勝できるチームなので決勝には絶対行って優勝をつかみたい」
安部主将
「最後の最後で明治らしいホッケーができたと思う。1年間の集大成を見せることができた。勝ち越し点は自分1人の得点ではなくチームみんなでつないで自分のところに来て最後は決めるだけだったので本当にチームメイトに感謝している。1年間主将して30人いるので大変なこともつらいこともたくさんあったがその分勝った喜びというのは大きいので1年間やってきて良かった。同級生には感謝の気持ちしかない。自分がどんなにつらいことを言ってもついてきてくれるので同期には本当に恵まれたと思う。今年は他の3年間よりも勝利へのこだわりは強かったと思う。最上級生だからということもあるが本当に1年間頑張ってきてその成果が出て最後勝てたのは本当に良かった。来年は大嶋を中心にタイトルを全て取る勢いでやってほしい。ここまでホッケーを続けさせてもらって感謝の気持ちしかない。宮田監督と小池コーチには1年生からレギュラーとして使ってもらって信頼してもらっていたので今日最後に点を決めて恩返しができたと思う」
大嶋
「今大会は全部先制されて厳しい戦いだったが社会人相手に後半足で勝てると思っていたので最後まで我慢できたのは良かった。同点打はボールが良いところに転がってきてくれたので打つだけだった。今シーズンの後期はケガでチームにすごく迷惑をかけてしまったので最後に足りないが恩返しできて良かった。本当に今年は4年生が頑張ってくれてチームは一回りも二回りも成長することができたシーズンだったのでこの流れを止めずに結果を意識したい。全国で優勝できるチームだと思うのでそこで結果を残すことを重要視していきたい。練習も基本は今シーズンの継続。練習内容も良いと思うので走ることは続けたいしここ一番というところで力を発揮できるように練習から常にハードワークから力を出し切れば大舞台には強くてもリーグ戦の取りこぼしも無くなると思うので厳しくやっていきたい。今シーズン最後雄貴さん(安部主将)をアシスト決めて終わって。本当に頑張ってくれたので偉大なキャプテンなので次にあいつ駄目だったと言われないように雄貴さんを超えられるように頑張りたい。来年は強いだけではなく強くて勝てるチームになってタイトルを全て取れるようにしたい」
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