一度は大逆転果たすも土壇場で敗戦 拓大に敗れベスト4ならず/全日本大学選手権
スターターは中東泰斗(文4=光泉)、吉本健人(法3=藤枝明誠)、田中井絋章(政経2=山形南)、伊澤実孝(政経3=愛知産大工)、皆川徹(営4=京北)。
ラスト1プレーに泣いた。3点ビハインドで迎えた第4クオーター残り23秒。3点を取らなければ絶体絶命という場面で、中東がドライブで切り込み、フリーになった齋藤拓実(営1=桐光学園)にパス。齋藤は「狙うしかないなと思っていた」と冷静に3Pシュートを沈め同点に追い付く。残り9秒。同点で終え、オーバータイムへ持ち込むべく迎えたラスト1プレー。しかし、左エリアからスピードに乗った大垣(拓大)のドライブを止められず、試合終了のブザーとともに無情なレイアップシュートがネットを揺らした。最終スコアは75―77。「チームディフェンスで気が抜けてしまって、最後の一瞬まで集中することができなかった」(伊澤)と最後のディフェンスを悔やんだ。目標としていたベスト4入りは果たせなかった。
意地の猛追を見せた。第3クオーター残り6分で、この試合最大となる21点のビハインドを背負う。厳しい状況に立たされるも、選手は諦めなかった。残り3分27秒から、激しいオールコートディフェンスで16秒間に7得点を奪い流れをつかむ。その後も高い位置からプレッシャーをかけ続け、10点差まで詰めよりこのクオーターを終える。第4クオーターに入っても勢いは止まらない。伊澤、吉本の3Pシュートや、中東のダンクシュートなどで1点差に迫ると、2分28秒のところで宮本滉希(政経1=明成)、がファウルを誘いフリースローを獲得する。2本とも落ち着いて沈め、ついに逆転に成功。サッカー部も応援に駆けつけた明大応援席は、大いに盛り上がった。結果としては敗れたものの「タメを張れるところまでやった選手たちはよく頑張った」と後半の戦いぶりに塚本清彦ヘッドコーチは賞賛を惜しまなかった。
2人のルーキーが躍動した。反撃の原動力となったのが、齋藤と宮本の2人。「拓実とか自分とか1年生がもっと盛り上げられたらいいなっていうのがあった」(宮本)と、大量リードを許し苦しんでいるチームの中で積極的なプレーを見せた。齋藤は自慢のスピードで好機を演出、勝負どころでは3Pシュートを決め、宮本はチーム2位の15得点をマークした。「今日の試合に関しては、宮本も含めていいサポートができていたと思う」と齋藤。インカレという大舞台で、ポテンシャルの高さを見せつけた。
ベスト4を逃し、5~8位決定戦に進む。「明治というプライドを持って5位を取り、来年の礎にするという考え方が一番大事」と塚本ヘッドコーチは話す。「今日負けて、あと2戦負けてしまったら、今日の負けの意味がなくなってしまう。勝って終わってやり切ることが大事」(吉本)と選手も残り試合の勝利に意欲を見せる。現チーム体制で戦う試合は泣いても笑ってもあと2戦。最後の勇姿を刻む。
[尾藤泰平]
試合後のコメント
塚本ヘッドコーチ
「チームだから、個人が誰かやられたからといって、否定とか責任を押し付けたりはしない。負けた責任は全部俺。選手が頑張ってビハインドをあれだけ戻して、逆転というところまでいけたんだから、最後は作戦を考えているこちら側に責任がある。最後も諦めないで3点差のところで拓実(齋藤)っていう1年生が3Pを決めたのは素晴らしいと思うし、大したもの。レイアップを決められて悔しさは残るけど、エースがいなくなって、ガードもいない中リーグ戦を戦って、最後インカレで拓大とタメを張れるところまでやった選手たちはよく頑張ったと思う。賞賛するしかない。オールコートも、ちょっとでも相手のほころびを見つけてそこを突くことを考えた。リーグ戦でも相手に見せていなかった2―2―1は相手にうまく引っかかった。引っかかってくれて、その中で1年生が躍動して、宮本もよく活躍してくれた。22点ついたのもゲームだし、逆転したのもゲームだし、去年筑波大戦で逆転した時は運があったし、今年は運がなかった。明日からの5位~8位決定戦は、明治というプライドを持って5位を取り、来年の礎にするという考え方が一番大事。ナイスゲームとは言わない。いいゲームとも言いたくない。ただ、この悔しさを4年には持っていってもらいたいし、3年以下には今年ファイナル4に入れなかった屈辱を来年晴らしてもらいたい。試合前に言ったんだけど、チームに完璧は求めない。だから、コミュニケーションを取って助けを請うことを望んだ。みんなでバンバを抑える、抜かれたら誰かのせいではなくて、みんなの責任という考え方を持たないとディフェンスは存在しない。それが今日22点開いてそれが分かったんじゃないかと思う。来年はこの仕返しができるように頑張りたい」
中東
「去年の筑波のときみたいに、頑張って我慢してディフェンスしてれば絶対追い付けるって言われてた。追い付けたのは良かった。(最後にシュートにいかなかったのは)自分に寄ってきてたからフリーになってた方にパスした。あそこは自分でいっても良かったかなと思う。チームとしては後半思い切り攻めようとなっていて、吉本はよくスリー決めてくれた。拓殖のフォワードが小さいので、自分がポストアップして外にさばいていくっていうのはずっとあった。(最後の大垣のところは)守れてれば良かった。負けは変わらないので5位を目指してやる」
伊澤
「前半に相手に一気に点を取られて自分たちのディフェンスができずに10点後半差をつけられてしまった。後半で少しずつ差を縮めていって同点だったり一時は逆転できたりっていうのは力を出せたと思うんですけど最後の最後にチームディフェンスで気が抜けてしまって最後点を決められたので最後の一瞬まで集中することを今日はできなかった。それはあと2試合あるのでしっかり勝っていきたい。後半からディフェンスでしっかりプレッシャーをかけていって自分たちのリズムを握れたっていうのは良かった部分でもあるし、これから2試合に向けてもこれが本当のうちなんだっていうのを分かることができたと思う。それを最初からやらないといけないので試合の入り方っていう課題を明日はしっかりやっていきたい。1年間ずっとディフェンスのことを言われ続けてやってきているのでそれをやらないと自分たちのバスケでもないし1年間やってきたことが無になってしまう。ディフェンスを集中してやることで自分たちのリズムができるのでそこは大事にしたい。自分たちのディフェンスをできた部分もあり、できなかった部分で点をつながれてしまって試合の前に目標としていた点数より多めに取られてしまったところが敗因だと思う。(個人的には)一人で守るというよりはチームで守るっていうのはあったんですけど、外と中の意識のバランスが両方じゃなくて片方しか見てなくてもう片方でやられてしまったというのが多かった。あと2試合、4年生とは最後の公式戦というのもあるので2試合しっかり勝って終わりたいというのと来年に向けて応援席にいるみんなもベンチにいる下級生のためにも頑張らないといけないのでしっかりやっていきたい」
吉本
「拓大戦は、相手に(高校時代の)先輩も後輩もいて、あまり自由にはやれない部分はあったけど、気持ちは入っていた。昨日が全然前半シュートを狙っていなかったので、今日は初めからシュートを狙っていこうと思っていた。そうやって前向きやれたのが良かったと思う。昨日はインサイドを見すぎてしまっていた。バンバを10点台に抑えたらデータ的には勝てるということでやってたが、バンバが外からも入っていたので、前半はきつかった。赤石(拓大)のところも入っていて、リズムをつかめるところで、相手にいつも通り得点を許してしまったのが厳しかった。(一時逆転したのは)明治のらしさというか、集大成だし、ディフェンスでつかめたのは良かったと思う。今日負けて、あと2戦負けてしまったら、今日の負けの意味がなくなってしまうと思うので、しっかり勝って終わってやり切ることが大事。残り2試合はみんなで戦っていきたい。(サッカー部の応援は)すごく力になった。何回も聞こえてきて、そのおかげで気持ちを切らさずに最後まで戦うことができた」
齋藤
「たらればになってしまうけど、結果はチームがもっとディフェンスをしていれば良かったし、個人としてもファウルのタイミングとか、頭悪いプレーをやってしまうところもあって、最後追い付けただけに悔しいなという思いが強い。22点開いた時は、拓殖が前半シュート入ってるなということは思っていて、それはまだディフェンスが甘いということだったから、後半はチーム全員でディフェンスを激しくやって追いつけたというのは良かった。今日の試合に関しては、宮本も含めて(1年生が)いいサポートができていたと思うけど、それは今日の試合なだけであって、どの試合でも常にサポートできるようにならないと、1試合だけいいプレーができるんじゃなくて、どの試合でもチームを助けられるプレーヤーになれればと思う。追いかける上で大事にしたのは、いつも心がけているターンオーバーをしないこと。今日は1つもなかったけど、追い付くためにはオフェンス1つのミスが本当に大きいということをリーグ戦を通じて学んできたので、ターンオーバーをしないように、そしてディフェンスでは激しくバイタリティーを持ってやるようにしていた。(最後の3Pは)3点差で、泰斗さん(中東)に預けた時にドライブしちゃって自分が空いたので、来たら狙うしかないなと思っていた。(バスカンのフリースローについて)最近フリースローの調子が悪くて、緊張はそんなにしなかったけど入らなかった。1点の重みというのは分かっているつもりだったけど、あの1点に苦しむことになってしまった。明日からは、もちろん狙うのは5位だけど、内容も大事。今日の後半に出せたディフェンスを1ピリの出だしからやれるようにしていきたい」
宮本
「雰囲気悪いときとか、拓実(齋藤)とか自分とか1年生がもっと盛り上げられたらいいなっていうのがあって、それでバスカンもらったり中でしっかりやれたのでそれは良かった。3ピリ終わりで10点くらいと塚さんに言われてたので試合としてはその通りで落ち着いてできた。ただ最後あんまり良くないパスをもらったところでバンバが飛び込んできてシュートが弱くなったりしたのは良くなかったし、いらないプレーとかもあった。そのあと拓実がスリーで同点にしてくれて取り返してもらった。そこのところでは延長あるな、と油断してしまった。大垣さん(拓大)のドライブはもっとハーフコートディフェンスをみんなでしっかりやって中をしっかり守ってれば良かったと思う。ヘルプとかにいけてれば。みんな自分のマークでいっぱいいっぱいになってた。追い付き始めてから離すっていうのが難しくて、そこでシーソーゲーム、我慢のゲームになった。そこのところでは塚さんに、セットはいらないから流れで攻めていくように言われていた。個人的には外を打っていくように言われていて、最初は体があったまってなくて2本くらい外してしまった。そのあとは体もあったまってて決めれた。(赤石さん(拓大)は)春にやったときより抑えられた。左利きなのでそれを意識した。ディフェンスは良かったけどオフェンスは決めないといけないところで決めれるようにならないといけない。オフェンスで信用を得られるように。目の前の試合に向かって支え合って経験きしていきたい。外のシュートだったり、リバウンド、ドライブとか自分の仕事を全うしたい」
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