4年生特集(3)チーム支える4年生ガード 岩淵俊紀

 集大成となるインカレに挑む。プレーオフで2勝を挙げ、リーグ戦を5位で終えた。次なる戦いは11月24日から30日に行われる全日本大学選手権。昨年は35年ぶりとなる準優勝を果たした。ここ数年は好成績を残し続けており、インカレに強い明大には大きな期待が懸かる。今年の締めくくりとなる最後の大会。そこに懸ける4年生のそれぞれの思いを聞いた。

 リーグ戦終盤から力強い姿勢でチームを引っ張っているのが岩淵俊紀(国際4=新潟商)。リーグ戦序盤はケガで出遅れたが、チームに合流すると定まらずにいたガードのポジションを務め、結果を残している。4年生としての経験を生かし、インカレでの躍動に期待が懸かる。(この取材は11月19日に行ったものです)

――4年目を迎えるにあたってどういう意識を持ちましたか
「ポジションがポイントガードっていう、チームの司令塔のポジションだったので、チームをまとめられる司令塔にならなきゃいけないと思っていましたね。練習でも日常でもチームをまとめられるようにしようとしていました。安藤(誓哉・情コミ4=明成)がいなくなってなおさらそういう意識になりました。逆に安藤がいなくなったからこそ、そういう気持ちがさらに強くなったっていうプラスになった面もあると思います」

――うまくまとめられましたか
「あんまり意識はしてないですけど小中高と引っ張っていくタイプ、そういう人間だったのであんまり苦ではなかったです。ただどうしても上にいましたからね、1年からずっとポイントガードをやってるの(安藤)が。同じポイントガードはいらないのでそれとはまた違うプレイスタイルを見つけないといけないとずっと思っていました」

――形は見えてきましたか
「どういうポイントガードになろうかなというのは1年から結構悩んでそのままきちゃいました。安藤がいなくなって會田(圭佑・法2=市立柏)がポイントガードになって、それを見てるとチームをまとめる力がないなと。2年生だからしょうがないですけど。そこで思ったのが、安藤がいるときはトランジションのバスケットをするポイントガードを目指したというか意識してやってたんですけど、安藤がいなくなって會田とかがしゃべれないので、ちゃんとしゃべって明確に指示を出せるような、指示通り動かすように声出してまとめられるようなポイントガードになろうと思ってやってきました」

――安藤さんがいなくなったときはチャンスだな、というのはありましたか
「何言ってんだよ、と思ったんですけどいなくなっちゃいましたからね。いなくなって、ああ。ってなってもしょうがないので、いる人間でどうにかするしかない、チャンスとも思いましたし、このままじゃやばいとも思いました。それで意識改革じゃないけど成長できたので、いなくなったからこそ成長できた部分もありました。後輩にも安藤がいなくなった分やらせなきゃいけないんで」

――その間に1番意識したことは
「ずっと安藤と泰斗(中東・文4=光泉)で引っ張ってきたチームだったのでフォワード陣は結構泰斗に任せて、それとインサイドも見てくれるので。僕はやっぱりガードのところを、試合経験ない子たちばっかりだったのでどうやってガードの知識を植え付けるのか、どうやってしゃべらせるようにするかっていうのを考えながらやってましたね」

――リーグの最後のところでは力強く引っ張っていく姿も見られましたね
「リーグ戦18試合目でやっと、ケガもあってなかなか出れなかったけど出れました。4年生になって、マークの相手が下級生だったので、やれないことはないなと思いました。チームのみんなも久しぶりに自分が出てきて盛り上げてくれたので、それにどうにか応えたいなと。その短い時間で、リバウンドでシュート入れただけですけど、なんだかんだプレーオフにつながったかなと思います」

――ケガをしていた間はどういった形で見ていましたか
「たまにベンチに入って、アシスタントコーチじゃないですけど、塚さん(塚本清彦ヘッドコーチ)に今どうしたらいいと思う?みたいに聞かれて、答えたりしていました。フォワードは泰斗が結構言うから、ガード陣、會田とか拓実(齋藤・営1=桐光学園)、治耀(吉川・情コミ1=京北)っていう若いポイントガードに、自分が明治のバスケット見てきて学んだ知識っていうのを話してました。あいつらはまだ2年3年あるんで、ポイントガードのレベルアップじゃないけど、そうなるように試合も、練習中も声かけたりしてました。それでしゃべってくれるようになってくれれば會田とかは良かったんですけどね。なかなかやっぱり難しいですね。八ヶ岳の合宿で少しはしゃべれるようにんですけどけど、また試合やってくとどんどんしゃべらなくなりました。それがあいつは課題。しゃべれるようにならないとポイントガードが何がしたいかが他の4人が分からないので。拓実もしゃべれない。ポイントガードがしゃべれないとダメですね、チームを引っ張っていく人間が無言だと何したいか絶対分からないですし。フォワード陣の話聞いたりすると、會田とかしゃべらないから何したいか分からないって言ってたので。それで周り4人が止まっちゃったら逆にチームが悪い方向いっちゃうんでそういうところは課題かなと」

――ガードを見るというのはどういう形で見ていましたか
「會田がベースに来たり拓実がベースに来たり入れ替わりだったんですけど、塚さんにベースの練習頼むなって言われて、拓実とかは落とすからしゃべらせるようにしてくれって言われてました。ディフェンスメニューとかはずっとやってましたけどガードが指示だすようなメニューもいっぱいあるんで、ガードが喋っていかないとできないような練習を組み入れたりしていました」

――浸透した手応えはありますか
「どうですかね(笑)。あいつらが本当に分かってやってるかが問題ですね。しゃべることの大切さを分かってくれてたらうれしい。しゃべれるようになったらうれしいけど、まずはそれが大事ってのを分かってくれないとそのままいっちゃうので」

――岩淵さんは結構しゃべるタイプですよね
「僕は昔から結構しゃべる方でした。高校の時から結構しゃべってずっとやってたからしゃべって指示出すのが苦じゃないですね。周りの子が見て、少しでも感じてほしいです。間違ったとしても声を出さないと成長できないと思うんです。練習で声出して間違ってもやり直せばいいだけ。そういうところを分かって、最初からできる人なんか絶対いない、やり続けないと成長はできないと思ってやってほしいです。自分もそれでしゃべれるようになりました」

――積み重ねがずっとあるわけですね
「ずっとしゃべってきたのもありますし、ここでポイントガード出身の塚さんがいて、NBAの知識とかポイントガードの考え方はすごく勉強になったし、しゃべる大事さもまたここにきてさらに分かった」

――明治で一番ガードとして学んだことは
「しゃべることもそうだけどガードとしての考え方ですね。いろんな考え方があって、毎試合毎試合塚さんの考え方は違って、相手がこういうチームだからどう攻めたり守ったりっていう考え方も、今シーズンはだいたいすぐパッとでてきたので、そういうところは一番成長しました。知識じゃないけどそういうのはここに来て一番吸収できました」

――それを生かすということに関してはどうですか
「まだそんな試合出てなくて、全部で3試合だけ。慶應戦はしゃべって、相手がトランジションゲームが得意で相手のキーマンが伊藤だったので、そういうところはしっかりできたかなとは思います。インカレで地方のチームとかやりますけど、そこで4年間やってきた知識を発揮して勝利に貢献できたらいいです。オーソドックスで、オフェンスもディフェンスもやることは変わらなくて、そこに相手がどういうチームなのかを組み入れて、こう攻めようとかこう守ろうとか、あいつがキーマンだからこうしようっていうのがついてくるだけなので」

――周りを使うという考え方を持っていますね
「あんまり自分で点数取るようなプレイヤーではないので、どちらかと言えば味方を生かすようなタイプでやってきてたので、常にシューターにはいい感じに出してあげようとか考えながら。吉本(健人・法3=藤枝明誠)とかはこのリーグ戦で自信ついてシュートも結構入っているので、ノーマークで打たせてあげればほぼ入ると思っているので。味方をうまく分散しながら攻めさせてあげるっていうのを考えながらやってます。流れを生み出すようなオフェンスをしないといけないです」

――試合の中でのプレーに余裕を感じますが
「もう4年で、吹っ切れたじゃないですけど、やってダメだったらしょうがないなっていう意識でやってるのがいい方向にいってるんですかね。今までやってきたことを出せれば4年で同じ学年しかいないんで、別にやれないことはないなっていうのもありますし、相手が後輩なら後輩に負けられないなっていうのがあるのでそういう気持ちが今はいい方向にいってるんだと思います」

――そういう中でインカレに向けては
「インカレはリーグと違って負けたらそこで終わっちゃうんで変なプレッシャーもあると思うんですけど、やることは練習でやってることとほぼ変わらないんで、やることやってそこに塚さんや外山さん(英明アシスタントコーチ)の考え方が入ってきてそれをちゃんと実行できれば全然4つ狙えます。拓大ともやれないこともないし、東海が結構出てたけど橋本(東海大)がいなくなって落ちてると思うので、どことやっても変わらないなと思います。やることやってその中で自分の役割を果たしていきたいと思います。変に考えすぎても変な方向にいっちゃうと思うので、普段と変わらないような感じでいければ1番いいのかなと思います。そのために初戦が1番大事だと思います。そこで崩れちゃったら良くない感じでいっちゃうと思うので初戦は大事にしていきたいです。そこはチーム全員で気持ちの入れ方とか、準備の仕方をいつも以上にもっと考えないといけないですね。練習試合では控えメンバーのディフェンスが微妙でコミュニケーションミスとかあったんで、それじゃ勝てないだろうと思いましたけど、そこはあと1週間で改善していかないといけないです。昨日の練習試合で最後出てた子たちも来年のチームの子たちなんで、来年のチームのことも今から修正していけば、そこに新しく入ってくるだけなので」

――4年生として最後の大会で後輩に対する思いは
「やることは変わらないです。しゃべってプレーしてガードの後輩たちがしゃべってくれるようになればいいです。試合中ずっとしゃべってる方だと思うので。ここまでしゃべらなくていいですけど、會田と拓実にはもうちょっとしゃべってほしい。明成の練習試合のときもずっと無言でやってるんで。しゃべっても聞こえないんですよね。声が小さかったり、ぼそぼそって言うだけだったり。練習はそれでも試合じゃ絶対聞こえないよっていう感じでやってるんで、声のボリュームもですね。あとはターンオーバー。スキルはあるのでターンオーバーを減らせばできると思うんで。自分も大学入ったときターンオーバー多かったんで、できるだけ少なくしようって意識持ってやってましたね。そこは意識の持ち方とか意識で減らせるものだと思うので。自分も少なくなったんで考えをちゃんと持てば少なくなると思います」

――後輩のことを考えているんですね
「国士舘戦最後の伊澤(実孝・政経3=愛産大工)がいなくなった下級生だけのときに、20点あった差が6点差になっちゃうっていうのはあいつらの弱さが明確になった試合だと思います。一つのターンオーバーがずっといっちゃうっていうのが象徴的な試合だったので、後輩たちはそれをどう考えてるかは知らないけどもっと重く考えて練習とかしていってほしいです。今年は安藤いなくなってやばいって感じだったんですけど、来年はさらにやばいと思うので、2部に落ちてほしくないのでいる間は面倒見ながらやれることをやっていきたいです」

――ありがとうございました。

◆岩淵俊紀 いわふちとしき 国際4 新潟商高出 175cm・71kg 登録ポジションはPG(ポイントガード)。