(5)女子マネジャーインタビュー

 重い重い鉄の塊を身一つで持ち上げる。戦う相手は周囲にいる敵ではなく、ただここに存在する自分自身。自らの限界を打ち破るため、近くには仲間がいる。お互いを高め合い、新たな記録を打ち立てる。それが明大ウエイトリフティング部だ。

 11月28日から始まる全日本大学対抗選手権(インカレ)に先駆け、明大ウエイトリフティング部の魅力をお伝えします! 同期同士だからこその素顔が垣間見える学年ごとの座談会、今までの戦いを振り返る写真館、そして今年度新たに入部した3人の女子マネジャーへの密着取材と盛りだくさんの内容でお届けします。どうぞお楽しみに!

 第5回は、今年度入部した3人の女子マネジャー、木村奈々子(法1=弘前)、桑江佑季(法1=沖縄尚学)、橋本有紗(法1=岩瀬日大)への密着インタビューです。

――なぜウエイト部のマネジャーをやろうと思ったのですか?
橋本
  最初から、全国レベルで戦っている明治の体育会のマネジャーをやりたいと思っていたんですが、探し始めた時には他の部はもう締め切られていて… サークルも探したんですが、やっぱり違うなと思っていた時にウエイト部の募集を知りました。私は遠くから通っているので、あまり遠い所には通えなかったし、明大前に寮があるのは魅力的でした。一人で行くのは不安だったので、2人を誘って見学に行ってみて決めました。
桑江  青森と私は最初「サークルどこにする?」って感じでさまよっていて。2人でソフトボールサークルを見に行ってみたりしたんですけど…
木村  徐々に沖縄がフェードアウトしていって、私は練習を1人ぼっちで見ているようになって。その時にはもう入部していたので、私は入ったすぐから見捨てられました。(笑) 私もそこまでソフトボールに興味はなかったので、徐々に行かなくなって… その時茨城が誘ってくれて見に行ったのがウエイト部でした。
橋本  他にもハンドボールとかバスケットボールとか調べて見に行きました。今思うと体育会ローラー作戦ですね。(笑)
桑江  初めて練習を見に行った時にコーヒーを出していただいて。良いところだなって。
木村  親切だなと思いました。初めて練習場に行った時、体育館の階段から練習場の中が見えたんですけど、みんな上半身裸で練習してたんですよ。それが練習場に入ったらみんなちゃんと服を着ていて、椅子もスリッパもコーヒーも出してくれて、気を遣わせたなと思いました。(笑)
橋本  最初見学に行った時、すごいびっくりされたよね。「本当に来た! えっ、大丈夫?何で来たの?」って。(笑)

――2人は同じクラスですか?
橋本
  3人とも違うクラスです。
桑江  ガイダンス初日に私と青森(木村)が偶然出会って…
木村  沖縄(桑江)が私のもともとの友達に声を掛けたんです。
桑江  私はもともとTwitterもやってなかったので「やばい、お昼ご飯食べる人がいない!」と思っていた人に声を掛けたんですよ。
木村  それが私の友達で、じゃあみんなで食べようよとなって。隣の席になって。
桑江  そこから、サークル一緒に探そうかとなりまして。で、その翌日に私と茨城(橋本)が出会って。
橋本  ガイダンスの1時間くらい前に教室の前にいたんですけど、女子3人しかいなかったんですよ。その時茨城に、おはようって声を掛けて仲良くなったのかな。
桑江  沖縄のところに行ってみたら知らない子がいるけどなんだろうと。
橋本  出会って1時間くらいは沖縄が青森を「青森」って呼ぶから、青森って名字なのかと思ってた。(笑)
橋本  そこからずっと県名で呼び合ってます。(笑)
木村  そこから仲よくなりました。

――マネジャーの仕事をして驚いたことを教えてください。
橋本
  上下関係が思ったよりしっかりしてる。男の子の部活だからあまりないかなと思ってました。
木村  カメラ撮りですね。選手が重い重量とかベストの重量を挙げる時に近くなるとカメラ撮りをするんですけど、カメラを撮らなきゃいけない時に誰も何も言わなくて、自分で見て、察しなきゃいけないことが難しかったです。最初は重量の数え方も分からなかったので、戸惑いました。
桑江  カメラを撮るときに音量も下げるんですけど、ぼーっとしてて下げ忘れちゃったりとか。向こう側から耀介先輩が走って来て気づきました。
橋本  重量の数え方も最初は分からなくて、10kgとか大木のは色で分かるんですけど、2㎏とかは片面にしか色が付いてなくて、剥げ掛けてたりして難しいです。カメラを撮りに行って違った時も恥ずかしいですし…
橋本  横から見ると黒です。

――普段どんなお仕事をしているのか教えてください。
木村
  土曜日の監督の料理のお手伝いをするのが、アイデンティティだよね。(笑)
桑江  最初に土曜日は空けておいてっては言われてました。余裕があれば平日もってこと話だったんですけど…
木村  徐々に増えて。(一同笑)
橋本  土曜日は8時から掃除して、9時までに終わらせます。10時からは監督の料理のお手伝いをします。
木村  土曜午後2時半からはカメラ撮りやピッチャーの管理をしてます。アイシング用の氷を準備したり。
桑江  夕方6時くらいに帰ります。
木村  私は月曜日に昼の1時くらいから1年生が晩御飯をつくる手伝いもしてます。
橋本  料理本当位上手です。マネジャー一です。味付けも切るもの上手い!
木村  基準値が低いからね。沖縄は最初卵割れなかったんですよ。
桑江  この間監督にりんごの剥き方を教えてもらいました。(笑)
木村  沖縄、この前玉ねぎ切ってたんですけど、全部つながってたんですよ。監督は優しいから全部ほぐしてくれて。
桑江  あれは予想外ってやつです。(笑)これから4年間かけて慣れていきます。木曜の澁谷買い出しに行きます。お肉と野菜を買いに行くんですけど、渋谷にキャリーケース2つ持って行くんですよ。1年生と、マネジャーの2人で。スーツケース持って渋谷に行くのは結構勇気が要ります。でも監督のお墨付きのお店があるので。お肉10kgとか買います。3日分だと思います。帰りはお肉の入ったキャリーは重いので、朽名君が持ってくれますよ。
木村・橋本  優しい!
橋本  火曜日には練習場に行く前に寮にお邪魔して、食堂に並んでるお皿とかを洗ったり、テーブルを拭いたり、水を補充したり…
木村  選手が帰ってきた時に見苦しくないように整えてます。マネジャーも水曜日と日曜日以外は練習のお手伝いをしてます。木曜日と土曜日には全員そろいます。
橋本  夏休み前まではマネジャーも体操に混じったりしてました。
木村  私と沖縄は異常に体が硬いので、体操の時に先輩にぷぷぷって笑われて恥ずかしいんですよね。(笑)

――仕事に慣れるまでは大変じゃなかったですか?
桑江
  大会の時のカメラ撮りは未だに緊張します。齋藤君と美島君が連続試技のとき、美島先輩の顔をズームしたら齋藤君を取り逃しました…
木村  大会の日はカメラを撮るスペースを確保するために、毛布を敷いたり、控え所にごみ箱を設置したりっていう下準備もあります。
橋本  あとは、荷物番もします。膝を抱えて端っこで座ってます。選手が選手の応援をしている時とか。カメラ、荷物番、記録係を3人でローテーションを組むので暇がないですね。荷物番の時にご飯を食べるんですけど、どうしても一人ぼっちになってしまうのは寂しいですね。今までは、余裕が無くて断ってたんですが、この間は初めて女子の表彰のお手伝いをしました! その時はたまたま選手がいて、荷物番をする必要がなかったので。
木村  普段は丁度いい人数だと思うけど、大会になるとちょっと少ないね。
桑江  あとは、茨城は家が遠いから…
橋本  5時半とかに家を出てます。最近は朝焼けがきれいです。日によっては月とか星が見える。(笑)
木村  大会の日は6時に学校からバスが出発するので、それに合わせて家を出るのは大変でした。2~3日間の大会が終わった後は、やり切ったなという達成感があります。
橋本  私も自分の家から駅まで車で30~40分くらいかかるんですよ。大会の日は3時には起きて、5時何分の始発に乗って来ます。大会の日とかすごく早起きが辛くてもありがとうって言ってくれる人もいるので、頑張って良かったなと思えます。

――マネジャーの先輩がいないことで困ったことはありますか?
桑江
  最初は困りました。何をやればいいのか分からなかったので。
橋本  でも女の上下関係が無いのは良かったかなと。中学の時のソフトボール部は結構…
木村  足立先輩は仕事をつくってくれたね。
橋本  気遣いがありがたかったです。足立先輩が仕事の割り振り表をつくってくれたり。最初は足立先輩がマネジャーの先輩みたいな感じでした。
桑江  連絡が取りやすいのはすごくやりやすいです。

――インカレが近づいていますが、マネジャーとして思うことは
桑江
  練習場がピリピリしているかなとは感じます。
木村  後藤君が頑張ってます。
橋本  緊張します。ミスはできないなって。目を皿にしてます。(笑)
桑江  カメラの撮り逃がしをしないように、プラットに番号を振ってます。
木村  一人がカメラの近くにいるんですけど、3人で誰かが築いたら、ハンドサインで必死に教えてます。
桑江  分からない時は3人で確認し合ってます。
木村  失敗しないように、目障りにならないようにということは意識してます。

――ありがとうごさいました。

 次回は11月22日(土)アップ予定です。ウエイト写真館をお届けします。

[鈴木千明]