最終節国士大に2-1で勝利! 後期無敗で優勝へ望みつなぐ/関東大学1部リーグ戦

2014.11.16
 国士大に2-1で競り勝ち最終節を勝利で締めくくった。立ち上がりから主導権を握り、前半15分に藤本佳希(文3=済美)が幸先良く先制点を奪うも、前半37分に一瞬のスキを突かれて失点。その後一進一退の攻防が続き同点で迎えた後半17分、藤本のパスを受けた石原幸治(政経4=市立船橋)が値千金の勝ち越しゴールを決める。GK三浦龍輝主将(商4=FC東京U-18)を中心に最後まで1点差を守り切り、リーグ最終節で試合巧者ぶりを発揮。明大は逆転優勝の可能性を残し、今季リーグ戦を終えた。
 試合を決めたのはラストイヤーとなる4年生石原の一撃だった。同点の後半17分、ペナルティエリア内でボールを受け、左足を振り抜いた石原のシュートは相手GKの真横を抜けゴールネットを揺らした。中央で室屋成(政経2=青森山田)のパスを受けた藤本が相手DFを引き付け、左サイドを駆け上がってきた石原にラストパス。持ち前のスピードでマークを振り切った石原はフリーの状態でボールを受ける。「決めなきゃいけないということしか考えていなかった」と利き足ではない左足で冷静にゴールに流し込んだ。
 馴染みの地で貴重なゴールを挙げた。ゼットエーオリプリスタジアムは、市立船橋時代の石原が選手権予選の県大会決勝で敗れ、高校サッカーを終えた場所だった。高校時代何度も試合をしたゼットエースタジアムだが、得点を挙げたことは一度もないという。「親とか友だちも来てくれて、何が何でも勝たなきゃと思った」と石原。ゼットエーでの初ゴールは、勝利を呼び込む貴重な勝ち越し弾となった。

 最上級生としてチームをけん引してきた4年生が最終戦でも躍動した。正確かつ攻撃的なフィードでGKながらも攻撃の起点となり、勝負どころのビッグセーブで何度もチームを救ってきた三浦主将。「このチームは三浦がつくり上げた」(栗田大輔助監督)と指揮官も絶対的な信頼を置く。普段はクールでありながら熱い指示を出し続ける三浦主将も、試合終了後には「必死こいて1年間リーグ戦をやってきたかいがあった」と涙を見せた。また両SH石原、矢島倫太郎(政経4=浦和レッズユース)は厳しいフォアチェックで相手の攻撃の芽を摘み、ショートカウンターの起点に。後期からボランチに定着したボランチの苅部隆太郎(商4=川崎フロンターレU-18)、CBの松藤正伸(文4=FC東京U-18)も鋭い読みと対人の強さで明大サッカーのコンセプトの一つである「いい守備」を支え続けた。「三浦にしても、松藤にしても、苅部、矢島、石原にしても、気持ちの入った戦いをしてくれた」と神川明彦監督も4年生に対し満足げに賛辞を送った。
 
 4年ぶりの奪冠に望みをつないだ。14勝5分3敗でリーグ戦全日程を終えた明大。中でも後期は9勝2分で圧倒的な強さを見せた。暫定1位明大と暫定2位専大に絞られた優勝争いの行方は、本日16日、13時50分から行われる専大と順大の試合結果で決定する。専大が引き分け以下に終わるとその時点で明大の優勝が決定。専大が勝利した場合は勝ち点で並ぶことになり、得失点差で上回る専大が優勝。前期のつまずきが悔やまれるが、後期戦開幕時5位からの追い上げは驚異的だった。王者返り咲きは山田大記選手(平22政経卒・現カールスルーエ)を中心として優勝した2010年以来4年ぶりとなる。「試合を見て結果を待つだけ」(松藤)と全てを出し切った明大は歓喜の瞬間を待つ。

[鈴木拓也]

試合後のコメント
神川監督

「勝つという結果しか求められなかった試合だった。4年生にとっては最後のリーグ戦だし、国士舘には3試合やってすべて負けていた。いろんな思いが交錯した中でのゲームで勝ちを取るということだけに、選手もスタッフも一丸となってやってくれた。素晴らしいゲームだった。三浦にしても、松藤にしても、苅部、矢島、石原にしても、気持ちの入った戦いをしてくれた。(優勝について)僕はもう、彼らにここまでやってきただけで素晴らしいと木曜日のミーティングでも言っていた。優勝か優勝じゃないかということは置いといて、ここまでの足跡そのものが素晴らしい。(後期負けなしについて)素晴らしい成績。6月の天皇杯、慶大戦がきっかけで、選手たちが勝ちをもぎ取ったあの雰囲気、その流れとその過程の中で完全に手応えをつかんだ」

栗田助監督
「勝つしかなかった。短い期間で上達することはないから、自分たちのサッカーをするしかなかった。前に前に行きすぎてカウンターを食らうのが一番怖かったので、バランスを取りながらうまくやれたと思う。(三浦主将について)このチームは三浦がつくり上げた。3年生のころに比べると責任感というのが比べ物にならない。(今季リーグ戦を総括して)1年を通して試合を重ね、勝利を重ねるごとにチームが成熟した。一人一人が責任を持って考えてプレーしたことがこの結果につながったと思う。(後期無敗の要因は)一人一人の責任感、そしてチームでの共通意識の統一。一人一人の個の成長とともにチームが成長した。具体的に言うと守備の部分の強化。そして悪い時間帯でも焦らず、動じずにプレーしていた。勝利を重ねるごとに自信を重ねたのが大きい」

三浦主将
「内容的には良くない試合だった。だけど、今日の目的は内容より結果だった。前半が良くない中でよくこらえて、一点取れたのは大きかった。今までやってきた流動的に動くということを意識していたが、形にとらわれすぎて本質の部分を怠っていたと感じた。そこをとにかく改善できるように、ハーフタイム指示した。(試合後の涙は)必死こいて1年間リーグ戦をやってきたかいがあったなというのと、やるだけやって明日の結果待ちという中で、自分たちのできることは全部やったというのが一番大きい。(応援も力となったか)IリーグA、Bも前期も負けているということで、全員が国士大に勝ちたいという気持ちがあったと思う」

石原
「勝たないことには優勝はないので、何が何でも勝つということと、あとは今までやってきたことを全部出そうということを話して臨んだ。藤本からのパスは練習通り。予想以上にいいパスがきた。あとは決めるだけだったので感謝している。ボールもった時は意外と冷静だった。決めなきゃいけないということしか考えていなかった。ただ正直、相手キーパーに当たった時は少し焦った。ゼットエーは高校の時からよく試合していて、引退もここだった。選手権予選の決勝で負けて。今日も親とか友達も来てくれて、何が何でも勝たなきゃなと思った。高校のときはたぶんここで決めてはいない。雰囲気が懐かしかった。チームとしてやるべきことをやってこの順位なので、悔いはない。やりきったなという思い」

苅部
「勝ててうれしい。リーグ戦ラスト1試合ということで、基本に立ち返って明治のサッカーをしようという話はチームでしていた。明治のサッカーは前線から良い守備というのがあるので、それは試合を通じてできたと思う。相手のディフェンスが競り合いに強いということは分かっていたので、セカンドボールを拾うことが一つカギになると思っていた。(後期無敗の要因は)毎年後期の明治と言われるけど、チームが統一した戦いがずっとできるというのは明治の強さだと思う。後期はメンバーがほぼ固まって固定して出ていたので、お互いのプレーや全員の意思統一がしやすかったのも負けなかった要因かなと思う」

松藤
「(今日の試合振り返って)勝ててほっとしている。(最後のリーグ戦となったが)前期は立てた目標に届かなかったが、やっていることは間違っていなかった。後期はどれだけやることを詰めてやっていけるかということをチームで共有してやれたことが、結果につながってくれた。みんなで厳しくやってきて良かった。4年生が試合に出ている人も出ていない人も、全員がチームのためにやっていた。自分は試合に出ている立場で、みんなのためにという思いでやっていた。明日は試合を見て結果を待つだけ」

矢島
「最初はいつも通り前に蹴って押し込んで自分たちの流れを作ろうといつも言っていた。いつも通りやれて結果早い時間に点取れたので良かったと思う。セカンドボールであったり球際であったり、そういう部分は明治で1年間ずっと続けてやってきていることなので、それが最終節にうまくいって良かった。(後期負けなしの要因)守備が安定していたというのが一番大きかったのではないかと思う。最初の流経、専修でしっかり勝ち切れたというのが自信につながって流れに乗れたのではないかと思う」

差波優人(商3=青森山田)
「勝てば優勝に近づくという試合で、その中でまずは守備を大事にするということを意識できたのは良かったと思う。(どんな気持ちで試合に臨んだか)最終節で、優勝の可能性が懸かった試合だったので、誰も口には出さないでも力が入る試合だったと思います。いかに自分たちのプレーをするかっていうのを意識して、その中で勝てたというのは大きな収穫だった。(後期無敗の要因は)4年生の力だったり、スタッフはじめ、レギュラーの4年生みんなが僕たちのことを考えてくれたことだと思う」

小谷光毅(政経3=ガンバ大阪ユース)
「4年生にとって最後のリーグ戦だったので、優勝の望みを残すためにも絶対に勝とうということで、とりあえず結果が出て良かった。いつもとは違う一個前のポジションだったけど、昔から何回かやっていたし、練習でもやっていたので後は自分のプレーを出すだけだと思って、チームのためにとだけ考えてやった。前で出ている以上、ゴールは求められるので佳希(藤本)との連携を意識した。1点目は、佳希に落としてゴールという形だった」

髙橋諒(文3=国見)
「今日勝たなかったら優勝がないので、本当に勝てて良かった。絶対勝たなきゃいけないということで点を取るために僕個人として、攻撃に絡もうと今日は意識して試合に臨んだ。どんどん前に行って攻撃に絡めた。点を取らなきゃいけないという状態だったので、みんなが一回跳ね返されてもセカンドボールを拾ってまたすぐ攻撃するというのを意識してできていた。(後期無敗の要因は)キャプテンの龍輝くん(三浦)を中心にプレーや試合中でうまくいかなかったところを話すとか、一人一人のプレーの質のこだわりというのがうまくいった。(明日優勝が決まるかもしれないが)運頼みというか、しっかり専修と順天の試合を見て笑って終われるようにしたい」

藤本
「点取れたのも良かったけど、チームが勝たないと望みがなかったので。もうやるしかないという感じだった。専修と順天の試合に関係なく、勝つことだけを考えていた。(ゴールシーンについて)何かラッキーな形で、自分のとこに流れてきた。打とうと思ったけど一個ずらして、自分の形に持っていけた。あそこでクロスにシュートを打つのは得意だったので、入って良かった。打った瞬間入るとは思っていた。(後期11ゴールについて)本当はもっと取りたかった。けど、今日みたいにチームの勝利に貢献できたゴールを何試合か取れたので、そういう意味では自信になった。(リーグ戦について)毎試合良い試合ができる訳でもなくて、毎週毎週試合があって難しかった。でも悪いゲームでも負けなかったり、1点差で勝てたりしていた。そういうチームとしての粘り強さがあった。4年生がここまで引っ張ってきてくれた。今日も龍輝君が『もっと戦えるだろ』と喝を入れてくれた」

山越康平(法3=矢板中央)
「(今日の試合を振り返って)今までやってきたことをすべて出そうという気持ちで試合に入った。立ち上がりもうまくボールがつなげていたし、いい入りができたと思う。前から行こう、点を取りに行こうということは話していて、ボールは回っていたがシュートが少なかったので、ハーフタイムに龍輝くん(三浦)を中心にダイナミックさを出して行こうという話をした。(4年生と戦うリーグ戦は最後となったが)僕が入学してからは一番4年生同士が仲良かったと思う、特にチームとしてまとまっていた。自分たちはやることをやったし、明日結果がどうなろうとやりきったのでスッキリした状態で明日を迎えられる」

室屋
「今日はどんな形でも勝つことが必要とチームでも話し合っていたので、全体的に前へ前へというプレーができたのではないかと思う。(最終節に)自分たちが勝たないと優勝の可能性はなくなるし、優勝の可能性が少しでも残っている中で諦めるのは駄目だと思っていたし、その中で勝てたというのは何よりも素晴らしいことだと思う。ここで勝ったことで満足することなく、インカレに向けしっかり調整して日本一を目指したい。(後期無敗の要因は)自分はいないときもあったが、4年生を中心に応援も含めてチームを引っ張っていってくれたことに尽きると思う。今の4年生はそういう人ばかりなので、自分たちも4年生のためにもインカレで日本一にさせてあげたい」