
杉山、悔しい5位も収穫と課題得る/全日本大学選手権
実力者相手に善戦した。予備戦をテクニカルフォールで勝利した杉山は2回戦で世界選手権7位入賞の実績を持つ高谷(拓大)と対戦。「インカレに比べ、体力的にしっかり戦えた」(杉山)。自身が成長点として感じた体力面の向上を試合で発揮。攻撃を仕掛けてくる相手に対し左右に動き続け、思い通りにはポイントを決めさせなかった。強敵相手に引けを取らず、第1ピリオドは0―2で折り返した。しかし第2ピリオドでは相手が底力を見せる。開始から12秒、59秒、1分37秒と立て続けにポイントを決められた。最後はローリングを決められ0―12でテクニカルフォール負け。それでも杉山の簡単に点を取らせようとしない姿勢に「意地を出していてよかった」と安西信昌コーチも納得の表情を浮かべた。
3位入賞で12月の天皇杯への出場権が得られる今大会。杉山は事実上の3位決定戦である敗者復活3回戦で敗れ5位になったため、目前で全日本の大会の切符を逃した。「去年、一昨年と出ていただけに悔しい」(杉山)。試合後には自身を「65㎏級で戦える筋肉やスピードがまだまだ」と分析。今大会から5月の東日本リーグ戦まで大会がないため「体作りからしっかりやり直したい」(杉山)と長期間を見据えてのトレーニングに励むことを誓った。安西コーチも「まだまだ伸びる選手」と太鼓判を押す、中量級のエースの今後に期待だ。
この大会を機に4年生が引退し、新体制が始動した。新主将に任命されたのは秋元優介(政経3=足利工)。多賀垣雄副部長も「とても真面目。期待している」と箔を押す。次に控えるのは今月末の東日本秋季新人戦。春季新人戦では大山博貴(営2=仙台育英)と寺田靖也(農2=八千代松陰)の2名が2位になっており、今回も上位進出が見込まれる。4年生は抜けたが下級生たちの飛躍に注目だ。
[小田切健太郎]
試合後のコメント
多賀副部長
「杉山は勝っている試合は良かったけど、全体的に練習不足。高谷の試合でも、最後タックル入った時に(ポイントを)取らなきゃいけなかった。ずっとケガで練習が積めてないから、これからしっかり練習してほしい。いいものを持ってるから。白石は主将として真面目だし責任感もある。ただ、結果として残せなかった。それでもよくやったと思うよ。(新体制が始まるが)選手個人が勝つにはどうやったらいいか考えること。責任感あるチームにしていきたいね。強くなるには臨機応変さが必要だからそれを自分で考えられるようになってほしい。授業もあるし、しっかり練習時間を取ることが難しいから、濃い練習をしていく。まずはケガなく体作りをしていく」
安西コーチ
「杉山ははまるとすごい自分の力を発揮できるタイプなんだけど、三決の試合は同じ技にかかったりして自分の良さが出せていなかったね。その前の高谷との試合なんかは意地も出してて良かったんだけど。相手が高谷じゃなくても、常にああいう試合をしていけばもっと強くなれると思う。杉山は体も大きくて力強さもあるから、まだまだ伸びる選手だと思うよ。今足りないのは練習量。試合の時だけ頑張ろうと思っても絶対頑張れないから。試合で頑張ろうと思うなら練習とか普段の生活から頑張っていかないと。あと、みんなに言えることだけど、自分の嫌いなことをやっていくこと。できることはそれとして、できないことをやっていくことでレスリングの幅も広がるし、そうやっていけばさらに強くなっていけると思う。ちょっとずつ変化していけるようにして欲しいね。(川畑との試合では)梶村はあそこでは頭使って、最後は攻撃を一回で辞やないで二回、三回と続けてポイント取ったのは評価できる。攻めどころはあそこって決めてたみたいだから。それがはまった形で良かった。(これからのチームは)どうやったら強くなって勝てるかをそれぞれが考えられるチームにしたいね。さらに考えるだけでなくそれを実践していく。ここに入ってから4年間で選手それぞれが変わったといえるようになってほしいね」
白石涼主将(政経4=八千代松陰)
「最後だったので、結果がどうこうというよりは自分のレスリングをできたらいいと考えていた。本当に4年間タックルばっかりだったので、しっかりタックルを取ろうと思っていた。初戦では防御が甘かったこともあって失点こそしたけれど、気持ちが入っていたのもあって動けていたと思う。負けた試合でも1ラウンド目では自分のタックルは出せたかな。2ラウンド目ではそれができていなかったのでああいった点差で負けてしまった。でもそこから後輩たちに伝えたいのは、自分のいいところをしっかり出せば僕の1ラウンドみたいに互角に戦えるけれど、それができないと結果的にああなるということ。今日の僕の試合はそれが顕著に出ていた。まだ自分の攻め方わかっていない後輩もいると思うけど、そこの部分を普段の練習からしっかり見直して欲しいと思っている。(4年間を振り返って)まず高校でチャンピオンになったということで入ってきて、今思えばプレッシャーもあったのかなって思う。大学では結果は思うように残せなかった。高校の時にいい思いをした分、大学ではまたその逆の面も味わえた。4月から教員として母校でレスリングを教えるので、これからはそういう色んなことを伝えていきたいと思っている。そういう経験ができたというのは4年間で得たことなのかな。今後もレスリングに関わらなくなることはないと思う。機会があれば高校の子たちを出稽古という形で明治に連れて来たり、輪を広げていきたい。(同期は)本当に優しい奴らだった。優しくて人の気持ちを考えられるやつらばっかりだった。そういう意味では甘えてしまったのもあったかな。周りに恵まれていたと思う。(後輩たちには)まずは大前提としてしっかり起きて、しっかり学校行って、しっかり練習して欲しい。生活リズムを作って全力を出して欲しい。そしてリーグ戦では自分たちができなかった予選2位通過を果たして欲しい。狙えるメンバーが集まっていると思う。今の3年生は個人個人も結果を残しているし、ほかの後輩たちもそれに続いていけば成績はついてくると思う。明日から新体制として3年生中心になる。がんばって欲しい」
遠藤彪梧(営4=向上)
「やはり今日が引退試合ということでかける思いは強かった。初戦の相手がシードの強敵で成績も相手の方が上だったけれど挑戦者のつもりで臨んだし、負けるつもりも一切なかった。実際にやってみて、僕自身の1年間のブランクのせいもありスタミナが全然ついていけなかった。技術やパワーに関してはそこまでの差は感じなかった。今回は完全にスタミナ負け。レスリングは今後も社会人として続けるつもりでいる。高校の後輩がいる大学だったり明治だったりで練習していこうと思っている。学生コーチのような形で後輩たちを見たい。(後輩に期待したいことは)リーグ戦で順位を上げてもらいたい。僕たちの代で10何年振りかに一桁を取ったので、もっとがんばって欲しい。(4年間を振り返って)下り坂できついこともあった。でも、これからも自分のレスリング人生は続くのでがんばっていきたい」
大山健太郎(商4=山形市立商)
「(4年間を振り返って)楽しいことも苦しいこともあった。ただ思うのは仲間っていいなってこと。同期だったり先輩後輩だったり。一時期自分が悩んでいた時に、仲間にかけてもらった言葉のおかげで踏みとどまってここまでやってこられた。それがなかったらくすぶったまま終わっていた。人と人とのつながりというのはこの後の社会生活を考えると大きいと思う。学連の仕事では審判を行うのはもちろん、大会の運営や準備などをやっていた。僕たちが居なければ大会は成り立たないと思っている。自分は副委員長という立場で、指示を出したり人をまとめたりしていた。例えばマット一つ準備するにも指揮する人がいないとできない。そういった事を経験できたのはこれからの社会生活にも役立ってくると思う。(ゴールデンホイッスル賞を取った時は)やっぱり嬉しかったかな。実は最初に学連の仕事を始めた時は嫌々やっていた。でも、ゴールデンホイッスル賞を貰えたりしてレフェリーするのは楽しかった。レフェリーの仕事は誇りだし、楽しく試合をさばけた。(後輩たちへ)やっぱり、夢は人それぞれ持っていると思う。でもそれを明治大学で叶えるためには先生の言うことを聞いているだけではいけない。かつては自分がそうだったから。どうしたらいいのか、何でこうなるかとか日々自主的に探求していって欲しいです。努力を積み重ねて欲しい。そういう立ち振る舞いを覚えていけば大学生活がもっと活気づくんじゃないかなと思います」
梶村史裕(文4=岐南工業)
「最後の大会だったので悔いだけは残したくないな、と思って臨んだ。あそこであぁすればよかった、こうすればよかった、というように反省だけはしたくなかった。2回戦の相手がいつも逆転負けをしている相手だったので、そいつには負けたくなかった。勝ててよかったと思っている。次の相手も負けていた相手でもちろん勝ちたかったけど、自分の動きに対して反省点は少なかったかな。割とすっきりした気持ちでいる。(自分の4年間を振り返って)1年生の時から試合に出させてもらっていて、チームに貢献できていたかはわからないけど自分のできることはやってこれたと思っている。もちろん負けて悔しい気持ちはあるけれど、やりきったという意味ではすっきりしている。(同期については)いろんな事情とかで4人しか残らなかったけれど、その4人でがんばれたことは本当によかったと思っている。(後輩に期待したいことは)今日の杉山だったり期待できる奴はたくさんいる。リーグ戦では今年の順位よりも上げて貰いたい。そのために卒業するまでしっかりと練習相手を務めていきたいし、手伝えることはやりたい。個人としては、これからどんな形であろうとレスリングには関わっていきたいと思っている」
杉山
「3位決定戦までいけたので、そこはしっかり勝ち切りたかった。あそこで勝って3位になっていれば天皇杯の出場権も獲得できたので。去年、一昨年と出ていただけに悔しい。点数的にも差がでてしまったので、まだまだだなと感じた。体作りからしっかりやり直したい。自分の65㎏級で戦える筋肉やスピードがまだまだだから。技術的な課題としては、今回左利きの相手が多くて苦戦した。3位決定戦の相手は合同練習でも勝てなかった相手。ただ、同い年なので勝たないといけないと思っている。8月のインカレに比べ、体力的にしっかり戦えたと感じた。これから来年のリーグ戦まで試合はないが、その間に試合勘が鈍らないように練習でカバーしたい。練習がすべてです」
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