男子フルーレ個人で道脇がベスト16/全日本学生選手権
道脇が1年生ながらベスト16に入った。「勝とうという気持ちが強過ぎた。無駄に力が入ってしまった」とプール戦では気持ちが空回り。わずか1勝に留まった。それでもブービーで予選を通過すると、トーナメントでは見違えるようなプレーを披露し3回戦まで勝ち進んだ。16位という結果は、この日の明大勢では最高成績。井原健三監督も「勝つということに対しての意識が強くなった」と高評価だった。
「不運」(長尾康司助監督)にも明大勢同士の対決となった1回戦。5戦中4戦で勝ち星を挙げ好成績でプール戦を通過した佐伯と、1勝しか挙げられなかった道脇が激突。お互い一歩も引かない接戦となるも、道脇が9―9から5連続ポイントを挙げ15―10で競り勝った。敗れた佐伯も「遠い距離からのアタックが決まった」と敗戦の中に手応えをつかんだようだ。しかし、長尾助監督は「下級生には意地でも負けられないという気迫見せてもらいたかった」と佐伯に対して辛口採点。1回戦敗退に終わった2年生に奮起を促した。
続く2回戦にコマを進めた道脇は、古田(同大)に快勝。高校時代に敗れた相手にリベンジを果たした。トリッキーな動きをする相手に対して、長尾助監督が「大きく入らずに小さく入って、トリッキーな動きをしてきた時にすっとアタックすれば勝てる」とアドバイス。この作戦が見事にはまり、道脇が終始リードする展開に。着実に得点を重ね、終わってみれば15―8の完勝だった。
あと一歩のところでベスト8入りを逃した。中盤までは粘りを見せたが最後は力尽きた。敗因は技のバリエーション。「自分の攻撃に慣れられてしまっていたが、ここにくるだろうというところにしか撃てなかった」と道脇。また長尾助監督は「体が疲れて動けていなかった」という体力面に加えて、試合経験、メンタル面にも言及。ベスト16進出という躍進の陰に、多くの課題が浮き彫りとなったようだ。
またしても結果を残すことはできなかった。女子の3選手の中で唯一、フルーレ個人に出場した山岡。予選では3勝を挙げたが、トーナメントの初戦で姿を消した。
敗れた1回戦は、中盤まで接戦を演じるも最後に突き放された。ターニングポイントとなったのは、7―10で迎えた第3セット最初の攻防。「慎重にやろうとするあまり相手を見過ぎてしまっていた」と長尾助監督。1ポイントを大事にしようとする強い気持ちが裏目に出てしまった。ブレイク明け直後に失点し7―11。勢いに乗った相手に、一気に畳みかけられた。立て続けにポイントを許し、結局8―15でゲームセット。勝機はあっただけに悔しい敗戦となった。
また、この日は「予選からアタックが全然入っていなかった」と山岡。相手が剣を出してこなくなった終盤は、狙った攻撃ができなかった。試合後には「自分が思っている以上に自分は弱かった」と苦痛の表情を浮かべた。
[柴田遼太郎]
試合後のコメント
井原健三監督
「道脇はやったね。関カレが終わってから皆、一生懸命練習をやっている。他大に出稽古に行った成果ではないか。怒って気合を入れさせたということもあるが、関カレ終わってからインカレに来る間に勝つということに対しての意識が強くなった。前も持っていたがそれ以上に、勝利に対するイメージができてきた。それは感じている。彼らは必死にやっている。今日は道脇の成績が良かったが、他の選手も駿河台の練習に間に合わなければ、例えば生田の専大の練習に行ってくるとか、早稲田に行って強い選手と練習するとか、皆、一生懸命。気持ちの面が一番大きいのではないか」
長尾康司助監督
「道脇は予選では1勝しかできなかったので上がれるとは思っていなかった。ただこれは勝負のあや。予選ができていなかったのでトーナメントはどうかなというのはあった。ただ彼は潜在能力が高くて、ベスト16に入れる力はあると思っていた。予選で1勝しかできなかったことが不思議。その辺は彼が今後課題にしなければならないところ。他の2人はあと1つぐらい勝ちたかった。たまたま不運にも1回戦で佐伯と道脇が当たってしまったが、その後に道脇がきっちり上がってくれたのは良かった。期待していた結果は出た。ただ欲を言えばベスト8に入って選手紹介を受けてほしかった。今の段階ではここが精いっぱいなのかもしれない。(2回戦の相手は)彼のフェンシングをたまたま知っていたので、事前に対策を伝えた。トリッキーな動きをしてくる選手だから、大きく入らずに小さく入って、トリッキーな動きをしてきた時にすっとアタックすれば勝てる、と。言った通りに相手が動いて、言った通りに勝ってくれたからうれしかった。(中盤まで接戦を演じた3回戦について)そこ(中盤以降)からが勝負。結果的には体力差が出た。体が疲れて動けていなかったということだと思う。9―9になるまでの試合運び。最初から肩に力が入っていた。体力を使い切らないように戦うことが今後の課題。向こうは4年生でこちらは1年生。経験の差もあるだろうが、メンタル面、精神面。試合全体を見れるような余裕が無いのだろう。単純な体力面だけではない。やはり複合的に試合経験とメンタリティーと試合運びと。競った試合を今後続けていかないといけない。経験といえば経験。山岡は3セット目に入る前までが7―10の3本差。しかし立て続けに取られて結局8―15。彼女の場合は組み立てがいま一歩だった。1本取って7―10から8―10にすれば相手は浮足立つ。その1本を取ることができればよかったが動きが悪かった。慎重にやろうとするあまり相手を見過ぎてしまっていた。佐伯は道脇と当たりましたから、先輩だから意地でも勝たなければならない。彼はエペとフルーレを並行して練習しているので、練習量がエペに取られてしまったのかもしれない。でも先輩だったら下級生には意地でも負けられないという気迫見せてもらいたかった」
山岡
「相手に負けたことも悔しかったが、それよりも自分が情けなかった。圧倒的に負けたという試合ではなかった。予選からアタックが全然入っていなかった。リポストも捉えていたのに入ってしまったりとか、そういうことが多くて点数を取られてしまっていた。それがトーナメントにも響いていた。そこが敗因。2セット目が終わった時点で3点差で、自分も3点差なら行けると思って1本1本取っていけばいいやと思っていたが、相手は自分のやり方を2セットもやったら分かるので攻めてこなくなった。自分のアタックが入らないということが分かり、相手が剣を出してこなくなったので自分も狙いたい技が狙えなかった。アタックが切られてしまうか前の方で捉えられてしまった時に、苦手な相手だなと思ってしまった。自分が思っている以上に自分は弱かった。(男子フルーレ個人の1回戦について)もし自分が奥村と試合をするとしても負けられない。佐伯はすごいプレッシャーを感じていたと思う」
佐伯
「相手が後輩の道脇で、練習で戦っている中でも勝てていなかった。トラウマというか引きずっていた。でもそこで勝ちたかった。トーナメントの山も結構いいところだったので。言い訳みたいになるが、道脇はフルーレを引っ張っていくようになると思う。その面では自分も勝ちたかったが、もっと上を目指してほしいという思いはある。技に関しては道脇にとやっている時にいい技が決まった。いつも練習でやってなくて試合でやってみたらできた技があった。今後練習してみたい。エペでも生きるかもしれないがやってみないと分からない。具体的には単純なこと。自分は背が小さいので相手の体の中に入り込むフェンシングをするが、案外遠い距離からでもアタックが決まった。その感覚が分かった。手応えを得た。あえて遠目からアタックというのができたのでやってみようかなと思う」
道脇
「自分でもベスト16には入りたかった。ベスト8もあと一歩のところだったのでできれば入りたかった。3回戦最後に突き放されたのは技がなくなったから。自分の攻撃に慣れられてしまっていたが、ここにくるだろうというところにしか撃てなかった。最後は腕がつりかけていて、あまり剣を回せなかった。予選は勝とう勝とうという気持ちが強過ぎた。無駄に力が入ってしまった。1回戦は先輩なので部内戦でやっていたが、勝負なので勝ちに行こうと思っていた。2回戦は高校時代に負けている選手だったのでリベンジも兼ねて戦った。ベスト16を目指していたので気合で行った。その選手を見ていた助監督に通用する技を教えてもらった」
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