中野が男子84kg級を制覇 関東王者に輝く/関東学生体重別選手権

2014.11.04
中野が男子84kg級を制覇 関東王者に輝く/関東学生体重別選手権
 関東王者誕生だ。今年最後の個人戦となる関東学生体重別選手権が開催された。男子84kg級で中野力斗(法1=花咲徳栄)が積極的な組手で強豪校の選手を次々と撃破し、1年生ながらも見事優勝。明大から関東大会優勝者が出たのは第21回大会以来、4年ぶりとなった。

 接戦をものにし、王座をつかんだ。使用されるコートが1つとなり、会場にいるすべての人が視線を注ぎ、緊迫した雰囲気の中で行われた決勝戦。中野は「人に見られるのは苦手だが、緊張せずにいつも通りやれた」と自分の組手に集中した。開始14秒に相手より先に攻撃を仕掛け、上段突きで有効を奪う。その20秒後にも同じ上段突きで2―0とリードを広げる。しかし突き2本を決められ、残り49秒のところで追い付かれる。両者の荒い息遣いが響き渡る中、2―2で迎えたラスト4秒。またしても先手を切った中野の刻み突きが決まると、気持ちが高ぶり大きく叫んだ。最後の4秒も気を抜くことなく守り切り3―2で勝利。優勝が決まった瞬間、後ろで試合を見つめていたチームメートに微笑みかけた。
 土壇場の勝利で勢いに乗った。優勝を果たした中野だが、序盤に正念場を迎えた。初戦を難なく突破し、2回戦の相手は強豪・国士大の小池。昨年の同大会で準優勝している実力者との対戦となった。「勝てると思っていなかった」という相手にポイントを取れずにいると、開始1分に中段突きで先制される。その後もポイントが取れずに時間だけが過ぎる。しかし、劇的な幕切れが待っていた。残り1秒で相手が足払いに掛かり、倒れたところに逆転の一本となる上段突き。突きが決まると同時に時間切れのブザー音が鳴り響いた。「たまたま足に掛かってくれた」としながらも、この勝利で弾みをつけ、優勝まで駆け上がった。

 積極性が功を奏した。これまでの試合は相手の出方を待つ組手が多く、攻める姿勢を課題としていた。それを改善しようと臨んだ今大会。実際に、技を出していく姿勢が目立った。象徴的だったのが決勝戦。奪った3ポイントはいずれも自分から仕掛けた攻撃から生まれたものだった。「優勝の要因は自分から攻めることができたこと」と中野。自身の課題を克服しつつ優勝を果たす、充実した大会となった。
一方で、中野以外の選手は田坂叡史(政経2=御殿場西)のベスト8が最高と、満足のいくものではなかった。栗田秀哉主将(政経4=日本航空)、金澤亜門(法4=拓大紅陵)ら4年生にとっては最後の個人戦であったが、それぞれ3回戦、2回戦敗退と悔しい結果に終わった。

2週間後にはインカレの団体戦が待ち受ける。組み合わせの結果、優勝候補の近大と2回戦で当たることが決まった。「インカレまであとは気持ちの部分だけ。打倒近大を目標に頑張りたい」(栗田)と意気込む。4年生を含めた現チームで挑む最後の大会。今年1年の集大成を見せる。

[尾藤泰平]

試合後のコメント
栗田

「自分自信の結果はあれだけど、1年の中野が優勝してくれて本当にうれしく思う。自分が負けた相手は、昨年も全日本で負けた相手で、また負けてしまったのは悔しい。インカレまではもう時間がない。あとは気持ちの部分だけかなと思うので、いい状態に持っていけるようにしたい。インカレは2回戦で優勝候補の近大と当たってしまったので、打倒近大を目標に頑張りたい」

田坂
「あと一つ勝ちたかった。(中野が優勝したのは)いい刺激になった。(準々決勝は)スピードにちょっと押された。結構レベルの高い相手だったけど、もうちょっと工夫すればいい試合ができたと思う。この結果は悔しい。2点取られたのは1点に抑えることができたし、逆に1点取れたと思う。来年は個人でインカレも出たいから前でやるスタンスをつくって、相手に合わせないようにしたい。だからこそ中野には明治を背負って戦ってくれたことが刺激になった。インカレ団体は2回戦が近畿大だからそこでどれくらい戦えるか、全力でやっていきたい。先輩たちとも一緒にやるのは最後だから精一杯やっていきたい」

中野
「今日は疲れた。一日長かった。でも優勝することができたので、それは良かったんじゃないかと思う。自分は多くの人に見られながら試合をするのが好きじゃなくて、できれば選手たちしかいない状況の中で試合をやりたいくらい。だから決勝のようにみんなが見ているというのは苦手。ただ苦手というだけで、別に緊張とかをするわけではない。ある意味緊張せずにいつも通りやれたと思う。(準決勝以降の試合時間の)3分は長い。でも最後は前に出ないとという感じだった。色々な大会で最後の方は3分だけど、そこまで勝ち上がることがほとんどなかった。普段走ったりしてスタミナトレーニングをやっているが、組手のスタミナと走るスタミナは別だと改めて感じた。優勝する自信は全然なかった。この大会は自分の課題を修正できればいいなくらいに思って臨んだ。積極的に手を出していくことが課題で、大会を通じてそれを意識して戦った。決勝でもそれは変わらなかった。優勝できた一番の要因は、自分から積極的に攻めることができたことだと思う。(2回戦について)相手は本当に強い人で、勝てると思っていなかった。最後の1本は、たまたま相手が足に引っ掛かってくれて、たまたま時間内に倒せたという感じ。優勝のカギになったのはあの試合だったと思う。次のインカレで4年生とやれるのも本当に最後になる。しっかりと自分の力を出して、一試合でも長くやりたい」