
早大との上位対決制す 今季初の首位浮上!/関東大学1部リーグ戦
エースの左足が沈黙を破った。前半25分、和泉がこぼれ球を豪快にゴールネットに突き刺し先制点を挙げた。「フォアにDFがいるのが見えていた」(和泉)と空いているニアのコースに正確なシュートを放った。お膳立てをしたのは石原。「相手DFが自分に付くか諒(髙橋・文3=国見)に付くか迷っていた」(石原)と左サイドでボールを受けた石原は、持ち前のスピードで縦に突破。ペナルティエリア付近、相手DFのスキを突くと鋭い切り返しで中央に切れ込み、シュート体勢に入る。足が合わずにボールがこぼれるも、和泉が反応し押し込んだ。
1点リードの後半29分には差波優人(商3=青森山田)のCKから、ゴール前の混戦を制した和泉が貴重な追加点をゲット。和泉を「モノが違う」と評する神川明彦監督だが、前節終了後にはエースへの期待を込めさらなる奮起を促した。神川監督の期待に和泉は2得点という結果で応えてみせた。栗田大輔助監督は「2点ともいい時間だった」と明大の10番を背負うエースの活躍に満足した表情を浮かべた。
激闘を制した。試合は開始直後から激しい球際の競り合いと、素早い切り替えで白熱した展開に。2点リードした後半36分に失点し1点差に迫られるも、失点直後に三浦龍輝主将(商4=FC東京U-18)を中心に全員が一度集まり「メンタル面の部分をもう一度確認した」(三浦)。1点差で勝っている、焦らないということをチーム全体で共有した。90分間を通して運動量を落とさずに走り切り、体を張った守備で早大の猛攻をシャットダウン。後期負けなしの原動力となっている全員サッカーで勝ち点3をもぎ取った。
優勝へと大きく近づく貴重な勝利となった。前節終了時点で首位だった順大が今節で引き分けたため勝ち点は42。勝った明大は勝ち点を43に伸ばし、今季初めて首位に立った。次節は順大との直接対決。明大が勝利し、勝ち点41の3位専大が引き分け以下に終わると最終節を残し優勝が決まる。大一番を前にしても「上位とか優勝とか気にせず1試合1試合こなしていきたい」と差波。目の前の1試合に集中することで後期の無敗記録を重ねてきた明大の信念を最後まで貫く。王座奪還へ、天王山での必勝を誓う。
[鈴木拓也]
試合後のコメント
神川監督
「早稲田には負けられないから、(結果は)当然だよ。監督就任当時から絶対に早稲田には勝てと、常にライバルとして位置つけていたので、前後期勝てたので良かった。やっと今日は我々の考える適材適所のベストメンバーがそろった。誰が出ても戦えるけど、今日は最強のメンバーだった。取るべき人も取ったので申し分ない。彼はモノが違うので、これくらいやってもらわないと。前節、終わった後に奮起を促したので。失点もしたけど、あそこから崩れずに戦った。残り10分割り切って、キャプテン中心に素晴らしかった。今日はベストゲームの一つだけど、本当のベストゲームは次の順大。そうなるように頑張ってほしい」
栗田助監督
「(今日の試合を振り返って)厳しい試合だったが勝てて良かった。守備の部分で集中力が切れる場面は無かったが、1試合通じて同じリズムで守れるように修正したい。(首位に立ったことについて)今季リーグ戦で初めて首位に立てたことは素直にうれしいが、まだあと2試合あるのでここからが本当の勝負だと思う。気を引き締めて戦いたいと思う。(和泉の2得点について)点を取るのが彼の一番の仕事。2点ともいい時間帯だった。今日の2得点については非常に満足している。(次節順大戦に向けて)順大は守備が堅いし、前に迫力がある選手がそろっている。もう一度守備の確認をやっていい状態で臨みたい」
三浦主将
「前半あまりチャンスがつくれずに、我慢した展開が続いた。その中で1点取れたのは大きかったし、相手にあまりチャンスをつくらせなかったことは自信につながる試合だったと思う。(失点した後に話し合ったことは)戦術どうこうよりも気持ちの持ちようだったり、メンタル的なことをもう一回確認した。スコアも勝っていたので、もっと気持ちに余裕を持てということとやることをはっきりして自分たちのサッカーをしようとした。1位になったことはうれしいが、全員に言っているのはこのラスト3試合はトーナメントということ。負けたら終わりという中で、いかに勝ち進むかということが大切」
石原
「(ゴールシーンについて)相手が自分に付くのか、諒(髙橋)に付くのか迷っていたので、うまく間で受けられて、ドリブルでかわした。自分がサイド張っちゃうと、諒の良さも生きないので、うまく間に入りながらああいうくさびのボールも挟んで前を向けたらチャンスにもなるので、それがゴールにつながったと思う。(次節の順大は)勝たないことには優勝はないし、今日の勝利も無駄になってしまうので、勝ち点3を目指す」
苅部隆太郎(商4=川崎フロンターレU-18)
「早稲田が蹴ってくるサッカーをしてくるのは分かっていたので、ボランチの運動量がすごく求められた。今回はしっかりつなぐということを意識していた。自分と山越と松藤で三角形をつくって、簡単に蹴らないでつなぐようにしていた。先制点は気持ち的に楽になれたし、今日勝てた1番の要因だと思う。最近は守備が安定しているので、攻撃の練習に特化してやっている。前線は能力が高い選手が多いので、個人技は明治のストロングポイント。失点はしたが、今は一点差を勝ち切る力を持っているので、焦らず統一してサッカーができた。(順大戦に向けて)今までやってきたことを一週間練習して、自分たちのサッカーを貫けばいい結果が付いてくると思う。優勝とかは考えず、まずは目の前の試合に集中したい」
和泉
「重要な試合だということはみんな分かっていた。早大も負けたら優勝が無くなるし、うちも負けたら優勝が遠ざかることになるのでお互いに負けられない試合だった。その中で得点できたということは良かったが、もう少し前線でタメをつくれる場面もあった。(1得点目について)自分は足元へのパスを意識していたので、ラッキーな得点だった。フォアにDFがいるのが見えていたので、ニアに蹴った。(2得点目について)CKはニアを超えたところがチャンスになると思っていた。うまくこぼれてきてくれた。(優勝が現実味を帯びてきたが)来週の順大戦は今日と同じように苦しいゲームになると思う。自分たちの方が勝利を追求すればおのずと結果は付いてくると思うので、しっかりとした準備をしたい」
差波
「苦しい試合だったけど、勝つことができて良かった。早稲田には前期、いい内容で勝てたけど後期は上位ということもあって絶対に負けたくなかった。決めるべき人が決めたり、龍輝くん(三浦)がしっかり守ってくれたり、要所要所でチームの中心的な人が活躍してくれた。(和泉について)2年間ずっと一緒にサッカーしてきたので、竜司のプレーはわかっている。連携という部分では脅威になる。(優勝争いについて)優勝争いとかは考えていない。目の前の試合に勝つことによって順位が上がってくると思うので、上位とか優勝とかは気にせず1試合1試合こなしていきたい」
藤本佳希(文3=済美)
「勝って、初めて首位に立てたのでうれしい。リーグ戦での優勝争いは初なので、このチャンスを逃さないで、あと二つ勝ちたい。プレッシャーもあるけど、それを楽しむくらいじゃないとダメだと思うので。他に関係なく勝てばいいので。桐蔭横浜戦から残り4試合はトーナメントと考えていて、あと二つ絶対に勝つ。個人的には得点も取りたい。11連勝と言葉にするのは簡単だけど、みんな難しいとわかったうえでの目標だった。1分はあるけど、甲府戦以来負けていない。負けない癖というのが大事なので、本当にあと二つ同じようにやっていきたい」
山越康平(法3=矢板中央)
「早稲田の2トップは高かったので、競り負けたときのカバーをしっかりしようと意識しました。(失点後のミーティングで話したことは)まだ2対1で勝っているので、焦らずいこうと三浦さんを中心に話した。DFはそのままでいこうと。(失点シーンに関しては)センタリングに対してラインが下がりすぎたこと、しっかり付いていなかったからだと思う。(次節に向けて)順大も前線からのプレスをかけてくると思うので、今日も自分のミスで危うい場面あったが、そういうところをなくしていきたい。優勝争いが懸かっているので、まずは目の前の一戦に対してしっかり向き合いたい」
小出悠太(政経2=市立船橋)
「(後半からの出場だったが)急な交代だったが、落ち着いてできたと思う。(早大は再三前線に放り込んできたが)気持ちの部分が大きかった。みんな声を掛け合って粘り強く守れたと思う。失点はしてしまったが、割り切ってやろうという話をしたので、落ちることなく最後までやれた。(次節順大戦に向けて)1週間いい準備をして、どこでいつ出るか分からないが、しっかりとしたイメージを持ってやっていきたい」
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