
桐蔭横浜大に1―0で強者の勝利 再びの連勝街道へ/関東大学1部リーグ戦
またしても正確な飛び道具が発動した。前半8本ものシュートを放ちながら「最後の精度が足りない」(栗田大輔助監督)と流れの中から得点が奪うことができなかった。その中で輝きを放ったのが2戦連続弾、後期3アシストを決めている差波だった。前半45+2分に右CKを獲得すると差波が右足一閃。上がったクロスに山越がドンピシャで合わせ、ヘディングシュートはゴールに吸い込まれた。「あそこに蹴ってくれと言っていた」(山越)と話していた通りの形で先制。差波も目標としていた自身の背番号「7」と同じ7アシスト目を記録し、アシストランキング単独トップに躍り出た。それでも「7じゃまだ満足していない」(差波)とランキングではなくチームのために、さらなる攻撃参加を誓う。
苦しい時間帯が続いた。「前半と後半で内容が変わってしまう、サッカーにはよくある展開」(神川明彦監督)と攻め続けた前半と対照的に、後半は相手の圧力に押され攻め込まれる形に。前半と違い「ボールがつなげなくなった」(山越)ことで相手に主導権を握られた。ギリギリのところで体を入れ最後までゴールを守り切ったが、後半44分には相手のシュートがバーを直撃。試合終了間際にもゴール前の混戦で相手が合わせ切ることができずに助かったものの、あわや失点という場面も見られた。「失点してもおかしくない場面もあったので、そこは修正していかなければならない」(室屋成・政経2=青森山田)と守備面で明大ペースに戻すことができなかった。それでも「ずっと取り組んできた守備の部分、特にDFラインは忠実にやっていた」(神川監督)と指揮官は評価。無失点で勝ち切る強さを見せた。
後期を負けなしで突き進む。3節を残しインカレへの出場が決定した。選手からは笑顔も見られたが「まずリーグの試合を一つ一つ勝っていきたい」(三浦龍輝主将・商4=FC東京U―18)と目先の試合に集中する。今節首位の順大、2位専大、4位早大が引き分けに終わったため上位陣で勝ち点3を積み上げたのは明大のみ。順大と勝ち点1差の2位まで迫った。次節早大戦は互いに勝ち点3を狙う白熱したゲームになることが予想される。「まずは守備から入ってやってきたことをしっかりとやることがカギになる」(和泉竜司・政経3=市立船橋)と2戦連続無失点と好調の守備からリズムをつくりたいところだ。その後は順大との試合と上位陣との直接対決2連戦となる。「三原則を改めて徹底することが大事になる」(苅部隆太郎・商4=川崎フロンターレU―18)と今節出てきた課題を糧とし、勝利だけを目指す。
[谷澤優佳]
試合後のコメント
神川監督
「(今日のゲームは)前半と後半で内容が変わってしまう、サッカーにはよくある展開だったと思う。その中でも1―0で勝てたことは評価できる。(前半と後半で内容が変わってしまった原因は)うちが変わったというよりは、向こうの圧力が変わったときに対応できなかった。そして自分たちのペースに最後まで戻せなかった。ずっと取り組んできた守備の部分、特にDFラインは忠実にやっていた。ちょっと前線が収まらなくて、守備の部分でも収まらなかった。(インカレ出場が決まったが)素晴らしい。あとはリーグの順位を決めていくだけ。ついに首位と1点差のところまで来たので、なんとか離されないようにね。うちはとにかく早稲田に勝つだけ」
栗田助監督
「厳しいゲームだったが勝ち切れてよかった。リーグ終盤に差し掛かって相手も勝ちに来ていたし、後半1点のビハインドを背負っている中で素晴らしいサッカーをしてきた。その中で自分たちの運動量が落ちて受け身になってしまったことが相手の勢いを増長させてしまった。ただ自分たちの勝ちたいという気持ちが上回った。いい時も悪い時もある中で勝ちたいという気持ちを一貫して持ち続けられている。今日はFWがあまり良くなかった。前半も決定的なシーンがある中決めるべきなのに決められなかった。最後の精度が足りない。後半も相手が必死になったことで攻め込まれる時間が続いたが、DF陣はよく頑張ってくれていた。ただ前線2人がかなり運動量が落ちてしまっていた」
三浦
「下位の相手と言うことで戦い方は難しかったんですけれども、前半の最後にいい形というかいい点の取り方ができたのが大きかった。後半は距離感がとれていなくて相手に攻め入る隙を与えてしまって、そこに課題が残った。次節は落とせないのでしっかり修正をしたい。(後半の課題というと)一人一人が孤立してしまった。特に前線の二人。そのために攻撃が成り立たなくなってしまった。もう少しどこから攻めるのか全員でしっかり話し合いたい。(前半ロスタイムの点は)すごい大きいというほどでもないけれど、あれがあって楽になったところはある。チームとしてはいつも前半は0―0でいいって言ってて、1点取れればラッキーみたいなかんじ。特に点が取れなかったからと言って焦るわけじゃないけれど先制できれば雰囲気は良くなる。後半危ないシーンがいくつかあって、僕自身もっと正確にプレーしなくちゃいけないなと。インカレが決まって、とりあえずは良かった。ただインカレという目標を達成するためにはリーグの順位とか勢いとかがかなり重要になってくる。まずリーグの試合を一つ一つ勝っていきたい。(8節終わって7勝無敗だが)あまり連勝は気にしていない。優勝するためには勝たなくちゃいけないから。その中で今日は勝ちこそしたけれど今日みたいな試合をすれば上はどんどん遠ざかる。今日の課題をしっかり改善していかなくちゃいけない。次節は早大だが、前期は内容で圧倒しても結果で圧倒できなかった。まずは0で帰ってくること。決めるべきところを確実に」
苅部
「(今日の試合振り返って)今日は立ち上がり噛み合わない感じ、雰囲気が出てた。噛み合わないまま時間が進んでいって、厳しい状況だったが、前半の終わりに点が取れて余裕ができた。後半は切り替えて戦おうという話をしたが、あまりチームとして統一したサッカーはできなかった。その中でも切り替えだったり、ゴール前の守備は良かったのかなと思う。この先上位との対戦で取りこぼしもできないので、決定的なシーンで決め切るということを突き詰めていかなければならない。(インカレ出場が決定したが)インカレに出場することが目標ではない。リーグ戦優勝して、インカレでも優勝するということが目標。まだインカレで勝ち抜ける力はないので、残り3節全員が高い意識を持ってやっていかないといけない。(残り3節で必要となってくるものは)勝利への執着心というか、強い気持ちだと思う。今日のような試合をしていたら取りこぼしてしまうと思うので、三原則を改めて徹底することが大事になると思う」
和泉
「(今日の試合を振り返って)苦しい試合だったが、勝てたことが良かったと思う。結構選手同士の距離感もあって、孤立する部分もあった。もう少し攻撃のときに距離を近くしたり、早い攻撃ばかりだったので、タメをつくって上がりを待てたら幅が広がったと思う。(インカレ出場が決定したが)今はそのことは考えずに、残り3節、まず来週の早稲田戦に向けていい準備したい。(次節早大戦に向けて)早稲田は本当に強いチームで、そのことはみんな分かっている。前線からプレスだったり、まずは守備から入ってやってきたことをしっかりとやることがカギになると思う。自分は前の選手なので得点という形でチームに貢献したい」
差波
「難しい試合だったけど勝てたことが良かった。(後半は守備の時間が長かったが)難しい試合になるとは分かっていた。桐蔭も弱いわけではないし想定はしてたのでうまく対応できたかなと思う。(得点シーン)山越がうまく決めてくれて、話していた通りの形になった。練習通りだったと思う。(インカレ出場決定について)4年生と試合できる数が増えたしそういったところでは少し嬉しい気持ちと、インカレに向けてもそうだし個人的にはケガをしないように。良い試合、良いパフォーマンスを出せるようにやっていけたらいいかなと思う。(次節に向けて)グラウンドも人工芝だしいつもの戦い方と絶対変わると思う。早稲田も優勝争いに残るためには勝ち点3欲しいと思うし、僕らも勝ち点3欲しいと全体も思ってるしすごく白熱した試合になると思う。勝ち点3取れるようにまた一週間良い準備をしていけたらいい」
山越
「残り4試合になって厳しいというか先見がちそうだけど、一戦一戦戦わないといけないのでまずは桐蔭のことだけ考えて試合に入った。(後半の守備について)1点リードしていて押し込まれるとは思っていたので、そこは割り切って守備をしていた。ボールがつなげなくなったので少し相手に主導権握られたのかなと思う。(得点シーンについて)優人にあそこに蹴ってくれと言っていた。うまく蹴ってくれたのでうまく決められて良かった。(インカレ出場決定について)みんなとこのチームで長くやりたいので、そういう意味ではインカレ決まって嬉しい。(次節に向けて)相手も相当良いチームだし、魂のこもったプレーというかそういうのはしてくると思う。自分たちも気持ち入れて、そういうところから気持ちで戦いたい」
室屋
「(今日の試合を振り返って)セットプレーで前半終了間際に点を取れてだいぶ楽になった。後半はなかなか自分たちのサッカーができなかったので、そこを次の試合までに修正していきたい。(先制点を取るまでは)立ち上がりはあんまり良くなかったが、前半の最後くらいは自分たちのリズムでできていて点が入りそうな予感があった。しっかりとそこで取れたのが大きかったと思う。(後半は)後半は桐蔭横浜が支配してきてなかなか自分たちのペースに持っていけなかった。失点してもおかしくない場面もあったので、そこは修正していかなければならない。(インカレ出場が決定したが)このチームでまだ長く戦えるということがうれしい。リーグ戦も優勝するために、残り3節頑張っていきたい。(次節早大戦に向けて)すごく強いチームで何が起こるかも分からないので、勝ち点3取れるように頑張っていきたい」
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