106点を奪い、明学大に大勝/関東大学対抗戦

2014.10.27
 明学大を全く寄せ付けなかった。安定したラインアウトを起点にトライを量産。計16トライを挙げた。久しぶりのAチーム復帰となったNo.8山下誉人(政経4=京都成章)が5トライを奪うなど存在感を示した。Bチームでの出場が多かったメンバーが多く起用されたこの試合では、初紫紺を含めた1年生が躍動。大量106点を奪い、開幕4連勝を決めた。

勝利を呼び込んだセットプレー
 ラインアウトの安定が大量得点につながった。前後半合わせて、13本あったマイボールラインアウトは全てキープ。成功率は100パーセントを誇った。明学大が競ってこなかった場面も多かったがスローイングも安定しており、HO中村駿太(商3=桐蔭学園)も「100点ではないが、まずまず」と振り返った。「いい球出しができていればいいアタックができる」(中村)という言葉通りモールトライや、素早くBKに展開しオーバーラップをつくりトライを奪うなど多彩な攻撃を見せた。
 スローワーを務めることが多いHOはラインアウトのカギを握っている。対抗戦ではここまで佐藤公彦(法2=明大中野)がリザーブ入りしていたが、今日は後半28分に中村に代わり勝木来幸主将(営4=常翔学園)が登場。本来はPRである勝木主将のHOとしての出場は、朴成浩(政経1=大阪朝鮮)ら本職のHO陣にとって相当の刺激になっただろう。
 またスクラムも、前半は「合わせてしまっていた」(中村)とプレッシャーを掛けられなかったが後半は修正。FW陣がセットプレーから明学大を圧倒した。

無失点
 「失点0」という試合前の目標通り、明学大を無失点に抑えた。左WTB齊藤剛希(商3=筑紫)のタックルミスから自陣深くまでビッグゲインを許す場面もあったが、しのぎ切った。しかし「今日のディフェンスならば強豪校には取られている」(中村)。丹羽政彦監督(平3文卒)も「もう一つ上のランクに行くためには、そういうところを直していかないといけない」と精度向上を誓った。立大、青学大、そして今日の明学大戦と3戦連続での完封にも満足はしていない。

真価を発揮
 No.8山下誉人(政経4=京都成章)が躍動した。前半6分、敵陣22メートルライン付近で左CTB尾又寛汰がラインブレイクした後のこぼれ球を拾うと相手タックラーを引きずりながらインゴールへ。その後も幾度となくゲインラインを切るなど、ボールキャリアーとして存在感を放った。また後半38分には「WTBを経験したことが生きた」(山下)と左の大外でボールを受けるとサイドラインを駆け抜け、ゴール中央にグラウンディング。足でも見せ、Aチームでの出場は久しぶりながらも5トライを挙げた。「トライを取れたことはアピールという意味でも大きい」と本人も納得の表情。第3列のポジション争いに名乗りを挙げた。
 普段のWTBではなく、FBで出場した成田秀平(営2=秋田工)も大活躍。いつものトライゲッターとは違う形でチームを支えた。左右どちらのアタックラインにも精力的に顔を出し、前半4分には右サイドで右WTB渡部寛太(文1=愛媛県立北条)の先制トライをアシスト。後半38分にも左サイドで山下の4トライ目を演出した。「シンプルに2対1をつくれた」と振り返った成田は「FBをやりたい」と15番のポジションにも意欲を見せた。

対抗戦初出場
 「今週頑張っている選手を起用した」と丹羽政彦監督(平3文卒)。今日はスタメンでSO堀米航平(商1=流経大柏)、渡部、途中出場で右PR久原綾眞(政経1=佐賀工)、左LO古川満(商1=桐蔭学園)SH兵頭水軍(農2=仙台育英)の5名が対抗戦初出場を果たした。昨春の明早戦以来、1年以上ぶりに紫紺に袖を通した兵頭は安定したプレーを披露。1年生では、堀米が落ち着いたゲームメークを見せた。後半は9本のコンバージョンキックを全て決めるなどチームの勝利に大きく貢献。「1年生は良いパフォーマンスをしてくれた」と丹羽監督も高評価。個人技で挙げた2トライに加え、グラウンド中央からのロングキックで齊藤のトライをアシストした右CTB梶村祐介(政経1=報徳学園)も含め、若手が奮闘した。

 次戦からはいよいよ上位との対戦が始まる。まずは慶応戦だ。「去年負けたので借りを返したい」と勝木主将。帝京大を見据えると、内容も問われる一戦になるだろう。絶対に負けられない。

[柴田遼太郎]

◆対抗戦 対明学大戦の先発メンバー&リザーブ◆
1.PR 植木 悠治(政経3=常翔学園)
→18.久原(後半38分)
9.SH 加納 遼大(文4=常総学院)
→21.兵頭(後半13分)
16 勝木 来幸(営4=常翔学園)
←2.中村(後半28分)
2.HO 中村 駿太(商3=桐蔭学園)
→16.勝木(後半28分)
10.SO 堀米 航平(商1=流経大柏)
←3.齊藤(後半35分)
17 塚原 巧巳(政経3=国学院栃木)
←3.松波(後半0分)
3.PR 松波 昭哉(政経4=東福岡)
→17.塚原(後半0分)
11.WTB 齊藤 剛希(商3=筑紫)
→22.田村(後半35分)
18 久原 綾眞(政経1=佐賀工)
←1.植木(後半38分)
4.LO 東 和樹(政経3=京都成章)
→19.古川(後半13分)
12.CTB 尾又 寛汰(商2=国学院栃木)
→23.西橋(後半0分)
19 古川 満(商1=桐蔭学園)
←4.東(後半13分)
5.LO 小林 航(法3=明大中野八王子) 13.CTB 梶村 祐介(政経1=報徳学園) 20 桶谷 宗汰(営2=常翔学園)
←7.三橋(後半0分)
6.FL 平井 伸幸(法4=桐蔭学園) 14.WTB 渡部 寛太(文1=愛媛県立北条) 21 兵頭 水軍(農2=仙台育英)
←4.加納(後半13分)
7.FL 三橋 功太郎(理工4=日大)
→20.桶谷(後半0分)
15.FB 成田 秀平(営2=秋田工) 22 田村 煕(営3=国学院栃木)
←11.齊藤(後半35分)
8.No.8 山下 誉人(政経4=京都成章) 23 西橋 誠人(商4=桐蔭学園)
←12.尾又(後半0分)

試合後のコメント
丹羽政彦監督(平3文卒)

「ここ一週間クオリティが下がっていたというのもあったので、頑張っていた人をメンバーに入れました。特に一年生は良いパフォーマンスをしてくれたと思います。来週のメンバーは、今日の頑張りとコンディション的に入れていないメンバーもいるので、どのメンバーで行ったら慶応に勝てるのかを考えて選びたいと思います。基本的に失点0という目標でやっていました。それでも自分たちのタックルミスなどから、ピンチを作ってしまいました。もう一つ上のランクに行くためには、そういうところを直していかないといけません。ただこの試合では、みんな諦めずに必死に追いかけていました。相手のボールを取ってからのアタックがなかなかテンポ良くできていない。そこのところを今週はフォーカスしてやっていたので、もう少しその辺が変わればと思います。(10月を終えて)先週まではあれでしたが、今日のゲームで非常に良いパフォーマンスをしてくれました。(山下の活躍は)春は出ていましたが、地道にBCチームで頑張っていた。兵頭もそうですが、下のチームで地道にやってきた選手が活躍したというのは、評価したいです。(梶村選手は)久しぶりに走ってました。あれぐらいはできると思っていますから。だんだんパフォーマンスも上がってきているので、楽しみです。慶応戦はFW戦で絶対的に勝利したいと思ってますし、BKも絶対負けてないと思ってますから、アタックでもディフェンスでも絶対的に優位に立ってしっかりと勝ちたいと思います」

勝木来幸主将(営4=常翔学園)
「良かったと思います。セットプレーも安定していましたし、前半なかなかスクラムでプレッシャーかけられませんでしたが、後半修正できいていたので、評価したいと思います。次から上位校と当たるので、良い準備ができたかなと思います。10月は、今まで自分たちがやってきたことを考えて、それを実行するために、しっかり練習もやってきた。良い準備期間だったと思います。変わったことはなく、今まで通りです。慶応は、去年負けてるので、借りを返したいです。向こうも伝統校で、プライド持ってやってきているので、自分らもプライドを持ってしっかり戦いたい。自分自身は、結構今の状態は良いです。今年は体重を増やして、コンタクトを強くして、ボールタッチも多くなっているので、去年よりは確実に良い状態だと思います。やっぱり今年はチームのために体張るために、ボールタッチに関しては意識しています。小さなところから意識していて、ボールもらう回数を他の人より一回でも多くもらおうとか。それが、自分のコンディションにも繋がってきます。小さなことから、自分の状態を上げるようにしています。あとは、当たり前のことなんですが、規則正しい生活をする、掃除をする、食生活でも食べる時、食べ過ぎない時というのを守る。自己管理を徹底しています」

HO中村駿太(商3=桐蔭学園)
「FWはセットピース、特にラインアウトが良かった。セットプレーが良くて、いい球出しができていればいいアタックができる。いい球を出せて良かった。今週意識をしていた。相手が競ってこなかったので100パーセント取らなければいけない状況だった。スローイングも100点ではないがまずまずだった。スクラムはもう少し。特に前半は相手に合わせてしまった。自分たちのペースにならなかったのでそこは反省点。また、ある程度前に出れていたので良かったが、帝京大、早稲田を相手にまだまだ。ボディーポジションなど練習していきたい。(ディフェンスについて)結果的には取られていないが、いかれている部分はある。今日のディフェンスならば強豪校には取られている。強豪校相手にも取られないようなディフェンスをしていきたい。勝木主将のHOとしての出場は刺激になる。競争相手として意識している」

左FL平井伸幸(法4=桐蔭学園)
「今日はチーム全体でノートライに抑えようと話していた。試合の序盤からその意識付けがしっかりできていると感じた。スタメンのバックローが全員4年生で、プレーでも声出しでもチームを鼓舞できていたと思う。最後のシーズンなので気合はより入っている。今日の自分のトライはモールからだったが、この一週間セットプレーはしっかり練習してきたのでそこを実戦でできたのでよかった。相手は一人一人が気持ちの入ったロータックルをしてきていて、途中自分たちのボディポジションが高かったのでさしこまれた。でも自分たちには負ける気が一切なかったので、焦りはなかった。今日のような下位チームに圧倒的なプレーをしても慶応のような上位チームにできなければ意味がないので次戦に備えたい」

No.8山下誉人(政経4=京都成章)
「Aチームのスタメンとして久しぶりの出場だった。結果的にトライを取れたことはアピールという意味でも大きい。(トライを量産できた要因は)試合前から意識していた早めのサポート、フォローがしっかりできていたからだと思う。また、春にWTBを少しやっていてそこを生かして足でもトライを取りにいけた。今後も継続して今日のようなプレーをしていきたい。モールは倒される場面もあったが、回数を重ねるごとに修正できたと思う。モールトライも取れたので。試合前のチームの目標は相手をノートライに抑えることだった。0点ゲームをしようと臨んでいた。(相手プレーの印象は)思ったよりもタックルがよかった。なのでボールをオーバーされかけたり、ハーフがボールを出した時もタックルでテンポを乱されたりした。(普段とは違うポジションの人が多かったが)全く気にならなかった。コミュニケーションをしっかり取れていたからだと思う。全体としての課題はハーフからのテンポだと思う。ラックからハーフがボールを出しやすいように、もっとFWがしっかり枚数重ねていきたい。そこの部分が明学大相手にこれだと、慶応には厳しいと思うのでしっかりやりたい。個人としても選ばれたら点数を取れるようにラインにしっかり顔を出して取りたい」

SO堀米航平(商1=流経大柏)
「無失点に抑えられたことが一番良かった。普段通りに硬くならず、伸び伸びやるように言われていた。前回が良かったのかは分からないが、その内容で使わせてもらったのではないかと思う。プレッシャーもあったが、チャンスが来たなと思った。アタックでしっかりとボールを動かせて、ゴールキックも結構入ったのでそういう点では貢献できた。ディフェンスはあまり競る機会がなかったが、一本いいのが入れたので良かったと思う。課題は立ち位置が浅くなったこと。そこは後半は修正できていた。ケガからいい感じに戻ってきた。出られるように頑張ります。このままスタメンでいられるように練習から頑張りたい」

右CTB梶村祐介(政経1=報徳学園)
「対抗戦初のスタメン出場だったかが、先週からジュニアでも出させてもらっているので焦りなどはなかった。ただ、前半はほとんどボールタッチがなかった。後半は自分のいいところが出せていったと思う。今日はタックル回数はそこまでではなかったが1回しっかり入ったのがあった。こういうのが少しずつ積み重なっていけば自信になると思う。個人としてはまだまだ満足できないが、チームとしては試合中でも修正できるところはしっかりできていて、そこは評価できると思う。慶応戦には100パーセントの状態までもっていきたい」

FB成田秀平(営2=秋田工)
「今日は若いというか、1、2年生がBKに多かったけどいつもとそんな変わりはなくできた。ほんの少しメンバーが変わったからといって特別なことはない、いつも通りできた。個人的にはFBのほうがやりやすいが、今日は納得いくプレーはできなかった。もっと自分の理想としてるプレーがある。(良かったことは)シンプルに2対1をつくれてラストパス、というようなアシストが2、3本あった。ラストパスでミスがなかったのは良かった。今日は自分の中でアタックというのを意識していたので、あまりキックを使わなかった。真ん中のポイントから1本、スクラムに蹴ったやつは練習通りキックができたのでFBで出たらそういう風なキックを使っていきたい。今後も個人的にはFBをやりたい。高校時代はずっとFBだったしそっちのほうがやりやすいというのはある。(ディフェンスに関しては)1本危ないのがあった。意識はしてたと思うが少し内のサポートが遅くて内に抜けられた場面があったので、インサイドサポートを意識してやって2人目でちゃんと当たるようなディフェンスをしていかなければいけないなと思う。今日のトライは余った状態でもらった1本だけだったので、15番になったときはトライというよりもアシストっていうのが多かった。15番だったら、余らせてWTBにパスする。WTBで出たら今度はトライを狙っていきたい。これから、今までより(相手の)レベルが上がっていくと思うが、やっぱり課題はディフェンスだと思う。トライを取られなければ負けることもない。しっかりディフェンスして、自分たちのラグビーをして勝っていきたい」