ついにつかんだ! 前田がインカレ初V/全日本学生フィールド選手権

2014.10.21
 インカレ初制覇だ! アーチェリーのインカレ3種目のうちの一つである、フィールドアーチェリーで前田悠帆(法3=東福岡)がインカレ初優勝を果たした。昨年4位で初優勝を狙った太田俊(理工4=明大明治)は上位8名を決めるイリミネーション1回戦で敗退。また、女子では中村彩(商4=越ヶ谷)が4位となり惜しくも表彰台を逃した。

[男子]
 大井(慶大)との決勝戦。前田の勝利を伝えるアナウンスが流れて初のインカレ優勝が決まった瞬間、大きく頭を下げて喜びをかみしめた。予選ラウンドでは過去27大会中最高得点を記録するなど、一度も1位を譲ることなく勝ち進んだ前田。国体からの連戦の疲れも見せず順調に勝ち上がり他を圧倒した。決勝でも18点中14点、15点の高得点を連発。相手に一度もリードされることなく頂点に立った。関東大会に続いてのフィールド種目での優勝に「インカレ優勝は一つの目標だったので」と控えめに喜んだ。
 カギは直前の国体にあった。前田は10月13日から15日にかけて行われた長崎国体に福岡県代表として出場。そのまま長崎からフィールドインカレが行われる広島に直接現地入りするハードスケジュールを強いられた。しかし「(国体の)決勝戦に残った選手たちの動きを見て、そのいいイメージを持ったまま(インカレに)臨めた」と過密日程を逆に力に変えた。日本で上位の選手のフォームを研究し、頭の中でイメージをつくることが功を奏した。
 準決勝では唯一のピンチを迎えたが動じなかった。団体優勝した昨年の国体以来となる準決勝の舞台では「さすがに緊張した」とそれまでの正確さが鳴りを潜め、残り1標的のところで相手の大川(専大)に同点に追いつかれるピンチを迎えた。それでも最後の標的を18点中16点という高得点で締め、2点差で何とか決勝進出。「予選までの射を思い出せた」と決勝での勢いにつなげた。
 「(インカレは)初優勝なので嬉しい。でもやっぱりターゲットで勝ってこそなので」とその目は10月24日から26日の全日本ターゲット選手権を見据えている。「この勢いに乗って日本選手権でも優勝を狙っていきたい」。上を見据える前田の言葉に力がこもった。

 一方、太田はイリミネーションラウンドで敗退。予選ラウンド後半は「調子が良かった」と得意のフィールドで躍動したものの、上位8人を決めるエリミネーションラウンド1回戦では「何か感覚が違った」と点数が伸びず敗退。4位に終わった昨年のリベンジを期して臨んだが、悔しい結果に終わった。
 フィールドインカレでの現役引退を考えていた太田は、4月のリーグ戦以降は得意のフィールド一本に絞り、優勝を目指して限られた時間の中で練習を積んだ。練習量は決して多くはなかったが、6月の関東学生フィールド選手権では優勝争いに絡む5位に入るなどここまで結果を残してきた。「あまり練習していない中、よくここまでできたと思う。最後の1射が金的(中央)に当たって少しはすっきりできたかな」。何よりもチームとフィールドに懸けた4年間をすっきりした表情で締めくくった。

[女子]
 惜しくも表彰台を逃した。女子では唯一出場の中村3位決定戦の末敗れ、4位に終わった。予選ラウンド、上位4人を決めるイリミネーションラウンドとも通過ラインの最低順位で通過したものの、準決勝で敗退。3位決定戦に回った。試合は残り1標的の時点で及川(日体大)に対し中村が1点のリード。「悔いの残らないように」と臨んだものの、矢は少しずつ中央を外れ最後に逆転を許した。4位という結果に「やり切った感はあるけどやっぱり悔しいですね」とポツリ。悔しさをにじませた。
 「本気でやるのは最後」の大会として臨んだ中村。表彰台に上がることはできなかったが、最後は「この大会を楽しめた。後輩にもアーチェリーを楽しんでやってもらいたい」と女子リーダーとしてチームを明るく鼓舞してきた中村らしく、明るく振り返った。「アーチェリーが好きじゃなかったらここまで続けなかったと思う」。充実感と悔しさが混じった4年間を振り返る中村の目に涙が光った。

[本永雅敬]

試合後のコメント
前田

「やっと(インカレでのタイトルを)取れました。インカレ優勝は一つの目標だったので、目標を一つ達成した余韻を味わっています。(準決勝は一時同点に追いつかれるなど苦戦したが)準決勝は緊張してしまって自分が外してしまった部分はあるのですが硬い、きちきちしたフォームで射ってしまいました。(一転、決勝では相手を圧倒したが)決勝は慣れてきて、リラックスして射てたのでいつものフォームを思い出しました。(予選ラウンドでは大会新記録を出したが)国体では台風の影響などもあって予選で負けてしまったのですが、決勝戦に残った選手たちの動きを見て、そのいいイメージを持ったまま(インカレに)臨めたのが大きかったと思います。(次はターゲットの全日本選手権が控えるが)この勢いに乗って優勝したいです。やはりターゲットで勝ってこそのアーチェリーなので」

太田
「(振り返って)調子的には練習してなくてあんまりかなという感じで臨んだのですが、得意だったので(予選ラウンドの)前半は感覚的にも点数的にもまあまあくらいでいけていて、自分の中では予選で調子が良かったので(予選後半も)いけるかなと思っていました。予選は7位で、練習してない中この順位だったので、やっぱり(フィールドが)得意だったのかなと。ただ(イリミネーションラウンドでは)疲れていて、練習不足だったのでもう少しやっとけば良かったかなと思いながら、でもやれることはやろうと思っていました。自分らしく射とうと。大きく外すことはなかったのですけど、なかなか真ん中に当たらなくて点数が伸びなかったですね。でも最後は(中央の)6点入ったので、自分のアーチェリー人生の最後としては良かったかなと。悔しいですけど練習していない中、よくここまでできたとは思います。最後の1射が金的(中央)に当たって悔いはないですね」

中村
「正直ここまで来られるとは思っていなかったので、4位という結果も自分の中では頑張った方かなと思います。決勝ラウンドに行くのもボーダーでしたし、準決勝行くのもボーダーだったのでここまでやれたのは頑張ったかなとは思います。ただ、最後の最後でリードしていたのですが、普通に平地で(点数を)返されてしまったので、地の差が出たような感じで悔しかったです。でも楽しかったです。(「最後の大会」として臨んだが)やれることはやっていきたいなと思って臨んで、予選も自分の中ではやり切ったなと思った中で予選を通って、イリミネーションもやれるだけやったと思ったら通ったので、良かったかなと。最後の準決勝とか3位決定戦もやれることはやったので悔いはないかなと。最後やれることはやり切って終われたかなと思います。(最後の一射は)直前の2本を外してしまったので、もうどうにでもなれというか。でもあんまり変に射つのも嫌なので、最後はちゃんと射とうと思っていました。(後輩に対して)アーチェリーを好きになって頑張ってほしいかなと。好きじゃなかったらここまで続けなかったと思いますし、楽しくなかったら練習もできなかったのかなと思うので。自分がそれのお手本になれたかは分からないですけどね」

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