劇的勝利! 2度の延長の末に強豪青学大を下す/関東大学1部リーグ戦

 ダブルオーバータイムの末に青学との大熱戦をものにした。序盤からオフェンスが冴え、45―32と大量リードで前半を折り返す。後半、本領を発揮し始めた青学大を前に1度は逆転を許すもしぶとく食らいつき、72―72で勝負は延長戦に。延長戦最初の5分でも決着がつかず、迎えた2度目の延長戦。伊澤の得点を皮切りに多くの選手が得点し、みるみるうちに青学大との差を広げた。最終スコアは99―90で勝利。格上相手に見事な戦いぶりで、5年ぶりとなるホームゲームでの白星を挙げた。
 
 スターターは黒崎海斗(営3=新潟商)、吉本健人(法3=藤枝明誠)、中東泰斗(文4=光泉)、宮本滉希(政経1=明成)、皆川徹(営4=京北)。

 死闘を制した。56―55の1点リードで迎えた第4クオーター。得点を取っては奪われと、一進一退の攻防が続く。残り3分半のところで會田圭佑(法2=市立柏)が3Pシュートを決め5点差としたが、2分2秒のところで同点に追いつかれる。その後は両者ともにタイムアウトを交え勝ち越しを目指すも、得点は生まれず72―72で勝負は5分間の延長戦に突入した。
 2分間のインターバルを挟み始まった延長戦。残り1分で3点をリードされるが、伊澤実孝(政経3=愛産大工)、中東の連続得点で残り18秒で逆転に成功する。しかし、青学大のエース野本が意地を見せ、フリースローで1点を返し同点。勝負は再度延長戦にもつれ込んだ。
 勝ちへの執念が勝負を決めた。2度目の延長戦、選手はホームでの大声援を背に「つらい時こそ頑張ろうと思えた」(宮本)と奮い立つ。伊澤が得意のターンからのシュートとフリースローで立て続けに4得点を挙げると流れは明大に。齋藤拓実(営1=桐光学園)、宮本の1年生コンビで生んだ得点や、第4クオーターに相手との接触で鼻を負傷しながらも「血を止めてでも出たかった」と気迫で出場し続けた皆川の得点などで差を広げた。ダメ押しに残り1分26秒で伊澤がバスケットカウントで3得点を挙げ8点差。青学大はファールゲームを仕掛けるしかなすすべがなくなるが、明大はそこで得たフリースローを着実に決め、99―90で長きにわたる試合に終止符を打った。

 確かな成長を見せた。「みんながリングを向いて攻めた」(中東)と序盤から見せた積極的なオフェンスが功を奏し、前半だけで13点のリードを得る。しかし、後半に入りギアチェンジした青学大を前に思うようにプレーできない。第3クオーター残り45秒のところで同点とされると、その15秒後にあっという間に逆転されてしまう。これまでの戦いでは、後半に相手を波に乗せてしまうと一気に崩れてしまうことが多かったが、この日は違った。「追い付かれた後に粘る力があった」(齋藤)。すぐさま齋藤が3Pシュートを沈め逆転し、青学に傾いていた流れを引き戻し、1点リードでこのクオーターを終わらせた。「逆転されたあとくらいついて、オーバータイムになったので、チームとして成長していると感じた」と小山主将。塚本清彦ヘッドコーチも「我慢できたことが収穫」と粘り強く戦えたことへの満足感を示した。破った青学大は昨年のリーグ戦では準優勝し、今季も上位4チームのプレーオフ進出を決めている強豪だ。それを相手に充実したゲームができたことは選手にとって大きな自信となったに違いない。

 大声援が力となった。前日に引き続き、ホームの明大和泉体育館で開催されたこのゲーム。ホッケー部、バレー部、相撲部といった他の体育会部員をはじめ、多くの人が応援につめかけた。手に汗握る展開が続いた後半から延長にかけて、応援もヒートアップ。得点やリバウンドなど1プレー1プレーに大きな歓声が上がった。「あれだけ盛り上げてもらって、昨日負けたので何としても勝ちたかった」(伊澤)。大勢の観客は選手にとって大きなモチベーションとなった。応援の力が後押しし、つかんだホームでの勝利は実に5年ぶり。「ホームでこれだけの試合ができて勝てたので本当にうれしい」と皆川は試合後に鼻を大きく腫らしながらも、満面の笑みを見せた。

 リーグ戦も残すは2試合となった。次に待ち受けるのは、全勝街道を突き進む王者東海大だ。明大は前日の結果で、5~8位によるプレーオフに進むことが決まった。今度の東海大との対戦は、順位のことを気にせずに、インカレやプレーオフを見据えた戦いができる。「どう自分たちの力を出すかが大事」(伊澤)。この試合で手にした手応えと自信を胸に、王者に一泡ふかせる。

[尾藤泰平]

試合後のコメント
塚本ヘッドコーチ

「ダブルオーバータイムで我慢できたことが収穫。今までの経験でディフェンスを頑張ってきて得たのは我慢すること。最後に「やられる」という感覚がなかった。それがようやくチームの中に出てきた。これをもって来週の東海大戦でどれだけできるか。東海戦どれだけできるかっていうのをやろうと言ってきた。郡山では非常にまずいゲームをしたので。ガードはまだ駄目だけど、他の選手はとりついていたものが取れたような感じだから、ここから。今年何か成せるというわけではなく、これが来年につながっていく。今日の試合で彼らが自信を得たのはすごく良かった。今日の前半は5,6人が点数を取っていた。アグレッシブに攻められたことが今までとは違う。これまではスコアラーが3人とかでしかなかったが、それが今日は得点が入ってリングに向かうようになった。最後勝利で終われたのが一番大事なところ。イニシアチブをとって伊澤がいい働きをしてくれて、皆川も鼻を折りながらやってくれて、インサイド側が頑張ってくれたことは評価したい。(東海戦は)資質の差はすごくあるので、こちらもそれに対するリスペクトも持ってるから、我々のチャレンジャー精神でどこまでやれるか。このまえ59点に押さえたので、そこをまた押さえる。目標を失わないように」

小山主将
「まずホームゲームではここ5年くらい負けているということだったので、勝てて良かった。うれしかった。出ていく選手全員がちゃんと自分の仕事をしていた。みんなディフェンスを頑張ってゲームをつないでいくという意識がみんな強かったので、その結果ちゃんと最初にリードしていたし、逆転されたあとでもくらいついて、オーバータイムになっていったので、チームとして成長していると感じた。声援があって、そういう流れがうちにあったのも大きかった。(ホッケー部、バレー部、相撲部員からの声援に)明治の同じ体育会で頑張っている人たちが応援に来てくれてすごく力になった」

中東
「勝ててよかった。ホームゲームは初めて勝ったので。うれしかった。意外とやれるなあと。(退場となった個人ファウルは)何もしてないのに取られてしまった。みんな今日は積極的に攻めていたので、これを継続できるかが大事。ディフェンスは今までも良かった。オフェンスの面でこうやってみんながリングを向いて積極的に攻めれば、今日みたいに点は取れるので、そういうのを出していかないといけないと思う」

皆川
「ホームゲームでこれだけの試合ができて、勝てたというのは本当にうれしい。昨日負けてしまって、今日は何としても負けたくないという気持ちが、いいオフェンスにつながったし、勝ちに結びついたと思う。(鼻を負傷したが)最後まで出たかったので、血を止めてでもやろうと思った。来週が自分にとっても最後のリーグ戦なので、悔いの残らないように戦って、今日みたいなナイスゲームができたらいいなと思う」

伊澤
「ディフェンスの1対1をどう守っていくかが課題の1つであって、ちょっとローテーションのミスや簡単にやられてしまう部分もあったが、オーバータイムも含めて最後まで集中できたから今日は勝てた。これをどう継続していくかが今後の課題。動きが止まっていると感じたので、試合が後半になるにつれ周りを動かしたり、自分でリバウンドを取って点をつなぐことを意識していた。最後の方は特にそれがうまくいった。(ベンチスタートだったのは)インカレやプレーオフに向けていろんな選手が経験を積むため。自分もベンチから見ていていい勉強になった。ホームゲームであれだけ盛り上げてもらって、昨日負けてしまったので、何としても勝ちたかった。今日はしっかり力が出せたなと思う。来週の東海は全勝中でチャンピオンチームみたいになっているので、そこにどう自分たちの力を出していけるかが大事だと思うので、また練習からしっかりやっていきたい」

齋藤
「1年の一番最初のリーグ戦で、ダブルオーバータイムという貴重な経験できて、なおかつ試合に出られたのは本当にありがたかった。前半は全員に攻める姿勢があったから点差を開くことができた。逆に後半は相手のプレッシャーが強くなって、みんなパスを探してしまい、ディフェンスにも影響する時間があった。でもタイムアウトでの指示もあって、今日は追い付かれた後に粘る力があった。それを後半から延長2回まで続けることができたので、結果に出たかなと思う。個人的にはいつも言われているターンオーバーをなくしていこうと思ってやった。ずっとなかったが、4ピリの大事なところで1つやってしまって、もしかしたら負けてもおかしくなかったし、やっぱり気をつけなくてはいけない。次の東海は、前回自分は何もできなくて後悔しているので、今回は挑戦の心をもって臨みたいと思う」

宮本
「2回目の対戦だったので、前回と違って相手のフィジカルの強さなどを頭の中でイメージできていたので落ち着いてプレーできていたと思います。最近の試合ではシュートが良く決まって、自信を持って打てるようになった。チームにマイナスになってしまうターンオーバーだけはしないように心掛けていた。1回やってしまったので、そこは課題。厳しい戦いだったが、ベンチや応援団の声援があって、つらい時こそ頑張ろうと思えた。チーム一丸となって戦えたことが良かったと思う。残りの2試合は、勝ち負けというよりも自分がしっかり学んで、インカレなどで貢献できるようにしたい」

日時 対戦相手 会場 結果
◆第90回関東バスケットボール1部リーグ戦日程表◆
9/6(土)14:20~ 対慶大1回戦 代々木第二体育館 ●明大55―80慶大
9/7(日)14:20~ 対専大1回戦 代々木第二体育館 ○明大75―60専大
9/10(水)14:20~ 対白鴎大1回戦 大田区総合体育館 ●明大48―60白鴎大
9/13(土)14:50~ 対青学大1回戦 郡山総合体育館 ●明大52―75青学大
9/14(日)13:50~ 対東海大1回戦 郡山総合体育館 ●明大39―59東海大
9/17(水)14:20~ 対国士大1回戦 大田区総合体育館 ○明大74―59国士大
9/20(土)12:40~ 対筑波大1回戦 専大生田体育館 ●明大64―74筑波大
9/21(日)11:00~ 対法大1回戦 専大生田体育館 ○明大72-54法大
9/27(土)16:00~ 対拓大1回戦 代々木第二体育館 ●明大54-78拓大
10 9/28(日)14:20~ 対慶大2回戦 代々木第二体育館 ●明大53―58慶大
11 10/4(土)11:00~ 対専大2回戦 つくばカピオ ○明大55―53専大
12 10/5(日)11:00~ 対白鴎大2回戦 つくばカピオ ○明大58―51白鴎大
13 10/11(土)12:40~ 対筑波大2回戦 日体大世田谷体育館 ●明大39―61筑波大
14 10/12(日)11:00~ 対法大2回戦 日体大世田谷体育館 ○明大69―56法大
15 10/18(土)16:10~ 対国士大2回戦 明大和泉体育館 ●明大68-76国士大
16 10/19(日)17:40~ 対青学大2回戦 明大和泉体育館 ○明大99―90青学大
17 10/25(土)16:10~ 対東海大2回戦 東海大湘南体育館 ●明大75―105東海大
18 10/26(日)16:00~ 対拓大2回戦 東海大湘南体育館 ●明大71―74拓大
19 11/1(土)12:40~ プレーオフ1回戦 代々木第二体育館 ○明大69―55慶大
20 11/2(日)12:40~ プレーオフ2回戦 代々木第二体育館 明大-国士大
◆第90回関東大学バスケットボール1部リーグ戦星取表◆
東海大 青学大 明 大 拓 大 筑波大 白鴎大 専 大 慶 大 国士大 法 大 勝敗 順位
東海大 ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ 18勝
青学大 ●● ○● ●○ ○● ○○ ○○ ○● ○○ ○○ 12勝6敗
明 大 ●● ●○ ●● ●● ●○ ○○ ●● ○● ○○ 7勝11敗
拓 大 ●● ○● ○○ ○● ○○ ○○ ○○ ●● ○○ 12勝6敗
筑波大 ●● ●○ ○○ ●○ ○● ○○ ○● ○○ ●○ 11勝7敗
白鴎大 ●● ●● ○● ●● ●○ ○● ●● ●● ●〇 4勝14敗
専 大 ●● ●● ●● ●● ●● ●○ ○● ●● ●○ 3勝15敗 10
慶 大 ●● ●〇 ○○ ●● ●○ ○○ ●○ ●● ○○ 9勝9敗
国士大 ●● ●● ●〇 ○○ ●● ○○ ○○ ○○ ●○ 10勝8敗
法 大 ●● ●● ●● ●● ○● ○● ○● ●● ○● 4勝14敗
全日程終了